マレーシアの首都クアラルンプール。
その中心部にある「チャイナタウン」は、クアラルンプールに来た観光客の誰もが訪れる名所のひとつ。
アジアの混沌とした雰囲気を楽しめる屋台街や、イギリス統治時代の面影を残す歴史ある建物群。近年では古の中華街を再現したお洒落なストリートも生まれています。
クアラルンプールの「チャイナタウン」の場所とアクセス
「ペタリン通り(Jalan Petaling)」入口の門
チャイナタウンの最寄り駅は、LRT「Kelana Jaya Line」(ピンク色の路線)の「Pasar Seni駅」。クアラルンプールの中心駅「KLセントラル駅」からひと駅です。
クアラルンプール・チャイナタウンの位置
こちらが、チャイナタウンの位置です。「Pasar Seni駅」の東側に広がるエリアで、東西700m、南北1Kmほどと、それほど広い地域ではありません。
「チャイナタウン」MAP
今回訪れたチャイナタウンのスポットはこちら。
宿泊するホテルもこの界隈にしました。ハブ駅である「KLセントラル」から近く、飲食店やコンビニなども多く、便利だからです。
今回は訪れませんでしたが、チャイナタウンには、ヒンドゥー教の寺院「スリ・マハ・マリアマン寺院」や「関帝廟」などもあり、徒歩圏に国立モスク「マスジッド・ヌガラ」もあるなど、クアラルンプールらしさを味わえる場所でもあります(以前訪問した時の様子は↓)。
クアラルンプールの「チャイナタウン」の歴史
チャイナタウンの街並み
さて、ここで、クアラルンプールのチャイナタウンの歴史について、ちょっとご説明します。
クアラルンプールは、清からの移民者により、錫の採掘拠点として1857年に建設された町です。移民者の多くは広東人と客家人であったとのこと。
当時建設されたチャイナタウンは現在とは別の場所にありましたが、1860年代から70年代にかけての内戦で荒廃。錫鉱山は放棄されることとなります。
その時立ち上がったのが、客家人の「ヤップ・ア・ロイ(Yap Ah Loy)」氏でした。
彼は、ペタリン通りにタピオカミルク工場を建設。周辺地域での農業を奨励し、多くの移民たちがこの界隈に移住。新たなチャイナタウンが形成されることになったのです。
ちなみに、現在でもペタリン通りは、広東語で澱粉工場街を意味する「チー・チョン・カイ(Chee Cheong Kai)」と親しみを込めて呼ばれているのだとのこと。
夜の「ペタリン通り(Jalan Petaling)」
ウォールアートが描かれた建物
さて、クアラルンプールのチャイナタウンを歩いてみます。
まずは、夜の「ペタリン通り(Jalan Petaling)」
この建物は、パサール・スニ駅から北へ向かった交差点の角にある建物。
近年、チャイナタウンはアーティスティックな街になっており、こういったウォールアートが随所に描かれている様子。
イギリス統治時代から続く古い街並み
チャイナタウンの街並みの様子。
イギリス統治時代(1873~1957年)から続く、 2階建ての家並みがたくさん残されています。
なかなか風情あります♪
夜は所々に屋台が出ます。
チャイナタウンの界隈は下町そのものの雰囲気。夜になると所々に屋台が出ます。
バックパッカーには有難い安ホテルもたくさんあります。
「ペタリン通り(Jalan Petaling)」入口の門
こちらは、「ペタリン通り(Jalan Petaling)」入口の門。
中華街らしい立派な中国風の門が、通りの両端にあります。
このアーチ、実は近年造られた新しいものであるとのこと。
2003年、ペタリン通りは大規模な改修工事が行われ、通りの両端に中国風の門と、道路全体を覆う緑色の屋根が建設されました。緑の屋根は「グリーンドラゴン」と呼ばれており、この屋根の下は歩行者天国になっています。
ちなみに、「グリーンドラゴン」がある通りは、衣料品や土産物屋が多い印象。屋台も衣料品関係が多かったです。
日用品や鞄などさまざまな屋台
提灯が中華街らしい風情
屋台が掃けた後の「チャイナタウン」
こちらは、「ジャラン・ハン・レキール(Jalan Hang Lekir)」という通り。チャイナタウンのメインストリートである「ジャラン・ペタリン(Jalan Petaling)」と交差する通りです。
この通りには中華麺やワンタンの有名店、豆腐花や餅菓子、パンケーキなどのスイーツのお店があり、チャイナタウンらしい美食を楽しむことができるとのこと。
今回は、夜遅い時間に訪問したせいか、ほとんどのお店が閉まっていました(涙)
「ペタリン通り」の南側。お洒落なお店も多いです。
こちらは、「ペタリン通り」の南側。
中華門の南側、グリーンドラゴンを出ると、欧風の2階建ての建物が並ぶ車道になります。今回は、この通り沿いのホテルに宿泊しました。
この通りは、お洒落なレストランやカフェが並んでおり、通りの裏側には、「鬼仔巷(Kwai Chai Hong)」というアートなストリートがあります。
セントラル・マーケット
日中の「チャイナタウン」
翌日の午後、お土産を物色しに、チャイナタウンの北側にある「セントラル・マーケット」を訪れました。
写真は日中のチャイナタウン。この写真の左側の方に「セントラル・マーケット」があります。
「セントラル・マーケット」の外観
こちらが、「セントラル・マーケット」の外観です。
水色と白のお洒落なカラーリング。建物の前には孔雀のオブジェが飾られていました。
SINCE 1888
「セントラル・マーケット」は、1888年、当時マレーシアを植民地支配していたイギリスによって建設されました。建設当初は、クアラルンプール市民や錫鉱山労働者のための生鮮市場として使われていたそうです。
その後、1970年代の市街地拡張の際に、「セントラル・マーケット」を取り壊す計画が持ち上がりましたが、解体反対運動が起こり、結果的に歴史的文化遺産として存続されることが決定されます。
以後、「セントラル・マーケット」は、伝統工芸品や土産物が販売されるショッピングスポットとして、また、ギャラリーが軒を連ねるアートスポットとして生まれ変わり、現在では多くの観光客が集まる観光名所のひとつとなっています。
「CENTRAL MARKET」の前で記念撮影
ちなみに、現在のアールデコ様式の建物は1937年に完成したもの。そして、現在のようなカラフルな外観になったのは、1985年のことなのだそう。
「セントラル・マーケット」の館内
こちらが、「セントラル・マーケット」の館内。
館内は1階と2階があり、1階は、伝統工芸品やバッグ、食器、雑貨や小物、食品など、様々な土産物のショップが並びます。プラナカンの食器やなまこ石鹸、かごバッグ、アラビアンランプやカシミールのカーペットのお店もあります。
2階はバティックの布地や衣服のお店がたくさん。フードコートもあります。
さっそく、お店を物色開始!
インドの銅食器のお店「MERAKI COPPER」
中華系の小物屋さん
アラビアンなランプやお皿などのお店
マレーシアの伝統凧「ワウ」のお店
1階は、「マレー・ストリート(Malay Street)」、「華人街(Straits Chinese)」、「リトル・インディア(Little India)」という3つのゾーンに分かれていて、マレーシアの三大民族(マレー人・華人・インド人)それぞれの特徴あるショップが並んでいます。
多民族国家マレーシアの様々な地域・民族の伝統工芸品や雑貨などをまとめて見ることができるのが便利。ただし、お値段は観光客プライスで結構高めな印象。
バティックのお店
2階はバティックのお店がずらり
良い物は結構高いです。
バティック屋さんの人形
2階は「バティック」のお店がずらりと並んでいます。
「バティック」とは、インドネシアやマレーシアでつくられる「ろうけつ染め」の木綿の布のこと。
マレーシアのバティックは、シルクや化学繊維が多く使われ、色鮮やかなパステルカラーなどが多用された明るいバティック。柄は、ハイビスカスや蘭などの熱帯植物や蝶、果物などが使われ、かなり自由でモダンです。産地として有名なのは、マレー半島の東海岸にあるクランタンとトレンガヌ。
「バティック」、マレーシアらしくて魅力的なのですが、良い物は結構高いです。
マレーシアの伝統凧「ワウ」がデザインされたアーケード
こちらは、「セントラル・マーケット」の横にある、2011年にオープンしたアーケード街「カストゥリ・ウォーク(Kasturi Walk)」
土産物の屋台やストリートフードの屋台も結構あります。
「セントラル・マーケット」でお土産を物色した後は、昼のペタリン通りへ。
昼の「ペタリン通り(Jalan Petaling)」
向こうに見えるのは、世界第二位の高さのビル「ムルデカ118」
100年前のコロニアル建築群と2023年完成の「ムルデカ118」の対比が面白いです。
チャイナタウンからは、何だか近未来的なデザインの高いビルが見えます。
これは、「ムルデカ118」というビル。
2014年に着工し、2023年中に竣工予定の高層ビルで、高さ678.9m、地上118階・地下5階の構造で、ドバイの「ブルジュ・ハリファ」に次いで世界で2番目に高いビルなのだそう。
なんか、デザイン的には、クアラルンプールのランドマークでもあるツインビル「ペトロナスツインタワー」(452m 88階建て)の方が格好いいような気がしますが、チャイナタウンを見下ろすように建つ「ムルデカ118」の姿は圧倒的な存在感があります。
昼の「ペタリン通り」
昼の「ペタリン通り」です。
通りには屋台がたくさん並び、観光客や地元の人でごった返しています。
屋台がぎっしり
ランプータン、ドリアン
ペタリン通りの角にある土産物屋さん
こちらは、ペタリン通りの角にある土産物屋さん。
スナックやチョコレート、クッキー。コーヒーや紅茶、ドライフルーツ、ジャム、スパイス。タイガーバーム、マグネットやポストカード、かごバッグ、帽子、サンダルなどなど、あらゆるマレーシア土産が並び、比較的安価で購入できます。
購入したサラワク産の黒胡椒
購入したサラワク産の黒胡椒。
マレーシア・ボルネオ島のサラワク州は、胡椒の産地として有名です。
ウォールアートが描かれたカフェ
ウォールアートが描かれたカフェ。
ペタリン通りの南側は、お洒落なお店が多いです。
鬼仔巷(Kwai Chai Hong)
「鬼仔巷(Kwai Chai Hong)」の風景
ここは、チャイナタウンの裏路地にある「鬼仔巷(Kwai Chai Hong)」と呼ばれるエリア。2019年にオープンしたチャイナタウンの新しい観光スポットです。
「鬼仔巷」の入口は、ペタリン通りの一本西側の通り「Lorong Panggung」にあります。
入口の門をくぐって奥に進むと写真のようなノスタルジックな街並みが現れます★
ちなみに、上の写真に写っている街灯は、クアラルンプールで一番古い街灯であるとのこと(100年以上の歴史があるそう)。
ウォールアートがたくさん描かれています。
「鬼仔巷」は、戦前からある古い路地ですが、以前は廃墟のようになっていたのだそう。それを1960年代の黄金期のチャイナタウンをイメージして再開発。
ノスタルジックでアーティスティックなスポットとして生まれ変わり、そのインスタ映えする景観は多くの観光客を集めるようになったのだそう。
壁の古びた感じ、描かれたウォールアート、レトロな街灯、赤い提灯、緑の樹々。いい雰囲気ですね♪
2019年にウォールアートが公開されました。
二胡を弾く老人の絵
物書きをする書家
欄干に座ったカップル
1960年代のチャイナタウンがイメージされているとのこと
「鬼仔巷」の魅力は、何と言ってもたくさんのウォールアートが描かれていること。
1960年代のチャイナタウンの暮らしぶりを描いた絵は、ノスタルジックな雰囲気抜群!
昔のジャッキー・チェンの映画に出てきそうな風景です。
狭いエリアですが、なかなか見応えあります!
雨に濡れている情景もなかなかGood!
訪問したのは金曜の夜8時くらい。雨が降っていたせいか、通りを歩いている人は少なかったです。
雨に濡れている情景もなかなか趣があって、人が少なかったのもGoodでした★
通りにはお洒落なレストランやバーが並びます。
「虎牌啤酒」(タイガービール)、「美食基地」
「鬼仔巷」には、レストランやバーが何軒もあり、内部をちょっと覗くと、ノスタルジックな外観とは打って変わったモダンな内装の店だったり。
ちなみに、「鬼仔巷」のエリアは入場無料、入口の門は9:00〜0:00のオープンです。
「ペタリン通り」
まとめ
マレーシアの首都クアラルンプールの「チャイナタウン」
屋台が並び、飲食店が軒を連ねる中華街らしい雰囲気の「ペタリン通り」、マレーシア全土の伝統工芸品や特産品をまとめて物色できる「セントラル・マーケット」、古のチャイナタウンを再現したアートなストリート「鬼仔巷」。魅力的な見どころがたくさんあります。
ハブ駅である「KLセントラル」から近く、飲食店やコンビニなどもたくさんあるので、宿泊するのにも良いところです★
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