インド南部、テランガーナ州の州都である「ハイデラバード(Hyderabad:హైదరాబాదు)」
インド第7位の775万の人口を擁する大都市で、長らくイスラム王朝によって統治されてきたため、南インドにありながらムスリム文化が色濃く残っているのが特徴です。
今回は、ゴールコンダ王国(クトゥブ・シャーヒー朝)が築いた丘の上の城砦「ゴールコンダ・フォート」と、王たちが眠る壮大な廟群「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」をご紹介します。
「ゴールコンダ・フォート」と「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の地図
「ゴールコンダ・フォート」「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」MAP
こちらが、「ゴールコンダ・フォート」と「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の位置関係です。
ハイデラバード旧市街から北西に約10kmほど、車で約30分ほどの場所に2つの遺跡があります。ゴールコンダ〜とクトゥブ・シャヒー〜の間は、約2km(車で7分、徒歩30分)です。
まずは、「ゴールコンダ・フォート」へ。
ゴールコンダ・フォート|ゴールコンダ王国(クトゥブ・シャーヒー朝)が築いた丘の上の城砦
「ゴールコンダ・フォート」
「ゴールコンダ・フォート」へは、宿泊していたホテル『タージ・マハル・ホテル』(アビッズ地区にある中級ホテル)から、Uberのリキシャ「Uber Auto」に乗って向かいました(Rs181:¥325
途中、道がかなり渋滞していたので、50分くらいかかりました。時間に余裕を持って行った方が良さそうです。
「ゴールコンダ・フォート」の入り口
「ゴールコンダ・フォート」の入り口です。
入り口でセキュリティチェックを受け、右手に進んでいくと、チケット売り場があります。
チケット料金は、Rs300(¥540)。16時頃入場しましたが、お客さんの数は多く、売り場には行列が出来ていました。お客さんは全員インド人。
「ゴールコンダ・フォート」の城壁
「ゴールコンダ・フォート」の城壁です。
もともとは、11世紀にカーカティーヤ朝によって造られた土塁でしたが、1518年にこの地を治めた「クトゥブ・シャヒー朝」(ゴールコンダ王国:1518年〜1687年)の王によって、要塞化された城へと改修され、王国の首都となりました。
インド人観光客がかなり多い
「ゴールコンダ・フォート」の地図
城は高さ122mの花崗岩の丘の上に立てられています。
城は高さ122mの自然の花崗岩の丘の上に立てられており、巨大な花崗岩の3重壁で取り囲まれ、城壁の長さは約7kmにもなるのだとか。
城は巨大な花崗岩の3重壁で取り囲まれています。
城は8ヶ月にわたったムガル帝国軍の包囲の後、陥落し廃墟となりました。
建設当初、「ゴールコンダ・フォート」は王国の首都でしたが、その後、平和な時代になると、要塞化した城は不便になり、現在のハイデラバード旧市街の場所に首都は移転されます。
そして、城の建造から170年後の1687年、ムガル帝国遠征軍に8ヶ月に渡って包囲された後、「ゴールコンダ・フォート」は陥落し、廃墟となってしまいました。
城の上には登ることができます。
家族連れ、カップル、グループ、たくさんのインド人観光客
城の上からはハイデラバード市内が一望できます。
「ゴールコンダ・フォート」では、城壁の上に登ることが可能です。
城の上からは、城砦の遺構の数々を見下ろすことができ、ハイデラバード市内のパノラマを一望することができます。
城壁は巨石を利用して造られています。
ゴールコンダは、南東にある「コルル鉱山」(16世紀から19世紀にかけて操業)で採掘されたダイヤモンドで有名です。
この鉱山は、当時、世界最大のダイヤモンド鉱山として知られ、城壁内の要塞都市はダイヤモンド取引で有名だったそうです。
コルル鉱山で産出されたと考えられている主なダイヤは下記。
- 「ダリア・イ・ヌール」(182カラット)イランのテヘランにある世界最大のカットダイヤモンドのひとつ。
- 「ヌール・ウル・アイン」(60カラット)イラン皇后のティアラに取り付けられた世界最大のピンクダイヤ。
- 「コ・イ・ヌール」(105カラット)英国王冠に取り付けられたダイヤ。
- 「ホープ・ダイヤモンド」(45.52カラット)「呪われた宝石」として有名な、アメリカ・ワシントンのスミソニアン博物館に展示されている青いダイヤ。
- 「リージェント・ダイヤモンド」(140.64カラット)ナポレオンの剣の鍔やマリーアントワネットの帽子飾りにも取り付けられたルーブル美術館所蔵のダイヤ。
城壁の上からの眺め
「ゴールコンダ・フォート」のパノラマ
城の上からハイデラバードの町のパノラマを眺めていると、街の方々のモスクの尖塔から、夕方のアザーン(イスラムの礼拝の呼び掛け)が聞こえてきました。
イスラム色の濃いハイデラバードならではの、重層的なアザーンの響き。
約7kmにわたって城を取り囲んでいる城壁
この場所で手を叩くと、反響効果によって音が遠くに伝わるとのこと
こちらは、城の正面玄関。このアーチの下で手を叩くと、反響効果によって音が30〜40m離れた王の謁見所まで音が明瞭に伝わるようになっているのだとのこと。
皆さん、手を叩いていました。
ゴールコンダ王国(クトゥブ・シャーヒー朝)が築いた丘の上の城砦「ゴールコンダ・フォート」
約7kmにもなる壮大な城壁は一見の価値あり! 城壁の上から眺めるハイデラバード市内のパノラマもなかなかGoodです★
「ゴールコンダ・フォート」の住所・営業時間・入場料
- 住所:インド 〒500008 Telangana, Hyderabad, Ibrahim Bagh, ケア・コンプレックス
- 営業時間:9:00〜17:30
- 定休日:無休
- 入場料:Rs300
インドのその他の城砦
クトゥブ・シャヒー・トゥームス|王たちが眠る壮大な廟群
「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の入り口
「ゴールコンダ・フォート」を見物した後は、北へ約2kmの場所にある「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」へと歩いて向かいました。
上の写真が、「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の入り口。この先にチケット売り場があります。入場料は、Rs100(¥180)
「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」は、「クトゥブ・シャヒー朝」(ゴールコンダ王国:1518年〜1687年)の歴代の王の墓廟です。
広々とした敷地内には、30の墓と、モスク、霊安室があり、これらの墓は、クトゥブ・シャヒー王朝の統治者と、その王妃、子供たち、彼らに仕えた貴族のものだとのこと。
1543年から1672年までの130年間にわたる王朝の7人のスルタンのうち、5人の墓がここにはあるのだそう。
アブドゥッラー・クトゥブ・シャーの廟
敷地を歩いていると、最初に現れたのが、上の写真の「アブドゥッラー・クトゥブ・シャーの廟」です。
アブドゥッラー・クトゥブ・シャーは、ゴールコンダ王国第7代の王(在位:1626年〜1672年)。王国末期の王で、彼の治世中にムガル帝国が領内に侵入し、ゴールコンダ要塞は激しい攻撃を受け、陥落はしなかったものの、休戦のために莫大な賠償金を支払うこととなってしまったのだそう。
アブドゥッラー・クトゥブ・シャーの廟の説明板
ペルシャとインドの形式が融合した独特のスタイル
「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の墓廟は、いずれも、ペルシャとインドの形式が融合した独特の建築様式で建てられています。
墓廟は高い土台の上に建てられ、尖塔アーチに囲まれた正方形の基礎の上に玉ねぎ型のドームが置かれています。
ドームはもともと青と緑のタイルで覆われていたそうですが、現在は数枚が残っているのみであるとのこと。また、スルタンの墓の上には、スルタンの墓と他の王族の墓を区別するために、黄金の尖塔が取り付けられていたのだとのこと。
廟の入り口
廟の入り口です。入り口脇の幾何学模様の装飾が見事です。
内部には石棺があり、その地下に王が実際に埋葬されていたのだそう。
なお、当時は、内部に絨毯やシャンデリアが設置されていたのだとのこと。
廟は美しい庭園に囲まれています。
廟は美しい庭園に囲まれています。
広々としていて、観光客の数も少なく、ゆったりと鑑賞できます♪
ニザームッディーン・アハメッドの未完成の廟
ハヤト・バクシ・ベグム廟
ファティマ スルタナ霊廟
敷地内には、王の廟以外にもたくさんの廟があります。
2つ並んだ廟
イブラヒム・クリ・クトゥブ・シャーの廟
敷地内には、たくさんの廟があり、それぞれ形が少しづつ異なっていて面白いです。
かつては、あのドームが全部、青や緑のタイルで覆われていたのだと思うと、胸熱です♪
夕暮れに佇む廟群
たくさんの廟が並んでいます。
夕暮れに佇む廟群。
椰子の木が植えられた庭園の向こうに、たくさんの廟が並んで建っています。
なかなか風情ある光景。
ムハンマド・クリ・クトゥブ・シャーの廟
ムハンマド・クリ・クトゥブ・シャーの廟の案内板
こちらは、「ムハンマド・クリ・クトゥブ・シャーの廟」
ムハンマド・クリ・クトゥブ・シャーの廟は、数ある廟の中でも最も壮大なものです。
ムハンマド・クリ・クトゥブ・シャーは、ゴールコンダ王国第5代の王(在位:1566年〜1612年)。ゴールコンダ王国の絶頂期をもたらした王とされ、ハイデラバードを王都として計画・建設した王として有名です。ハイデラバードの象徴である塔「チャール・ミナール」も彼が建設しました。
偉大な建築家であり、詩人でもあり、伝統文化や祭典を保護し、デカン様式の詩韻を最初に確立した事でも知られています。
敷地内にある博物館
ひと通り廟群を見た後、敷地内にある博物館を見学しました。
ちなみに、「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」と「ゴールコンダ・フォート」(「チャール・ミナール」も)は、インド政府が世界遺産の登録を目指している史跡であるようで、史跡自体の保全や、博物館の展示などの整備も進んでいる様子。
既に、ユネスコの「暫定リスト」には登録されています。
「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の俯瞰写真
廟の詳細が展示されています。
「フマユーン廟」
博物館内部には、「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の史跡の詳細がわかりやすい写真パネルで紹介されているほか、関連するムガル帝国の墓廟「フマユーン廟」(世界遺産)も紹介されていました。
ゴールコンダ王国の王たちが眠る壮大な廟群「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」
広々とした庭園の中に無数の廟群が佇む姿は、なかなか雰囲気あります!
敷地内はとても静か。ハイデラバードの街の喧騒から隔絶された、静寂な環境も魅力です★
「クトゥブ・シャヒー・トゥームス」の住所・営業時間・入場料
- 住所:Qutub Shahi Tombs, Hyderabad, ハイデラバード Telangana 500008 インド
- 営業時間:9:30〜18:30
- 定休日:無休
- 入場料:Rs100
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