ティナリウェンは、西アフリカ、マリ北東部。
サハラ砂漠に住む遊牧の民「トゥアレグ人」のグループ。
「青い民」トゥアレグの生み出した歴史的な傑作アルバム
ヴォーカル、パーカッション、ギターを中心とした彼らの音楽は、「砂漠のブルース」と呼ばれ、ワールドミュージックだけでなく、世界のポピュラーミュージック史においても、特筆すべき音楽であると言われています。
「トゥアレグ」とは、ベルベル人系の遊牧民で、アルジェリア、マリ、ニジェールを中心に100~150万人生活していると言われている民族のこと。
インディゴで染めた真っ青な布で体を覆うため、しばしば「青い民」とも呼ばれます。
トゥアレグは、自分たちのことを、タマシェク語を話す人という意味の「ケル・タマシェク(Kel Tamasheq)」と呼びます。
タマシェク語は、エチオピア語と並び、アフリカ大陸の中で数少ない独自のアルファベットを持つ言語として知られています。
中世にはサハラ交易の主役として活躍したトゥアレグでしたが、19世紀末のフランスの植民地政策、その後のサハラの分割による各国の独立などで、彼らは国家なき民族となってしまいました。
そんな彼らに手を差し出したのが、リビアのカダフィー大佐です。
カダフィーは、離散していたトゥアレグたちを集め、彼らのアイデンティティを確立させ、革命思想を叩き込みました。
田中勝則氏のアルバムレビューによると、このティナリウェンのメンバー(リーダーのイブラヒム、ギターのハッサン、ジャポネ)も、カダフィーの革命戦士養成キャンプに参加したひとりだったのだそうです。
90年代、トゥアレグは、マリやニジェールで武装闘争を開始します。
その後、政府と和平協定を締結し、しばらく闘争は沈静化していましたが、近年再び反政府武装闘争を活発化させているようです。
このティナリウェンのアルバム「アマン・イマン~水こそ命」は、彼らの3作目のアルバムであるそうですが(地元向けには80年代からカセットをたくさん出していたそうですが)、素晴らしいです。
一聴した印象は、シンプルで太い。淡々として乾いた感じ。
アラブ音楽っぽいコブシを効かせた歌声ですが、余計な虚飾がない。
西アフリカのグリオの音楽のような哀切な感じもせず、淡々としている。歌詞も民族の苦しみを訴えている歌が多いのですが、どこか淡々としてストイックな感じ。
ギターの音色がストレートに響いてくる。それでいて、パーカッションと女性コーラスと相まったものすごいグルーブ感。
まさに、過酷なサハラ砂漠を遊牧して生きているトゥアレグの音楽「砂漠のブルース」という感じがしました!
彼らは、2005年には来日もしているそうですよ。
♪アラブ・中東音楽
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