世界各地のモスク52カ所をご紹介します★
7世紀初頭にアラビア半島で啓示を受けた預言者「ムハンマド」によって創始された一神教の宗教「イスラム教(Islam)」。
イスラム教の礼拝所が「モスク(Mosque)」です。モスクは、礼拝や宗教的な集会を行うための建物であり、イスラム教徒にとって重要な宗教的な拠点となっています。
- 礼拝の場所: モスクは、主にイスラム教徒が礼拝を行うための場所として使われています。特に金曜日の正午の礼拝(ジュマア礼拝)は、モスクで特に重要視されています。
- ミナレット: モスクには通常、一つまたは複数の尖塔状のミナレットがあります。これはイスラム教徒に対して礼拝の時間を知らせるために使われ、また、ムアッジン(呼びかけ者)がミナレットの上からアザーン(呼びかけ)を行う場所でもあります。
- アザーン(呼びかけ): モスクでは、礼拝の時間にアザーンと呼ばれる宣言がなされます。これは信仰者たちに礼拝の開始を知らせるもので、通常はミナレットから行われます。
- イマーム: モスクには礼拝を指導するイマームと呼ばれる宗教指導者がいます。イマームはクルアーンを暗記し、礼拝や宗教的なアドバイスを行います。
- コミュニティの中心: モスクはイスラム教徒のコミュニティの中心としても機能しています。さまざまな宗教的な行事やイベント、学習活動が行われ、社会的なつながりを強化する場でもあります。
- アイワーンまたはムスッラ(礼拝ホール): モスクの中には礼拝ホールがあり、信者たちはそこで礼拝を行います。礼拝ホールの中央にはクブラ(礼拝の方向を示す壁)があり、信者たちはこれを向いて礼拝を行います。
モスクのデザインや建築様式は地域や文化によって異なり、それぞれのモスクには独自の美学や歴史があります。モスクは信仰の場だけでなく、イスラム文化とアイデンティティの象徴としても重要な存在なのです。
世界各地のモスク52カ所。アラビア、トルコ、アフリカ、南アジア、中央アジア、東南アジア、日本のモスクをご紹介します。
アラビアのモスク
オマーンのモスク
スルタン・カブース・グランド・モスク(オマーン・マスカット)
「スルタン・カブース・グランドモスク(Sultan Qaboos Grand Mosque:جَامِع ٱلسُّلْطَان قَابُوْس ٱلْأَكْبَر)」は、2001年に完成したオマーン最大のモスク。
中央ドームの高さは50m、メインミナレットは高さ約90m、4つの隣接するミナレットの高さは45.5m。敷地の総面積は416,000㎡、モスクなどの施設の総面積は40,000㎡もあるそう。
「スルタン・カブース・グランドモスク」は、現国王「カーブース・ビン・サイード」の即位30周年を祝うため、1995年に建設が開始され、2001年に完成しました。
モスクの設計やデザインはコンペによって決められたそうで、コンペでは「モハメッド・サレハ・マキヤ」という建築家の案が採用されたのだとか。
高さ14m、幅8mという巨大なシャンデリア。
1,122個の照明が使われているそう。シャンデリアはスワロフスキー製クリスタルのシャンデリアです。
床にはペルシャ絨毯が敷かれていて、面積は4263㎡もあるそうです。
70m×60mのこの絨毯は、600名の女性が4年掛けて紡ぎあげたそうで、世界で2番目の大きさなのだとか。
夜のスルタン・カブース・グランド・モスク
「スルタン・カブース・グランドモスク」は、オマーン国内で唯一、イスラム教徒以外が入ることを許されているモスクなのですが、異教徒が入場できるのは午前8時〜11時の3時間のみ(金曜を除く)。
残念ながら夜の時間帯は中に入れないので、外から眺めるだけです。
夜の「スルタン・カブース・グランドモスク」、内部の礼拝堂には参拝者がいるのかもしれませんが、外からはほとんど人影が見えず。
静寂に包まれた幾何学的なモスクの造形は神秘的です。
オマーン・マスカットのモスク
イスラム教国であるオマーン。その首都マスカットには、数え切れないくらいのたくさんのモスクがあります。
タクシーやバスの車窓から見えるそれらのモスクは、どれもが豪華でデザイン的にも優れています。オマーンの豊かさが窺えます。
ワヒバ砂漠へのツアーの帰り、夕方5時頃、ガイドさんがお祈りをしたいと言い、道中にあった上の写真のモスクに立ち寄りました。
イスラム教徒は、1日に5回の礼拝(サラート)をすることが決められています。
ただし、必ず5回しなければならないというわけではなく、回数をまとめてする人も多いのだそう。
今回のような旅行中は、5回も礼拝するのが難しいので、ここでまとめて礼拝したようです。
オマーン内陸部、ハジャル山地の中腹にあるオアシス都市「ニズワ(Nizwa:نزوى)」
6〜7世紀にかけては、オマーンの首都として栄えた歴史ある都市で、オマーンを代表する城塞である「ニズワ・フォート」があります。
写真は、「ニズワ・フォート」のメインモスクのドームとミナレットです。
シリアのモスク
シリアの首都ダマスカスにあるイスラム第4の聖地「ウマイヤド・モスク」です。
「ウマイヤド・モスク」は、世界最古のモスクといわれています。建物の創建は715年。イスラム第4の聖地として知られ、毎日国内外から多くの巡礼者が訪れています。
ウマイヤド・モスクの特徴の1つは、この建造物が明確な正面(ファサード)を持たないということ。その巨大な規模にもかかわらず、建物全体の外観も外部から見ることができるようになっていません。
インスタ映えはしませんが、最初期のモスク建築の構造と特徴が現在に至るまで保たれた希少なモスクであるのだそう。
ダマスカスからバスで1時間の場所にある「マアルーラ」(Maaloula:معلولا)の町。
この町の住民は、ほとんどがキリスト教徒(ギリシャ正教)であることで知られています。
そんな「マアルーラ」にも、緑色のドームを持つモスクがありました。
ここには少数ながらイスラム教徒も住んでいます。「マアルーラ」は、イスラムとキリスト教徒が共存する町なのです。
訪れた時はちょうど金曜日でしたので、ミナレットからは、金曜礼拝の祈りの声がずっと流れていました。
ドバイのモスク
ドバイのモスク
、「バール・ドバイ(Bur Dubai:بر دبي)」は、1830年代、アブダビから移住したマクトゥーム家がドバイ首長国を建国した最初の地。ドバイで最も歴史的な地区です。
歴史的なドバイの街並みが保存された「アル・ファヒディ歴史地区(バスタキヤ)」に向かって歩いて行くと、ちょうどお昼の礼拝の呼び掛け「アザーン」の朗唱が聴こえてきました。
さすが、先進都市国家「ドバイ」、マスカットに比べてアザーンも何だか洗練されています。
イエメンのモスク
イエメン・サユーンのモスク
イエメンの首都サナアは世界最古の摩天楼都市ともいわれている町です。
旧市街には白い漆喰で飾られた日干し煉瓦造りの建物がたくさん建っています。
夕方、サナアじゅうのモスクが一斉にアザーンの呼びかけを始めました。
何百というミナレットから発せられるアザーンの競演。夕暮れ時、サナアの旧市街はアッラーへの祈りによって支配されました。
トルコのモスク
アジアとヨーロッパを繋ぐ町「イスタンブール」
オスマントルコの首都として世界屈指の繁栄を極めたこの町には、3,000を超えるジャーミィ(モスク)があります。
その中でも最もよく知られているモスクが「ブルーモスク(スルタンアフメトモスク)」です。
このモスクは、オスマン帝国第14代スルタン「アフメト1世」によって1609年から1616年の7年の歳月をかけて建造されたのだそうです。
直径27.5mの大ドームは、大理石でできた巨大な4本の柱で支えられています。
また、壁や天井は、数万枚のイズニック製の青いモザイクタイルによって埋め尽くされています。
イズニックが陶器の町となったのは、オスマン帝国時代の15世紀。
イズニック陶器は世界的に有名となり、イスタンブールのモスクの多くがイズニックタイルを使用したといわれています。
大小のドームと6つのミナーレを持つその外観はとても見事です。
本来はメッカ以外のモスクはを4本までしかミナーレを建ててはいけないそうですが、スルタンの指示「アルトゥン(金)」を「アルトゥ(6本)」と建築家が聞き間違えたため、6本のミナーレを持つモスクが出来上がったという逸話が残されています。
6つのミナーレを持つジャーミィは、世界でもここ以外にはないそうです。
「スレイマニエモスク(スレイマニエ・ジャーミィ:Süleymaniye Camii)」は、
オスマン帝国第10代スルタン「スレイマン1世」の命により、トルコ史上最高の建築家と呼ばれる「ミマール・スィナン」が設計したモスクです。1557年に完成しました。
このモスクはイスタンブール旧市側の丘の上にあり、金角湾から見て一番映えるモスクです。
「スレイマニエモスク」の床には真っ赤なカーペットが敷かれていました。ここは、異教徒は入ることはできません。
メッカの方角を示す「ミフラーブ」と呼ばれる窪みです。この方角に向かって、イスラム教徒はお祈りを捧げるのです。
モスクの外にある洗い場。 ここで信者は手や足を清めて礼拝堂へと入ります。
ガラタ橋のすぐそばにある「イエニ・ジャーミィ」、1663年の完成です。
このモスクは、鳩がたくさんいることでもよく知られています。
「イエニ・ジャーミィ」の規模はブルーモスクには及びませんが、内装は勝るとも劣らないもの。すばらしいモザイクタイルです。
こちらはブルーモスクと違って赤いタイルが多用されていました。
イスタンブールには、約3,200ものモスクがあると言われています。
その中でも大ドームを周囲の半ドームで支える構造のモスクはオスマン建築独特のもの。
この建築様式は、トルコ最大の建築家「ミマール・スィナン」が、イスタンブールにあるローマ帝国時代の建築物「アヤ・ソフィア」を参考に生み出したものだそうです。
ボスニア・ヘルツェゴビナのモスク
ボスニア・ヘルツェゴビナの町「モスタル(Mostar)」
モスタルは、16世紀から18世紀に掛けてオスマントルコの支配下にあり、その時代に町は大きく発展しました。
17世紀には人口は10,000人に達し、モスクの数は24を数えたそうです。
コスキ・メフメット・パシャ・モスク(ボスニア・モスタル)
「コスキ・メフメット・パシャ・モスク(コスキ・メフメット・パシナ・ジャミーヤ):Koski Mehmed-pašina džamija」は、1618年に建設されたモスク。
シンプルで小ぢんまりとした礼拝堂で、代々木にある東京ジャーミィよりも小ぶりな感じ。
モスタルの町を代表するモスクのひとつとして知られているモスクですが、何と言っても魅力的なのは、このモスクから見える風景が素晴らしいということ。
カラジョズ・ベグ・モスク(ボスニア・モスタル)
「カラジョズ・ベグ・モスク(Karađoz-begova džamija)」は、1557年にオスマン帝国の宰相リュステムパシャの兄弟「カラギョズ・メフメッド・ベイ」の命により、大建築家ミマール・スィナンの設計で建てられたと言われるモスク。
ボスニア・ヘルツェゴビナを代表するイスラム建築と評されているのだそう。
ボスニア・ヘルツェゴビナで最も重要なモスクと言われるのが、首都サラエボにある「ガジ・フスレヴ・ベグ・ジャミーヤ(Gazi Husrev-begova Džamija)」
1531年に建てられたモスクで、モスクの名前は当時のボスニア総督の名前「ガジ・フスレヴ・ベグ」に由来します。
モスクの設計を担当したのは、イスタンブールのスレイマニエ・モスクを設計した大建築家「ミマール・スィナン」です。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時、「ガジ・フスレヴ・ベグ・ジャミーヤ」は、ボシュニャク人の象徴として攻撃対象とされ、サラエボ包囲の際に大きく損傷を受けたのだそう。
2000年頃からモスクの修復作業が始められ、現在では紛争前の美しい姿を取り戻している様子。
アフリカのモスク
モスク(セネガル・ダカール)
モロッコはオスマントルコの影響が少なかったため、モスクにドームはなく四角柱のミナレットが外観上のメインとなっているのが特徴です。
西アフリカのセネガルのモスクも同様。四角柱形のミナレットがメインでした。
こちらは、東アフリカ、タンザニアのザンジバル島のモスク。
19世紀にオマーンのスルタンの支配下にあったザンジバル島は、イスラム教徒が多数派の島として知られています。
ザンジバル島のストーンタウンの路地を歩いていると、白い長衣を纏い、白い帽子を被った男性(大人も子供も)にたくさん出くわしました。
ストーンタウンに訪れたこの日、ちょうど、イスラムの犠牲祭「イード・アル=アドハー(عيد الأضحى 、Eid ul-Adha)」の日だったようで、この白装束も祝日の際の正装であるのだそう。
「イード・アル=アドハー」とは、ムスリムのラマダーン明けのイード(祝祭)の1つで、ヒジュラ暦の12月10日から4日間にわたって行なわれます。
イードに参加するムスリムは正装してモスクに集い、牛や羊や山羊などを生贄として神に捧げ、その肉を人々に振る舞うのだとのこと。
南アジアのモスク
インドのモスク
ジャマー・マスジッド(インド・デリー)
ジャマー・マスジッド(インド・デリー)
「ジャマー・マスジッド(Jama Masjid, جامع مسجد)」は、インドの首都デリーのオールドデリーにあるモスク。
タージ・マハルを建造したムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンによって立案され、1656年に竣工しました。
インド最大のモスクのひとつで、中庭では25,000人が礼拝できるとのこと。
白と黒の大理石で覆われた3つのドーム、11カ所のムガル風のアーチ、赤砂岩と白大理石の縞模様で彩られたミナレットなどが特徴です。
ヒンドゥー教多数派のインドですが、首都デリーには町の人口の11.7%のイスラム教徒が暮らしています(ヒンドゥー教徒は82%、シク教徒4%、ジャイナ教徒1.1%)。
「メッカ・マスジッド」は、ハイデラバードで最大、インド国内でも最大級の大きさのモスク。一度に1,000人の信者を収容できるとのこと。
ゴールコンダ王国のスルタン・ムハンマド・クトゥブ・シャーの治世下に建設が開始され、77年後の1694年に、ムガル帝国アウラングゼーブ帝が「メッカ・マスジッド」を完成させました。
ハイデラバードは、南インドでもイスラム教徒が多い町として知られています。町の人口の30.13%がイスラム教徒です(ヒンドゥー教徒は64.93%、キリスト教徒は2.75%)。
南インド・ケララ州のコヴァーラムのモスクです。
あまりイスラムのイメージのないケララ州ですが、州人口の26%もイスラム教徒が存在していて(ヒンドゥー教徒は54%、キリスト教徒は18%)、至る所にモスクがあります。
一方、タミル・ナードゥ州のイスラム教徒は、州人口のたった6%(ヒンドゥー教徒は87%、キリスト教徒は6%)。
インドのモスクのミナレットは、大抵、円柱の上にチャトリが乗り、その上に円形ドームが乗ったムガル風。
バングラデシュのモスク
バングラデシュの首都ダッカにある「スター・モスジット(タラ・モスジット)」
18世紀後半に地元の貴族であるミルザ・グラム・ピルによって建てられ、20世紀初頭に地元の実業家アリ・ジャン・バタリによって現在のスタイルに改修されました。
改修の際に、ドームの表面に星の模様がつけられたため、「スター・モスジット」と呼ばれるようになったのだとのこと。
内部は鮮やかなタイルで飾られており、日本から取り寄せたという富士山が描かれたタイルも飾られています。
シャイト・ゴンブズ・モスジット(バングラデシュ・バゲルハット)
ナイン・ドーム・モスジット(バングラデシュ・バゲルハット)
バングラデシュ西部にある「バゲルハット」
ここには、15世紀前半に建設されたモスク都市の遺跡があります(世界遺産)。
モスク群を建てたのは、塩害に悩まされるこの土地を開拓し、都市や貯水池を造ったとされる「カン・ジャハン」
カン・ジャハンは、地元では彼はかなり崇拝されている様子。モスク都市の遺跡の中にカン・ジャハンの廟がありましたが、私が訪れた時も何人かが棺に祈りを捧げていました。
スリランカのモスク
モスク(スリランカ・ゴール)
スリランカ最大の都市コロンボの下町、ペター地区に赤と白のストライプ模様の目立つモスクがあります。
「ジャミ・ウル・アルファー・モスク」(Jami Ul Alfar Mosque)です。
「ジャミ・ウル・アルファー・モスク」は、1908年に建てられたモスクで、コロニアル様式とイスラム建築をミックスさせた面白い建物です。
「コロンボ」とイスラム教徒との関わりはかなり古く、8世紀にはムスリム商人が使節を置き、16世紀にポルトガルに支配されるまで、コロンボの交易を支配していたそうです。
イラン・中央アジアのモスク
イランのモスク
マスジェデ・イマームの「鍾乳石飾り」
マスジェデ・シェイク・ロトフォーラー(イラン・イスファハン)
マスジェデ・シェイク・ロトフォーラーのドームの内部
イランの古都「イスファハン」
1597年、サファビー朝の王、アッバース1世はこの町を都に定め、いくつかのモスクや宮殿からなる広大な「イマーム広場」を建設しました。
イマーム広場の中心となる建物が「マスジェデ・イマーム(王のモスク)」です。
大ドームは直径が28mあり、入り口の門イーワーンには、精緻なモザイクの「鍾乳石飾り」で装飾されています。
王室専用のモスク「マスジェデ・シェイク・ロトフォーラー」のドームの内部は、光が差し込むと、孔雀が羽を広げたように見えることで有名です。
ウズベキスタンのモスク
ウズベキスタンの古都「ブハラ」の旧市街には、長い歴史を持つ数々のモスクやメドレセが建ち並んでおり、歴史地区は「世界遺産」にも登録されています。
高さ46mもある「ブハラ」の街のどこからでも見えるランドマークが「カラーン・ミナレット」です。
1127年にカラ・ハン朝のアルスラン・ハンによって建てられたもので、14層にもなる塔の模様はそれぞれ違った組み方でレンガを積み上げたという凝ったもの。
「カラーン・ミナレット」に併設されているのが、「カラーン・モスク」
このはモスクは、1514年のシャイバニ朝時代に建設された「ブハラ」で最大のモスク。1万人の信者が同時に礼拝できるそうです。
「バラハウズ・モスク」は、1712年に造られたブハラ・ハン専用のモスク。
祝いの日、ハンは「アルク城」から絨毯の上を歩いてここまで来たといわれます。
モスクの前面はテラス状になっており、クルミ材で作られた20本の柱が並んでいます。その20本の柱がモスクの前にある池に映る様子がとても魅力的。
柱には彫刻が施されており、天井や壁面はカラフルに彩られています。
インド遠征後の1399年、ティムールは新たに首都として定めたサマルカンドに世界に並ぶものがないような壮大なモスクを造ろうと決意し、その造成をはじめました。
造成にはインドから持ち帰った貴石が使用され、その運搬のために90頭もの象が使用されたそうです。
国じゅうから職人や技術者を集めて作業は急ピッチで行われ、1405年、モスクは当時としては異例のスピードで完成しました。これが「ビビハニム・モスク」です。
建物は、高さ167m、幅109m、モスクのドームの高さは40m、入口アーチ部分の高さは35mもあるという大規模なものとなりました。
ちなみに、「ビビハニム」とは、ティムールの第一夫人の名前だそうです。
しかし、この「ビビハニム・モスク」、あまりに急ピッチで建設されたため、そして、あまりに巨大であるため、不具合がいろいろあったようです。
話によると、完成後、信者が礼拝していると頭の上にレンガが落ちてきたのだとか。その後もレンガの落下は続き、落下を恐れて礼拝する信者もいなくなり、モスクは次第に使われなくなって、数世紀後には廃墟と化してしまったそうです。
急速に拡大し、百数十年という短期間で崩壊したティムール帝国の運命を表しているかのようなモスクです。
カザフスタン・キルギスのモスク
カザフスタン最大の都市アルマトイにある「アルマトイ・セントラル・モスク」
3000人を収容できるこの町最大のモスクです。
現在の建物は、火災で焼失したモスクを1999年に再建したもの。
キルギス東部の町カラコルにある「ドゥンガン・モスク」
「ドゥンガン・モスク」は、清朝の迫害を逃れてこの地にやって来た中国系イスラム教徒「ドゥンガン人」が1910年に建立したモスク。
正式名称は「イブラヒム・アジュ記念中央モスク」と言うようです。
44本の柱を持つこのモスクは木造で、釘を一本も使わずに造られているのだとのこと。
なお、キルギスはイスラム教徒が多数を占める国なので、カラコルにはこの「ドゥンガン・モスク」以外にも多数のモスクがあります。
東南アジアのモスク
インドネシアのモスク
世界最大のムスリム人口を抱える国インドネシア。
世界には現在、約400万のモスクがありますが、インドネシアには約29万ものモスクがあると言われています(最もモスクが多い国はインドで約30万だそう)。
インドネシアはどこに行ってもモスクだらけ!その形も様々です。
モスク(インドネシア・ブキティンギ)
モスク(インドネシア・西スマトラ)
モスク(インドネシア・西スマトラ)
インドネシア・スマトラ島の町ブキティンギのホテルのバルコニーで聴いたイスラムの礼拝の呼び掛け「アザーン」の朗誦です。
早朝の暗闇の中で響き渡るアザーン、夕暮れの山並みを眺めながらのアザーン、どちらも雰囲気抜群! 旅しているなという気分にさせられます♪
シンガポールのモスク
「サルタン・モスク」は、1824年にシンガポール最初の君主サルタン・フセイン・シャーによって建てられ、1928年に現在の姿に改装された、シンガポール最大最古のイスラム教寺院です。
5000人を収容できる大きなモスクで、美しいグリーンの内装と絨毯が魅力的です♪
シンガポールのチャイナタウンにある「ジャマエ・モスク」
ジャマエ・モスクは、1826年に建てられた、シンガポールで最も古いモスクのひとつ。インド南東部のコロマンデル海岸からやってきた、タミル人のイスラム教徒によって建造されました。
モスクの建築様式は、1830年代のシンガポールの建築様式を反映した折衷的なもの。入口の門は南インド風で、礼拝堂と聖堂は新古典主義様式です。
マレーシアのモスク
クアラルンプールのイスラムの中心、「マスジッド・ヌガラ」(国立モスク)です。
このモスクは1965年に建てられた東南アジアでも屈指の大きさを誇るモスクで、礼拝堂は約8000人の信者を収容することができます。
礼拝堂の屋根は星型をしていて、その五つの頂点はイスラム教の「五行」を表しています。ミナレットの高さは73m。
クアラルンプールの中心。クラン川とゴンバック川の合流地点に、クアラルンプール最古のモスク「マスジット・ジャメ」(1909年の建造)があります。
ここはクアラルンプール発祥の地と言われています。
モスクの建物は、インドのムガル様式、サラセン様式、ムーア様式が取り入れられており、1965年にマスジッド・ネガラ(国立モスク)が建てられるまで、クアラルンプールの主要なモスクとしての役割を果たしていたのだそう。
マレーシアの首都クアラルンプールから南へ約25kmの所にあるマレーシアの連邦直轄領プトラジャヤ(Putrajaya)。
そのエリア内にあるモスクが「ピンクモスク」(正式名称は、プトラモスク:Putra Mosque:Masjid Putra)です。完成は1999年。
特徴的なピンク色のドームは、バラ色がかった花崗岩を使用して造られています。
ピンクモスクの内部にはピンク色の絨毯が一面に敷き詰められています。壁や柱もピンク色のグラデーションで、アラベスク模様で装飾されています。
アラベスク模様で装飾された天井ドームも見事!
壁、柱、天井ドームのピンクのグラデーション。ため息が出るような美しさです★
スルタン・サラディン・アブドゥル・アジズ・モスク(マレーシア・シャーアラム)
クアラルンプールから東へ20kmほど。スランゴール州の州都「シャー・アラム」に、マレーシア最大のモスク「スルタン・サラディン・アブドゥル・アジズ・モスク(Masjid Sultan Salahuddin Abdul Aziz)」があります。
マレーシア最大、東南アジアでも、インドネシアのジャカルタにあるイスティクラル・モスクの次いで2番目の大きさのモスクです。
青と白の格子模様のデザインが美しいドームの直径は51.2m、高さは106.7m。世界最大の宗教ドームのひとつです。
周りに立つ4つのミナレットの高さは142.3m。世界第3位の高さであるとのこと。
モスクの建設は、1982年に始まり、完成したのは1988年です。
礼拝堂は2階建てで、床は全面に深い青色をベースにした絨毯が敷き詰められています。
堂内はエアコンが完備されており、礼拝堂の空間としては世界最大級の広さだそうです。礼拝堂の収容人数は、25,000人。
直径51.2mのドームの装飾も素晴らしいです★
ドームを取り囲んで描かれているのは、アラビア書道で書かれたコーランの文句。
エジプトの書道家シーク・アブデル・モネイム・モハメド・アリ・エル・シャーカウィによって描かれたものだそう。
スルタン・サラディン・アブドゥル・アジズ・モスクの記事はこちら
日本のモスク
こちらは、富山県射水市にある「富山モスク」です。
1990年代頃から射水市には、中古車卸売ビジネスを行うため、パキスタン人が集まっていたのだそう。
この「富山モスク」は、それまで簡易的な建物だったのを取り壊し、2021年に再建された新しいモスクであるとのこと。
富山県射水市には、500人ほどのイスラム教徒が住んでいるのだそう。そして、その多くがパキスタン人であるとのこと。
モスク内には、お祈りをしている人、座って談笑している人、イスラムの教えでしょうか? 子供たちに何か教えている人など、数人の男性がいました。風貌から全員パキスタンの人と思われます。
代々木上原にある日本最大のモスク「東京ジャーミィ」
1938年に建てられた初代モスクが老朽化によって取り壊された後、日本とトルコの共同作業によって建て直され、2000年6月に開堂したとのこと。
礼拝堂の内部は、まさに美しいのひとこと!
大ドームの周りに6つの小ドームを配した内部空間構成、幾何学文様の反復が美しいアラベスクの壁面装飾、嵌め込まれたステンドグラスやカリグラフィーで形づくられたシャンデリアによる光彩。
規模は違えど、本場イスタンブールのジャーミィに引けを取らない美しさです。
東京ジャーミィには、トルコ文化センターが併設されていて、内部には、トルコの軽食やデザートをいただけるカフェや、トルコの食材が販売されているハラールショップなどがあります。
こちらは、東京の東十条にあるイスラム教の礼拝所「マディナマスジド東京」
都内のバングラデシュ人ムスリムが集うモスクであるとのこと。
話によると、東十条にバングラデシュ人が集まるようになったのは、30年ほど前に、東十条の駅前にハラル食材店が出来たことがきっかけなのだそう。
その後、徐々にバングラデシュ料理のお店やハラル食材店が増えていき、2020年頃にはモスクも完成。現在では1,000人を超えるバングラデシュ人が居住するまでになったのだとか。
ちなみに、日本最古のモスクは1935年に建てられた「神戸モスク」。2023年時点で110以上のモスクがあり、年々増え続けているのだそう。
世界のその他の有名モスク
世界に400万以上あると言われる「モスク」
世界に名だたる有名モスクは、他にもたくさんあります。
↓は、行ったことがないけど、一度は見てみたい世界のモスク! 画像はGoogle Mapから。
預言者のモスク(サウジアラビア・メディナ)
マスジド・ハラーム(サウジアラビア・メッカ)
2019年に外国人の観光旅行が解禁された「サウジアラビア」。メッカの「マスジド・ハラーム」には入れないとのことですが、メディナの「預言者のモスク」はモスクの外観だけは見ることができる様子。
アズハル・モスク(エジプト・カイロ)
ムハンマド・アリー・モスク(エジプト・カイロ)
エジプトのカイロで有名なのは、イスラムの最高学府がある「アズハル・モスク」と、オスマン建築スタイルで建てられた「ムハンマド・アリー・モスク」。
シェイク・ザーイド・グランド・モスク(アブダビ)
サッマッラーの大モスク(イラク・サッマッラー)
アブダビにある世界で最も豪華で美しいと言われる純白のモスク「シェイク・ザーイド・グランド・モスク」と、螺旋状のミナレットで知られるイラクの「サッマッラーの大モスク」(世界遺産)
ハッサン2世モスク(モロッコ・カサブランカ)
シディ・ウクバ・モスク(チュニジア・カイルアン)
モロッコのカサブランカにある「ハッサン2世モスク」と、チュニジアのカイルアンにある日干し煉瓦で造られたアフリカ最古のモスク「シディ・ウクバ・モスク」(世界遺産)
泥のモスク(マリ・ジェンネ)
国立モスク(ナイジェリア・アブジャ)
西アフリカ・マリのジェンネにある「泥のモスク」(世界遺産)と、ナイジェリアのアブジャにある「国立モスク」
セリミエ・ジャミイ(トルコ・エディルネ)
ナスィーロル・モルク・モスク(イラン・シラーズ)
トルコのエディルネにある建築家ミマール・スィナンの最高傑作「セリミエ・ジャミイ」(世界遺産)と、イラン・シラーズにあるピンク色のタイルが使われた「ナスィーロル・モルク・モスク」
メチェチ・クル・シャリフ・モスク(ロシア・カザン)
ハズレット・スルタン・モスク(カザフスタン・アスタナ)
ロシア・タタールスタン共和国のカザンにある「メチェチ・クル・シャリフ・モスク」と、カザフスタンのアスタナにある「ハズレット・スルタン・モスク」
バードシャヒー・モスク(パキスタン・ラホール)
ファイサル・モスク(パキスタン・イスラマバード)
パキスタンのラホールにある「バードシャヒー・モスク」と、イスラマバードにある「ファイサル・モスク」
ヘラートの金曜モスク(アフガニスタン・ヘラート)
イスティクラル大モスク(インドネシア・ジャカルタ)
アフガニスタン・ヘラートにある「ヘラートの金曜モスク」と、インドネシア・ジャカルタにある「イスティクラル大モスク」
スルタン・オマール・アリ・サイフディーン・モスク(ブルネイ)
ジャメ・アスル・ハサナル・ボルキア・モスク(ブルネイ)
ブルネイにある「スルタン・オマール・アリ・サイフディーン・モスク」と「ジャメ・アスル・ハサナル・ボルキア・モスク」
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