西アフリカ、マリ出身のミュージシャン「サリフ・ケイタ」(Salif Keita)
1980年代後半、アフリカの伝統的音楽と現代的なポップ・ミュージックを融合させた「アフリカン・ポップス」がヨーロッパやアメリカでブームとなりました。
その旗手のひとりが、この「サリフ・ケイタ」です。
このアルバム「モフー」(Moffou )は、インターナショナル向けとしては、サリフの6作目の作品。
2002年に各国のワールドミュージックの賞を総ナメにし、彼のアルバムの中でも最高傑作の呼び声も高い、名作中の名作です。
サリフ・ケイタの傑作アルバム「モフー」(Moffou )
Salif Keita & Cesaria Evora – Yamore
上の曲は、アルバムの1曲目「ヤモレ」(Yamore)
カボヴェルデの人気歌手「セザリア・エヴォラ」とデュエットする印象的なナンバーです。
ハイトーンの強烈なサリフの歌声と、落ち着いた雰囲気のセザリアの歌声の絡み。心地いいです★
切ない感じのアコーディオンのメロディーとバックヴォーカルのコーラスも素晴らしい♪
この1曲目からぐいぐいと引き込まれていきます!
古代マリ帝国王家直系の子孫、アルビノとして生まれた「サリフ・ケイタ」
「サリフ・ケイタ」の出自はちょっと変わっています。
1949年、「サリフ・ケイタ」は、マリのジョリバで生まれました。
彼の父親は、13世紀に西アフリカ一帯を支配した古代マリ帝国の始祖「スンジャータ・ケイタ」の直系の血筋。名門の息子です。
しかし、王家の血筋として生まれたものの、彼は生まれつき肌の色の白い”アルビノ”でした。
西アフリカのある地域では、アルビノの子供は不吉な前兆であるという迷信が残っています。
そのため、サリフがアルビノであると知った父親は、彼と彼の母親を家から追い出してしまったのだそうです。
一族から追放同然の扱いを受け、その白い肌により社会からも迫害とも呼べる差別を受けたサリフの少年時代は貧しかったそうです。
王族の出身ながら学生時代はギターの弾き語りで日銭を稼ぐなどして生活していたのだとのこと。
そんな彼ですが、素晴らしい音楽の才能を持っていました。
1967年にミュージシャンを志して首都バマコに移り住むと、数々のバンドでフロント歌手として活躍し、次第に人気を獲得していきます。
1973年には「アンバサデュール」というバンドに移籍、「マンジュー」という曲を西アフリカ全体にヒットさせました。
1984年には、活動の拠点をフランスのパリに移し、1987年にインターナショナルデビュー作「ソロ」を発表。
カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞したマリ映画「ひかり」の主題歌を歌ったこともあり、一躍「アフリカン・ポップ」の旗手として世界的に注目されるようになります。
その後も現在に至るまで、クオリティーの高い作品をコンスタントに発表し続けている「サリフ・ケイタ」
「アフリカン・ポップ」の大スターとして、世界にアフリカ音楽を広めた功労者として、セネガルの「ユッスー・ンドゥール」らと並び、その人気は揺るぎないものとなっているのです。
Salif Keita – Madan (Original)
アルバムのハイライトの曲のひとつ、「マダン」(Madan)です。
「サリフ・ケイタ」は、これまでアフリカ伝統のポリリズムと欧米で生まれたエレクトリックサウンドを融合させた音楽を発表し続けてきたのですが、この「モフー」は、彼の初めてのアコースティックサウンドメインのアルバム。
これまでの作品以上に、彼の声と彼の生み出す哀愁を帯びた美しいメロディーラインが鮮明になった感じで、世界中で絶賛の嵐の評価を受けました。
この曲「マダン」も、アコースティック楽器を中心に演奏される曲なのですが、エレクトリックサウンドに負けないくらいのグルーブ感と疾走感!
マリの渇いた大地をイメージさせるような素晴らしい曲です。
Salif Keita – Iniagige
美しいギターの弾き語りが心地いいセルフカバー曲「イニァジジェ」(Iniagige)
テンポの良いエレクトリックバージョンも良いのですが、西アフリカっぽい乾いた哀愁を感じさせるこのアコースティックバージョンもかなり魅力的★
Salif Keita – Moussoolou
ダイナミックなグルーブ感と女性コーラスの歌声が見事な「ムソル」(Moussoolou)
ギターの奏でるメロディーラインが味わい深いです。
そして、この声!
「サリフ・ケイタ」の声はやっぱりすごいです★
一度聴いたら忘れられない、他のどの歌手とも違う、強烈でインパクトのある声です。
サリフ・ケイタの最高傑作「モフー」(Moffou )
西アフリカの大地と風を感じることのできる、お気に入り中のお気に入りの一枚です★
♪アフリカ音楽
https://search-ethnic.com/music/salif-keita-moffou
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