マリ北東部、サハラ砂漠に住む遊牧の民「トゥアレグ族」が結成したバンド「ティナリウェン(Tinariwen)」
「砂漠のブルース」と呼ばれる彼らの音楽は、伝統的なトゥアレグ族の音楽と西洋のロックを融合させた、他にはない彼ら独自のもの。グラミー賞の最優秀ワールドミュージック・アルバム賞を受賞するなど、世界的にも賞賛を受けているバンドです。
そんな彼らが、2023年12月、6年振りとなる来日公演を行いました!
生で聴く「ティナリウェン」。渋谷 CLUB QUATTROで行われたライブの様子をご紹介します♪
「ティナリウェン(Tinariwen)」とは?
「ティナリウェン(Tinariwen)」の結成は1979年。リビアの革命戦士キャンプで知り合ったメンバーを中心に結成さた「トゥアレグ人」のバンドです。
バンドのリーダーは「イブラヒム・アグ・アルハビブ(Ibrahim Ag Alhabib)」
イブラヒムは、幼少期、アルジェリアの難民キャンプやタマンラセット周辺の砂漠に住んでいた時にギターと出会い、その後、難民として移住したリビアで、現在もメンバーに名を連ねている「アルハッサン・アグ・トゥハミ(Alhassane Ag Touhami)」と「アブダラ・アグ・アルハウセイニ(Abdallah Ag Alhousseyni)」と共に「ティナリウェン」を結成しました。
1989年にグループは、イブラヒムの故郷であるマリに移ります。トゥアレグ人が自治権を求めて、マリ共和国政府と武装闘争を繰り広げる中、彼らはカセット・テープでアルバムを発表し続け、サハラ地域全体で名声を高めていきます。
そして、1991年にマリ共和国政府との和平合意が成立すると、グループは反乱運動から離れ、フルタイムでの音楽活動を開始。そのうち欧米の音楽関係者から注目を集めるようになり、2001年に北アフリカ以外での初のアルバム「ザ・レイディオ・ティスダス・セッションズ」をリリース。ヨーロッパやアメリカへのツアーを行います。
2004年には「アマサクル」、2007年には「アマン・イマン~水こそ命」をワールドワイドにリリースし、2012年には、グラミー賞の最優秀ワールドミュージック・アルバム賞を受賞するなど、世界的な人気と評価を受けるようになりました。
ティナリウエンの音楽はギターが中心。ギターは「アスーフ」と呼ばれるトゥアレグ族の伝統的なスタイルで演奏され、マリの伝統的な音楽や地元のポップミュージックの影響も受けているとのこと。歌詞はフランス語とトゥアレグ語。
グループは、結成当初からの3名を中心としたシンガー、ソングライター、ミュージシャンの集合体で、メンバーは過去在籍したメンバーを含めると20名近くいるそう。
現在、ツアーに参加しているメンバーは、創設メンバー3名を含む6名です。
ライブ会場(渋谷クラブクアトロ)への入場
「ティナリウェン(Tinariwen)」JAPAN TOUR 2023
「ティナリウエン」の東京公演は、渋谷のクラブクアトロにて行われました。
当日券も販売されていましたが、今回はローソンチケットにて事前購入。開場は18時、公演開始が19時で、18時半頃に会場に到着。
エレベーターで4階に上がり、ロッカーに荷物を預け入場口へ。入場にはドリンクチケットの購入が必須なので購入。
会場は、かなりの数のお客さんで混雑しており、ドリンクをいただこうと思ったものの、ドリンク待ちのお客さんが長蛇の列を成していたため、ドリンクは諦めざるを得ず。。ライブ鑑賞する場所の確保へと向かいました。
渋谷クラブクアトロのライブ会場
開演前のホールとステージの様子です。
ホールは、オールスタンディング。客層は幅広く老若男女様々。特に、外国人(欧米人)の多さが目立ちました。「ティナリウエン」の欧米での人気が窺えます。
生で聴く“砂漠のブルース” 広大なサハラを感じさせる骨太のグルーヴ♪
「ティナリウェン(Tinariwen)」が登場!
開演時間を過ぎ、ほどなくして、いよいよ「ティナリウェン(Tinariwen)」が登場!
金色の服にアフロっぽい髪型の「イブラヒム・アグ・アルハビブ」を中心に、トゥアレグの民族衣装を纏った6名のメンバーがステージに姿を現しました!
そして、おもむろにギターを弾き始め、演奏開始♪
硬質で骨太なギターの音色とリズミカルなドラムの音。一気に熱を帯びるホール!
ギターを弾く「アブダラ・アグ・アルハウセイニ」
骨太のグルーヴに揺れるクラブクアトロのホール
会場を盛り上げる「アルハッサン・アグ・トゥハミ」
リーダー、イブラヒムの渋い歌声が最高!
硬質なビートに広大なサハラ砂漠の情景を重ね合わせながら
「アブダラ・アグ・アルハウセイニ」の弾き語りがたまらない!
こちらが、「ティナリウェン(Tinariwen)」東京公演の動画です↓
「ティナリウェン(Tinariwen)」のライブ、本当に素晴らしかったです!
体の奥に響き渡るような骨太なギターの音色とリズミカルなドラムの音。イブラヒムの渋い歌声。ギター、ベース、ドラム、バックコーラスが織り成すグルーヴ感。
雄大なサハラ砂漠を想起させるような、硬質で突き抜けるような音と、遊牧の民トゥアレグの誇りと生き様を感じさせるような、厚みと深みと温かさのある歌声。
生で聴く“砂漠のブルース”は、まさに圧倒的! 酔いしれました♪
「ティナリウェン」の歌は、フランス語とトゥアレグ語なので歌詞の意味はわからず、メンバーも英語や日本語が話せないので、コミュニケーションは難しいですが、メンバーは、観衆に向かって日本語で何度も「アリガトウ!」と言ってくれ、観衆もそれに対して温かな笑いと歓声でレスポンス。
踊りながら会場を盛り上げてくれたアルハッサンや、アンコールでのアブダラの弾き語りもGood! 最高の来日公演となりました★
会場で購入した「ティナリウェン(Tinariwen)」のTシャツ
こちらは、会場で購入した「ティナリウェン(Tinariwen)」のTシャツ(3,500円)。
シンプルなデザインが気に入っています♪
ティナリウェン(Tinariwen)のアルバム
「ティナリウェン(Tinariwen)」は、結成以来9枚のフルアルバムをリリースしています。
そのうちのいくつかをご紹介♪
アマン・イマン~水こそ命(Aman Iman Water is Life)
2007年にリリースされた「ティナリウェン」3作目のフルアルバム。最高傑作との声もある作品です。凄まじいグルーヴ感! このアルバムで初めて「ティナリウェン」を知り、衝撃を受けました。
今回の来日公演でもこのアルバムの曲がいくつか演奏され、会場の盛り上がりも大きかったです。
タッシリ(Tassili)
2011年にリリースされた「ティナリウェン」5作目のフルアルバム。彼らの原点に立ち返った作品で、エレキギターの代わりにアコースティックギターと増幅されていないパーカッションを使用。最もライブでバンド中心で歌中心の作品となりました。
2012年のグラミー賞の最優秀ワールドミュージックアルバム賞を受賞した作品でもあります。
アマジャー~名もなき旅人(Amadjar)
2019年にリリースされた「ティナリウェン」9作目のフルアルバム。前作「エルワン」のツアーを終えた後、彼らは、宗派間の暴力とイスラム過激派の脅威のため、マリ北部の故郷に戻ることができず、砂漠を旅しながら曲を書いたそうです。レコーディングも屋外でモバイル機器を使って行われ、遊牧民の本質を感じさせる作品となっています。
アマツソウ(Amatssou)
Amatssou (ホワイト・ヴァイナル仕様 / アナログレコード)
2023年にリリースされた「ティナリウェン」9作目の最新フルアルバム。U2やボブ・ディランを手掛けるダニエル・ラノワがプロデュースを担当。サザンロックからドイツのサイケロックに至るまで様々な音楽要素を取り入れ、バンジョーやフィドルなどの楽器が用いられるなど音楽的多様性のある作品。
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