ブラジル北東部の大西洋岸にある港町、バイーア州の州都「サルヴァドール」
16世紀から18世紀半ばまで約250年の間ブラジルの首都であり続けたこの町は、かつての支配者であったポルトガルと、奴隷として連れてこられたアフリカ黒人の文化が混じり合い、豊穣な文化が産み出されてきました。
バイーア州は、ブラジルの中でも特にアフリカ系黒人の割合が多く、彼らによってこの地で生まれたもの、そして、ブラジルを代表する文化となったものが数多くあります。
奴隷の格闘技をルーツに持つ舞踏「カポエイラ」や、黒人のリズムがベースとなった「サンバ」、そして、ブラジルと言えば「カーニバル」!
あの「カーニバル」もバイーア発祥だと言われているのです。
バイーア州の州都「サルヴァドール」からは、ドリヴァル・カイーミやジルベルト・ジル、ガル・コスタなど、ブラジルを代表する多くのミュージシャンが生まれました。
そんな「サルヴァドール」が生んだ現代の最高の才能のひとりが、この「カルリーニョス・ブラウン(Carlinhos Brown)」です。
サルヴァドールの街が生んだ天才「カルリーニョス・ブラウン」
Carlinhos Brown – Water my Girl
上の曲は、「カルリーニョス・ブラウン」2枚目のオリジナルアルバム「オムレツ・マン(Omelete Man)」の曲「ウォーター・マイ・ガール(Water my Girl)」
レゲエ的なリズムに、ポップなメロディーラインがとても心地いいです!
「カルリーニョス・ブラウン」は、1962年生まれ。
子供の頃からパーカッションに親しんでいた彼は、若くしてスタジオ・ミュージシャンとしての活動を始め、ブラジルのミュージック・シーンで頭角を現していきます。
彼が世間に注目されたのは1987年のこと。
大御所である「カエターノ・ヴェローゾ」のバンドにパーカッショニストとして参加したのがきっかけでした。
その後、彼は、ビル・ラズウェルやセルジオ・メンデスのアルバムにも参加。
1996年には、ソロ・デビュー作「バイーアの空のもとで(Alfagamabetizado)」をリリース。
現在まで12枚のオリジナル・アルバムをリリースしています。
Carlinhos Brown – Soul By Soul
上の曲は、「ソウル・バイ・ソウル(Soul By Soul)」
ビートルズっぽいメロディーラインに存在感のあるブラウンの声、女性コーラスとパーカッションのリズムが小気味良く入っています。
メロディーから曲の運びまで、すごい音楽的才能を感じる曲です。
2014年2月24日にタモリ倶楽部の「空耳アワー」でこの曲が紹介されたのですが、「すごいいい曲!」と話題になってました!
Carlinhos Brown – Vitamina ser
「ヴィタミナ・セール(Vitamina Ser)」です。
ファンク・レゲエなリズムがアンダーグラウンドな雰囲気を感じさせるアグレッシブな曲。
中原仁氏によるアルバムのライナーノーツによると、
これらの曲での、ポルトガル語と英語とアフリカの言葉をアナーキーに組み合わせた歌詞づくりの発想もみごとにブッ飛んでいる。動物的な音感に基づく言語感覚は、その道の法師カエターノ・ヴェローゾとも肌合いの違う、ブラウンのオリジナル・ブランドだ。
アルバム・ライナーノーツ:中原仁氏
とのこと。
Carlinhos Brown – Farao
こちらは、「ファラオ(Farao)」
ノリノリ、カーニヴァルのストリートパワー炸裂の一曲です♪
「カルリーニョス・ブラウン」で忘れてはならないのが、「チンバラーダ(Timbalada)」としての活動です。
彼は、自身の生家のあるバイーア州サルヴァドール、カンヂアル地区の若者たちを集めて、ストリート・パーカッショングループ「チンバラーダ(Timbalada)」を結成。
貧しい若者たちに音楽という道を与え、地域に貢献する「チンバラーダ」の活動は賞賛され、1993年にリリースされた「チンバラーダ」のファースト・アルバムもブラジル国内で高い評価を受けたそうです。
この曲、「ファラオ」は、そんな「チンバラーダ」の曲と同じリフも登場するという、ストリート感満点の一曲です。
Carlinhos Brown – Amantes Cinzas
「灰色の恋人たち(Amantes Cinzas)」です。
ノスタルジックなリオのサンバとサンバヘギ(サンバ・レゲエ)をミックスさせた曲であるとのこと。
この曲、大好きです!
歌詞の内容は、カーニバルが終わった後の「灰の水曜日」の朝の恋人たちを歌った歌ですが、祭りの後のちょっとした物悲しさと、ユーモラスな可笑しみが感じられて、なかなかいい雰囲気の曲。
「カルリーニョス・ブラウン」、日本では知る人ぞ知るという感じですが、すごい音楽的才能のあるミュージシャンだと思います。
このアルバム「オムレツ・マン(Omelete Man)」も大傑作!
素晴らしい曲満載。
オススメのアルバムです!
♪ラテンアメリカ音楽
https://search-ethnic.com/music/carlinhos-brown
コメント