アジアのファストフードと言ったら断然、麺料理ですよね!
日本人が蕎麦、うどん、ラーメンをよく食べるように、アジアの人々も毎日のように麺料理を食べています。
東アジアから東南アジア、中央アジアにかけて、麺料理は最もスタンダードなお食事のひとつ。
気軽に食べられるし、あったまるし、お腹にもたまるといいことづくめの麺料理。
そんな、エスニック・ヌードルのおすすめをアジア各国(ベトナム・タイ・シンガポール・カンボジア・ミャンマー・インドネシア・ウズベキスタン・韓国・台湾・中国)から14品、ご紹介します!
フォー(phở)【ベトナム料理】
ベトナムちゃんのフォー
マイアンのフォー
ベトナムの国民食「フォー」(phở)
鶏肉や牛肉から出汁をとった透明なあっさりスープに、平たい米麺を入れ、鶏や牛の薄切り肉、ハーブや野菜を入れたシンプルな麺料理です。
日本でも最近は「フォー」を食べられるお店が増えてきて、かなり一般的になってきましたよね。
この「フォー」、本場はハノイで、本来は牛肉を入れる「フォー・ボー」がメイン。
鶏肉入りの「フォー・ガー」が生まれたのは1950年代のことだそうです。
もともとは、朝食として食べられていましたが、現在では昼や夜も食べる人もおおいそう。
外食で食べるのが一般的で、家庭では「フォー」はあまり作られないようです。
様々な調味料を使って自分好みの味にできるのも「フォー」の魅力のひとつ。
ライムやヌクマム、ヌクチャム(唐辛子や刻みニンニクを漬けたヌクマム)、生唐辛子などが「フォー」と一緒に出てくるので好きなように味付けできます。
付け合わせとしては、揚げパンみたいな「クワイ」(油条)が一般的。
「クワイ」を汁に浸して食べるのもなかなかの美味です。
「フォー」が美味しいお店
ブン・チャー(Bún Chả)【ベトナム料理】
マダムヒエンのブン・チャー
ニャー・ベトナムのブン・チャー
「ブン・チャー」(Bún Chả)は、ベトナムのハノイ発祥の麺料理。
「ブン」と呼ばれる細い米麺、それを「チャー」(混ぜ)て食べるということからこの名前が付いています。
「ブン」と各種香菜が入った野菜やお肉、揚げ春巻きなどを混ぜ、それにタレを付けて食べます。
タレは、ベトナムの調味料「ヌクマム」に唐辛子やレモン、砂糖などを調合して作ったタレ。
お肉は、スパイスに漬け込んだものとか、ミンチになっているものとか、揚げ春巻きの具もお店によって色々。
そうめんのようなあっさりした麺と、お肉とフレッシュハーブ、甘辛いタレの組み合わせが抜群!
日本では「フォー」ほど知られてはいませんが、現地ベトナムのストリートフードの中でもかなり人気の麺料理。
日本人の口にも合うおすすめの一品です。
「ブン・チャー」が美味しいお店
カオソイ(ข้าวซอย)【タイ料理】
スクンビット ソイ 55のカオソイ
『カオソーイ・ニマン』のカオソイ
「カオソイ」(ข้าวซอย)は、タイ北部やラオスでよく食べられている麺料理。
起源はミャンマーで、その後、ラオスに伝わりタイ北部に広まったそうです。
タイの「カオソイ」はココナッツミルクをたくさん使ったカレーを中華麺にかけ、その上に揚げた卵麺をちらして薬味と一緒に食べます。
薬味には「ナムプリックパオ」 と呼ばれる唐辛子、干しエビなどのペースト、酢漬けのキャベツ、エシャロット、ライム汁などが使われ、具としては牛肉や鶏肉、紫玉ねぎなどが入っています。
この「カオソイ」、ココナッツミルク風味のカレーソースがとにかく濃厚!
それと、他の麺料理にはない、茹で麺と揚げ麺の組み合わせがなかなかGood。
バリエーション豊かな食感を楽しめます。
「パッタイ」などと比べると、日本ではまだまだ知られてませんが、タイの麺料理の中でも一二を争う美味しさだと思います。
「カオソイ」が美味しいお店
ラクサ(Laksa)【シンガポール料理】
新東記のラクサ
『328カトンラクサ』のラクサ
「ラクサ」(Laksa)は、シンガポール、マレーシア、インドネシアで食べられている国民的麺料理。
シンガポールやマレーシアの屋台麺と言ったら「ラクサ」を置いて他はありません。
ココナッツミルクをベースに、唐辛子やシナモン、八角、コショウ、ターメリック、ニンニク、レモングラス、ガランガル、ライム、紫玉ねぎなどのスパイスやハーブを加えたカレー麺で、味はクリーミーでスパイシー!
中華系の子孫である「ババ・ニョニャ」の料理を起源としていて、出汁は肉ではなく魚やエビなどの海鮮から取られます。
豚肉が使われておらず、ムスリムでも安心して食べられる料理のため、ムスリムの多いマレーシア全土で食べられるようになりました。
麺は地域によって違いがありますが、米粉を使った押し出し麺がメジャーです。
とにかく、エビや魚介のダシの旨みとココナッツミルクのクリーミーな甘み、そして、各種香辛料とハーブのスパイシーさのマッチングが絶妙でくせになる美味しさ。
アジア屈指のエスニックスープです。
「ラクサ」が美味しいお店
クイティウ(គុយទាវ)【カンボジア料理】
アンコール・ワットのクイティウ
「クイティウ」(គុយទាវ)は、カンボジアの麺料理。
カンボジアの屋台では、いつもこれが食べられています。
豚骨ベースの澄んだスープが特徴で、一般的な「クイティウ」はさっぱりと薄塩味(写真のはトムヤム風にチリを効かせたもの)。
麺は平たいライスヌードルです。
この「クイティウ」、東南アジアでは一般的な麺料理で、各国でいろいろな呼び名とバリエーションがあります。
有名なのは、タイの「センヤイ」「センレック」「センミー」、ベトナムでは「フーティウ」、中国では「ホーファン」
もともとは、中国福建省の潮州出身の華僑がもたらした料理なのだとか。
アジアの屋台を思い出させる、シンプルイズベストな麺料理です!
「クイティウ」が美味しいお店
モヒンガー(မုန့်ဟင်းခါး)【ミャンマー料理】
ニャウンウーの食堂のモヒンガー
『スィウミャンマー(SWE MYANMAR)』のモヒンガー
「モヒンガー」(မုန့်ဟင်းခါး)は、ミャンマーの国民食的存在の麺料理です。
麺は米麺。茹でておいた麺にナマズなどの魚ベースのスープをかけて作ります。
ナマズを使うというところが独特ですよね!
お店によって使う素材は様々で、玉ねぎや豆、卵、鶏肉、ネギとかバナナの茎とか、かき揚げのようなものが入っていたり、ピーナッツが入っていたり・・・。
食べるときはライムを絞ってパクチーを入れると、ナマズの臭みが消えて食べやすくなります。
味は、結構旨味が効いていて濃厚で独特な感じ。今まで食べたことない味でした。
そうめんみたいな細麺と深みのある味のダシがなかなかのもの。
ちょっとクセがあるので、エスニック料理上級者向けかも。
「モヒンガー」が美味しいお店
ミー・アヤム(Mie Ayam)【インドネシア料理】
インドネシアのソウルフード、国民的汁そばと言えば「ミー・アヤム」(Mie Ayam)です。
「ミー」とは麺のことで「アヤム」は鶏肉。鶏肉の他にはマッシュルームや青菜、にんにくなどが入っています。
麺は小麦の麺で、油や醤油で味付けがされていて、汁は写真のように別で出されるのが一般的。
汁はあっさりとした香ばしい鶏ガラのスープ。
この鶏ガラスープを麺に全部かけて食べます。
インドネシアの料理はサンバルソースが効いたスパイシーなお味が多いのですが、この「ミー・アヤム」はさっぱりしていて食べやすいです。
鶏ガラスープの味が日本人の味覚にもピッタリな感じで、かなり美味しいー!
「ナシゴレン」や「ミーゴレン」に飽きた時におすすめです。
ラグマン(Lagman)【ウズベキスタン料理】
『シルクロードタリム』のラグマン
『火焔山 新疆・味道』のラグマン
「ラグマン」(Lagman)は、中央アジア全域でよく食べられているスープうどん料理です。
言わば、中央アジア風うどんです!
スープはトマトベースのスープで、羊肉とかにんじん、じゃがいも、かぶなどが入っています。上にかかっているのは香菜(コリアンダー)。
麺は小麦粉で作った手延べ麺。
日本人の口にも合うシンプルなうどん料理で、ウズベキスタンではどのお店でも「ラグマン」があって、とりあえずどこで食べてもハズレはない感じ。
安定の美味しさです。
ウズベキスタンは油っこい料理が多いのですが、この「ラグマン」は安心して食べられるお料理のひとつでした★
「ラグマン」が美味しいお店
冷麺(냉면)【韓国料理】
韓国の麺料理と言えば「冷麺」(냉면)
「冷麺」は、北朝鮮由来の料理だそうで、スープに入っているのが「ムルネンミョン」、スープのない混ぜ麺タイプが「ピビムネンミョン」というそうです。
「冷麺」の麺は、ジャガイモやサツマイモのでんぷんの粉が使われているため、コシが強いです。
きゅうりや茹で卵、鶏肉などの具と、コチュジャンや酢などで作られた「ヤンニョム」という辛いソースが麺の上に載っかっているので、それらを混ぜ合わせて食べます。
冷たくさっぱりとしていて、「ヤンニョム」の辛味もピリリとしていて美味しいです。
暑い夏にピッタリの麺料理です!
「冷麺」が美味しいお店
牛肉麺【台湾料理】
「牛肉麺」は、台湾の国民的麺料理と言ってもいいくらいの一般的な麺料理。
「牛肉麺」は、日本のラーメンと同じで様々な種類がありますが、代表的なのは「紅焼牛肉麺」と「清燉牛肉麺」です。
「紅焼牛肉麺」は、醤油をベースに豆板醤などで濃い目に味付けされた牛肉麺で、漢方類や八角、生姜、にんにくなどが入っていたりします。辛い味付けがなされることもあるスパイシーな牛肉麺。
「清燉牛肉麺」は、花椒、胡椒で味付けされた薄味の牛肉麺。スープは澄んだ色をしていて、辛味も漢方もないあっさり牛肉麺。最近はトマトを入れたものも人気のようです。
どちらも美味しいです。
麺は小麦麺で、手打ち麺だったり刀削麺だったり、いろいろ。
牛肉も大きめのリブ肉や牛スジ肉、モツを入れることもあります。
バラエティーに富んだ台湾の「牛肉麺」
台湾に行ったら絶対に外せない、麺料理の定番中の定番です!
担仔麺【台湾料理】
『赤崁擔仔麺』の担仔麺
擔仔麺(担仔麺)は、台湾の小吃として知られる小ぶりの汁入り麺料理のことで、台南が発祥で、台南の名物として知られています。
小麦粉の中細のストレート麺を用い、スープに豚の肉味噌と海老、香菜、ニンニクソースなどがのっています。ご飯茶碗ほどの小ぶりの容器で出されることが多く、サイズや具のそぼろ肉味噌は四川省の担々麺と似ていますが、スープの味は担々麺とは違い、辛くはありません。
スープはあっさりしているけど、ダシが効いていて美味しい♪
肉味噌を混ぜて食べると、あっさりしたスープにアクセントが効いて、さらに美味しくなります。
蘭州ラーメン【中国料理(甘粛省)】
『馬子禄 牛肉面』の蘭州ラーメン
「蘭州ラーメン」とは、古の都、中国の西安から西に630㎞ほど。シルクロードの途上にある甘粛省蘭州市で200年以上も前に生まれた麺料理です。
牛骨をベースとしたクリアなスープに、牛肉のスライス、大根のざく切り、パクチー、葉ニンニクが入り、ラー油がたっぷりと掛けられています。
スープには、10種類以上ものスパイスが使われているのだとのこと。
麺は、もちっとした食感ながらコシのある、ツルツルで喉越しの良い麺。この麺に、さっぱりとしていながらスパイシーなパンチの効いたスープが絡み、思わず唸ってしまうような美味しさです★
「蘭州ラーメン」が美味しいお店
ビャンビャン麺【中国料理(陝西省)】
『西安麺荘 秦唐記 新川本店』の油溌ビャンビャン麺
『食府書苑』の油溌ビャンビャン麺
「ビャンビャン麺」は、このお料理の名前だけに使われるという「ビャン」という漢字が58画もあるということで有名な麺料理。
「ビャンビャン麺」の麺は、小麦粉に水と食塩を加えてこねて生地を作り、茹でる直前に両手で2,3cmくらいの幅に平たく伸ばして成形して作ります。
切って成形するのではないところがポイントで、長いものだと麺の長さが1mになることもあるのだとか。
「油溌(ヨウポー)」とは、茹でた麺の上に唐辛子や刻みネギなどをかけ、それに熱したピーナッツ油をかけて香りを出す、陝西省咸陽市周辺で主流のビャンビャン麺の食べ方であるとのこと。
コシの強いビャンビャン麺の麺の美味しさもさることながら、「油溌(ヨウポー)」の油の香ばしさがたまりません!それと、唐辛子の辛味と、黒酢でしょうか?ほどよい酸味が効いていて、シンプルながら奥深い味わい。
「ビャンビャン麺」が美味しいお店
莜麺栲栳栳【中国料理(陝西省)】
『山西亭』の莜麺栲栳栳
「莜麺栲栳栳(ヨウミェンラオカオカオ)」(莜麦:燕麦のせいろ蒸し麺)は、莜麦(燕麦の一種)の生地を一枚一枚手で筒状にした後、蒸籠に並べ蒸した麺料理。
莜麦は甘みの少ない淡白なお味。蒸籠で蒸しているのでふわふわな食感です。
莜麦自体はそれほど味がないので、名産の黒酢「山西老陳酢」や卵の入ったトマトソースを付けていただきます。
どちらのソースも美味しいですが、酸っぱさ控えめで、まろやかかつ深みのある「山西老陳酢」がかなり美味♪
ビビッドなインパクトはないですが、食べるごとに旨味がじわじわと押し寄せてくる感じ。