♪インドの竹笛バーンスリーの当代最高峰奏者「ラケーシュ・チョウラシア」来日公演

ラケーシュ・チョウラシア来日公演 エスニック音楽
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ラケーシュ・チョウラシア来日公演

インドの竹笛バーンスリーの最高の奏者でインドの人間国宝でもある「ハリプラサード・チョウラシア(Hariprasad Chaurasia)」

そのハリプラサードを叔父に持ち、現在、次世代北インド古典音楽の旗手として世界的に名高い「ラケーシュ・チョウラシア(Rakesh Chaurasia)」の来日公演が先日行われたので鑑賞してきました♪

ラケーシュ・チョウラシア来日公演

バーンスリーとは?

「バーンスリー(インドの竹笛)」は、北インド古典音楽(ヒンドゥスターニー音楽)で使われる代表的な楽器のひとつ。

シタールやサロード、サーランギー、サントゥールなどとともに、北インド古典音楽のメインを張る楽器です。

30㎝ほどの長さの横笛で、指孔は6つ。古代からの長い歴史を持ち、クリシュナ神が愛用する楽器としても知られています。

なお、バーンスリーは、もともと民謡楽器であり、古典音楽のメインとなったのは20世紀になってからなのだとのこと。

ラケーシュ・チョウラシア来日公演ラケーシュ・チョウラシア来日公演のチラシ

 

ラケーシュ・チョウラシアは、1971年インドのアラハバード生まれ。

幼少の頃から叔父であるハリプラサード・チョウラシアにバーンスリーとインド古典音楽の訓練を受け、たゆまぬ鍛錬によりその演奏技術と音楽性を磨き上げてきました。

偉大な叔父からの伝統を受け継ぎつつ彼独自のスタイルを確立し、現在では次世代の北インド古典音楽の旗手として、世界的に注目される存在となっています。

世界的なタブラ奏者であるザキール・フセインともコンビを組むことも多く、その演奏は世界中で大絶賛されているのだとのこと。

 

伴奏のタブラを担当するのは、ドゥルジェイ・バウミック

コルカタ出身デリー在住のタブラ奏者で、数多くの著名音楽家から伴奏の指名を受ける腕前の持ち主で、海外での演奏歴も豊富な方なのだそう。

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サントゥールとタブラによるオープニングアクト

ラケーシュ・チョウラシア来日公演サントゥールとタブラによるオープニングアクト

 

今回の来日公演は、東京、名古屋、京都、松坂の4都市で開催されました。

鑑賞したのは初回の東京公演。場所は築地にある浜離宮朝日ホールです。

 

開演は19:00。オープニングアクトは、インドの打弦楽器サントゥールの奏者である安藤真也さんと、タブラ奏者の原口順さんが担当されました。

耳に心地良いサントゥールの繊細かつダイナミックな音色。

サントゥールってなかなか魅力的な楽器だなって改めて感じさせられました♪

ちなみに、今回のラケーシュの来日公演は、タブラ奏者の原口順さんの尽力によるものだそう。

本物の演奏家による演奏をぜひとも日本の聴衆に聴いて欲しいという思いからの奔走だということで、感謝しきりです★

さて、オープニングアクトが終わり、いよいよラケーシュの登場です!

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ラケーシュ・チョウラシアの演奏が始まる!

ラケーシュ・チョウラシア来日公演ラケーシュ・チョウラシアの演奏が始まる!

 

厳かな感じで現れたバーンスリーの現在の最高峰ラケーシュ・チョウラシア

バーンスリーを構え、さっそく演奏が始まりました!

ラケーシュ・チョウラシア2019年来日公演「インドの竹笛、天空のしらべ」プロモーション動画1

 

北インド古典音楽(ヒンドゥスターニー音楽)とは、簡単に説明すると、

  • 旋律の流れを基本としていてハーモニーという考え方がない
  • 一定のリズム周期(ターラ)を繰り返すことによって演奏される(輪廻的)
  • 与えられたテーマ(ラーガ)に基づいて、演奏家がその場で旋律を創造する即興の音楽
  • 「梵我一如」(宇宙の根本原理である梵と個我の合一)が目的とされる

ということになるのだそう。

与えられたテーマに基づき、輪廻のような一定の周期の繰り返しの中で即興で創造していく。そして、最終的には宇宙の根本原理と自我を合一させることを目指していく。

インドの哲学、長い歴史の中で考え抜かれたインド人の生きる思想を表しているかのような音楽です。

RakeshChaurasia 2018Japan concertPV

 

演奏は、主奏者であるバーンスリー奏者ラケーシュのソロパートから静かに始まります。

ゆっくりと音を奏でながらラケーシュは演奏のラーガ(旋律)を提示、そして、演奏が進んでいくにつれてバーンスリーのテンポは徐々に早くなっていきます。

静まり返った会場に響き渡るバーンスリーの艶やかで伸びのある音色。

地平線まで広がる平原に菩提樹の木々がまばらに生えた北インドの農村風景が目に浮かぶようです★

Rakesh Chaurasia – Classical Flute (Bansuri)

 

ラケーシュの静かな独奏から始まった2曲目の演奏。

この独奏の部分は「アーラープ」と呼ばれ、演奏するラーガの音階系や表情を段階的に紹介していく部分です。

アーラープの時、主奏者は演奏のテーマを提示します。タブラ奏者はそれを聴いて、そのテーマがどのターラなのかを即座に判断し、ターラのリズムを叩き始めるのだそう。

この流れは、シタールでも、サントゥールでも、バーンスリーでも、声楽でも、北インド古典音楽では全て一緒。

 

提示されたラーガに呼応したドゥルジェイのタブラが伴奏を開始します。

タブラの軽やかな高音とバヤン(大きい方の太鼓)のくぐもった低音の紡ぎ出すリズムが、繊細かつ力強いラケーシュのバーンスリーの響きを引き立てます。

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まさに超絶技巧!現代北インド古典音楽最高峰の演奏がここにありました★

Zakir Hussain & Rakesh Chaurasia / EtnoKraków / ROZSTAJE Crossroads Festival & Euroradio EBU ’15

 

タブラとの合奏部分は「ガット」と呼ばれます。演奏の中で主奏者は、通常のテーマではない旋律パターンの変奏を奏で始めます。技巧の駆使された変奏がある程度披露されると、再び通常のテーマに戻ります。

タブラも同じように、途中でリズムの変奏を叩き始め、その超絶技巧を披露します。そして、再び元のテーマに戻ります。

これを繰り返していくうちにテンポは徐々にに早まっていきます。

ラケーシュ・チョウラシア来日公演ラケーシュ・チョウラシアとドゥルジェイ・バウミック

 

どんどんテンポを早めていくラケーシュのバーンスリー。息継ぎをする暇もないほどの早吹きで、音色が高音から低音まで目まぐるしく変わっていきます。

それに呼応して、ドゥルジェイのタブラのリズムもどんどん早くなっていき、目にも止まらない手の動きになってきました!

まさに超絶技巧!現代北インド古典音楽最高峰の演奏がここにありました★

 

演奏のテンポの早まりとともに会場のボルテージもどんどん高まっていき、そして、その演奏のスピードが限界にまで達したところでクライマックス!

会場は大拍手に包まれました!!

ラケーシュ・チョウラシア来日公演来日公演の奏者4人

 

北インド古典音楽の竹笛バーンスリー。その当代最高峰の奏者であるラケーシュ・チョウラシアの来日公演。

期待に違わぬ素晴らしいものでした★

 

現在、文化庁では日本の文化を世界に紹介することに予算を割いており、インド古典音楽の演奏家を招聘するのがなかなか難しくなっていて、今回の公演も、原口さんら個人が尽力したことによる招聘であるのだそう。

このような素晴らしい来日公演が、もっと多く開催されるようになって欲しいなと思います。

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