かつて、数千年前、ヨーロッパ全土を覆っていた「ケルト文化」
その末裔たちが、自らの伝統的ケルト音楽と現代的テクノハウス・アンビエントミュージックを融合して作ったのが、このアルバム「ストーン・エイジ(Stone Age)」です。
グループ名は「石器時代」。
アルバムのジャケットには「ケルト」の渦巻き紋様が使われ、音も古代の風景を想起させる壮大で神秘的な雰囲気に満ち溢れています。
ヨーロッパ文化の源流のひとつ、「ケルト」の音楽の現代的展開
Stone Age – Zo Laret
「ケルト」と言えば、現在のアイルランドやスコットランドがまず思い浮かびますが、フランス北西部のブルターニュ地方にも数多くのケルト人が住んでいます。
ブルターニュ地方に住むケルト人は「ブルトン人」と呼ばれ、独自の言語「ブルトン語」を話します。
紀元前900年頃、ヨーロッパ大陸全域はケルト人の土地でした。
しかし、紀元前1世紀半ば、ローマのカエサルは現在のフランスである「ガリア地方」に侵攻を開始。
この侵攻により、大陸からケルト人社会は消滅してしまい、スコットランドやウェールズなどのブリテン島、そして、アイルランドに残るのみとなってしまいました。
ところが5世紀、今度はアングロサクソン人がブリテン島へ侵攻を開始します。
再びケルト社会は圧迫され、それを逃れた人々がフランス西部のブルターニュ地方に渡りました。
それが、現在の「ブルトン人」の由来です。
「ストーン・エイジ」は、このブルターニュ地方出身のグループ。
「ラシラウエト(Lach’ilaouet)」「テラ・コッタ(Terra Cotta)」「マルク・ドゥ・ポンカレック(Marc de Poncallec)」「ケルヴァドール(Kervador)」の4人のミュージシャンによって構成されています。
4人の名前はケルトの伝説に登場する人物から取られているとのこと。
Stone Age – Kervador
「ストーン・エイジ」の音楽は、系統的には、グレゴリオ聖歌とグランドビートを融合した「エニグマ(ENIGMA)」、テクノやハウスとエスニックチャントを融合した「ディープ・フォレスト(Deep Forest)」、エレクトロビートをベースに、世界中の民族の音をミックスした「デレリアム(Delerium)」などと同様の、伝統的音楽と現代的電子音楽を融合させた音楽です。
ジャンルとしては、アンビエント・ハウス、エスノ・エレクトロニカ、トランス・テクノ、インダストリアルなどといった部類に属するのでしょうか。
Stone Age – Ultra Breizh
アルバムの収録曲は10曲。
ケルトの伝統を受け継ぐアイリッシュ・ミュージックからアフリカ音楽、オセアニア音楽、ヒップホップ、デステクノまでをミックスさせた音楽で、ダンス音楽ともヒーリング音楽とも違った、高揚感と癒しを合わせ持った独特の音楽です。
音的にキーとなっているのは、バグパイプの音。
けれども、このバグパイプの音は、メンバーの「ラシラウエト」が作り出したキーボードとバグパイプを融合させた楽器「キーパイプ」によるものだとのこと。
また、動物の鳴き声や自然の音などが随所にサンプリングされているのも心地よいです。
歌は曲によって男性と女性のヴォーカルがそれぞれ、または交互に歌っています。
歌手の名前はわからないですが、歌詞はケルトやブルターニュの神話から取られているのだとのこと。
また、歌はブルトン語で歌われる歌があるのが特徴的。
「ストーン・エイジ」は、2016年現在、4枚のアルバムをリリースしています。
このファーストアルバム「ストーン・エイジ(Stone Age)」の他に、よりポップになったセカンドアルバム「タイム・トラヴェラーズ(Time Travellers)」、ケルト色を強めた3rdアルバム「Promessa」、アコースティックを前面に押し出した4thアルバム「Totems d’Armorique」
ファーストとセカンドアルバムが日本盤化されています。
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