インドネシアのスマトラ島。その中部の西岸、西スマトラ州は、独自の伝統文化を持つ「ミナンカバウ人」が暮らす地として知られています。
また、内陸部は、いくつもの火山が点在する高地にあるため、風光明媚な景観が楽しめることでも有名です。
今回、西スマトラの中心都市「ブキティンギ」を拠点に、プライベートタクシーをチャーター。周辺の見どころをいくつか巡りました。
ブキティンギ周辺の見どころ巡り
「ブキティンギ(Bukittinggi)」の町
こちらが、観光の拠点となる「ブキティンギ(Bukittinggi)」の町。
標高930mの場所にあるため、気候が爽やかで過ごしやすい町。美味しい「ルンダン」を食べられるミナンカバウ料理(パダン料理)のレストランも数多くあります。
「ブキティンギ」の町については、↓の記事を見てください。
西スマトラ州の位置
こちらが、西スマトラ州の位置です。
海岸沿いに州都「パダン」があり、「ブキティンギ」の町は内陸の高地にあります。
ブキティンギと周辺の見どころ
今回周遊した、ブキティンギ周辺の見どころの地図です。
訪問したのは、下記の4箇所。
- パンダイシカッ(Pandai Sikek):伝統織物「ソンケット」のお店訪問
- パガルユン宮殿(Istano Basa Pagaruyuang):ミナンカバウ伝統建築の宮殿を見学
- バトゥサンカル(Batusangkar):レストランでランチ
- ハラウ渓谷(Lembah Harau):風光明媚な峡谷を鑑賞
ブキティンギの周辺には、ほかにもたくさんの見どころがあります。
「マニンジャウ湖」や「シンカラッ湖」などの美しい湖。伝統家屋が残る村「バリンビン」、銀細工工芸の村「コト・ガダン」などなど。
また、この地域には、世界最大の花「ラフレシア」が咲くことでも知られ、ツアーで見に行くことが出来るほか、ジャコウネコの糞から採れるコーヒー「コピ・ルアック」の生産場所があったり、ミナンカバウ伝統の牛レースを見学できたり、赤道が横断するポイントがあったりと、見どころはたくさん!
「ブキティンギ」から「パンダイシカッ」へ
「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」へ出発!
プライベートタクシーは、宿泊していたホテル「グランド・ロッキー・ホテル・ブキティンギ(Grand Rocky Hotel Bukittinggi)」のフロントで依頼しました。
フロントのお姉さんと訪問先を相談した上で、ホテル経由で依頼。料金は、ブキティンギ→バンダイシカッ→パガルユン→ハラウ渓谷→ブキティンギのルートで、Rs.900,000(約8,700円)
朝9時に出発し、戻ってくるのは夕方の17時の予定。
さっそく、最初の目的地「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」へ向けて出発です!
銅製のドームが渋いモスク
臙脂色の渋いモスク
ブキティンギの街を抜け、車は郊外へ。
写真は、通り沿いにあったモスク。モスクの数は多く、至る所にあります。その形やデザインも様々。
西スマトラの長閑な農村風景
「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」が近づいてきました。
しばらくすると、建物が少なくなり、農村風景が広がってくるようになります。
「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」が近づいてきました。
「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」でソンケット織物を見る
「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」のソンケット織物店「SATU KARYA」
まず、最初の訪問地はここ。「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」のソンケット織物店「SATU KARYA」です。
「パンダイシカッ」は、織物や木彫りで有名な村。ブキティンギからは南へ15Kmほどの場所にあります。
「SATU KARYA」は、ミナンカバウの伝統的織物「ソンケット」や木彫り製品を販売している、村で一番立派だと思われるお店です。
「SATU KARYA」の店内
ミナンカバウ伝統の衣服が壁に飾られています。
「SATU KARYA」の店内です。
かなり広々としていて綺麗なお店。棚にはソンケット布や衣服、木彫りがずらりと並び、壁には、ミナンカバウの伝統衣装がたくさん飾られています。
カラフルでバリエーション豊かな女性服
見事な装飾と、草木染の美しい色彩
男性服。ズボンの伝統柄が魅力的
購入しても着る機会がなさそうだけど、ミナンカバウの伝統衣装、とても魅力的でした♪
伝統的な草木染で染められたという色合いは、カラフルだけどナチュラルで落ち着いた感じ。随所にあしらわれた紋様のデザインも美しく、つくりは緻密で丁寧。そして、色やデザインのバリエーションがかなり豊富!
う〜ん、魅力的です★
ソンケットの帽子とバッグ
植物の紋様が彫られ、ソンケットの布があしらわれた小箱
ソンケット柄の小箱
ソンケットの織物で作られた帽子とバッグや、伝統工芸の木彫りの小箱もありました。
どれも魅力的だけど、お値段はそこそこします。
緻密な紋様に織られた渋めの色合いのソンケット
深みのある赤が美しいソンケット
こちらは、ソンケットの織物。
「ソンケット(Songket)」とは、金糸や銀糸を織り混ぜ、紋様が浮き出るように織る、インドネシアやマレーシアの手織り織物。
インドネシア各地にあるソンケットですが、ミナンカバウのソンケットは、他の地域では見られない芸術性・技術性の高さで知られています。
ミナンカバウのソンケットは、細い金糸が使われ、織り上げられる紋様はとても緻密で繊細です。染色には伝統的な草木染が用いられ、その配色は洗練されています。
また、ミナンカバウのソンケットは、織り込められたモチーフや装飾にそれぞれ意味や名前があり、ひとつひとつの布には哲学的なメッセージが込められているのが特徴です。
古代、ミナンカバウの人々は文字を持っていませんでした。そのため、ソンケットのモチーフや装飾によって、感情や祈りや社会規範や哲学的なメッセージを伝えたのだとか。
ソンケットの織り機
店員さんが実演してくれました!
こちらは、店内にあったソンケットの織り機。
興味深く眺めていると、店員さんがやってきて、ちょこっと実演してくれました!
購入した、ソンケットの布があしらわれた小箱(Rs.250,000:2,415円)
魅力的なソンケット。購入したい気もしましたが、使う用途が思い付かず、かなり惹かれた赤いソンケット布も8,000円もしたので、結局購入は見送り。
代わりに、ソンケットの布があしらわれた小箱(Rs.250,000:2,415円)を購入することにしました。
「SATU KARYA PANDAI SIKEK」
お店の前の池に居た錦鯉
「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」のお店、「SATU KARYA」でソンケット織物を見た後は、ミナンカバウの王宮の建物がある「パガルユン」へと向かいます。
「パンダイシカッ」から「パガルユン」へ
「パガルユン(Pagaruyung)」へ出発!
「パガルユン(Pagaruyung)」へは、「パンダイシカッ(Pandai Sikek)」からは、約42km。車で1時間20分ほどかかります。
山道を走り、農村や田園を突っ切り、一路パガルユンへ。
こんな風景が広がっています。
水色のポップな色合いのモスク
椰子の木、畑、山並み、選挙のポスター
銀色のメタリックなドームのモスク
道中は、こんな風景が広がっていました。
モスクをたくさん見掛けます。ミナンカバウ伝統の「ルマ・ガダン」の建物も至る所に建っています。
椰子の木、畑や田んぼ、山並み。西スマトラの高地の景観はだいたいこんな感じ。
「パガルユン(Pagaruyung)」に到着! ここが王宮の入り口
1時間20分ほど走ったところで、「パガルユン(Pagaruyung)」に到着!
ここが王宮の入り口。さっそく、宮殿を見に向かいます♪
パガルユン宮殿(Istano Basa Pagaruyuang)
「パガルユン宮殿(Istano Basa Pagaruyuang)」
こちらが、「パガルユン宮殿(Istano Basa Pagaruyuang)」
「パガルユン宮殿」は、14世紀から19世紀にかけて、中央スマトラを統治した「パガルユン王国」の王宮です。
建物は、ミナンカバウの伝統的建築「ルマ・ガダン」スタイルで建てられています。
オリジナルの王宮は、16世紀の創建。その後、戦争や火災によって何度か消失。場所も移設され、現在の建物は、2013年に完成した4代目。
この王宮には王族やその子孫は住んでおらず、現在は、博物館および、人気の観光スポットとして機能しています。
伝統的なミナンカバウの建築様式「ルマ・ガダン」の建物
穀物貯蔵庫
「パガルユン宮殿」の建物の側には、同じくルマ・ガダンの様式で建てられた穀物倉庫が建っています。
「パガルユン宮殿」の側面。土産物屋さんが並んでいます。
「パガルユン宮殿」の外壁の装飾
植物の紋様で装飾されています。
宮殿の外壁は、植物の紋様で装飾されており、この紋様は、ミナンカバウで織られるソンケットの柄と同様のもので、イスラム以前から続く彼らの教え「アダット」の哲学が反映されているのだとのこと。
「パガルユン宮殿」の入り口
ここは宮殿の半地下部分にある衣装室
ここでミナンカバウ伝統衣装の試着体験&写真撮影ができます。
煌びやかな刺繍が施されたミナンカバウ伝統衣装
上の写真は、宮殿の半地下部分にある衣装室。
ここでミナンカバウ伝統衣装の試着体験&写真撮影をすることができます。
女性は金色の豪華な冠「スンティアン」を被って。
「パガルユン宮殿」の内部。靴を脱いで入ります。
「パガルユン宮殿」の内部です。
内部に入る際は、靴を脱ぎます。
木造の床や柱、明るめのカラフルな装飾が綺麗です。
木造の天井にも手の込んだ装飾がたくさん
外観も素晴らしい「パガルユン宮殿」ですが、内部の装飾や調度もかなり見事。
王宮として使われていた当時の調度が忠実に再現されています。
宮殿内の人形。王宮の官吏たちでしょうか。
オリジナルの宮殿は16世紀に建てられました。
その後、何度か火災で消失し、現在の建物は2013年に再建されたもの。
朱色、ターコイズブルー、薄紫、色とりどりの入り口
植物をモチーフにした黄金色の紋様で装飾されています。
内部の壁や天井は、外面と同じように植物の紋様で装飾され、ミナンカバウの「アダット」の哲学が反映されています。
カラフルな色彩が魅力的です♪
天井が高く、開放的な空間
「パガルユン宮殿」の2階部分
壁や天井が装飾で埋め尽くされています。
「パガルユン宮殿」の2階部分です。
ここの装飾も見事。大きな窓から陽の光が差し込み、明るく開放的な空間になっています。
2階の窓から見た、屋根「ルマ・ガダン・ゴンジョン」
「イジュク」という椰子の繊維で作られた屋根「ルマ・ガダン・ゴンジョン」
宮殿の屋根は、「ルマ・ガダン・ゴンジョン」と呼ばれる、「イジュク」という椰子の繊維で作られたもの。
この尖った形は、水牛の角を模しているのだとか。
2階の窓から見た中庭と穀物倉庫
宮殿の3階部分。壁や天井の装飾が見事
宮殿の3階部分です。
宮殿は3階建てで、72本の柱があり、アンティーク家具や工芸品のレプリカが100点以上も備え付けられているのだとのこと。
王宮の1階の奥に続く通路
王宮の敷地には複数の建物が建っています。
王宮の奥にある別棟には、ミナンカバウの生活用品が展示されていました。
ミナンカバウ特産のオイル
再建された現在の建物は近代的なコンクリート構造
ミナンカバウの文化の粋が詰まった「パガルユン宮殿」。
ミナンカバウの人たちは、この宮殿をミナンカバウの文化センターとして、また、西スマトラ随一の観光名所として復活させることを目指しているのだそう。
正面から見た「パガルユン宮殿」
こちらは、正面から見た「パガルユン宮殿」
均整のとれた見事なプロポーションです。
宮殿の前には着ぐるみがいました!
暑いので着ぐるみの被り物を外しています。
宮殿の前には着ぐるみもいました!
古のパガルユン王国の人々をイメージした着ぐるみのようですが、可愛いというよりも、ちょっと不気味な感じ。
暑いので中の人たちもサボり気味で、被り物を外して駄弁っていました。
美しい「パガルユン宮殿」のフォルム
構造はコンクリートですが、伝統的な技術と材料を使用して忠実に復元されています。
ミナンカバウ伝統衣装を着て記念撮影
ミナンカバウ文化の粋を集めた「パガルユン宮殿」
想像以上に大きくて立派で、見応えありました★
満足したところで、そろそろお昼時。
ドライバーのお兄さんに、ランチを食べたいことを伝えると、近くのバトゥサンカル市内にあるインドネシア料理のレストランに連れて行ってくれるとのこと。
「バトゥサンカル(Batusangkar)」のレストランでランチ
ランチを食べに「バトゥサンカル(Batusangkar)」のレストランへ向かいます。
「パガルユン宮殿」を出発し、ランチを食べに「バトゥサンカル(Batusangkar)」のレストランへ向かいます。
「バトゥサンカル」のレストラン「Dangau Sawah Tangah Chantha」
ほどなくして到着。
ここが、ランチをいただいた「バトゥサンカル」にあるインドネシア料理のレストラン「Dangau Sawah Tangah Chantha」です。
「Dangau Sawah Tangah Chantha」の店内
お店の2階部分
レストラン「Dangau Sawah Tangah Chantha」の店内です。
街道沿いに面した、地元の人々が日常的に利用するファミリーレストランのようなお店。
日曜のお昼時だったせいか、かなりの数のお客さん(ほとんど家族連れ)で賑わっていました。
お店の前には、遊戯場らしき施設がいくつか
お店の敷地は広大で、レストランの前には、こんな謎な遊戯施設があったり。
レストランは、人工池の上に浮かんでいるようなロケーションです。
「ナシゴレン」
「ミーゴレン」
ドライバーのお兄さんが頼んだ料理
いただいたお料理は、「ナシゴレン」と「ミーゴレン」とお飲み物(どんなお飲み物だったかは失念)。
料金は、ドライバーのお兄さんの分も合わせて、Rs.110,000(約1,060円)
もともとお兄さんの分も支払うつもりでしたが、会計の時になって、ドライバーのお兄さん、いつの間にかプイッといなくなりました。。
旅先ではよくあることだし、たぶんそうだろうなと思っていたのでいいんですが。
兎にも角にも、食事を終えて、次の目的地へと出発します。
お次は、最後の訪問場所「ハラウ渓谷(Lembah Harau)」です。
ハラウ渓谷(Lembah Harau)
「ハラウ渓谷(Lembah Harau)」へ向けて出発!
「バトゥサンカル(Batusangkar)」から「ハラウ渓谷(Lembah Harau)」へは、約50km。車で1時間40分かかります。
典型的な西スマトラの風景を眺めながら、山道を登ったり下ったりしつつ、目的地へと進んでいきます。
「ハラウ渓谷」が見えてきました。
1時間半ほど走ったところで、遠くの前方にテーブルマウンテンのような岩山の連なりが見えてきました。
「ハラウ渓谷(Lembah Harau)」です!
街道沿いにある「ハラウ渓谷」の滝
まず、最初に立ち寄ったのが、街道沿いにある「ハラウ渓谷」の滝。
街道沿いということもあり、結構な数の観光客がいました。
インドネシア人の観光客がたくさん来ていました!
滝の前で記念撮影
結構盛り上がっています!
滝を見た後は、ネットで見つけた写真をドライバーに見せて、「この風景の場所に行って欲しい」と依頼。
ドライバーのお兄さん、すぐさま車を出発させ、写真の場所へと走らせます。
「ハラウ渓谷」の山々と水田
ここが、ネットで見つけた風光明媚な景観が見えるポイント。
何もない所ですが、緑鮮やかな広大な水田と、その向こうに聳り立つ渓谷の岩山の連なりが一望できます★
水田の中に建つ「ルマ・ガダン」スタイルの建物
花崗岩で形成された岩山は100~500mの高さがあります。
水田のところまで降りて行き、少し散策をしてみることにしました。
「ハラウ渓谷(Lembah Harau)」は、高さ100~500mの岩山に囲まれた渓谷。
渓谷の岩山からは無数の滝が流れ、雄大な景観を楽しめるほか、ロッククライミングやキャンプの場所としても人気があるそうです。
開発はまだ進んでいませんが、ホテルも増えてきているのだとのこと。
豊かな水田が広がっています。
水田、渓谷の岩山、椰子の木
水田の中を少し散歩
「ハラウ渓谷」のパノラマ
水田の中を少し散歩。
遠くまで広がる緑の水田、水田を取り囲む渓谷の岩山、椰子の木の並木、人の姿が全くない静寂。爽やかな空気、曇り空のため直射日光がなく却って過ごしやすい気候。
風景以外は本当に何にもない場所でしたが、満たされた時間を過ごすことができました★
雄大な岩山が延々と連なっています。
巨大な岩山と、田んぼに映ったシルエット
岩山からはすごい滝が!
その後、道の途中で「これは!」と思った景観の場所で車を停めてもらい、写真を撮りました。
上の写真、すごい滝が流れています!
まるで、南米のギアナ高地のテーブルマウンテンと、そこから流れる世界最大の滝「エンジェル・フォール」みたい!
「ハラウ渓谷」を後にし、ブキテインギへと戻ります。
いくつかのポイントで写真を撮った後、そろそろ帰路へ。
ハラウ渓谷からブキテインギまでは、およそ48km。1時間半の行程です。
夕方のブキティンギの町
夕方6時頃、ブキティンギの町に到着!
ひと通り目的地を周り、満喫することが出来ました。
ブキティンギを訪れたら、車をチャーター、もしくは現地旅行会社のツアーに参加するなどして、是非とも近郊の見どころを巡ることをお勧めします。
ブキティンギの町では見られない、雄大で変化に富んだ景観や、ミナンカバウの文化遺産の数々を鑑賞することができます★
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