マレーシアの首都クアラルンプール。ぺトロナスツインタワーから西へ1kmほど、大きな市場のある「チョウキット」と呼ばれるエリアに、「マレーシア・ニョニャ料理」を食べられるお店『Limapulo(リマプロ)』はあります。
このお店、クアラルンプールでは数少ない、本格的な「ニョニャ料理」を提供しているお店。本場マラッカよりも美味しいとの声もある「ニョニャ・ラクサ」が評判で、あの「ミシュランガイド」にも掲載されている評価の高いお店です。
お洒落スポットの一角にある、ミシュラン掲載のニョニャ料理専門店
『Limapulo(リマプロ)』は、「The Row」という複合施設内の一店舗
『Limapulo(リマプロ)』は、1940年代の古い建物をリノベーションした「The Row」という複合施設の中にあります。
「The Row」には、センスの良いカフェやレストラン、テキスタイルのショップが並ぶKL随一のお洒落スポット。
最寄駅はモノレールのメダン・トゥアンク駅です(徒歩1分ほど)。
『Limapulo(リマプロ)』の外観
こちらが、『Limapulo(リマプロ)』の外観。
明るく開放的で気軽に入りやすい雰囲気。オーブンエアの座席もあります。
ちなみに、正面に「五十」と書かれたロゴがありますが、Limapuloは、マレー語で「五十(50)」を意味しているのだとのこと。「50」は、お店の住所「50, Jalan Doraisamy」に因んでいるのだそうです。
「Limapulo: Baba Can Cook(ババ・キャン・クック)」
お店の看板には、「Baba Can Cook」(ババも調理できる)と書かれています。お店の正式名称も「Limapulo: Baba Can Cook」と、サブタイトルが付けられている様子。
さて、ここで、お店の提供している「ニョニャ料理」、そして、店名の「ババ」とは何なのか、ちょこっとご説明します。
ニョニャ料理とは?
「ニョニャ」(ババ・ニョニャ)とは、マレーシアやシンガポールなど、マレー半島において、中国人と他の民族との混血を指す言葉。「ニョニャ」とは女性、「ババ」とは男性を意味し、マレー半島に根付いた中華&マレーの混合文化のことを「ババ・ニョニャ文化」と言います。
なお、「ババ・ニョニャ」と似たような言葉として「プラナカン」があります。「プラナカン」とは、欧米列強による統治下にあった「ヌサンタラ(マレー地域)」に、15世紀後半から数世紀にわたって移住してきた中華系移民の末裔のことを指しているので、ほぼ同じ意味です。
そんなプラナカンの人たちが生み出した「ニョニャ料理」は、由来と同様、マレー料理と中国料理(おもに福建料理)のミックス。さらに、近隣のタイ料理やインド商人が持ち込んだインド料理、植民地の支配者であったポルトガルやオランダなどの食文化も合わさった多国籍料理なのです。
ちなみに、マレーシアやシンガポールには、ニョニャの人たちとは、また違った「中国系」の人たちが存在します。彼らは19世紀にマレー地域にやってきた移民で、彼らの作り出すお料理は、マレー料理の色合いの濃いニョニャのお料理と違って、本場中国に近い料理なのだそう。
「Baba Can Cook」(ババ・キャン・クック)
「ミシュランガイド」に掲載されるほど評判となった『Limapulo(リマプロ)』のお料理。それを生み出したのが、2022年に亡くなった料理長のUncle Johnさんです。
ジョンさんはマラッカ出身の「ババ」で、ニョニャラクサをはじめとする『Limapulo(リマプロ)』のお料理は、彼の家庭の味をベースにしているのだとか。
「ニョニャ(女性)」だけじゃなく、「ババ(男性)」も料理できる!
お店のサブタイトルには、お店の成功に大きく貢献したジョンさんへのリスペクトが込められているようです。
さてさて、ニョニャ(ババ)のお話はこれくらいにして、そろそろお店の中に入っていきましょうか〜♪
『Limapulo(リマプロ)』の店内
こちらが、『Limapulo(リマプロ)』の店内。
程よい広さの店内空間。座席は50〜60席くらいでしょうか。席間もゆったりとしていて、照明や内装も落ち着いていて居心地の良い空間です。
アンティークな小物が随所に置かれたレトロ感のある店内
テーブルや椅子、食器棚などもレトロな感じ
壁に架けられた絵や写真、棚に置かれた小物類も味わいあります。
お洒落だけど気取らない、居心地の良い雰囲気。
店内のインテリアは、レトロな感じ。建物が建てられた1940年代をイメージしているのでしょうか? アンテイークな小物が随所に置かれ、テーブルや椅子も味のあるものが使われています。壁に架けられた写真や絵も雰囲気あります。
とってもお洒落な空間です♪
訪問したのは、早めのディナータイム。入店時は空いていましたが、お料理を食べている間に続々とお客さんが来店しました。
さて、席に座ったところで、そろそろメニューを見てお料理を選びましょうか〜♪
『Limapulo(リマプロ)』のメニュー
『Limapulo(リマプロ)』のメニュー
看板メニューの「ニョニャ・ラクサ」
メニューには、サテやイカンゴレンなどの定番料理、ニョニャカレーなどの気になる料理もありましたが、ここは、看板メニューの「Nyonya Laksa(ニョニャ・ラクサ)」一択です♪
注文は、テーブルに置かれた注文表に記入して、店員さんに渡すスタイル。
「Nyonya Laksa」と、お飲み物「Water Melon Juice」にチェックを入れ、店員さんに渡します。
ちなみに、「ラクサ」とは、どんな料理なのか、ちょこっとご説明。
ラクサとは?
「ラクサ」(Laksa)は、マレーシア、シンガポール、インドネシアで食べられている麺料理。
ココナッツミルクをベースに、唐辛子やシナモン、八角、コショウ、ターメリック、ニンニク、レモングラス、ガランガル、ライム、紫玉ねぎなどのスパイスやハーブを加えた麺で、味はクリーミーでスパイシー!
ニョニャ料理を起源としていて、出汁は魚やエビなどの海鮮から取られ、豚肉が使われておらず、ムスリムでも安心して食べられる料理のため、ムスリムの多いマレーシア全土で食べられるようになりました。麺は地域によって違いがありますが、米粉を使った押し出し麺がメジャーです。
「ラクサ」は、マレーシアにおいても地域によって、様々なバリエーションがあります。
クアラルンプール周辺で食べられているのが「カレーラクサ」。黄色い中華麺(ミー)と白い米麺のビーフンがミックスした2種の麺を使うのが特徴。出汁はエビベース。
マラッカのラクサは「ニョニャラクサ」。カレーラクサに似ていますが、調味料に辛味のあるサンバルブラチャンが使われ、香り付けにベトナミーズコリアンダーが使われます。
ペナンで食べられているラクサは「アッサムラクサ」。麺は米粉を使った押し出し麺で、タマリンドメインでココナッツミルクは使われないのが特徴。魚出汁ベースでエビを使った発酵調味料が使われるほか、キュウリ、ミント、パイナップル、ベトナミーズコリアンダーなど様々な具材がトッピングされます。
他にも、サラワク州で食べられている「サラワクラクサ」、ジョホール州の「ジョホールラクサ」、トレンガヌ州の「ラクサ・クア・メラ」「ラクサ・クア・プティ」。それ以外もたくさん!
さて、ラクサの説明はこのくらいにして、そろそろ『Limapulo(リマプロ)』のラクサをいただきましょう〜♪
絶品!『Limapulo(リマプロ)』の「Nyonya Laksa(ニョニャ・ラクサ)」
「Water Melon Juice」
程なくして、お飲み物登場!
「Water Melon Juice」(スイカジュース)です。
フレッシュで甘くて、さっぱりしていて美味しい♪
スイカジュースをちびちび飲んでいると、お料理が運ばれてきました。
「Nyonya Laksa(ニョニャ・ラクサ)」
麺は黄色い中華麺と白いビーフンの2種類
「Nyonya Laksa(ニョニャ・ラクサ)」です。
ココナッツミルクを使った鮮やかな黄色のスープに、ゆで卵や揚げ煎餅、魚介の練り物系や香菜、エビ、ライム、サンバルブラチャンなどが見えます。麺は黄色い中華麺と白いビーフンの2種類。
う〜ん、見るからに美味しそうです★
さっそく、いただきましょう〜♪
ココナッツミルクのまろやかさ、エビ出汁の旨味、ライムの酸味、サンバルブラチャンの辛味
『Limapulo(リマプロ)』の「Nyonya Laksa(ニョニャ・ラクサ)」、絶品でした!
まろやかなココナッツミルクのスープはエビ出汁が効いていて、旨味たっぷり♪
2種の麺(中華麺とビーフン)も、それぞれ違った味と食感を楽しめます。
プリプリのエビやほっこりしたゆで卵、サクッとした揚げ煎餅、練り物や野菜などの具材もバラエティに富んでいて美味しい。
辛味のあるサンバルブラチャンや酸味のあるライムなどの味変もあって、飽きさせません!
『Limapulo(リマプロ)』
クアラルンプールにある本格的な「ニョニャ料理」を提供しているお店『Limapulo(リマプロ)』
ニョニャ料理の本場、マラッカ出身のババが作り出した「Nyonya Laksa(ニョニャ・ラクサ)」は、ココナッツミルクベースでエビ出汁の旨味が濃厚な、本当に美味しいラクサでした♪
さすが、本場マラッカのババが作ったニョニャラクサ。「ミシュランガイド」に評価されたラクサです★
『Limapulo(リマプロ)』の地図・アクセス
- 住所:50, Jalan Doraisamy, Chow Kit, 50300 Kuala Lumpur, Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur, マレーシア
- 電話:+60326983268
- 営業時間:11:30~15:00 17:30〜21:00(木・金・土)
- 定休日:日曜日
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