天才イギリス人ギタリスト、ジョン・マクラフリンとインド人の最高のミュージシャンたちが合体したグループ、「マハヴィシュヌ・オーケストラ」の1998年のライブアルバム「リメンバー・シャクティ(Remember Shakti)」です。
これは本当にすごい作品です。
インド最高の音楽家たちとイギリス人天才ギタリストのセッション
構成はギターがジョン・マクラフリン。
タブラ(インドの太鼓)がザキール・フセイン。
ガタム(壺)がT・H・ヴィナヤカラム。
タンプーラ(インドの伴奏楽器)がウマ・メーサ。
ゲストで、バンスリ(インドの笛)のハリプラサド・チョウラシアが参加しています。
マクラフリンはカルロス・サンタナやマイルス・デイビスなどとも共演した世界有数のギタリスト。
彼はインド音楽に相当傾倒しているようで、「マハヴィシュヌ」とは、彼のホーリーネームだそうです。
天才の名を欲しいままにしているマクラフリンですが、そのマクラフリンのスーパーテクニックに引けを取らぬほど、インド人ミュージシャンたちの演奏が凄い!
特にタブラのザキール・フセインのテクニックには圧倒されます。
ザキールは、インド最高のタブラ使いで、その超絶技巧は人間業とは思えないほどです。
タブラは高音のタブラと低音のバヤンという2つの太鼓がセットになったもので、世界で最も複雑な太鼓だといわれています。それを両手で叩くのですが、もうマシンガンのようです。
ガタムはインドにある普通の壺です。壺を叩いて楽器にしているのです。
ガタムを叩くヴィナヤカラムも天才です。ザキールに負けず劣らずの乱れ打ち。凄まじいです。
「インド音楽は数学のようだ」という話を聞いたことがあります。
インドの古典音楽は、とても精緻な理論体系を持っていて、そのルールに則って演奏が行われるそうです。
与えられたテーマ(ラーガ)に基づき、輪廻のような一定のリズム周期の繰り返し(ターラ)の中で、演奏家はそれぞれの個性やその時の気分を演奏に盛り込んでいきます。
適当に乱れ打っているように見えて、実は全て理論に則った演奏なのでしょうね。
インド音楽はジャズに似ているという話も聞きました。
アドリブが多いらしく、演奏はその時その時で全く違ったものになるのだそうです。
リードする楽器(シタールやギターなど)が、メロディーのさわりを弾き始める。
すると、それがどのラーガに相当するかをタブラやガタムなどが瞬時に了解し、該当するラーガに則った演奏を始める。
アドリブの自由さと緻密に計算された音の法則性。
それがインド伝統音楽の魅力なのかもしれません。
よくライブでシタール(インドの弦楽器)やギター、バイオリンなどのメロディーとタブラが、最初はぴったり合っているのですが、徐々に音がずれていくことがあります。
そして、そのずれが大きくなっていき、そのうちまた、元の状態にぴったりと合わさる。
そんな時、観客から大喝采が起こります。
緻密に構成されたリズムが逸脱し、また再びかっちりと戻る。
これは聴いていて本当に興奮させられます。
数年前、このリメンバー・シャクティが来日した時、見に行きましたが、それはそれは素晴らしいものでした。
これは世界最高峰の音楽のひとつと言っていいのではないでしょうか?
それほど凄いものです。
♪インド音楽
https://search-ethnic.com/music/remember-shakti
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