♪システマ・ソラール(コロンビア音楽「クンビア」のデジタル&カラフルな進化形)

システマ・ソラール【音楽】 エスニック音楽
♪システマ・ソラール(コロンビア音楽「クンビア」のデジタル&カラフルな進化形)
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コーヒー、麻薬、治安が悪い、サッカーが強い。

そんなくらいのイメージしかない、日本にはあまり知られていない国「コロンビア」

けれども、この「コロンビア」

今、世界的に注目を集めつつある国のひとつなんです。

 

内戦と麻薬カルテルによる治安の悪化のため、ビジネスマンや観光客に敬遠され続けてきたコロンビアですが、2002年に就任したアルバロ・ウリベ大統領が治安の改善に着手。

その結果、都市部や観光地では治安がかなり改善されたとのこと。

そして、治安の改善を受けて海外からの直接投資も大幅に増加、旅行先としても人気急上昇中であるそうです。

 

そんなコロンビアで、今最高にアツいのがミュージックシーン。

特にアンダーグラウンドの音楽シーンでは、コロンビアの伝統音楽「クンビア」をテクノ化した「デジタル・クンビア」が2000年代後半あたりから、世界のフロアシーンを賑わすようになってきています。

「システマ・ソラール」(Systema Solar)は、そんな「デジタル・クンビア」のミュージシャンの中でも最も注目されているグループのひとつ。

グループ名と同名のこのアルバム「システマ・ソラール」は、2010年にリリースされた彼らのファースト・アルバムです。

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カラフルな音楽とPVがインパクト↑?クンビアをベースにあらゆる音楽要素をミクスチャー

Systema Solar – “Bienvenidos” | Music 2010 | SXSW

 

まず、このPVを見てください!

伝統的なクンビアの2ビートのリズムに、ヒップホップやブレイクビーツなどのフロアシーンの音楽的要素を取り入れた、思わず踊り出したくなるような音楽。

ごった煮ミクスチャーなはっちゃけた勢いを持ちながらも、どこか洗練を感じさせる。

そして、そこにはしっかりとアフロ・カリビアンの伝統が息づいている。

ストリートで人々が踊り出す、原色いっぱいのカラフルなPVも最高です。

 

この曲は、「システマ・ソラール」のオープニングを飾る本作のキラーチューン「ビエンベニードス(Bienvenidos)」

冒頭のこの曲一発でやられちゃいました。

 

「システマ・ソラール」は、2006年に結成された6人組のグループです。

メンバーは、ジョン・プリメラ(MC)、インディゴ(MC)、ダニ・ブーン(DJ)、パタ・デ・ペロ(VJ)、フアン・ペジェグリーノ(エンジニア)、DJコーパス(DJ)というMC2人、DJ2人、エンジニアとVJという構成。

グループの成り立ちは、コロンビア中北部にある経済都市メデジンから。

VJ(ビデオジョッキー)であるベルギー生まれの女性「パタ・デ・ペロ」が、アートフェスティバルの行われていたメデジンで、音楽とヴィジュアルの融合をコンセプトに立ち上げたのが「システマ・ソラール」の始まりであるそうです。

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音楽大国コロンビアに沸き起こるクンビアの新潮流

Mi KOLOMBIA – SYSTEMA SOLAR

 

そもそもコロンビアは「サンバ」や「ボサノヴァ」のブラジルに引けを取らない南米の音楽大国です。

現住のインディヘナからスペイン人、アフリカ黒人の文化をルーツに持ち、太平洋とカリブ海、アマゾンのジャングルからアンデス高地まで多様な地域の音楽が流入し、融合してきたコロンビア。

この国では、様々な音楽が生まれ、進化してきました。

 

ガイタと呼ばれる縦笛とジャマドールやタンボーラなどの太鼓、マラコンと呼ばれる大型のマラカスなどを用い、先住民の音楽とアフリカのポリリズムがミックスされたカリブ海沿岸発祥の2ビートの音楽「クンビア(Cumbia)」

カハと呼ばれる小太鼓、木の棒を素材とした擦楽器であるグアチャラカ、ヨーロッパ期限のアコーディオンを用いた、ベネズエラ国境付近の谷で生まれた「バジェナート(Vallenato)」

ギターやマンドリン、ティプレなどの弦楽器をベースにした、スペインとインディヘナの音楽が融合したアンデス高地発祥のフォルクローレ「バンブーコ(Banbuco)」

レゲエやカリビアン、アフリカンの音楽要素がミックスされた港町カルタヘナ生まれの音楽「チャンペータ(Champeta)」

などなど。

 

それら、コロンビア伝統音楽の中でも海外で最も知られるようになったのが「クンビア(Cumbia)」です。

「クンビア」は南米各国に伝わり、ペルーでは「チーチャ」という音楽に派生し、アルゼンチンでは2000年代の後半に打ち込み系のサウンドを取り入れた「デジタル・クンビア」が生まれ、世界のアンダーグラウンドの音楽シーンで爆発的に流行しました。

そんな海外のクンビア派生音楽に刺激を受け、コロンビア国内でもクンビアをベースとしたアーティストが続々と登場しています。

クンビアのパーカッシブなリズムや伝統的な笛「ガイタ」の音色をベースに、シンセやエフェクトを駆使したエレクトロ&ポップなサウンドを作り出している「ペルネット(Pernett)」や、クンビアやレゲエ、チャンペータなどのサウンドをベースに、ロック、エレクトロ、サイケ、HipHop、ダブの要素を取り入れ、2008年に「フエゴ(Fuego)」という楽曲を世界的にヒットさせた「ボンバ・エステーレオ(Bomba Estéreo)」などが、その代表選手。

「システマ・ソラール」も、ペルネットやボンバ・エステーレオに続く、新世代クンビアの旗手のグループのひとつです。

El Majagual – Systema Solar

 

それにしても、この「システマ・ソラール」、すごいです!

収録された15曲は、どれも個性的。

伝統的なコロンビア音楽のスタイルを踏襲しつつ、フロアーミュージックの要素を絶妙なバランスで取り入れていて、全体的にカーニバル(祝祭)の雰囲気に満ち溢れています。

ごった煮ミクスチャーなのに、一聴して「コロンビア」と感じられるような音楽。

これぞ、コロンビア音楽の正統な進化形です★

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♪ラテンアメリカ音楽

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