西アフリカに位置する国、セネガル。
歌や楽器を使って歴史や知識を伝える語り部、「グリオ」の伝統を持つこの国では、長い歴史の中で豊かな音楽文化が育まれてきました。
特に1980年代以降には、セネガルの伝統音楽と現代的なポップ・ミュージックを融合させた「アフリカン・ポップス」がヨーロッパやアメリカで注目されるようになり、その旗手である「ユッスー・ンドゥール」を始めとした多くのミュージシャンが世界的なマーケットでも活躍するようになりました。
今回ご紹介する「シェイク・ロー」(Cheikh N’Digel Lô)も、そういった世界的に活躍するセネガル人ミュージシャンのうちのひとりです。
「シェイク・ロー」の新作アルバム「バルバロウ(Balbalou)」
上の曲は「シェイク・ロー」の新作アルバム「バルバロウ(Balbalou)」に収められたリード曲「Degg Gui」
この「シェイク・ロー」の声、なかなか味があっていいですよね♪
パリのアコーディオン奏者「フィクシー」の弾くアコーディオンと、ブラジル人女性歌手「フラヴィア・コエーリョ」の歌声との絡みもとても素晴らしいです★
ユッスー・ンドゥール曰く、
彼の声は凄い。そこにはブルキナファソ〜ニジェール〜マリを駆け抜けるような感覚がある。
吉本秀純/解説より
とのこと。
遅咲きのすごい歌手、シェイク・ロー
「シェイク・ロー」は、1955年、セネガルの隣国ブルキナファソ第二の都市「ボボ・ディウラッソ」に生まれました。両親はセネガル人です。
「シェイク・ロー」の音楽は、ハイブリッドでバラエティーに富んでいるのが特徴。
サバールやタマといった伝統打楽器を使ったセネガル生まれのポップス「ンバラ」をベースとしつつも、それにこだわらず、キューバ音楽やブラジルのサンバ、コンゴのルンバ、ハイライフ、ファンクやレゲエなどのエッセンスを取り入れ、カラフルで多様性のある音楽を創り出しています。
上のYouTubeで紹介したリード曲「Degg Gui」も、そんな「シェイク・ロー」の音楽の多様性を象徴しているような曲ですよね。
「シェイク・ロー」が本格的に音楽活動を始めたのは1970年代後半からだそうです。
その後、パリに渡ってセッションミュージシャンとして活躍した後、セネガルに帰国した1990年に発表したアルバムが高評価。
1995年にはユッスーのプロデュースのもと、アルバム「ネ・ラ・ティアス」を発表し、国内で大ヒットを記録し、翌年そのアルバムを引っ提げて世界デビューを果たしました。
この「シェイク・ロー」、実はユッスーよりも4歳も年上だそうです。
彼の国際デビューは1996年なので、ユッスーに比べるとかなりの遅咲きで、世界向けのアルバムは本作を含め、まだ4枚しか出していませんが、その風貌や佇まい、アルバムの完成度から、かなりの大物感が感じられます♪
アルバム「バルバロウ(Balbalou)」に収録されているのは10曲
01. Bamba
02. Degg Gui (Feat. Flavia Coelho & Fixi)
03. Doyal Naniou (Feat. Oumou Sangare)
04. Gemou Ma Ko
05. Suzanah
06. Balbalou (Feat. Ibrahim Maalouf)
07. Lutax
08. Baissons Les Armes
09. Leer Gui Fall
10. Kouma Magni
②の「Degg Gui」以外だと、疾走感のある①「Bamba」、アフリカの現状と連帯を訴えるメッセージが伝わって来る③「Doyal Naniou」、コラの煌びやかな音色が心地よい④「Gemou Ma Ko」、コンゴのルンバ(リンガラ音楽)的な⑤「Suzanah」、レバノン出身のジャズ・トランペッター「イブラヒム・マーロフ」をフィーチャーした⑥「Balbalou」、「シェイク・ロー」の凄いヴォーカルが堪能できる⑦「Lutax」、アフロ・キューバン感満点の⑧「Baissons Les Armes」などなど。
どれも素晴らしく、聴き応えのある曲ばかりです。
ところで、この「シェイク・ロー」、この2015年の8月に初来日を果たす予定です!
8/23(日)に富山で、8/25(火)には東京の渋谷で、来日公演を行うのだとのこと。
とっても楽しみです★
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