岐阜県岐阜市。JR岐阜駅北口駅前にある「岐阜繊維問屋街」
ここは、戦後の岐阜の発展を支えたアパレル問屋街。最盛期は1,800以上のアパレル問屋が軒を連ね、大いに賑わっていたそうですが、現在では大半の店が閉店し、壮大なシャッター街となっています。
そんな、昭和40年代の風情を残す廃墟感満点のアーケードの中に、きっと賃料が安いのでしょう。ベトナムやネパール、カンボジアの食材を扱う「アジア食材店」が4店舗出店していました!
今回は、岐阜繊維問屋街と、その中にあるアジア食材店4店舗をご紹介します。
岐阜繊維問屋街
上から見た「岐阜繊維問屋街」
こちらが、宿泊していた「コンフォートホテル岐阜」から見た「岐阜繊維問屋街」です。
古びたトタン屋根の建物がぎっしり詰まっているのが見えます。
さっそく、下へ降りて、あの中を探検してみることにしましょう〜♪
岐阜繊維問屋街エスニックマップ
こちらが、「岐阜繊維問屋街」の地図。
繊維問屋街の広さは、東京ドームと同じくらい。内部は細かく街路で区切られていて、路地は屋根付きのアーケード街となっています。
繊維問屋街とは言うものの、ここ「岐阜繊維問屋街」は、布地や糸などではなく、既成服の販売が中心の問屋街であるとのこと。
ところで、「岐阜繊維問屋街」って、どんな経緯で作られた街なのか。その歴史について、ちょこっとご紹介します。
「岐阜繊維問屋街」とは?
「岐阜繊維問屋街」が誕生したのは、終戦直後の昭和21年頃。
戦争で焼け野原となった岐阜駅前に、北満州からの引揚者たちが中心となってバラック小屋を作り、古着や軍服などを売り始めました。「ハルピン街」と呼ばれたこのバラック街が、現在ある「岐阜繊維問屋街」の起源と言われています。
昭和23年頃からは古着だけでなく、近隣の一宮や羽島から布を仕入れ、新しい服を作って売る既製服の販売も開始。国鉄岐阜駅の周辺には市場や共同販売所が作られ、一条通りや西問屋町、中央通りなど、現在も残る問屋町が建設されていきます。
昭和30年代後半には大規模な既製服の展示会「岐阜メード展」も始まり、岐阜の既製服は全国で知られるようになります。そして、昭和40年代、日本が高い経済成長を続ける中で「岐阜アパレル」は益々発展。石油ショックなどの危機も乗り越え、岐阜の繊維産業は、岐阜市の産業の中心となっていったのです。
しかしながら、平成から令和へと時代が移り変わる中、中国や東南アジアなどの海外製品の輸入が増加する一方、国内の衣類製造は減少。国内市場も縮小していく中、岐阜アパレルの事業所数、製造出荷額とも大幅に減少している状況です。
「岐阜繊維問屋街」は、そんな、岐阜の繊維産業の栄枯盛衰を垣間見ることのできる場所なのです。
さてさて、「岐阜繊維問屋街」の歴史のお話はこのくらいにして、さっそく問屋街の内部に入ってみることにしましょう〜♪
中問屋町
まずは、この入り口から中に入ってみることにしました。中問屋町です。
のっけからシャター街全開ですが、営業しているお店もちらほら。
なかなかの寂れ具合
中問屋町のアーケードを抜けると、広めの車道にぶつかりました。
車が数台停まっていますが、人通りがほとんどありません。
4丁目「FLOWER STREET」
この路地「4丁目」は、新し目のお洒落な看板が設置されていました♪
「FLOWER STREET」という愛称も付けられています。
寂れた問屋街の再活性化を図るため、地元のアーティストが制作したものと思われます。
紳士服、婦人服、子供服、スポーツウェアなど、色々な既製服のお店があり
「一丁目」
「問屋町ビルセンイ街」
「常盤センイ街」
ほとんど人通りのないシャッター街ですが、街頭だけは煌々と灯っています。
紳士服店が営業していました。
「岐阜繊維問屋街」。県庁所在地の駅前で、人通りが最も多くなる金曜の夕方だというのに、この人気の無さ!
こんな不思議な場所なかなかありません。
問屋街内のアジア食材店
さて、そろそろ、「岐阜繊維問屋街」にあるアジア食材店に行ってみることにしましょう〜♪
お店は4店舗。ベトナム食材店(2店舗)、ネパール食材店、カンボジア食材店です。
岐阜県の在留外国人数(国籍別) ※岐阜県における在留外国人数の状況 | ||||||||
総計 | フィリピン | 中国 | ブラジル | ベトナム | 韓国 | ネパール | インドネシア | |
平成29年12月 | 51,029 | 12,192 | 11,576 | 10,703 | 5,499 | 3,781 | 751 | – |
令和4年6月 | 61,022 | 14,144 | 9,522 | 11,821 | 11,212 | 3,343 | 1,681 | 1,592 |
増減比 | 120% | 116% | 82% | 110% | 204% | 88% | 224% | – |
現在と5年前の国籍別の在留外国人数を比較すると、ベトナム人とネパール人の数がかなり増えていて、問屋街内の食材店の出店にも反映されています。
インドネシア人も増えているので、今後はインドネシア食材店も出店するかもしれません。
XUÂN SHOP GIFU(ベトナム食材店)
ベトナム食材店「XUÂN SHOP GIFU」
まずはこちら。ベトナム食材店「XUÂN SHOP GIFU」です。
三丁目の車道沿いにあるお店で、緑色地の壁に塗られたベトナム国旗のペイント、ベトナム女性のイラストがインパクト大!
さっそく、中に入ってみることにしましょう〜♪
「XUÂN SHOP GIFU」の店内
こちらが、「XUÂN SHOP GIFU」の店内です。
店内はそれほど広くはないですが、売り場は1階と2階があります。
棚とクーラーボックスに商品がぎっしり!
店員さんは、ベトナム人の若い女性の方。お客さんはベトナム人の若めの女性、男性が数人来店していました。
さっそく、商品を物色開始!
玄米ビーフン
魚介類系
「ビアサイゴン」と「333」
こちらも海産物系
インスタントのフォー
店内の陳列棚には、即席のフォーやブンボーフエ、ベトナムの調味料ニョクマム、サイゴンビールや333などのビール、ライスヌードルやライスペーパー、お肉や魚介類など、ベトナム料理で使う食材がたくさん並べられています。
お客さんはほぼベトナム人であるため、表記はベトナム語オンリー。
なので、それが何なのかがわからず、謎な食材が多いです(汗)
2階にも広々とした陳列棚が
ベトナムのスナック
お馴染みココナッツキャンディー
こちらは、2階の売り場。
乾麺やスナック菓子、飲料、調味料などが、ズラリと棚に並んでいます。
ベトナム旅行のお土産として定番の「ココナッツキャンディー」も売られていました♪
商品のお値段は、パッと見で結構安い印象がありましたが、Googleのクチコミでも、「品揃えが豊富で周辺のお店よりも値段が安め」と書かれていました。
岐阜界隈在住のベトナム人に重宝されていそうなお店です。
「XUÂN SHOP GIFU」の情報
- 住所:岐阜県岐阜市問屋町3丁目2
- 営業時間:10:00~20:00
- 定休日:無休
- HP:https://www.facebook.com/profile.php?id=100086166913551
Gifu Spice House(ネパール食材店)
ネパール食材店「Gifu Spice House」
続いてこちらは、ネパール食材店「Gifu Spice House」
一丁目のアーケードの東寄りにあるお店。店頭にはネパール国旗が掲げられていました。
さっそく、店内に入っていきましょう〜♪
「Gifu Spice House」の店内
こちらが、「Gifu Spice House」の店内です。
迎えてくれたのは、ネパールのポカラ出身だと言う女性店主さん。小さなお子さんも一緒です。
まずは、売られている商品の物色開始!
スパイスの数々。チャイも
瓶詰めのアチャール
香炉など
商品は、ネパール料理に使う各種スパイスや豆類。チャイの茶葉、瓶詰めのアチャール、バスマティライスやアタ粉、調味料やスナックなどなど。
品数はそれほど多くはないですが、ネパール料理に必要な素材が揃っています。
日本語堪能な店主さんの話によると、岐阜にはネパール人の留学生が多く住んでいるので、お客さんは結構来るとのこと。
購入した「亜麻仁」(フラックスシード)
こちらは、店主さんに勧められて購入した「亜麻仁」(フラックスシード)300円
α-リノレン酸や食物繊維を多く含み、アレルギー症状や便秘の改善などに効果があるのだそう。
色々教えてくれる親切な店主さん。子供がちょっかいを出してくるのもかわいい。
岐阜で、ジンブーやティムル、グンドゥルックなどのネパール食材を購入したいなら、このお店に来ると手に入ります★
「Gifu Spice House」の情報
- 住所:岐阜県岐阜市問屋町1丁目4
- 営業時間:9:00~20:00
- 定休日:無休
- HP:https://www.facebook.com/profile.php?id=100083507697675
アンコールの食卓(カンボジア食材店)
カンボジア食材店&レストラン「アンコールの食卓」
お次は、カンボジア。
カンボジア食材店&レストラン「アンコールの食卓」です。場所は、一丁目のアーケードの西端の角。
このお店、日本語の店名からもわかる通り、オーナーは日本人の方。カンボジア人男性と結婚した日本人女性が経営しているお店であるとのこと。
看板も幟も、日本語で書かれた日本らしいデザインです。
スプリングフェア開催中!
店頭の手書き立て看板も日本語。スプリングフェア開催中です♪
「アンコールタロット占い」、どんな占いなのか気になります!
「アンコールの食卓」の店内
こちらが、「アンコールの食卓」の店内です。
店内は小ぢんまりとして雑然とした感じ。お店番をしていた方は、3日前からここで働き始めたというカンボジア人女性の方。それまでは福岡に住んでいたのだそう。
「アンコールの食卓」は、カンボジアの食材や雑貨を販売するアンテナショップとしての役割のほか、近隣で生活するカンボジア人技能実習生の集いの場、心の拠り所の場としての役割も果たしており、週末になると多くのカンボジア人技能実習生たちがこのお店に集まるのだとのこと。
皮がついたままのカンボジアのカシューナッツ、カンボジアの黒胡椒
カンボジアやタイなどの食材、日本のもあります。
カンボジアシルク、醤油や魚醤、チリソース
「カンポットペッパープレミアム」
日本語学習教材
デバター像のミニチュアとか、パワーストーンとか
木彫りの仏像
棚に並べられた商品は、カンボジアの発酵調味料「プロホック」、胡椒の産地として知られるカンポット産の黒胡椒、日本ではなかなか目にする機会のない「生胡椒の塩漬け」、皮がついたままのカンボジアのカシューナッツなどのカンボジア食材のほか、タイのカレーセットや日本の食材、カンボジアシルクやカンボジア雑貨、木彫りの仏像やパワーストーン、日本語教材まで様々。
店員さんの話では、お店の奥には、購入した即席麺などを食べられるイートインのスペースもあり、ゆくゆくはそのスペースを使ってカンボジア料理を提供するレストランを開きたいと考えているのだとか。
土日になると、多くの在住カンボジア人たちが集うという「アンコールの食卓」
きっとその時にお店を訪れたら、カンボジアの現地にいるかのような気分に浸れるはずです★
「アンコールの食卓」の情報
- 住所:岐阜県岐阜市問屋町1丁目6番地3
- 営業時間:10:00~20:00(土日は~23:00)
- 定休日:無休
- HP:https://www.instagram.com/angkor_diningtable
Thai Duong Mart Gifu(ベトナム食材店)
ベトナム食材店「Thai Duong Mart Gifu」
最後に訪れたお店はこちら。ベトナム食材店「Thai Duong Mart Gifu」です。
場所は、4丁目「FLOWER STREET」沿い。ベトナムカラーの看板。店頭にはベトナム国旗が掲げられていました。
今回訪れた4店舗の中で一番大きな食材店です。
ちなみに、岐阜県の在留ベトナム人数は、令和4年6月時点で約1万2千人。5年前の倍になっています。
「Thai Duong Mart Gifu」の店内
こちらが、「Thai Duong Mart Gifu」の店内です。
店内はそこそこ広くて、小規模なスーパーマーケットくらいの広さ。
商品がぎっしりと陳列された棚、冷蔵・冷凍食材を納める冷蔵庫や冷凍庫もたくさんあり、お客さんもたくさんおりました(もちろん、ほぼ全員ベトナム人と思われる方)。
さっそく、店内の商品を物色開始!
燕の巣入り清涼飲料水、甘いベトナムのグリーンティー、冬瓜のジュース
ココナッツキャラメル調味料、タコノキの葉のオイルなど謎な食材がたくさん!
ベトナムの甘味「チェー」
ベトナムコーヒー、蓮茶
ライスペーパー、鴨の血、ベトナムサラミ、インスタントくらげ
こちらも謎食材
お肉、レバーなど
鶏まるごと
スッポン!
巨大な淡水魚
店内の陳列棚&クーラーボックスには、ベトナム料理で使われる、ありとあらゆる食材が揃っている感じ。
フォーやブンなどの麺類、即席麺。調味料はヌックマムやチンスチリソース。
「ココナッツキャラメル調味料」「タコノキの葉のオイル」など謎な調味料があったり。味が想像つかない「燕の巣入り清涼飲料水」や、商品名がインパクト大の「鴨の血」など、ベトナムならではのエキゾチックな商品があったり。鶏がまるごと一匹、冷蔵庫に入っていたり、スッポンが何気なくパッキングされていたり。
日本のスーパーでは、まず売られていないであろう食材が盛り沢山!
かなり面白いです。このお店「Thai Duong Mart Gifu」★
「Thai Duong Mart Gifu」の情報
- 住所:岐阜県岐阜市問屋町4丁目7
- 営業時間:8:00~22:00
- 定休日:無休
- HP:https://thaiduongmartvn.com/
ぎふアートウォール(問屋町ウォールアート)
問屋街のアジア食材店4店舗を見て回った後、向かったのは、「ぎふアートウォール(問屋町ウォールアート)」というスポット。
「ぎふアートウォール」は、問屋町三丁目の南壁に描かれたアート作品で、再開発済みの六丁目との境にあります。
「ぎふアートウォール」
こちらが、その「ぎふアートウォール」
全長130mの建物の壁全体に空と雲の絵が描かれていて、とてもシュールな景観です。
「ぎふアートウォール」は、岐阜問屋町二丁目協同組合によって立ち上げられた「全長130mのレトロ壁をみんなの楽しい壁に!」プロジェクトによるもの。
プロジェクトは2020年にスタートし、県美術館前館長の古川秀昭氏がデザイン監修を担当。2021年3月に壁面のペイント「空と雲のアートウォール」が完成し、大々的な完成式典も開催されたのだそう。
シュールな風景です。
MadBlast HIRO(マッドブラストヒロ)さん制作の壁画
こちらは、2020年8月に守富環境学総合研究所の依頼で描かれた、環境をテーマとしたアート作品。壁画を描いたのは、岐阜県各務原市出身のアーティスト「MadBlast HIRO(マッドブラストヒロ)」さん。
路地の両側にもアートが描かれています。
路地の両側にも、様々なアーティストによる壁画が描かれていました。
今後、徐々に問屋街全体に広がっていくのかもしれません。
お洒落系のお店があります。
ウォールアートの表側はこんな感じ
問屋街には、アジア系食材店のみならず、おしゃれなカフェやバーなどがぽつぽつと出店し始めており、数年後は岐阜の新たな観光名所として生まれ変わっていきそうな感じです♪
それにしても「ぎふアートウォール」、建物の壁全体がペイントされた景観は、まるで外国のような風情でした。
コロンビアのグラフィティーアートのストリートを思い出しました★
ホテルの窓から見た夜の岐阜駅
JR岐阜駅北口駅前にある「岐阜繊維問屋街」
昭和40年代の風情を残すアーケードの風情は必見!
駅前の一等地で、こんな壮大なシャッター街があるなんてびっくりです!
再開発や活性化のプロジェクトが進んでいるので、今が訪れ時。
壁画アートがさらに描かれ、お洒落な店舗がさらに増えるであろう今後についても楽しみ♪
アジア食材店の出店も、ますます増えていくかもしれません★
岐阜のエスニック記事
https://search-ethnic.com/ethnicwalk/gifu-senitoiyagai
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