シリア(Syria:سوريا)
シリアは世界で最も古い歴史を持つ地域のひとつです。
世界史の主舞台として、アッシリアやペルシャ、ローマ、イスラム帝国、モンゴル帝国、オスマン帝国など様々な国の支配を受け、近代になってからはフランスの植民地となりました。
そして、現在では内戦状態となり、テロとの戦いの舞台となっているシリア。ここは世界史の縮図です。
2003年、内戦が起こる前に訪れたシリアをご紹介します。
今回は、アレッポの人々です。
アレッポの人々と旧市街の街の様子。内戦前の風景です。
お菓子屋さんのおじさんと「バクラワ」
ニコニコおじさんといかつい顔の店主
アレッポの街を歩いていると、お菓子屋さんがたくさんあります。
お菓子屋さんには、蜂蜜漬けの甘いパイ「バクラワ」がたくさん並べられています。
写真は、お菓子屋のおじさんです。かなりのオーバーアクションで話しをするおじさんで、蜂蜜漬けの甘いお菓子をいくつかくれました!
旧市街の路地をぶらぶら歩いていると、しばしば子供と出会います。
青年たち。イスタンブールに比べて素朴な感じ
アレッポ城の上にいた少年
イスタンブールから南下してきたので、かなり暑いです。
アレッポは、イスタンブールに比べ、穏やかで静かな街でした。
観光客もあまりいないため、観光客相手の物売りや客引きの姿も見掛けません。
人々はあまり向こうから話し掛けてこないのですが、こちらから話し掛けると道を案内してくれたり、注文する料理を教えてくれたり、とても親切です。
旧市街の城壁の大理石の門
紅茶を飲む親子
喜捨を乞う盲目の人たち
後ろに見える木製の扉のデザインがいいです
アラブ喫茶店「マクハ」で水タバコ体験
アラブ喫茶店「マクハ」には、日がな男たちがぼんやりと水タバコを吹かしながら、紅茶を飲み、バックギャモンなどのゲームに興じたり、会話を楽しんだりしていました。
日本の居酒屋のような雰囲気です。アレッポに多く住むイスラム教徒はお酒を飲むことができないのです。
夜の旧市街で出会った少年たち
アレッポの少年たち
紛争前のアレッポはとても治安がよく、夜歩いても大丈夫でした。
アレッポの夜は早く、旧市街の路地などには人っ気がほとんどなくなってしまうんですが、子供たちが夜遅くまで遊んでいるのに出くわしました。
キリスト教徒地区でミサに参加する
キリスト教徒地区
アレッポにはキリスト教徒も大勢暮らしています。
シリアには様々なキリスト教の教派がいますが、アレッポにはアルメニア正教徒が多いそうです。
日曜日、早起きした私は教会でのミサを見に行くことにしました。
街の北東の一角にあるキリスト教徒地区に入ると、教会の鐘の音色がところどころから聴こえてきます。
路地の奥には大きな教会があって、人々がぞろぞろと中に入っていくのが見えました。
中には大勢の信者が祭壇に向けて座っていました。
私は入り口にいた神父に見学をしたい旨を伝え、一番後ろの椅子に腰掛けると、堂内の人々の様子を観察し始めました。
キリスト教徒といってもイスラム教徒のアラブ人たちと外見的にそんなに差異があるというわけではありません。街ではアラビア語を話し、大勢のイスラム教徒たちと何ら変わらない商売を行っています。
司祭による説教が始まりました。
長々とした説教はちょっと退屈でしたが、周りの人々は真剣に耳を傾け頷いていました。
しばらくすると説教は終わり、若い神父が香を振り撒き始め、カンカンと小さな鐘が鳴らされます。
そして、そのうち聖歌が始まりました。
「ハレルヤ、ハレルヤ・・・」
人々の唱和する美しい祈りの声。
私はそれを聴きながらイスラムの礼拝、サラートを思い出していました。
前日、アレッポ城を下りた後、私は大モスク「ジャミア・ザカリ―エ」を訪れていたのです。
モスクではカフィーヤを被った人が、何度も立ったり跪いたりを繰り返し、目を瞑ってぶつぶつと呟きながらお祈りをしていました。
敬虔な神への祈り「サラート」です。
イスラム教徒とキリスト教徒が共存しているアレッポの町。
今のような状況になるとは想像もできませんでした。
旅行時期:2003年5月〜6月