【インド】ブッダが悟りを得た地「ブッダガヤ」 – 2500年前、この地で仏教が生まれた!

【インド】ブッダが悟りを得た地「ブッダガヤ」 – 2500年前、この地で仏教が生まれた!

インド ブッダガヤ インドの旅
ブッダガヤ(インド)
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ネーランジャラー川のほとりにある仏教発祥の地「ブッダガヤ」。のんびりとしたこの土地で、釈迦は悟りを開きました。各国の仏教寺院や川向こうのセーナー村を訪れます。

今回は、ブッダガヤについてご紹介します。

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マハーボーディ寺院(大菩提寺)

インド ブッダガヤ

ゆるゆると流れるネーランジャラー川のほとり。

疎らに生えた椰子の木や菩提樹がどこまでも広がっていくような風景。

水色に塗られた空の向こうから黄色い陽光が燦燦と降り注ぎ、汗で体をテラテラと光らせた人や水牛が黙々と田畑を耕している、そんな風景。

2500年前、釈迦、「ゴータマ・シッダールタ」は、この風景の中にいました。

 

ビハール州南部、「ブッダガヤ」(Bodh Gaya:बोधगया)

文字通りここは彼が、仏陀(悟った人)となった場所です。

この地で彼は、世の中の真理としての四法印(諸行無常、一切皆苦、諸法無我、涅槃寂静)を悟ったのだと言われています。

インド ブッダガヤ

雨が止み、夏の暑さの和らいだ乾季のある日、私はこの村を訪れました。

「ブッダガヤ」は小さな村です。列車の通るガヤの街から南へ10キロほどネーランジャラー川沿いにリキシャを飛ばすと、現地名で「ボードガヤー」と呼ばれるこの村に到着します。

 

「ブッダガヤ」の中心は「マハーボーディ寺院」(大菩提寺)

釈迦の悟った場所に、高さ53メートルのレンガ造りの仏塔が聳え立っています。

アショーカ王が紀元前3世紀に建てたのが起源といわれているその仏塔は、7世紀頃には既に現在の形になったと考えられています。

 

私は伽藍に向かって歩いていきました。

寺院へと向かう参道を通りかかると、そこには異様な光景が展開されていました。

 

ズラリと道の両側に並ぶ物乞い!

老若男女、様々な物乞いが、顔を歪めたり、憐れみを乞うような仕草を繰り返したり、どろりとした目でこちらを見つめていたりしています。

 

まるで餓鬼か魑魅魍魎のよう。

私はびっくりしてしまいました!!

 

彼らの目の前には壺や皿が置かれています。そして、そこには結構な量の小銭やお札が積み上げられていました。

おそらく仏蹟ツアーなど金払いのいい団体ツーリストがよく喜捨をしていくのでしょう。

 

村の青年は言います。

「奴らは働かないくせに俺たちより稼ぎがいいんだ。納得いかないよ」

インド ブッダガヤ

参道を抜けると大塔の正面に出ます。

塔の本殿にはキラキラと輝く黄金の仏陀が祀られていました。

人々は朝な夕なそれに祈りを捧げるのです。

インド ブッダガヤ

インド ブッダガヤ

インド ブッダガヤ

大塔の周りにはたくさんの仏像が並び、巨大な聖池が広がっています。

瞑想や修行をする場があり、世界中から訪れた信者が礼拝していたり、仏教の思想にハマった西洋の若者たちが座禅を組んだりしています。

インド ブッダガヤ

インド ブッダガヤ

大塔の後ろには大きな菩提樹があります。

そして、その下には仏陀が座していたといわれる金剛座が置かれていました。

ここが仏陀の悟りを開いたところ、仏教発祥の場です!

 

青々と繁る菩提樹の様子をぼんやりと眺めていると、傍らにいたインド人が私にこんなことを言いました。

「日本にオウム真理教の麻原という奴がいるだろう。そう、例の地下鉄テロを起こした奴だ。彼はこの誰も立ち入ることを許されない金剛座に無断で入り、そして、座ったんだ。大騒ぎだったよ」

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ブッダガヤ、各国の寺院

インド ブッダガヤ

ブッダ・ガヤは世界中の巡礼が訪れるということもあって、小さな村の割にはやけに国際色豊か!

それを最もよく表しているのが、村のあちこちに建てられている各国の仏教寺院です。

 

それぞれの国の仏教団体が国の信者を宿泊させるため、勤行の場を提供するため、お寺を建てています。

各国のお国柄の出た様々な様式のお寺。それを見て周るのはなかなか面白いものです。

インド ブッダガヤブータン寺

インド ブッダガヤブータン寺の仏像

インド ブッダガヤブータン寺の曼荼羅

インド ブッダガヤチベット寺

インド ブッダガヤチベット寺の仏画

インド ブッダガヤチベット寺の仏画

 

仏教は、「これが本当に同じ宗教なのか!」と思えるほど、国や宗派によってその思想、礼拝のスタイルが異なっています。

いろいろなやり方で祈りを捧げる信者が、そこにはいました。

インド ブッダガヤ台湾の尼僧

インド ブッダガヤぐるぐると仏塔の周りを回ります。

 

仏塔の周りをぐるぐると回っている台湾の尼僧。臙脂の袈裟を着たチベット僧が、全身を地面に投げ出し、そして、立つ、ということを繰り返す「五体投地」をしています。

日本から来た仏教団体のおばさん連中が、普通の観光旅行と何ら変わらない様子でべちゃべちゃと喋くり合っています。

インド人の仏教徒の姿もありました。インドでは仏教徒は少数派ですが、1956年、指導者アンベードカル」によって数十万の不可触民が仏教に改宗しています。

そして、アンベードカルの意思を継いだ日本人僧「佐々井秀嶺」氏の尽力により、現在その数は840万人に膨れ上がっているのだそうです(政府に届け出ない人が多いため実際は5000万人はいると佐々井氏は主張しています)。

 

そういった祈りの風景をのんびりと見て周っていると、いつものようにどこからともなくインド人が現れて、何ごとかを勧誘し始めます。

ここは聖地であるだけでなく、インド有数の観光地でもあるのです。

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セーナー村

髭の男性が話し掛けてきました。

流暢な英語を操り、日本語も少し話せる彼。

私を信用させるためなのかどうなのか、おもむろに名刺を渡してきました。

 

「ブッダ・ガヤ物産店(大塔前)」

日本語で書かれた名刺です。

 

彼はネーランジャラー川の対岸にあるセーナー村(仏陀の史跡が点在する)に行こうとしきりに誘ってきました。

彼に付き合ってしまうと、後で必ず土産物を買う羽目になることは明らかです。

けれども私は、執拗な彼の勧誘に根負けし、後で数珠をひとつ買うくらいなら仕方がないかと思って、彼と一緒にセーナー村に行くことに同意してしまいました。

インド ブッダガヤ

乾季のネーランジャラー川は干上がっていました。

雨季には濁流に飲み込まれるであろうその広大な河床には、チョロチョロとしか水は流れていません。

その水をジャブジャブとさせながら対岸に向かって歩いていきます。

 

川の向こうには薄靄に霞む「前正覚山」の姿がぼんやりと見えます。

「前正覚山」は仏陀が断食修行をしたという岩山です。

 

川を渡り切ると、安っぽい像が立っていました。

仏陀と、その前に跪いている半裸の男の像です。

土産物屋の彼によると、「瞑想する時、尻の下に敷く草をブッダに与えるバラモンの像」であるとのこと。

 

田舎道を2人してぷらぷらと歩いていくと、丘の上に出ました。

丘からは辺りに広がる田園風景と、その先に佇む「前正覚山」の姿が見えます。

 

緑の田園には、ぽつんぽつんと椰子の木が生え、所々にこぶ牛が寝ています。

裸で走り回っている子供らがいて、頭の上に籠を載せて歩いている女性と田圃の中を水牛と共に練り歩いている農夫の姿が見えます。

典型的なインドの農村風景です。

 

土産物屋が言います。

「この辺りにはコブラや虎、象などがいる。虎や象はめったに現れないが、コブラやサソリはよく見かける」

彼によると、インドコブラの毒は強力で、噛まれると必ず死んでしまうそうですが、サソリの場合は刺されても薬を付ければ大丈夫であるとのこと。

 

彼の話を聞くや否や、私はすぐさま周りをキョロキョロと確認してしまいました!

それを見た彼が笑いながら言います。

「大丈夫だよ。コブラもサソリも昼間はあまり見ないから」

インド ブッダガヤ

丘を下り、さらに歩いていくと「セーナー村」があります。

そして、村外れのヒンドゥー寺院の裏手には、「スジャータの像」がありました。

 

土産物屋の彼が説明します。

シッダールタ(後のブッダ)は6年もの期間、厳しい断食修行を行い、何度も生死の境をさまよった。

けれども、そのうち彼は、いくら苦行をしたところで悟りは得られないと感じるようになった。

ある日、スジャータという娘が彼の前に現れ、乳粥を差し出した。

そのとき、彼はあっさりとそれを飲んでしまった。

その後、シッダールタは悟りを得る。

そして、「サールナート」へ向かい、5人の弟子に、スジャータの粥を飲んだ理由と、悟りを得たということを話して聞かせた。

こうして、仏教は生まれた。

インド ブッダガヤ

「ブッダガヤ」の村に戻ると案の定、土産物屋に連れて行かれました。

高価そうな仏像やら宝石やらを次々と見せられます。

けれども、私はそんな高価な土産を買うつもりがないことを説明し、菩提樹の実で出来た数珠(50ルピー)を1本だけ買うことにしました。

 

土産物屋の彼は一気に不機嫌になってしまい、それまでのニコニコ顔が消えて、不満たらたらの渋い顔になってしまいました・・・。

 

旅行時期:1996年10月・2003年10月

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