♪「南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点」鑑賞|カルナータカ音楽の世界に心酔する

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点 エスニック音楽
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2025年11月8日。東京の武蔵野市民文化会館小ホールにて、南インド古典音楽の公演「南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点」が行われました。

弦楽器「ヴィーナー」、打楽器「ムリダンガム」「ガタム」の世界的奏者3人を招聘しての今回の公演。

鑑賞してきましたので、その模様をご紹介します。

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カルナータカ音楽を代表する3人のミュージシャンが来日

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点「南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点」のチラシ

 

公演の主催は、カルナータカ音楽(南インド古典音楽)を招聘するプロジェクト「マールガリ・ジャパン」。今回で3回目の公演開催だそうです。

カルナータカ音楽はヒンドゥー教の讃歌・祈りであり、ヴォーカルの歌詞が重要な役割を持ちますが、今回のメインは歌手ではなく、ヴィーナーという弦楽器です。

「言葉なき祈りの到達点」とは、どんな世界なのか。

ワクワクが止まりません!

 

まずは、↓の動画を見てください!

こちらは、「マールガリ・ジャパン」による公演と出演ミュージシャンの紹介動画。

ほんの数分の演奏を見ただけで、彼らの凄まじいまでの技量が伝わってきます。

 

来日する3人は、どんなミュージシャンなのか。

武蔵野文化生涯学習事業団のサイト「ぎゅぎゅっとアルテ」に3人のプロフィールが掲載されていたので、ちょっと長いですが、そのまま下記に引用します。

ラジェーシュ・ヴァイディヤ(ヴィーナー)

1973年 タミル・ナードゥ州プドゥチェリー生まれ。現代のカルナータカ音楽界を代表するヴィーナー奏者の一人。
ムリダンガムとガタムの演奏者でもあった父 K.M.ヴァイディヤナータンから音楽的才能を受け継ぎ、ヴィーナーの巨匠テッティーパーブから薫陶を受け、自身の演奏スタイルを確立する。現在はカルナータカ音楽のレジェンドで、「シャクティ」を始め世界的に活躍したバイオリン奏者L.シャンカルに師事し、さらなる音楽的探究を続けている。ピックアップマイクを搭載したヴィーナーを巧みに操り、速弾きやピッキング・ハーモニクスなどのロック的手法もふんだんに取り入れたモダンなアプローチで聴衆を魅了する。
また、人種や国境、宗教を超え、音楽のチカラで世界に活気や繋がり、平和をもたらすことを目指すプロジェクト「Playing for Change」でも演奏。また古典音楽ではなく映画音楽を演奏するコンサートも非常に人気を集めている。60分で60曲を演奏するパフォーマンスで「Asis Book of Records」にも記録を残す。

サイ・ギリダール(ムリダンガム)

1984 年アーンドラ・プラデーシュ州ヴィジャヤワダ⽣まれ。⺟がバジャン歌手で常に音楽があふれた家庭に育つ。7歳よりタブラを独学で始め、14歳の時にムリダンガムにシフト。M.L.N. ラジューとパルパリ・ファルグンに習う。2010年にミュージシャンとしてのキャリアを追求するためにチェンナイに拠点を移す。2017年にデリーの著名な芸術機関「サンギート・ナタック・アカデミー」から名誉ある「YUVA PURASKAR」の称号を授与される。オール・インディア・ラジオのA級アーティストで、男女問わずボーカリストやヴィーナー・竹笛などの器楽奏者と協演。幅広く柔軟な伴奏技術を持つ売れっ子ムリダンガム奏者。チェンナイのみならずインド国内外を広く旅し、ベテランから若手に至るまで多くのアーティストたちと協演。2025 年にはコルカタの由緒ある音楽祭「The Dover Lane Music Conference」や、マハー・クンブ・メーラー・フェスティバルにも出演。

ウマシャンカル・ヴィナーヤクラーム(ガタム)

1974 年タミル・ナードゥ州チェンナイ生まれ。2016 年「天上のリズム」公演で来日のガタム奏者ヴィックゥ・ヴィナーヤクラームの次男。グラミー賞受賞者でインドの文化勲章も授与されている偉大なる父からガタムの最強遺伝子を受け継ぐ。力強いガタムの音、父親譲りの伴奏センス、そして人を惹きつけるチャーミングさを持ち合わせた稀有なミュージシャン。映画音楽会でも活躍し、世界的にも有名な音楽監督A.R.ラフマーンの録音にも参加。また、ジー・タミル・チャンネルのリアリティ番組「Sa Re Ga Ma Pa」の審査員も務めていた。演奏活動だけでなく、自身の音楽レーベルを持ち、才能を持つ若者にスポットライトを当て、音源の発表や演奏機会の提供などを精力的に行っている。

引用:南インド古典音楽 ~言葉なき祈りの到達点(ぎゅぎゅっとアルテ)

上記の「シャクティ」「シャクティ」の来日公演や、「天上のリズム」公演「天上のリズム」公演は、自分も生で鑑賞しました。

その時の衝撃は筆舌に尽くし難いほど。

あの感動を再び味わえるのです!

 

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圧倒的な演奏!まさに、言葉なき祈りの到達点

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点3名のミュージシャンが登場!

 

マールガリ・ジャパン主催のあきらジーさんによる公演についての説明の後、盛大な拍手の音に包まれて3人のミュージシャンが登場!

3人は観衆に挨拶し、楽器の前に腰を下ろすと、おもむろにチューニングを開始。

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点南インド・カルナータカ音楽の最高峰の演奏が始まりました♪

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点ラジェーシュ・ヴァイディヤ(ヴィーナー)

 

そして、ほどなくしてヴィーナー奏者のラジェーシュ・ヴァイディヤが弦をゆっくりと奏ではじめます。

ヴィーナーは、7本の弦と24個のフレットを持った南インド古典音楽を代表する弦楽器です。

煌びやかな感じの北インドのシタールと比べて、ヴィーナーは奥行きと広がりを感じさせる深みのある音色。

ラジェーシュの指の動きは徐々にスピードが上がっていき、音は次第に複雑になり、バリエーションを増していきます。

一気に引き込まれる武蔵野市民文化会館小ホールの観衆たち。

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点サイ・ギリダール(ムリダンガム)

 

そして、ヴィーナーの音色に呼応し、ムリダンガム奏者のサイ・ギリダールがゆっくりとリズムを刻み始めます。

ムリダンガムは南インドの両面太鼓。右手側が高音、左手側が低音。指先だけでなく、指の腹や手の平、母指球など、手のあらゆる部位を使って叩き、驚くほど多様な音が生み出されます。

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点ウマシャンカル・ヴィナーヤクラーム(ガタム)

 

続いて、ウマシャンカル・ヴィナーヤクラームが素焼きの壷を使った楽器「ガタム」を叩き始めます。

ガタムは、インド音楽の楽器用に特別に作られた壷で、指や掌などを使って、様々な技術を駆使しバラエティーに富んだ音を表現します。

甲高いガタムの音色がユーモラスなウマシャンカルのキャラとぴったりマッチ!

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点めくるめく超絶技巧!一曲終わる度に会場は万雷の拍手喝采!

 

3人の演奏は、まさに圧巻のひと言。

ムリダンガムのサイとガタムのウマシャンカルのマシンガンのようなビート。その超絶技巧は驚くほど。

そして、とにかく、ラジェーシュ・ヴァイディヤのヴィーナーの音色。その美しさと表現の多様さに心を奪われてしまいました!

ヴィーナーの演奏を生で聴くのは初めてでしたが、様々な技巧を駆使して紡ぎ出されるその音色はびっくりするほど表情豊か。

それぞれの曲の内容や意味はわかりませんが、メロディーとテンポ、ラヴェーシュの表情により、曲の醸し出す色が浮かび上がってくる感じ。

インド古典音楽の醍醐味であるミュージシャン同士の掛け合いも見事。

ヴィーナーとムリダンガムやガタムのテンポがどんどん速くなっていき、スピードが頂点に達したところで3人の演奏がピタッと静止。

キマった!という感じで顔を見合わせる3人。観衆による万雷の拍手!!

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点まさに、言葉なき祈りの到達点

 

演奏時間はおよそ2時間。曲目は7、8曲ぐらいだったでしょうか。

途中、3人それぞれのソロ演奏の披露があったり、ウマシャンカルが観衆に手拍子を促して会場全体が一体感に包まれたり、少し短かったけどアンコールも一曲演奏し、あっという間に終演。

南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点最高のパフォーマンス。堪能しました♪

 

会場の客席は満席で、南インド古典音楽を初めて聴く方も多かったようですが、一曲終わる度に、方々から方々に「すごい!」という声が上がっていました。

 

南インド古典音楽の公演「南インド古典音楽〜言葉なき祈りの到達点」

ヴィーナー奏者ラジェーシュ・ヴァイディヤ、ムリダンガム奏者サイ・ギリダール、ガタム奏者ウマシャンカル・ヴィナーヤクラーム

3人の最高のパフォーマンス。堪能しました♪

こんなに心に響いたコンサートは久し振り。さっそく、マールガリ・ジャパンのHPから今回の公演のライブCDを予約。

CDが到着するのを楽しみに待つことにします★

 

最後にYOU TUBEで見つけた3人の演奏動画を↓にご紹介します。

Jiya Jale | Nenjinile | KS Harishankar | Rajhesh Vaidhya | Cover

SaiGiridhar K | MocktaiLayam | Mridangam Solo

Aumkaara Devotional Instrumental | Ghatam Umashankar | Harikrishnan | Shivarma | Rajaraman

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この記事を書いた人
mar

元バックパッカー。今はスーツケース旅行者。60以上の国を訪問しました。
インド、アジア、中東、中南米などの料理にハマり中。
妻のmiiと共に、国内外の600店舗以上を食べ歩いています。

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