フランス、パリ市の北東部に位置する18区。
ここは、北アフリカのチュニジア、アルジェリア、モロッコなどのマグレブ諸国、セネガルやマリなどのアフリカ諸国、マルチニークやグアドループといったカリブ海からの移民が多く暮らしている地域です。
その18区の一画にある「バルベス地区」で生まれたバンドが、この「オーケストラ・ナショナル・ドゥ・バルベス」(Orchestre National de Barbes)。
”バルベス国立楽団”という名前ですが、もちろんそういう国があるわけではなく、「バルベス地区」を架空の国に見立てて付けられた名称です。
北アフリカのリズムをベースに、ジャズ、ロック、レゲエなどの音楽を融合
Orchestre National de Barbes ONB SALAM
「ONB」の音楽は、パリで暮らす移民たちが、それぞれのルーツの音楽をミックスさせて作り出した音楽です。
音楽のベースとなっているのは「グナワ」と「シャービ」
「グナワ」は、セネガルやマリ、ギニアなどから北アフリカに奴隷として連れてこられた人々が生みだした音楽で、イスラム神秘主義の音楽とブラックアフリカのリズムを融合させた音楽で、リズミカルかつトランシー!
「シャービ」は、アラブ・アンダルシアの古典音楽から派生したポップスで、美しいメロディーラインが特徴。
「ONB」の音楽は、その「グナワ」と「シャービ」をベースに、現代アラブポップスの「ライ」、レゲエやスカを始めとしたカリブ海の音楽、アフリカのコンゴの「ルンバ」、そして、ロックやジャズなどの要素を融合させた、パリに住む移民文化の集大成のような音楽なのです。
上の動画は、レゲエの要素を取り入れた楽曲「サラーム」(Salam)
グルーブ感が心地いいです♪
Orchestre National de Barbés Live – Alaoui
「ONB」の結成は、1995年。メンバーは13人です。
このライブアルバム『En Concert』は、1997年の発表のファーストアルバムで、リリースされるやいなや、ヨーロッパで人気が爆発!
「ミュージックマガジン」誌の「1997ワールドミュージック部門第1位」に輝いたこともあって、日本のワールドミュージックファンにもその名が知られることとなりました。
上の動画は、アルバムのハイライトでもある曲「アラウィ」(Alaoui)。
アラブポップスの「ライ」をベースにした「ONB」(バンドの略名)の代表曲です。
熱狂的でダンサンブルなナンバー。
Orchestre National De Barbes “hagda”
上の動画は、アルバムで最もグルーヴィーな曲のひとつ、「ハグダ」(Hagda)
パーカッションと「グナワ」の鉄製のカスタネット風打楽器「カルカベ」のシャカシャカした音が生み出すリズムが最高です!
Orchestre national de Barbès: “Ma Ychali”
上の動画は、「シャービ」をベースとした佳曲「マ・イシャリ」(Ma Ychali)
「シャービ」の美しいメロディーラインとこぶしの効いたヴォーカルが魅力的なナンバーです。
「ONB」にはヴォーカリストが何人もいて、「グナワ」の曲、「シャービ」の曲、「ライ」の曲などでそれぞれ歌い手が変わります。
それぞれ違ったバックボーンを持ったミュージシャンたちが、それぞれの得意な曲を代わる代わる演奏していくのです。
「ONB」は、スタジオアルバムもいくつも出していて、それらのアルバムの内容も素晴らしいのですが、ライブアルバムであるこの『En Concert』はスタジオアルバムにはないグルーブ感があります。
思わず体を揺らしてしまいそうになるほどのすごいグルーブ感です。
『En Concert』、ワールドミュージック好きなら、必聴の一枚です★
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