福岡県嘉穂郡桂川町にある「王塚古墳」
6世紀中頃に築造された前方後円墳で、石室の壁に色鮮やかな装飾壁画が飾られた「装飾古墳」として知られています。
その美しさ、保存状態は日本最高峰とも言われているのだとか!
王塚古墳の石室は、通常は密閉されていて、毎年春と秋の2回の特別公開時にしか見ることはできませんが、隣接する「王塚装飾古墳館」には、実物大の石室内部が復元されていて、いつでも見学することができるのだそう。
古代の壁画を見て、ロマンを感じに、王塚古墳に行ってみることにしました♪
「王塚古墳」までのアクセス
JR福北ゆたか線
「王塚古墳」は福岡市から東へ30kmほどの桂川町にあります。
博多駅からは、JR福北ゆたか線に乗って約40分。
乗客はほぼ地元の人のみ。出発して数駅は都会の風景でしたが、すぐに里山風景に突入!
JR福北ゆたか線の桂川駅
日本一の装飾古墳「王塚古墳」の案内
王塚古墳の最寄駅「桂川駅」に到着。
地元の学生などが数名下車。「王塚古墳」を見に行く人は多くはなさそうです。
桂川駅の駅舎
こちらが、桂川駅の駅舎です。
駅舎には、王塚古墳の装飾壁画の文様がデザインされていました。
町全体で「王塚装飾古墳」をアピールしていこうという意気込みが感じられます♪
王塚古墳への道
王塚古墳は、桂川駅から約600m、5分ほどの場所にあります。
上の写真のような昔ながらの住宅街を歩いていきます。
古墳への案内表示も無く歩いている人もほぼいないので、ちょっと不安になりますが、駅から古墳までは一直線なので迷うことはありません。
王塚古墳に到着!
5分ほど歩くと左前方に綺麗な緑色をした古墳が見えてきました!
バス停もあります。
古墳の前にはバス停。
バス停のロゴも馬の埴輪のデザイン♪
さっそく、王塚古墳を見にいきましょう〜!
王塚古墳
「王塚古墳」
「王塚古墳」は、6世紀中頃に築造された古墳。国の特別史跡に指定されている古墳です。
大きさは、全長約86m、高さ約9.5m。被葬者は判明していません。
昭和9年の採土工事の際に偶然発見され、元々は前方後円墳だったそうですが、工事の際に前方部分の半分以上が失われてしまっています(↓)。
王塚古墳の空撮(Google map)
王塚古墳の案内板
階段を登って古墳の上部へ
階段を登って古墳の上部へと向かいます。
石室の入り口は、墳丘の向こう側です。
王塚古墳の墳丘
緑の芝が鮮やか♪
「王塚古墳」の墳丘です。緑の芝が鮮やか♪
墳丘のてっぺんには登ることはできません。手前にロープが張られています。
美しい緑色の外観は、こんな古墳や、こんな陵墓の姿を思い出させてくれました。
墳丘を訪れている人は他に誰もいなかったので、自分たちだけの2人占め!
石室は閉じられていて中に入ることはできません。
墳丘を跨いで向こう側へと降ります。
墳丘の向こう側には石室の入り口がありました。
石室内部には日本国内で最も美しいと言われる装飾壁画があるのですが、入り口は閉じられていて中に入ることはできません。
毎年春と秋の年2回、装飾壁画は一般公開されるとのこと(観察室でガラス越しの拝観だそう)。
王塚装飾古墳館
「王塚装飾古墳館」
こちらは、王塚古墳の裏手にある「王塚装飾古墳館」
「王塚装飾古墳館」には実物大で王塚古墳の石室を再現した部屋があり、装飾壁画を間近で見ることができます。
「王塚装飾古墳館」の入り口
「王塚装飾古墳館」の入り口です。
入り口にはハニワ馬をデザインしたロゴや、カラフルな色の「王塚古墳」の文字が描かれた幟が!
さっそく、館内に入っていきましょう〜♪
装飾壁画がデザインされたパネル
ロッカーの上に馬の埴輪が
「王塚装飾古墳館」の入館料は、大人330円(中高生160円、小学生110円)
自分たち以外の入館者は誰もいませんでした。
展示室へと向かいましょう〜!
展示室の入り口
ここが展示室の入り口。
ガラス張りの凝ったデザインの入り口で、正面には王塚古墳の文様がデザインされています。
王塚古墳の文様が至る所にデザインされています。
王塚装飾古墳館の展示室
展示室は円形のワンフロアで、3つのテーマで構成されています。
- 王塚古墳が造られた時代
- 国指定特別史跡王塚古墳
- 装飾古墳の世界
フロアの中心部の地下に、メインの展示である再現された石室があります。
まずは、テーマ1「王塚古墳が造られた時代」から順番に見ていくことにしましょう〜。
王塚古墳が造られた時代
「王塚古墳が造られた時代」
「王塚古墳」が造られた時代は「古墳時代」(3世紀から7世紀まで)と呼ばれています。
この時代は奈良の大和王権が力を持ち、朝鮮半島との交流を活発に始めようとしていました。
以前から朝鮮と交流を深めていた九州の豪族たちはこれに反発したものの、大和王権によって反乱が鎮圧され、以後、九州における大和王権の支配は強化されていくこととなります。
6世紀のムラの様子
こちらは、王塚古墳が造られた6世紀のムラの様子のジオラマです。
茅葺の竪穴住居と高床倉庫の建物が見えます。
この頃のムラは数軒から20数軒の家で作られ、1軒の広さは6畳から20畳くらいだったそうです。
稲作の普及によって人々の暮らしが安定してきた時代です。
発掘されたムラからの出土品
こちらは、発掘されたムラからの出土品。
縄文時から弥生時代までは、食器・調理具・貯蔵具などの器として「野焼き」焼成によって作られる「土師器」と呼ばれる土器が使われていましたが、古墳時代になると、朝鮮半島から渡来人によって陶質土器と窖窯(あながま)の技術がもたらされ、「須恵器」の生産が始まりました。
上の写真で、手前の茶色い色の土器が「土師器」、奥の灰色の土器が「須恵器」です。
国指定特別史跡王塚古墳
「国指定特別史跡王塚古墳」
「国指定特別史跡王塚古墳」のコーナーでは、王塚古墳で出土した「変形神獣鏡」などの貴重な出土品が展示されているほか(撮影はNG)、出土品を装着した「はにわ馬」(レプリカ)の展示。そして、当館メインの実物大の「石室」(レプリカ)の展示があります。
出土品を装着した「はにわ馬」
こちらが、出土品を装着した「はにわ馬」
王塚古墳のロゴのデザインとしても使われています。
発掘された古墳からは「はにわ馬」に装着された馬具のほか、変形神獣鏡、玉類や金鐶、銀鈴、挂甲札残闕、土器類。鉄大刀、鉄鉾、鉄刀子、鉄鏃等が出土したのだとのこと。
順路の表示案内もかわいい♪
順路の表示案内もかわいい♪
この馬の絵は、石室に描かれた「騎馬像」をデザインしたもの。
順路に沿って進み、次はいよいよお目当ての、実物大の王塚古墳「石室」の展示です★
石室へと下っていきます。
フロア中心部のスロープをぐるりと下っていくと・・・
再現された王塚古墳の石室
いきなり、赤い色の石材で組まれた石室の姿が現れました!
これが、再現された「王塚古墳」の石室の実物大レプリカです★
入り口に描かれた騎馬像
騎馬像は対になっています。
入り口の両側には対になった騎馬像が描かれていました。
面繋、手綱、尻繋、鞍などが描かれていて、芸が細かい!
騎馬の周りには、わらび手文や双脚輪状文という幾何学的な文様がたくさんありますが、意味するものは不明。
石室全体がカラフルな壁画で飾られています。
入り口を抜けた石室の内部がこちら。
石室全体がカラフルな三角形の文様(三角文)で彩られていて、上部には星を表していると考えられる円形の「同心円文」がたくさん!
何ともサイケデリック! まるで、現代アートの作品みたいです♪
こんなカラフルな古墳は見たことがありません。
カラフルな三角文と、星を表していると考えられる同心円文
こちらは、矢筒と弓
わらび手文、矢筒と弓、双脚輪状文
左が矢筒と弓、右が盾
日本全国に約600基あるという「装飾古墳」
「装飾古墳」は、内部の壁や石棺に浮き彫り、線刻、彩色などの装飾のある古墳のこと。装飾古墳の大半が九州にあり(約340基)、関東に約100基、関西には約40基あります。
このような幾何学的でカラフルな装飾は大陸には見られず、日本独自のデザインであるのだそう。
しかしながら、7世紀末以降は、奈良県の高松塚古墳やキトラ古墳の壁画のような、大陸の影響を受けた肖像画が描かれるようになります。
装飾古墳の世界
装飾壁画に使われた染料
一般に装飾古墳に使用されている色は、6色(赤・黄・緑・青・黒・白)。
「王塚古墳」では、そのうちの青を除く5色が使われており、これは国内最多であるとのこと。
ちなみに、大陸の影響を受けた高松塚古墳では9色が使われているのだそう。
「装飾古墳の世界」のコーナーでは、染料の紹介のほかに日本各地の主な装飾古墳のジオラマも展示されていました(撮影は不可)。
再び「王塚古墳」に登る。
福岡県桂川町にある「王塚装飾古墳館」
実物大で再現された装飾古墳壁画はカラフルでサイケデリック! かなり見応えがあります! 本物ではなくレプリカなので、ガラス越しではなく直に見ることができるのもGood!
館内の展示構成も現代的で、イラストや動画などが多用されていてわかりやすい!
料金も330円だし、休日にもかかわらずお客さんがほとんどいなかったのが勿体無いくらい。
わざわざ博多から40分掛けて見に行く価値のある博物館です★
「王塚装飾古墳館」の場所・営業時間
- 住所:福岡県嘉穂郡桂川町寿命376
- アクセス:博多駅より福北ゆたか線で約30分 JR桂川駅下車徒歩8分
- 営業時間:9:00~16:30
- 定休日:月曜日
- 入館料:大人330円
- HP:https://www.town.keisen.fukuoka.jp/ouzuka/
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