インド・ブッダガヤの日本寺で15分間、座禅を組みました!

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インド ブッダガヤ エスニックな旅
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「ブッダガヤ」の日本寺では、訪れた人誰でも夕方の勤行と座禅に参加することができます。

「座禅は鼻で息を吸い、吐くという動作を意識することが大事です。それをずっとし続けていると心が整えられるのです」と僧は言いました。

今回は、ブッダガヤの日本寺です!

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ブッダガヤの日本寺では、訪れた人誰でも夕方の勤行と座禅に参加することができます。

インド ブッダガヤブッダガヤの日本寺

 

夕方、日本の田舎であれば、カーカーと鳴くカラスのシルエットが夕焼け空に見える頃、私は「ブッダガヤ」にある「日本寺」へと向かいました。

夕方の勤行と座禅に参加するためです。

 

日本寺の堂内はシンプルでガランとしていました。

「ブッダガヤ」にあるたくさんの各国仏教寺院の中でも、とりわけこの「日本寺」は静かで落ち着いた印象を受けました。

靴を脱ぎ、ひんやりとした床に胡座をかいて座ります。

私の隣にはもう一人、日本人の若者が座りました。

 

しばらくすると、若い日本人僧が現れました。

丁寧に会釈をし、静かに語り始めます。

はっきりとした目鼻立ちが意志の強さを感じさせる、そんな僧です。

話の中身は忘れてしまったのですが、僧は仏教的な小話を少ししました。

そして、それが終わると「これから座禅をします」と言いました。

座禅の時間は15分間だそうです。

 

「座禅は鼻で息を吸い、吐くという動作を意識することが大事です。それをずっとし続けていると心が整えられるのです」

と僧は言いました。

 

薄暗くなり始めたお堂で座禅が始まりました。

正座をして目を閉じる私たち。

息を吸い、吐く。息を吸い、吐く。それを意識し続け、無我の境地を目指します。

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なかなか難しい“無我の境地”

インド ブッダガヤブッダが悟りを開いた菩提樹

 

辺りはしんと静まり返っていました。

遠くで鳴いているカラスや虫の声がやけにはっきりと聴こえてきます。

目を閉じていても、耳から入ってくる情報がどうしても頭の中を駆け巡っていってしまいます。

無我の境地はなかなか難しいです。

 

けれども、それでも座禅をし続けていると次第に気持ちが落ち着いていき、心が整えられていくような感じがしてくるから不思議です。

久々にした座禅。

ああ、これが座禅なんだな、と私は改めて思いました。

 

ところが、世の中はそんな簡単にはいかないものです。

私たちに新たな困難が待ち構えていたのです。

 

ウィ~ン・・・。

耳元にか細い音が聴こえてきます。

蚊です!

 

整えられていた心は一気に掻き乱されました。

その音を聴いた途端、私は体中がむず痒くなっていくのを感じました。

足と手と耳たぶに痒みを感じ始めます。

痒い場所は時間がたつに連れて徐々に徐々に増えていきました。

 

痒い、掻きたい。でも、掻けない。

あと5分くらいでしょうか。早く終わって欲しい・・・。

もう少しの我慢。だけど、もう我慢できない、痒い。

 

ウィ~ン、ウィ~ン・・・。

蚊の数はさらに増したようです。

もう落ち着いた心はどこかに吹っ飛んでいってしまいました。

耳元に近づいた蚊を手で振り払い、蚊が足に着地したのを感じ、思わず体を震わせてしまいます。

 

そして、正座をした足もいよいよ痺れてきました。

足の感覚が麻痺したことで痒みは感じなくなってきましたが、その痛みは痒みよりもさらに辛いです!

 

ふと、薄目を開けて正面に座している僧の方を見てみました。

スッと腰を直立させ微動だにしていません!

素晴らしい・・・。

 

彼はこの蚊の来襲のさなか、痒みや痺れなどまるで意に介していないように見えました。

あれが本物の無我の境地なのでしょうか・・・。

私は感心してしまいました。

 

15分が経ちました。座禅の終了です。

目を開け、足を崩し、体中を掻き始める私たち2人。

 

僧は足を崩したり、体を掻いたりなど一切せず、涼しげな表情で静かにこちらを見つめていました。

さっぱりとした顔、力強く澄んだ目。

私は思いました。

「この人は煩悩を消し去るということにおいて、私たちのずっと先を行っている人なんだな」と。

 

隣の若者が僧に尋ねます。

 

「どうして、この寺で修行をされているんですか?」

穏やかな微笑を湛えながら僧は答えました。

 

「最初、日本の寺にいました。ですが、日本の寺は体育会系の根性、苦行の世界。それに、日本のお坊さんはサラリーマン、寺は会社のようです。そこでは本当の修行は出来ないと感じ、タイに行きました。タイで一年修行をしましたが、それ以上そこに居させてはもらえず、だから、ここへ来ました」

人生の真理をひたむきに求め続ける僧。

僧のその澄み切ったような微笑を眺めながら私は、こんな人生もあるんだと、深く感銘を受けました。

 

旅行時期:1996年10月

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