命がけで守られたシルクロードの秘宝「黄金のアフガニスタン展」を見る

黄金のアフガニスタン エスニックまちある記
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上野の「東京国立博物館 表慶館」(上野公園)で開催されている展覧会「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」(開催期間:2016年4月12日(火)~6月19日(日))を見てきました。

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「文明の十字路」アフガニスタンの黄金の秘宝を日本初公開!

西にイラン、南にパキスタン、北にウズベキスタンやタジキスタン、トルクメニスタン、東に中国と国境を接する内陸国「アフガニスタン」

古来より、東西南北の国々の交易の中心地であったアフガニスタンは「文明の十字路」とも呼ばれます。東西交易路「シルクロード」の真っただ中の地域です。

 

今回の展覧会では、紀元前2100年頃の先史時代から紀元1〜3世紀のクシャーン朝時代までのシルクロードの秘宝を日本初公開!

本国のアフガニスタン国立博物館に収蔵されていた貴重な文化遺産231点と、アフガニスタンから流出し、日本で保護・保管されていた15点が公開されています。

まばゆいばかりの黄金の装飾品はとっても豪華でおしゃれ!

遊牧民文化にギリシャやオリエント、インド、中国までのバラエティーに富んだ文化が融合した展示品は見ごたえ抜群です。

黄金のアフガニスタン黄金のアフガニスタン展の看板

黄金のアフガニスタン東京国立博物館 表慶館

上野公園の奥にある日本最古の博物館「東京国立博物館」

1909年(明治42年)開館の、国の重要文化財にも指定されている「表慶館」で「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」は開催されています。

格調高い「ネオ・バロック様式」の建物は、シルクロードの秘宝を展示するのにふさわしい感じ。

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「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」

黄金のアフガニスタン黄金のアフガニスタン展の入り口

 

「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」の入り口です。

入り口には、本展覧会のメイン・メッセージが掲げられています。

「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」
“A nation stays alive when its culture stays alive.”

今回展示されている秘宝は、歴史的に貴重な遺物というだけではありません。

この秘宝は、アフガニスタンの人々によって命がけで守られた奇跡の秘宝なのです。

 

アフガニスタンの首都カブールにある「アフガニスタン国立博物館」には、「文明の十字路」であったこの地で出土した多彩な名宝が収蔵されていました。

しかし、1979年のソ連の軍事介入とそれに続く内戦により、アフガニスタンの国内情勢は不安定化。さらに、1996年にはイスラム原理主義を掲げるタリバンが首都カブールを占領し、アフガニスタンは極端なイスラム法治下に置かれました。

アフガニスタン国立博物館の文化財もその情勢に脅かされます。

博物館の建物は破壊され、収蔵品の多くは略奪と破壊にさらされることになりました。

 

そんな混乱のさなか、アフガニスタン国立博物館の職員たちは、国の秘宝を守ろうと決死の行動に出ます。

博物館の秘宝の数々を秘密裏のうちに、ある場所へと運び出したのです。

その事実は家族にさえ知らされることはなかったそうです。

 

2004年、タリバン政権は崩壊します。

再び日の目を見る博物館の秘宝。

秘宝は、大統領府にある中央銀行の地下金庫の中に隠されていました。

アフガニスタンの黄金の秘宝は、十数年の眠りから再び目を覚ましたのです。

 

暫定政権樹立後、再建されたアフガニスタン国立博物館には、「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」 という標語が掲げられています。

今回展示された秘宝は、自らの文化を大事にすることの大切さを私たちに伝えてくれています。

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黄金のアフガニスタン展の見事な展示品の数々

黄金のアフガニスタン展

黄金のアフガニスタン

黄金のアフガニスタン展パンフレット

 

「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」は、5つの構成に分かれています。

  • 第1章 テペ・フロール 先史時代(前2100年~前2000年頃)
  • 第2章 アイ・ハヌム グレコ・バクトリア王国時代(前3世紀~前2世紀)
  • 第3章 ティリヤ・テペ サカ・パルティア時代(前1世紀~1世紀)
  • 第4章 ベグラム クシャーン朝時代(1~3世紀)
  • 第5章 アフガニスタン流出文化財

 

「第1章 テペ・フロール 先史時代」では、メソポタミアとインダスの間に栄えた謎の遺跡「テペ・フロール」の遺物が数点、展示されています。

見ものは、文明交流を語る黄金のゴブレット「幾何学文脚付杯」

まばゆい黄金の杯には、中央アジアで3000年に渡って使われてきた凸形のモチーフが描かれています。

 

「第2章 アイ・ハヌム グレコ・バクトリア王国時代」では、アレクサンドロス大王の東征によって建設された都市「アイ・ハヌム」からの出土品が展示されています。

マケドニアのアレクサンドロス大王は、紀元前4世紀にアフガニスタンにやってきました。

「アイ・ハヌム」はギリシア風の植民都市で、街にはギリシア風の神殿や劇場などが建てられていたそうです。

必見なのは、車に乗った大地の女神「キュベーレ女神円盤」

小アジアの大地の女神「キュベーレ」、ギリシアの勝利の神「ニケ」、そして、女神が乗る戦車はペルシア風と、東西の文明のモチーフが融合した興味深い展示品です。

 

「第3章 ティリヤ・テペ サカ・パルティア時代」は、今回の展示のハイライト。

アフガニスタン北部「ティリヤ・テペ」から出土した、遊牧民の王族の墓の埋葬品が展示されています。

1978年に発掘された6つの墓には、5人の女性と1人の男性が埋葬されていました。

墓には、黄金の冠、トルコ石やガーネットなどが飾られた襟飾り、黄金と宝石で散りばめられたドラゴンを操る王の飾り「ドラゴン人物文ペンダント」など、豪華絢爛!

衣服を飾る細かな飾りも、それぞれ細工が細かく、デザイン的にも見事でため息が出るほど。

見ものは、生きているようなムフロン羊「牡羊像」

小さな像ですが、細工が見事でまるで本物のような造形です。

 

「第4章 ベグラム クシャーン朝時代」では、1~3世紀に中央アジアから北インドを支配した「クシャーン朝」の都市「ベグラム」からの出土品が展示されています。

このコーナーの見どころは、地中海から中国、インドまで、ユーラシアを股にかけた交易の様子が垣間見えるところ。

インドの遺跡で見られるような妖艶な女神像「マカラの上に立つ女性像」や、エジプトや地中海世界で発達したカラフルなエナメル彩色が施されたガラス杯「脚付彩絵杯」、ギリシア・ローマそのものという感じの石膏のメダイヨン「青年上半身メダイヨン」など。

シルクロード交流による、様々な文明の影響を受けた文化財がロマンをそそります。

 

「第5章 アフガニスタン流出文化財」では、アフガニスタンで略奪され不法に国外に持ち出された遺物を展示。日本で保護された作品102点のうち15点が展示されています。

この102点は、平山郁夫氏の提唱のもとで保護され、今回アフガニスタンに返還されることとなったそうです。

見ものは、アフガニスタン国立博物館を代表する名品であった「カーシャパ兄弟の仏礼拝」

仏陀の神通力を目の当たりにしたカーシャパ3兄弟が弟子千人とともに仏教に帰依したところを描いた仏教美術の名品です。

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スペシャルナビゲーターは鈴木亮平

鈴木亮平スペシャルナビゲーター就任!

鈴木亮平と見る黄金のアフガニスタン

 

今回の「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」

スペシャルナビゲーターとして、俳優の鈴木亮平さんが就任しています!

音声ガイドも鈴木亮平さんが担当です。

世界遺産マニアとしても知られる鈴木亮平さん、展覧会の会見からも古代文明への愛が感じられます。

 

今回の、黄金のアフガニスタンの展覧会は、アフガニスタンの文化遺産の復興を支援するため企画された展覧会で、フランス・パリにある「ギメ国立東洋美術館」、アメリカ・ニューヨークの「メトロポリタン美術館」、イギリス・ロンドンの「大英博物館」など、世界10カ国の美術館・博物館を巡回しているそうです。

 

古代文明やシルクロードのロマンを味わいたい方も、黄金の装飾品にうっとりしたい方も、満足すること間違いなし!

「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」、貴重な文化財が展示された見ごたえのある展覧会です。

開催概要

会期:2016年4月12日(火)~6月19日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時
土・日・祝日及び5月2日(月)は午後6時まで、金曜日は午後8時まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
会場:東京国立博物館 表慶館(上野公園)

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