「インド」(India:भारत)
インド最南端の岬「カーニャクマリ」(コモリン岬)。アラビア海、インド洋、ベンガル湾の3つの海が交わるここは太陽が海から昇り、沈む聖地です。ここで日の出を見ました。
今回は、「カーニャクマリ(コモリン岬)」です!
太陽が海から昇り、沈むところ「カーニャクマリ」(Kanyakumari Cape Comorin கன்னியாகுமரி】
日の出前のカーニャクマリ
ムリダンガムの単調なリズムと、それに合わせた女性シンガーの狂的な歌声が聴こえます。
スピーカーから何度も何度も繰り返される音割れしたそのキンキラ声。
寺院から流される祈りの歌声でしょう。
窓の外に目をやると、空は漆黒ではなく濃い群青色に変わっていました。
朝です。今日という一日がもうすぐ始まろうとしているのです。
宿を出た私は海に向かって歩いていきます。目指すは海岸沿いのガート(沐浴所)。そこで日の出を見るというのが私の早起きした目的でした。
ここはインド最南端。海から昇った太陽が、また海に沈む所「カーニャクマリ(コモリン岬)」です。
アラビア海とインド洋、そして、ベンガル湾という3つの海が出会うこの岬は、インド最南端の聖地として知られています。
この町はガンジス川沿いの聖地「バラナシ」のような猥雑と喧騒はありませんが、のんびりと落ち着いて祈りの風景を楽しむにはいいところです。
ガートへと向かって歩いていくと、方々から人々が集まってくるのが見えました。
皆、日の出を拝み、朝の沐浴をしにいくのでしょう。
ふと、顔を上げると既に空が明るくなってきていました。
ガートに着いて驚きました。人が多い!
ガートとその周りの海岸沿いが人で埋め尽くされているのです。どこにこんな大勢の人が隠れていたんだろう。そう思えるほど海岸は混雑していました。
私は大勢のインド人に混じってガートの端っこに腰掛けました。
打ち寄せる波。海の色はまだ深い藍色です。水平線と空の境を見やると、そこは、ぼんやりと赤みを帯びてきていました。
もうすぐです!
ヴィヴェーカーナンダ岩に昇る日の出
ヴィヴェーカーナンダ岩に昇る日の出
浜辺を埋め尽くす人々は皆、今か今かと日の出を待ち続けていました。
空がオレンジ色に輝き始めます。海の色が紫色になり、沖合いに浮かぶヴィヴェーカーナンダ岩の建物の輪郭がはっきりとしてきます。
雲に朱色の光線が当たって、そのうち、真っ赤な太陽がヴィヴェーカーナンダの建物の影からひょっこりと姿を現しました。
日の出です!
聖地で沐浴する人たち
昼間のヴィヴェーカーナンダ岩
太陽が顔を出すのと同時に、人々はぞろぞろと沐浴を始めました。
祈りながら老人たちが海に入っていきます。朝日をバックに写真を撮る家族。日の出をただ呆然と眺め続ける男性。そういった人々にポストカードや貝殻で出来た首飾りを売ろうとする連中。
静かな町、「カーニャクマリ」がこの時だけは活気を見せていました。
旅行時期:1996年10月
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