タイ北部ムアンチェンマイ郡、ピン川のほとりにある「チェンマイ」
「ラーンナータイ王国」の首都として、メンラーイ王により1296年に建設された古都で、北部タイの文化・経済の中心地です。
700年あまりの歴史を持つこの町には、数多くの寺院があります。その数、およそ100以上。
今回は、その中からおすすめできる魅力的な6つの寺院を紹介します。
①ターペー門
ターペー門
「チェンマイ」の町は、一辺約1.6㎞四方の堀で囲まれたほぼ正方形の形をした「旧市街」を中心に広がっています。
旧市街を囲む堀には5つの門があります。
北に「チャーン・プアック門」、西に「スアン・ドック門」、東に「ターペー門」、南には2つの門「スアン・プン門」「チェンマイ門」があり、その中でも一番メインの、街のランドマークでもある門が、この「ターペー門」
ターペー門
かつては、この煉瓦造りの城壁が旧市街全体を囲んでいたそうですが、道路建設のため取り壊され、現在では各門の周囲にわずかに残るのみとなっています。
「ターペー門」の前は広場のようになっており、鳩がたくさんいたり、記念撮影を撮っている観光客や、のんびりと散歩している地元の人がいたりと、穏やかな賑わいを見せています。
「ターペー門」から西には、日曜にナイトマーケットが開かれる旧市街のメインストリート「ラチャダムヌーン通り」が続いており、「ターペー門」は、待ち合わせ場所としても、街歩きの起点としても便利なところです。
ターペー門
さて、ターペー門から旧市街に入り、ラチャダムヌーン通りを西へ。
ホテル・タマリンド・ヴィレッジの手前の交差点を右折し、600mほど北へ進んだ左手に、チェンマイ最古の寺院「ワット・チェンマン」があります。
②ワット・チェンマン
「ワット・チェンマン」
「ワット・チェンマン(Wat Chiang Man:วัดเชียงมั่น)」は、「ラーンナータイ王国」を興したメンラーイ王により1297年に建立されたチェンマイ最初の寺院です。
煉瓦と木材で建てられ、様式はラーンナー様式です。
「ワット・チェンマン」とソンテウ
トゥクトゥク
境内には、中央礼拝堂、新礼拝堂、本堂、経蔵、仏塔があり、なかなか広大ですが、観光客や参拝者の数も多くなく、落ち着いた雰囲気。
のんびりと見て回ることができます。
「ワット・チェンマン」の中央礼拝堂
寝釈迦と壁面に描かれた仏画
中央礼拝堂の御本尊
「ワット・チェンマン」の中央礼拝堂です。
正面に祭壇があり、周囲をたくさんの仏像が取り囲んでいます。
現在の礼拝堂は、1920年代に高僧によって改修されたものだそうで、どれかはわかりませんでしたが、仏立像の中には托鉢の鉢を持つタイ最古の仏像があるのだとか。
中央礼拝堂のテラス
中央礼拝堂の周囲はテラスのようになっています。
吹き抜けるそよ風が気持ちいいです♪
新礼拝堂の祭壇
こちらは、新礼拝堂。
新礼拝堂には、2体の貴重な仏像が祀られています。
ひとつは、水晶の仏像「プラ・セータン・カマニー」。西暦200年頃に作られたと言われている仏像で、災いから守ると考えられています。
もうひとつは、浅浮彫の彫像「プラ・スィラー」。象を馴らして立つ仏陀を描いた石碑で、インドに起源を持つとされています。
この像には、雨を降らせる力が宿っていると言われます。
いろいろ見たのですが、結局どの仏像が「プラ・セータン・カマニー」で「プラ・スィラー」なのか、ちょっとわかりませんでした(汗)
「チェーディー・チャーンローム」(象の仏塔)
こちらは、中央礼拝堂の裏手に立っている「チェーディー・チャーンローム」
“象の仏塔”として知られるこの仏塔は、「ワット・チェンマン」にある建物の中でも一番古い建造物です。
煉瓦と化粧漆喰で出来た実物大の象15頭が金箔が施された仏塔を支えるようなスタイルになっています。
優美な形の中央礼拝堂
中央礼拝堂の屋根の飾り
中央礼拝堂の建物を後ろから見たところ。
屋根の端の「人」の文字型に広がっている部分は「ナー・ジュア」と呼ばれ、屋根のてっぺん部分の飾りは「チョー・ファー」と言うそうです。
「チョー・ファー」は、タイの守護神である聖鳥ガルーダの象徴と言われ、「チョー・ファー」から下方へと連なるギザギザの部分は、蛇神ナーガを表したものです。
ワット・チェンマン
- アクセス:ターペー門から徒歩13分
- 時間 :毎日8:00~17:00
- 入場料 :無料
北門「チャーン・プアック門」
「チャーン・プアック門」近くのカオソイ食堂
「ワット・チェンマン」を出た後、北へと向かいます。
北門である「チャーン・プアック門」を出てお堀沿いに西へ300mほど歩くと、右手に「ワット・ロックモーリー」が現れます。
③ワット・ロックモーリー
「ワット・ロックモーリー」
「ワット・ロックモーリー(Wat Lokmoli:วัดโลกโมฬี)」は、チェンマイ旧市街の北、お堀沿いにある小ぢんまりとした寺院。
14世紀半ば頃建立されたと考えられ、後ろに立つ巨大な仏塔は1527年の建立です。本堂は新しい建物であるとのこと。
「ワット・ロックモーリー」の境内
「ワット・ロックモーリー」本堂入口
「ワット・ロックモーリー」本堂内部
本堂の屋根裏の装飾
「ワット・ロックモーリー」の本堂です。
有名なお寺ではないので人影はまばら。本堂が工事中だったのが残念でしたが、趣のある寺院です。
1527年建立の仏塔
本堂の裏手には、1527年建立の仏塔があります。
本堂は新しいですが、こちらは歴史ある建物。
仏塔の前に色とりどりの短冊?が
ここで短冊を買って奉納するみたいです。
仏塔の前には、色とりどりのカラフルな短冊が吊るされておりました。
脇にある売店で短冊を買って奉納するみたいです。
「ワット・ロックモーリー」、ちょっと地味なお寺ですが、日本人的な美的感覚に合う感じで、なかなか好みのお寺でした。
「ワット・ロックモーリー」を出た後、再び旧市街の中に入っていき、チェンマイで最も格式が高い寺院「ワット・プラシン」を目指します。
シンハラットロード沿いの屋台
シンハラットロード沿いの麺食堂
旧市街の西を南北に走る「シンハラットロード」を南へ。
「ラチャダムヌーン通り」にぶつかった右手に「ワット・プラシン」はあります。
④ワット・プラシン
「ワット・プラシン」
「ワット・プラシン(Wat Phra Singh:วัดพระสิงห์ วรมหาวิหาร)」は、チェンマイで最も格式が高いとされている寺院。
1345年にラーンナー王パーユーが、父の骨を埋葬するために建立したとされ、当初は「ワット・リーチエンプラ」と呼ばれていたそうですが、第7代王のセーンムアンマーがチェンライからプラシン仏像(獅子仏)を迎え入れてからは、「ワット・プラシン(獅子の寺)」と呼ばれるようになったのだとのこと。
「ワット・プラシン」の本堂入口
入口の蛇神ナーガ像
さすが、チェンマイ最高の格式の寺院、これまで訪れた2つの寺院に比べ、段違いに参拝者や観光客の数が多いです。
境内の敷地もかなり広大。
靴を脱いで、帽子を取って、さっそく中に入っていきましょう〜。
受付でお供えのお花を売っています。
こんな可愛らしい托鉢僧の喜捨箱が
「ワット・プラシン」の本堂
広々とした本堂の中には、大きな黄金の仏像が鎮座する祭壇があり、その周囲では方々でお坊さんが参拝者にお経を唱えておりました。
真剣にお祈りしている地元の方も多く、チェンマイの人々にとって、この「ワット・プラシン」は重要な寺院なのだということが伝わってきます。
お経を唱える僧
リアルな高僧たちの人形
お坊さんたちがたくさん!
と思ったら、これ、作り物なんです!
「ワット・プラシン」には、上の写真のようなリアル過ぎる高僧の人形がたくさん並んでおり、ちょっとびっくりします。
シワやシミなどもしっかりと再現されていて、マダム・タッソーもびっくり!
本堂の裏手には黄金の仏塔が!左の建物は「ライカム礼拝堂」
インパクトのある黄金の仏塔
本堂を出て裏手に行くと、見た目かなりインパクトのある黄金の仏塔の姿が目に飛び込んできます。
黄金仏塔の台座には半身の象が顔を出しているなど、かなりフォトジェニック!
黄金仏塔の左手には、小ぢんまりとした礼拝堂「ライカム礼拝堂」があります。
「ライカム礼拝堂」は、ワット・プラシンの中でも特に重要な建物。
この中には、寺院の名前の由来ともなった黄金のプラシン仏像が安置されているのです。
「ライカム礼拝堂」
「ライカム礼拝堂」の内部です。
全体的に赤い色調をした内部は、重厚で高貴な印象。
正面に鎮座しているのが黄金のプラシン仏像なのでしょうか?
寝釈迦「ワット・プラシン」
「ワット・プラシン」の境内はかなり広々としていて、他にもたくさんの建物があります。
兎にも角にも、一番重要なプラシン仏像を見たところで、次の寺院へと向かいましょう。
ワット・プラシン
- アクセス:ターペー門から徒歩15分
- 時間 :毎日8:00~20:00
- 入場料 :無料
⑤ワット・ムーン・グン・コーン
「ワット・ムーン・グン・コーン」
「ワット・ムーン・グン・コーン(Wat Mueng Nguen Kong:วัดหมื่นเงินกอง)」は、「ワット・プラシン」から200mほど南へと進んだところにある小さな寺院。
14世紀半ば、ランナータイ王国第6代王クーナーの時代に、商売で成功し財を成したムーン・グン・コーンという人物が王室の財務を担う高官に昇進し、その後仏教のために役立てたいとして自宅の土地にこの寺院を建立したと言われています。
ラーンナー様式を代表する建築のひとつ
木造で建てられた本堂はラーンナー様式を代表する建築のひとつ。
残念ながら本堂の内部には入れませんでしたが、小ぶりながらもなかなか優雅な外観をした寺院でした。
本堂の側面には、カラフルな仏像たちがこんなにたくさん!
木造の本堂とカラフル仏像と緑の木々とトゥクトゥク
本堂の脇の小堂には穏やかな顔の黄金の寝釈迦仏が!
木造の本堂の側面には、カラフルな仏像たちがたくさん並んでいたり、本堂の脇の小堂には穏やかな顔の黄金の寝釈迦仏があったりと、小ぢんまりとしていながらも魅力溢れる寺院。
2009年に上映されたチェンマイを舞台とした映画「プール」の舞台としても登場した寺院です。
訪れる人もあまりいない静かな寺院ですが、チェンマイの中でもこの寺院、かなり気に入りました★
ワット・ムーン・グン・コーン
- アクセス:「ワット・プラシン」から200m
- 時間 :毎日8:00~17:00
- 入場料 :無料
⑥ワット・チェディ・ルアン
「ワット・チェディ・ルアン」
「ワット・チェディ・ルアン(Wat Chedi Luang:วัดเจดีย์หลวงวรวิหาร)」は、旧市街のど真ん中にあるチェンマイを代表する寺院のひとつ。「ワット・プラシン」と並び格式の高い寺院で、チェンマイで最も高い仏塔がある寺院として知られています。
1391年、メンラーイ王朝第7代セーンムアンマー王(1383~1402年)が亡くなった父を偲んで建立が開始された寺院です(完成は1441年)。
この「ワット・チェディ・ルアン」、何と言っても、かつては高さ86mあったという仏塔が有名な寺院で、ターペー門からアクセスが良く、規模が大きく格式も高いということで、参拝者や観光客がたくさん訪れる人気の寺院です。
「ワット・チェディ・ルアン」の仏教壁画
入口で参拝料を払って入場すると、まず目の前にあるのが「サオインタキン」というチェンマイ市の柱が納められたお堂です。
お堂内部一面に描かれた極彩色の仏教壁画は目を見張るほどの美しさ!
ただし、残念ながらこのお堂は女人禁制なので、女性は壁画を見ることはできません。
「ワット・チェディ・ルアン」本堂入口のナーガ
さて、「ワット・チェディ・ルアン」本堂へと向かいます。
蛇神ナーガが並ぶ入口を抜けて中に入ります。
椅子が並ぶ本堂と黄金の御本尊
「ワット・チェディ・ルアン」の本堂です。
本堂の内部は椅子がたくさん並べられていてキリスト教会のよう。正面の祭壇にはまばゆく光り輝く黄金の仏立像が3体おわし、荘厳な佇まいを見せています。
「ワット・チェディ・ルアン」の本堂にある黄金仏像
本堂に入ってすぐのところに、金箔がたくさん貼られた黄金仏像がありました。
この黄金仏の体に金箔を貼ると、貼られた箇所の具合が良くなったり、悪くなることを防いだりといったご利益があるのだとか。
体の悪い部分に金箔を貼ると治ると言われています。
仏像に金箔を貼る人々
皆さん、結構金箔を貼っています。
金箔は右手にある売店で販売していました。料金は失念してしまいましたが、それほど高くはなかったと思います。
腰の部分に金箔を貼りました★
せっかくなので、自分も金箔を購入し仏像に貼りました。
腰痛気味なので、腰の部分に金箔を貼っておきました★
かつては高さ86mあったという仏塔
仏塔の基壇部には象とナーガが!
本堂の裏手には、「ワット・チェディ・ルアン」の名前の由来ともなっている仏塔があります。
「ワット」は寺、「チェディ」は仏塔、「ルアン」は大きいを意味するのだとのこと。
仏塔の大きさは、横幅と奥行きが54m、高さは42mもあります。
15世紀中頃の創建時には、仏塔の高さは86mもあったのだそうです。
しかし、1545年に起こった大地震によって上部30mが崩壊し、現在のような形になってしまいました。
なお、「ワット・チェディ・ルアン」では、「モンクチャット」を毎日主催していて、観光客は僧侶(通常見習い僧)と話し、仏教やタイについて何でも尋ねることができるのだとのこと。
ワット・チェディ・ルアン
- アクセス:ターペー門から徒歩10分
- 時間 :毎日8:00~22:00
- 入場料 :40B
旧市街寺院巡りMAP
⑦ワット・ウモーン
「ワット・ウモーン」
「ワット・ウモーン(Wat Umong:วัดอุโมงค์ สวนพุทธธรรม)」は、森の中にひっそりと佇む神秘的な雰囲気が魅力の寺院。
旧市街からは少し離れているので別の日に訪問しました。
ニマンヘミンからソンテウに乗って15分ほど。ステープ地区の外れにあります。
料金は100バーツでした。
帰りは寺院入口に停まっていたトゥクトゥクに乗って旧市街まで150バーツ。
「ワット・ウモーン」の境内に居たニワトリ
緑の木々に包まれた「ワット・ウモーン」の境内
「ワット・ウモーン」は、ラーンナータイ王国の初代国王メンラーイ王がチェンマイに都を遷都した際に、スリランカから招いた僧侶が修行できるようにと、11か所の竹林を寄進しスリランカ様式に則って建てた寺院。
14世紀末には、アナータムミカラート王が僧侶の瞑想修行ができるようにと、境内にトンネル(ウモーン)が掘られ、それがこの寺院の名称の由来となっています。
蛇神ナーガのいる階段を上ると・・・
「ワット・ウモーン」の仏塔がありました!
階段の上から見たところ
境内は広く、森の中に様々な施設が建っています。
こちらは、仏塔。夜はライトアップされるとのこと。
「ワット・ウモーン」のトンネルの入り口
「ワット・ウモーン」のトンネルの入り口です。
4つの入り口があり、内部で繋がっています。
さっそく、靴を脱いで中へ。
「ワット・ウモーン」のトンネル内部
間接照明が整備されています。
床に石タイルが敷かれ、間接照明が整備されたトンネル内部。
暑い外とは違って、トンネル内部はひんやりとしていて気持ちいい!
壁面には所々に仏像が安置されています。
トンネル内部にはいくつもの祭壇が
通路の奥にある祭壇
厳かな雰囲気です。
トンネル内部は4つの入り口から連なる通路が内部で繋がっていて、通路の端にはそれぞれ祭壇があり、仏像が安置されています。
チェンマイの他の寺院とは違った、厳かで神秘的な雰囲気が漂っています。
「ワット・ウモーン」のトンネルと仏塔
「ワット・ウモーン」のトンネル入り口
「ワット・ウモーン」は、その後、隣接する4つの寺院を合併して「スアン・プッタタム」という修行センターとして発展したそうです。
広い境内には、至る所に1949~1966年にかけて寺の住職を務めたパンヤー・ナンタピック高僧による仏教の教えが書かれた看板が立てられており、厳しい修行をしようとする僧侶が各地から目指す寺となっているのだとのこと。
今では外国人も瞑想修行に訪れるようで、訪問した時、ちょうど荷物を持った白人の男性が瞑想センターの建物の扉を叩いておりました。
かつて、トンネルはこんな色が塗られていたのでしょうか?
境内には様々な施設がありました。
境内にあった電話ボックス
森の中に囲まれた瞑想修行のための寺院「ワット・ウモーン」
旧市街の煌びやかな寺院とは違って、厳かで神秘的な雰囲気が魅力です。
旧市街からは少し離れていますが、チェンマイで寺院巡りをするなら、ぜひとも訪問したいお寺です。
ワット・ウモーン
- アクセス:旧市街からトゥクトゥクかソンテウで20分ほど
- 時間 :毎日7:00~18:00
- 入場料 :無料
「ワット・ウモーン」MAP
続きの記事・関連記事
続きの記事
関連記事
https://search-ethnic.com/travel/chiangmai-temple
コメント