「ブダ王宮」の丘の上からとうとうと流れるドナウ川を見下ろし、その向こうに広がる平坦な「ペスト」の街並みを眺めると、”ドナウの真珠”とも呼ばれる美しい町「ブダペスト」にいるのだということが実感できます。
今回は、ハンガリーの首都「ブダペスト」をご紹介します♪
アジアの雰囲気が感じられる街「ブダペスト」
東ヨーロッパにある国「ハンガリー」
ヨーロッパの中でも、この国は、アジアンな雰囲気を感じられる国です。
ハンガリー国民の95%を占めるのは「マジャール人」
彼らは、紀元5世紀頃、ユーラシア大陸に一大帝国を築いた北アジアの遊牧民族「フン族」の末裔であることを自負しています。
ブダペストの「ブダ」という名前も、フン族の王「アッティラ」の兄の名前から取られているのだとか。
また、ここハンガリーは、16世紀の半ばにオスマントルコの侵略を受けたという歴史を持っています。
150年に及ぶイスラム王朝による支配は、ブダペストにアジア的なものを数多く残したのでしょう。
そんな、オリエンタルな雰囲気の感じられる街、「ブダペスト」を歩いてみました。
「ブダ」と「ペスト」を結ぶ「くさり橋」
ブダの王宮
くさり橋のライオンの像
ドナウ川に架かるくさり橋
立派なトンネル
ブダペストは起伏の多い西岸の「ブダ」と、平坦な東岸の「ペスト」の二つに大きく分けられます。
「ブダの丘」に堂々と聳え立っているのが、14世紀にハンガリー王ベーラ4世によって築城されたという王宮です。
水色のドームを持つその端正な姿は対岸のペストの街を静かに見守っています。
「ブダ」と「ペスト」を結ぶ橋はいくつもありますが、そのうちで最も美しく、歴史的なのが「くさり橋」です。
ハンガリーの国民的英雄「セーチェニ・イシュトヴァーン伯爵」によって1849年に建設されたこの橋は、ブダペストを象徴するような橋。
この橋の完成によって初めて「ブダ」と「ペスト」が結ばれたのだとのこと。
吊り橋の全長は375メートル。巨大な2つの石造のアーチと鉄骨のワイヤーが優雅な姿を形作っていて、橋の入り口にはライオンの像がそれぞれ2体ずつ座っています。
モスクとしても使用された「マーチャーシュ教会」
マーチャーシュ教会
ブダ地区にある「マーチャーシュ教会」です。
13世紀半ば、ベーラ4世によってゴシック様式の教会として建てられたのが始まりだそうです。
けれども、1526年にモハーチの戦いでハンガリー王国がオスマン帝国に敗れ、ブダペストがオスマントルコに支配されると、「マーチャーシュ教会」は、すぐさまモスクに改装されることとなりました。
当時、壁面に描かれていたフレスコ画は、イスラム教徒によって全て漆喰で塗り固められてしまったのだそうです。
マーチャーシュ教会の内部
イスラム風の幾何学的な内装
壁面に描かれたフレスコ画
柱の文様にイスラムっぽさが感じられます。
「マーチャーシュ教会」の堂内は、独特な空間。
柱や壁面、屋根などが色とりどりの草木模様や幾何学模様で飾られていて、どことなくオリエンタルな風情が漂っています。
150年間、モスクとして使われた「マーチャーシュ教会」
ヨーロッパの他の聖堂にはない雰囲気です。
ヨーロッパ最大のシナゴーグ、「ドハーニ街シナゴーグ」
ドハーニ街シナゴーグの外観
ブダペストの7区には、かつて、ゲットー(ユダヤ人居住区)がありました。
そして、今現在でも、ここにはユダヤ人のコミュニティーがあり、多くのユダヤ人たちが暮らしています。
この「ドハーニ街シナゴーグ」は、ヨーロッパ最大のシナゴーグ(ユダヤ教の教会)で、世界でもエルサレムとニューヨークに次いで3番目に大きいシナゴーグであるそうです。
建築の様式は、「ビザンティン・ムーア様式」
1854年から59年にかけて建造されました。
ドハーニ街シナゴーグの入り口
ドハーニ街シナゴーグの内部
教会とモスクが混ざったような不思議な空間
幾何学模様のドーム
内装は、オリエンタルな風情満点。
イスラム的な幾何学模様のモザイクで飾られています。
シャンデリアが個性的
ダビデの星の形のステンドグラス
この「ドハーニ街シナゴーグ」は、改革派のシナゴーグだそうです。
改革派であるため、このシナゴーグには、オルガンがあり、男女の区分けはありません。
空間構成は、キリスト教会に似ています。
ちなみに、改革派とは、Wikipediaによると、
「改革派 (Reform Judaism)は19世紀のはじめからドイツに起こり、イギリス、アメリカ、その他の地域に及んだユダヤ教の流れで、変革を唱え、慣習と方針面においては簡素化と大きな再解釈、またディアスポラの立場をとることが多い。シナゴーグにおける礼拝においてはキリスト教の教会の要素を取り入れ、ディアスポラの地における言語での祈りを取り入れる。 オルガンと合唱隊(聖歌隊)をそなえる。男女の分け隔てをするメヒッツァーなどはつけない。」
改革派 (ユダヤ教) – Wikipedia
「ディアスポラ」とは、海外に離散したユダヤ人のことを指します。
ドナウ河岸に建つ、世界最大の国会議事堂
首都ブダペストにある国会議事堂
ドナウ川岸辺、コッシュート広場にある、ハンガリーの国会議事堂です。
1867年、ハンガリーは、オーストリアのハプスブルク家の支配下から脱し、自治を獲得します。
その時に、国を代表するような議事堂を、ということで作られたのが、この国会議事堂です。
1885年に建設が始まり、完成は1904年。
建設には約1,000人が従事し、4,000万個のレンガ、50万の宝石と40kgの金が使われたのだとのこと。
とっても豪華な国会議事堂です!
国会議事堂の議場
煌びやかな議場の様子
王たちの像
ゴシック・リヴァイヴァルの建築様式
中央のドーム
内部のステンドグラス
国会議事堂の外観
国会議事堂は、ゴシック・リヴァイヴァル様式で作られています。
長さ268m、幅123m、高さは96m。
10の中庭、13のエレベーター、27の門、29の階段室、691の部屋があるとのこと。
内部には、ハンガリー王が代々受け継いできた、「聖イシュトヴァーンの王冠」が飾られています。
内部見学はツアーでのみ可能。
日本語のツアーはなく、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ハンガリー語のみですが、その豪華な内装は一見の価値ありです。
ブダペストの街と風景
ブダペストのトラム
ブダペストの人口は、174万人。
ハンガリーの政治、文化、商業、産業、交通の中心で、東・中央ヨーロッパでは最大の都市です。
市内の中心にドナウ川が流れています。
街全体が抑えたトーンの色合いをしていて、大都市だけどどこか落ち着ける感じの街です。
ドナウ川沿いを走るトラム
ブダペストの街にあ合うカラーリング
ブダペストには、黄色と白のツートンカラーのトラムが走っています。
路線の総延長は約200kmとのことで、ブダペスト市内を網羅していて、市内のどこにでも行くことができます。
ブダペスト西駅の風景
落書きの描かれた電車が停まっていました。
ブダペスト西駅の風景
ブダペスト西駅です。
ブダペストには、東、南、西の3つの大きな駅があります。
この西駅には、チェコやウクライナからの国際列車が発着します。
鉄パイプとガラスを用いた駅は、エッフェル塔を作った「ギュスターヴ・エッフェル」の設計であるとのこと。
ウエストエンド・シティ・センター
「ウエストエンド・シティ・センター」は、ブダペスト西駅に直結している、ブダペスト最大のショッピングセンター。
建物内には、約400もの店舗が入っていて、ブティックやスーパーマーケット、映画館、フードコートなど、あらゆるお店があり、地元の人々で賑わっています。
ブダペスト中央市場
ブダペスト中央市場
中央市場の内部
トウガラシがたくさん!
ブダペスト最大の市場「ブダペスト中央市場」
市場は、1階・地下1階が野菜や肉などの生鮮食料品売り場、2階がお土産物と軽食堂となっています。
ハンガリー名産の、フォアグラやキャビア、蜂蜜、トカイワインなども売られていて、お土産選びに最適な場所!
市場の様子はこちら→ブダペスト中央市場(ハンガリー・ブダペスト)【市場・バザール】
ブダペスト名物の温泉「ゲッレールト温泉」
ゲッレールト温泉
ブダペストは温泉の街。
その歴史はローマ時代にまで遡ると言われます。
市内にはたくさんの温泉入浴施設があり、それらを巡るのもこの街の楽しみのひとつです。
写真は、最も豪華で有名な温泉「ゲッレールト温泉」
1918年に建てられた「ホテル・ゲッレールト」の中にあり、波のプールや発泡風呂などもあります。
建物は新古典主義で、大理石の柱やモザイク、ステンドグラスが美しいです。
19世紀末の退廃的な雰囲気が残された魅力的な温泉です。
「セーチェニ温泉」は、ブダペスト市14区にあるヨーロッパ最大の複合温泉施設。
温泉に浸かりながらチェスが楽しめることでも有名な温泉です。
3つの屋外プールを含む合計18のプールがあり、一年中オープンしています。
「キラーイ温泉」は、1565年のオスマン・トルコ支配期に作られた温泉で、トルコ風のドームや八角形型の浴槽など、中東の公衆浴場「ハンマーム」の雰囲気が残されています。
「ルダシュ温泉」も、「キラーイ温泉」と同じく、ドームと八角形型の浴槽を持つオスマン・トルコ時代に作られた温泉です。
この中で私は「ゲッレールト温泉」と「ルダシュ温泉」に入ってきました★
豪華でヨーロッパ風の「ゲッレールト温泉」と、素朴でアジア風の「ルダシュ温泉」
それぞれ違った味わいがありました!
ドナウ川の夜景
夕暮れのドナウ川とブダペストの街
ブダの王宮とくさり橋がライトアップされます。
ブダペストは夜景が綺麗です。
夜、ブダペストの街は華やかにライトアップされます。
深い群青色に染まったドナウの川面にくっきりと逆さに映し出している「くさり橋」。
灯りに包まれた遊覧船が川を上下に行き交い、河岸ではトラムや無数の車のテールランプがぼんやりと赤く輝いています。
『ドナウの真珠』という言葉どおりにこの街の夜景は美しいものです。
この夜景こそブダペストの最高の見もののひとつ。
ロマンチックな気分に浸れます★
旅行時期:2003年5月
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