世界各地の教会・大聖堂76カ所をご紹介します★
イエス・キリストを救い主として信仰する宗教「キリスト教」は、23億8200万人の信者数を持つ世界最大の宗教です。
キリスト教は、正教会(ギリシャ正教)に代表される東方キリスト教と、カトリック教会に代表される西方キリスト教に大きく分けられ、その教会堂・聖堂のスタイルも東西で大きく異なります。
カトリックの教会堂は、古代ローマの集会所である「バシリカ」を継承したラテン十字形のスタイルで、その建築様式は、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックと時代によって変化していきました。
正教会の教会堂は、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)で生まれた、ドームを中心とする円形・正多角形を基本としたギリシャ十字形のスタイル(ビザンティン様式)で、ロシアやウクライナの教会堂などに継承されていきました。
世界各地の教会・大聖堂76カ所。ヨーロッパだけでなく、中南米、アジア、アフリカなどの各地にある教会・大聖堂の外観と内観、ステンドグラスやミサをご紹介します。
西ヨーロッパの教会・大聖堂(外観)
「ノートルダム大聖堂」は、パリのシテ島にあるゴシック建築を代表する大聖堂です。
“ノートルダム”とは、聖母マリアのこと。1163年に建設が開始され、全面完成は1250年。西正面のファサードには、聖母マリア、最後の審判、聖アンナの門があり、その上にはユダヤとイスラエルの王28名の彫像が並んでいます。
2019年に火災が発生し、尖塔と屋根が消失しましたが、現在再建が進められています。
「シャルトル大聖堂」は、フランス中部ロワール県にある大聖堂で、フランスで最も美しいゴシック建築と言われています。
大聖堂の完成は1220年。正面の入り口に立つ2本の尖塔の左側はゴシック様式、右側はロマネスク様式で造られており、これは建設途中に街全体が焼き尽くされる大火事が起こり、右側部分のみが残ったためなのだそう。
「聖パトリック大聖堂」は、1225年の創建。アイルランドで最も大きい聖堂です。
この聖堂は「ガリバー旅行記」の作者ジョナサン・スウィフトが1713年から1745年まで大主教を務めていたところで、彼は入り口近くの床に愛人ステラと共に埋葬されています。
アイルランド西岸の町「ゴールウェイ」の町のランドマークとなっているのが「ゴールウェイ大聖堂」。ルネサンス式、ラテン十字形式の聖堂で、1967年の創建です。
ミラノの「ドゥオーモ」(イタリアでドゥオーモとは、町を代表する教会堂のこと)は世界最大のゴシック建築。14世紀から約500年という長い歳月をかけて建造されたのだそう。
ヴェネツィアにある「サン・マルコ寺院」は、ビザンティン様式を代表する建築。東ローマ帝国の首都「コンスタンティノープル」にあった聖使徒大聖堂を模して建てられたといわれています。
花の都フィレンツェの象徴「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」(花の聖母教会)。「ドゥオーモ」と呼ばれる聖堂は、イタリアンゴシックとルネサンス様式のミックスで、巨大な八角形の大クーポラ(円蓋部分)はブルネレスキによる設計。
シエナはゴシックの町としても知られています。この町ではゴシック後期の国際ゴシック様式が栄えました。写真の「ドゥオーモ」はその代表。重厚で神秘的なフレンチゴシックとはまた違った、繊細さと気品が感じられます。
スペインのバルセロナにある「サグラダ・ファミリア」は、「モデルニスモ(アール・ヌーヴォー)」の代表的建築家「アントニオ・ガウディ」が1926年に亡くなるまで生涯を掛けて製作に打ち込んだ大聖堂。着工は1882年。建築資金は全て寄付によって賄われ、130年以上経った今も建設中です。
北欧の教会・大聖堂(外観)
「ヘルシンキ大聖堂」は、ドイツ人建築家のカール・ルートヴィヒ・エンゲルによって設計され、1852年に完成しました。建築様式は新古典主義。
「カンピ礼拝堂」は、2012年に開催された「ワールド・デザイン・キャピタル(世界デザイン都市)」を記念して建てられた木造の礼拝堂。沈黙の瞬間を過ごすことを目的としているため、「沈黙の礼拝堂」としても知られています。
「ウスペンスキー寺院」は、北欧最大のロシア正教会の寺院で、ロシアの建築家、アレクサンデル=ゴルノスタイッフの設計により、1868年に完成しました。スラブビザンチン様式のとても重厚な造りで迫力があります。
エストニアの首都タリンにある「聖オレフ教会」。13世紀の半ばには建てられていたというノルウェーの聖人王を祀った教会で、現在の建物は1840年に再建されたもの。塔の高さは124m。旧市街で最も高い建物です。
ラトビアの首都リガにある「聖ペテロ教会」は、13世紀初めに創建され、18世紀にほぼ現在の姿に改築されました。塔は、第2次世界大戦後に改修されていて、高さは123.25m。この塔は、展望台になっていて、エレベーターで72mのところまで上がることができます。
「リガ大聖堂」は、1211年に建設が始まり、その後何度も増改築がなされて18世紀の後半に現在のような姿になったそうです。
バルト三国で現存する教会の中で、最古の歴史をもっているのが、リガ大聖堂であるとのこと。
「聖霊教会」は、リトアニアにおけるロシア正教の中心的教会です。
1632年に建てられ、18世紀半ばにバロック様式に改修されました。
「ヴィリニュス大聖堂」は、ヴィリニュスの中心に位置し、ヴィリニュスのシンボルになっている主教座教会です。
13世紀半ばリトアニアを統一した王が、十字軍騎士団の圧力から逃れるため、キリスト教に改宗した際に建てた教会が起源となっており、その後、増改築が繰り返され、18世紀の大改築で現在のクラシック様式(新古典主義)になったとのこと。
「聖ヨハネ教会」は、1387年にリトアニアがキリスト教を受け入れてすぐに建設が開始された教会で、16世紀にはイエズス会の教会となり、18世紀には大学の教会となりました。美しいバロック様式の建物は、1737年の火災の後に再建されたものだそうです。
「聖アンナ教会」は、15世紀末に建てられた後期ゴシック様式の教会で、建設には33種類の違った形のレンガが使われたのだとか。
フランボワイヤン(火焔式)ゴシックの傑作と言われる「聖アンナ教会」、数あるヴィリニュスの教会の中でもとりわけ印象的な形をしています。
東欧・コーカサスの教会・大聖堂(外観)
クロアチアのドゥブロヴニクにある「聖母被昇天大聖堂」は、中央にドームをもつ壮麗なバロック様式の建物です。主祭壇には、イタリアの画家ティツィアーノが16世紀に描いた「聖母被昇天」が飾られています。
ルジャ広場の前に建つ「聖ヴラホ教会」。「聖ヴラホ教会」が建立されたのは14世紀のこと。その後、1667年のドゥブロヴニク大地震で倒壊し、1714年に現在のバロック様式の教会として再建されました。
チェコの首都プラハにある「聖ヴィート大聖堂」。1344年に建立され、大聖堂の建物全体がプラハ城の中にあります。ゴシック様式の代表例であり、チェコ最大の教会です。
ポーランドの古都「クラクフ」の中央広場に建つ「聖マリア教会」は、1222年の創建、ゴシック様式です。
モンゴル襲来の際、襲撃を知らせるためにラッパを吹いていたラッパ吹きが、ラッパを吹いている最中に喉を射抜かれたという伝説があり、教会では毎時ラッパが吹かれ、途中で音が途切れます。
ブダペストのブダ地区にある「マーチャーシュ教会」は、13世紀半ば、ベーラ4世によってゴシック様式の教会として建てられたのが始まり。その後ブダペストはオスマントルコに支配され、教会は150年間、モスクとして使用されました。
ルーマニア北部マラムレシュ地方には、世界遺産に指定されている木造教会(マラムレシュの木造教会)が8つあります。このブルサナ村にある教会(1720年の建造)もそのうちのひとつ。
この教会は、構成する素材の全てが「木」で造られ、礎石すらないそうです。屋根には、魚のうろこのような瓦がびっしりと敷き詰められ、内部の壁面は、聖書の物語をモチーフにしたイコンで埋め尽くされています。
ルーマニア北東部、ブコヴィナ地方。ここには「世界遺産」にも登録されているルーマニアの宝石、「五つの修道院」があります。
そのうちのひとつ「ヴォロネツ修道院」は、外壁が一面のフレスコ画で覆われていて、そこには、迫り来るトルコへの恐怖と、神に救いを求める人々の思いが鮮やかに描かれています。
ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボにあるセルビア正教の教会「旧正教会」
16世紀に建てられた聖ミカエルとガブリエルに捧げられた歴史ある教会です。
ジョージア北西部にある「ウシュグリ村」は、ヨーロッパ最高所(標高は2,410m)の場所にある村。村の奥の高台にあるのが「聖マリア教会」
12世紀に建てられたグルジア正教の教会で、スヴァネティ地方独特の形をした塔を併設しています。
トビリシのメインストリート「ルスタヴェリ大通り」沿いにある「カシュヴェティ教会」。6世紀創建のグルジア正教の教会。現在ある建物は1910年に再建されたもの。
ジョージアの首都トビリシにある「シオニ大聖堂」は、6世紀に創建された長い間グルジア正教の総本山だった教会。現在ある建物は13世紀に建てられたものであるとのこと。
トビリシの街を見下ろす「ナリカラ要塞」の中にある教会が「聖ニコロズ教会」
十字型のバシリカの建物に円筒形のドラムが乗っかり、その上にとんがり屋根があるジョージア(グルジア)の教会建築お馴染みのスタイル。
中南米の教会・大聖堂(外観)
ペルーの首都リマの中心、マヨール広場(旧アルマス広場)には、インカ帝国を征服したスペイン人の征服者、フランシスコ・ピサロ自身の手で礎石が置かれたという「カテドラル」があります。聖堂内部には、彼の遺体も安置されています。
アルマス広場はクスコの中心。広場の正面には「カテドラル」が建っていました。
1550年創建のこの聖堂は、インカから強奪した財宝で彩られた、この上なく豪華な建物です。銀300トンが使われた主祭壇は、銀を貼り付けたのではなく祭壇そのものが銀で出来ているのだそうです。
ペルーのチチカカ湖畔にある標高3,800mの場所にある町プーノ。町のシンボルともなっている「カテドラル」は、スペイン・バロック様式の建物。18世紀の創建です。
標高4,070mの世界最高所にある町ポトシ。街の中心、11月10日広場に面して「カテドラル」が建っています。創建は1572年ですが、19世紀に現在のバロック様式に修復されました。
アルゼンチン北部の町サルタ。「サン・フランシスコ教会」は、町の中心にある赤い色の外観が印象的な教会。建築様式はバロック様式とイタリアの古典様式の折衷です。
キューバの首都ハバナの旧市街にある「カテドラル」は、キューバ風バロックスタイルの重厚な印象の聖堂。創建は1555年ですが、現在の建物は1704年の建立です。
キューバ南東部にあるこの国第2の都市「サンティアゴ・デ・クーバ」。町の中心、セスペデス広場に面して建つのが「アスンシオン聖堂」です。創建は1520年。現在ある建物は1922年に再建された建物です。
メキシコシティの中心、ソカロ広場の北に建つ「メトロポリタン・カテドラル」は、アステカ帝国を滅ぼしたスペイン人「エルナン・コルテス」が新大陸のキリスト教布教の中心として1573年に着工させた大聖堂。完成までには240年の年月を要し、様式としては、ルネサンス、バロック、新古典主義が採用されているそうです。
1614年には、支倉常長の使節団が、このカテドラルを訪れています。
メキシコシティ北部、市の中心部から北へ約30分ほどの場所にある「グアダルーペ寺院」は、メキシコのローマ・カトリック教徒にとって最も信仰の篤い寺院です。
この寺院の祭壇には、メキシコ国民の心の拠り所とも言える「グアダルーペの聖母」が掲げられており、メキシコじゅうから数多くの参拝者が訪れます。
メキシコ、グアナファト州の州都「グアナファト」の中心、ラパス広場に建つのが「バシリカ」です。「バシリカ」は1796年建造のバロック様式の建物。黄色と赤に塗られたカラフルな教会です。
グアテマラの古都アンティグア。中央公園の東側に面して建っているのが「カテドラル」です。
1543年から1680年にかけて建てられた聖堂で正式名称は「サン・ホセ大聖堂」。白亜に塗られたバロック様式のファサードが美しい聖堂です。
「エルマーノ・ペドロ教会」は、1663年にドミニコ会修道院によって建造された教会。
この教会には病院が併設されていて、身体障害者や身寄りのない人が住んでいるのだとか。
「メルセー教会」は、1751年に創建された黄色と白のカラーリングが美しい教会。1773年のサンタマルタ地震で崩壊しましたが、1855年に再建されました。
正面入口のバロック様式の装飾は、メキシコのプエブラからやってきた漆喰職人によって造られたのだとのこと。
ホコテナンゴは、アンティグアの北西、徒歩10分ほどの所にある町。
町の中心の広場に建つ「ホコテナンゴ教会」は、明るいピンク色が印象的なバロック様式の教会です。
コロンビアの首都ボゴタの中心「ボリバル広場」の正面に建つのが「カテドラル」
19世紀前半に新古典主義様式で建造された比較的新しい聖堂です。
ボゴタの北約50㎞のところにあるシパキラの町にある「シパキラ大聖堂」
1919年に完成した新古典主義の聖堂です。
コロンビア中部にあるカラフルな町「グアタペ」の中央広場にある「カルメンの聖母教会」。1865年の創建です。白と赤の明るい色彩が印象的。
コロンビア第二の町「メデジン」のポブラド地区にある「サン・ホセ教会」
1892年に建てられたバロック様式の教会です。
コロンビア最大の観光都市、カリブ海に面した港町「カルタヘナ」にある「サン・ペドロ・クラベール寺院」
17世紀前半に奴隷解放に尽力したスペイン人神父「ペドロ・クラベール」の名を冠した寺院で、17世紀にイエズス会によって建てられました。
カルタヘナ旧市街にある「サント・ドミンゴ教会」です。
1579年に建設された教会で、現在は神学校になっています。
アジア・アフリカの教会・大聖堂(外観)
ベトナムの首都ハノイにある「ハノイ大教会」
もともと仏教寺院の跡地に建立されたものが、1912年に現在の姿であるネオゴシック様式に改築されたそうです。
外壁はほとんど黒ずんでいますが、白と黒の石材を使用して建てられているとのこと。
フィリピン北部の町パオアイにある「サン・オウガスチン教会」です。
世界遺産にも登録されているバロック式の教会で、加工珊瑚とレンガで造られています。建立は1710年。
フィリピンの首都マニラ。イントラムロスの目抜き通り「ルナ通り」を北へ歩いていくと、左手に重厚な教会が見えてきます。「サン・オウガスチン教会」です。
1599〜1606年に建てられたフィリピンで最も古い教会のひとつで、世界遺産にも登録されています。
南インド・ケララ州の町コーチンの歴史地区フォート・コーチンにある「サンタ・クルス聖堂」
ポルトガル支配時代の1506年に建てられ、20世紀初頭に建て替えられたカトリックの聖堂です。
インド・ゴアの中心パナジの街からリキシャでバスで30分ほど行ったところにあるのが「オールド・ゴア」。「ボム・ジェズ教会」は、1605年に竣工したバロック様式のバシリカで、内部には、フランシスコ・ザビエルの遺体が安置されています。
スリランカ最南部の主要都市「ゴール」は、オランダ統治時代の風情の残るコロニアルな町。旧市街の目ぬき通りにある「オランダ教会」は、1752年に建てられました。
カザフスタンの中心都市アルマトイの中心にある「28人のパンフィロフ戦士公園」内には、1904年に完成したロシア正教会「ゼンコフ正教会」があります。
木造の建築物で、釘を一本も使わずに作られており、1911年の大地震の時にも倒壊しなかったことでも有名です。
キルギス東部、イシク・クル湖東端にある町「カラコル」に「ロシア正教教会(聖三位一体教会) 」があります。
1870年代に煉瓦で造られ、1880年に地震で倒壊した後、1897年に木造で再建されたのが現在の教会。
カトリックの布教組織「イエズス会」がマカオに定住したのは1565年。彼らはこの地でキリスト教の布教を精力的に行い、1602年には、当時東洋一であると謳われたこの「聖ポール天主堂跡(大三巴牌坊)」を建設しました。
1835年、聖堂は火事のため焼失し、この西正面ファサードを残すのみとなっています。
シリアのアレッポにある「聖エリアス大聖堂」は、1873年に建てられた東部カトリック(マロン派)の教会。
シリア内戦中に大きな被害を受けましたが、2020年に再建されています。
エジプトの首都カイロの南部にある「オールド・カイロ」には、原初のキリスト教と言われる「コプト教」の教会がいくつも残されています。
そのひとつが「ムアラッカ教会」。4世紀頃、古代ローマ時代のバビロン要塞跡に建造されましたが、その後、何度も再建・改修が繰り返されています。
タンザニア東部にあるザンジバル島の旧市街「ストーンタウン」のランドマークともなっている教会が「アングリカン大聖堂」です。
この大聖堂がある場所には、かつて、奴隷を売買する奴隷市場が存在していました。
1873年6月6日、イギリスの圧力により奴隷貿易が禁止された後、その跡地に建設されたのが、この「アングリカン大聖堂」。ザンジバルの歴史を象徴する、この島で最も重要な建物のひとつです。
エチオピアの首都アジスアベバにある「三位一体大教会」は、エチオピア帝国皇帝ハイレ・セラシエ1世により、第二次世界大戦の対イタリア戦勝利を記念し、1941年に建立されたエチオピア正教の教会。
エチオピアで最も大きく、最も人々の崇拝を集めている教会で、内部には、ハイレ・セラシエ皇帝と妻マナンの墓が安置されています。
教会・大聖堂の内観(西ヨーロッパ)
パリの「ノートルダム寺院」の内部です。全長127.50m、身廊の高さは32.50m、幅は12.50m。ゴシック建築の代表作です。
神のいる天上へと目を向かわせる、高さを強調した空間構成です。
天井の高さは32mですが、見た目では実際よりも高いように感じられます。
それは、アーチを尖頭アーチにしたり、柱を細くて細い飾り柱をいくつも付けたりしているため、上昇感が視覚的に強調されて見えるせいです。
ゴシック建築の聖堂の特徴は、壁面に飾られた数多くのステンドグラス。
それを可能にしているのは、建物の外側に張り出して、その重さを支える、蜘蛛の足のような姿をした「飛び梁」です。
アルルの「サン・トロフィーム教会」は、世界遺産にも登録されているロマネスク様式の教会。
ロマネスク様式とは、11〜12世紀の中世西ヨーロッパの建築様式。ローマ風の半円形のアーチと重厚な壁体、かまぼこ形のヴォールト天井を用いたスタイルで、壁が分厚いため、窓が小さいのが特徴です。ゴシック様式は、このロマネスク様式から発展していきました。
カトリックの総本山「バチカン」にある「サン・ピエトロ大聖堂」。創建は4世紀。現在の建物は、ルネサンス期に再建されたもので、ブラマンテやラファエロ、ミケランジェロといった錚々たる面々が建築に携わったのだそう。
ルネサンス建築は、古代ローマ建築を復興させた建築様式で、垂直性を重視するゴシック建築に対して、シンメトリー(左右対称)やバランス(調和)を重視し、シンプルで明快なスタイルが特徴です。
教会・大聖堂の内観(北欧)
「ヘルシンキ大聖堂」「ヴィリニュス大聖堂」は、共に、新古典主義様式の聖堂です。
新古典主義は、18世紀前半に流行したロココ様式の官能性や通俗性に対する反動として、18世紀後半にフランスで興った建築様式。ギリシャ・ローマの古典芸術を規範とし、荘厳さや崇高美を備えたスタイルが特徴です。
木材を組み合わせた曲線的なフォルムが印象的な「カンピ礼拝堂」の内部。こちらは、21世紀の現代建築。
「テンペリアウキオ教会」は、1969年に完成した福音ルーテル派の教会です。設計はデザインコンペによって選ばれたスオマライネン兄弟。
岩盤をくり抜いて造られたので、内側は岩がむき出しになっています。
「ウスペンスキー寺院」は、北欧最大のロシア正教会の寺院で、ロシアの建築家、アレクサンデル=ゴルノスタイッフの設計により、1868年に完成しました。
スラブビザンチン様式のとても重厚な造りで迫力があります。
教会内部の聖壇は、ギリシア正教の伝統に従って東側にあり、天井の頂と聖壇の天井は蒼く彩られ、壁にはたくさんのイコン(聖像)が掛けられています。
ラトビアの首都「リガ」とリトアニアの首都「ヴィリニュス」には、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックなど、様々なスタイルの教会建築があります。
それぞれの教会や聖堂も、長い年月の間改修や増改築が繰り返されているので、建築様式は混在しています。
教会・大聖堂の内観(東欧・コーカサス)
ゴシック建築の代表例のひとつ「聖ヴィート大聖堂」の内部。天井の高さ34m、幅60m、奥行き124mの大空間です。
中欧や東欧の教会は、バロック様式の教会が多い印象。
バロック建築は、イタリアのローマやフィレンツェで誕生し、16世紀末から17世紀にかけて、ヨーロッパで流行した建築様式。華麗で重厚で装飾的、曲線や楕円が多用され、複雑で劇的な空間構成が特徴です。
ブダペストの「マーチャーシュ教会」は、建築様式はゴシックですが、壁の文様や色使いはビザンチン様式。オスマン帝国時代の150年間、モスクとして使われた歴史もあり、独特な雰囲気があります。
正教会(東方教会)の教会堂は、「イコン」が描かれているのが特徴。
「イコン」とは、東方正教会において崇拝されているキリストや聖母、聖人の姿、キリストや聖母の生涯、聖人伝など聖書の一場面などを聖画像にしたもののこと。
テンペラ技法を用いた板絵やフレスコ画、モザイク画などで表されることが多く、通常は平面像で、東方正教会ではカトリックの教会のような立像は用いられません。
教会・大聖堂の内観(中南米)
中南米・カリブ諸国の教会や聖堂の内部です。
16世紀の大航海時代、スペインやポルトガルは、ラテンアメリカを植民地化し、先住民へキリスト教を布教する拠点として各地に教会を造営しました。
スペイン、ポルトガルなどカトリック国において、当時の教会建築の主流はバロック建築であり、各地の植民地に建設されたのは、バロック様式のカテドラルでした。
こちらは、メキシコで最も重要で最も信仰の篤い寺院「グアダルーペ寺院」。1976年に建設された新聖堂の内部です。
祭壇も、天井のシャンデリアも、パイプオルガンも、1970年代的な未来的な雰囲気のデザイン。正面に「グアダルーペの聖母」があります。
こちらは、コロンビアのシパキラにある「塩の大聖堂」
岩塩鉱山内部の地下200mほどのところに造られている大聖堂です。
古くから岩塩鉱山の採掘労働者たちは、危険を伴う作業での安全を祈願するため坑内に礼拝施設を彫り込んでいましたが、1950年代に地下の大聖堂を造るプロジェクトが始まり、3つの身廊と記念碑的な十字架を持つ大聖堂が造られました。
しかしながら、この古い大聖堂は、採掘が行われている鉱山のただ中に造られていたため、安全上の問題から1992年に閉鎖されることになります。
そして、1991年に新しい大聖堂を造るプロジェクトが発足。設計の際にはコンテストが開かれ、44あった提案のうち、建築家Roswell Garavito Pearlのプランが採用され、1995年に完成、一般公開されています。
教会・大聖堂の内観(アジア・アフリカ)
アジア各地の教会堂の内部。
ハノイはフランスのゴシック、フィリピンやゴア、コーチン、マカオなどは、スペインやポルトガルのバロックなどなど。
その時代に植民地支配した宗主国で主流だった、それぞれの建築様式で教会堂が建てられています。
「アングリカン大聖堂」は、奴隷貿易の悲劇の歴史を塗り替えるべく、1873年から1880年にかけて、奴隷市場の跡地に建てられた聖堂。
建物は、ヨーロッパ・ゴシック建築とアラブ風建築がミックスされた様式です。
礼拝堂は、600人が座れるようになっており、日曜の6:00〜8:00はスワヒリ語、8:00〜9:30は英語の礼拝が行われるとのこと。
シリアの首都ダマスカスからバスで1時間の場所にある「マアルーラ」。この町の住民は、ほとんどがキリスト教徒(ギリシャ正教)です。教会内にはたくさんのイコンが飾られていました。
オールド・カイロにある原初のキリスト教と言われる「コプト教」の教会「ムアラッカ教会」の内部です。柱や壁の装飾が特徴的。
エチオピアで最も人々の崇拝を集めている教会「三位一体大教会」の内部。
エチオピア正教会は、世界に3600万人の信者を持つ東方諸教会の一派。
エチオピアにキリスト教が伝来したのは315年のこと。451年のカルケドン公会議で分離し、以後、独自の道を歩みました。
アルメニア正教会やシリア正教会、エジプトのコプト正教会と近い関係にあり、原始のキリスト教とも言われています。
特徴的な習慣として、教会内に靴を脱いで入ることや、断食をすることなどがあります。
ステンドグラス
パリの「ノートルダム寺院」のステンドグラス。
ステンドグラスには、キリストの物語や聖人などの図像が描かれています。
文字の読めない人の多かった中世、人々はステンドグラスを見て、神父様の話を聞いて、聖書の物語を学んだのです。
西正面と、北、南の入り口には、バラ窓があります。
バラ窓は、ゴシック建築において特徴的な、ステンドグラスで作られた円形の窓。
教会や大聖堂においてバラ窓は、聖母マリアを暗示しているのだとのこと。ちなみに、「バラ窓」という用語は近世以降に作られた言葉だそう。
「シャルトル大聖堂」はステンドグラスが美しいことで有名です。
「シャルトル大聖堂」のステンドグラスには、「シャルトル・ブルー」と呼ばれる澄んだコバルトブルー色のガラスが使われていて、実に鮮やか。
「三位一体大教会」のステンドグラス
「三位一体大教会」のステンドグラス
ステンドグラスには様々な図像が描かれていますが、その題材は主に聖書の物語です。
壁に沿って、様々な聖人たちの物語が描かれた無数のステンドグラスが隙間なく並び、大聖堂をぐるりと取り囲んでおり、これらのステンドグラスを見れば、キリスト教の教えがひと目でわかるようになっています。
人々はステンドグラスの図像により、聖書の物語を効率良く学ぶことが出来るのです。
恐らく、印刷技術もない中世の昔、人々は聖書など読んだこともなかったのでしょう。
それに字を読むことの出来る人もほとんどいなかったに違いありません。イエスの教えを知る方法は神父からの説教を聞くしかありませんでした。
けれども、この聖堂に来れば、説教を聞かずともイエスの教えを知ることが出来ます。
世界各地の教会のミサ
世界各地の教会のミサの動画をご紹介します。
「ミサ」とは、カトリック教会において聖体の秘跡が行われる典礼のこと。
司教や司祭の祈りによって聖別されたパンとぶどう酒は、キリストの肉体と血に変化し聖体となります。パンとぶどう酒を口にすることで、神の恵みを目に見える形で享受する行いが「聖体の秘跡」です。
パリ、ノートルダム寺院の日曜ミサ。早朝にもかかわらず、多くの参列者と観光客が集まるノートルダム寺院。 ステンドグラスが綺麗です。
メキシコシティにある人々の心の拠り所、グアダルーペ寺院のミサの様子です。
コロンビアのカリブ海沿いの町カルタヘナ。 世界遺産に登録されている旧市街にはいくつもの教会があります。 そのうちの最大のものであるカテドラルでのミサの様子です。
マニラ、チャイナタウンの教会でのミサ。チャイナタウンの一角にある教会でミサが行われていました。 フィリピンはアジアで唯一のキリスト教国です。
ジョージア(グルジア)の首都トビリシ、その旧市街アブラヴァリの教会の様子です。
ハバナのカテドラルは、1704年に建立された歴史あるキューバン・バロックスタイル。 スペイン人の来訪から500年。植民地時代から現代までハバナ人にとって最も信仰を集めるカテドラルです。
メキシコの世界遺産の街、グアナファト。その中心にあるラパス広場の正面に建っているのがバシリカです。 15分おきに鐘の音が鳴り響きます。
旅のまとめ記事
https://search-ethnic.com/travel/church
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