世界に人形劇は数あれど、水上人形劇というのは珍しい。
伝統的な音楽の調べに合わせ、水上を動き回る人形。その動きはコミカルでありながらも芸が細かく、見ていて飽きません。
ベトナムの水上人形劇、ベトナムに来たら必見です!
鑑賞したのは、本場ハノイ、ホアンキエム湖畔にある「タンロン水上人形劇場」です。
ベトナムの水上人形劇はコミカルだけど本格的!
さて、開演です。
サオ・チュック(横笛)、ダン・チャイン(筝)、ダン・グエット(月琴)などによるベトナムの伝統音楽の楽団が音を奏で始めます。
しばらくして、音楽に乗せて登場してくる人形。水上人形劇の始まりです!
ベトナム語でMúa rối nước(ムアゾイヌオック)と呼ばれる水上人形劇。
この人形劇は、11世紀頃からベトナム北部の紅河デルタ地帯の村々で行われてきたといわれています。こうやって観光客に演じられるようになったのは、1990年代以降であるとのこと。
人形劇は濁った泥水の水面で行われます。水面が地上に見立てられ、人形たちは様々な物語や説話を演じるのです。
人形を操る操者は、簾の裏に隠れています。人形は長い竿の先に取り付けられていて、操者は竿を持ちつつ、糸を使って首や腕などを動かしていきます。
この人形を操る技術の習得には、簡単なもので1年、複雑なものになると5年もの練習が必要とされるそうです。
かつては、この人形の操作技術は門外不出の秘伝として、一族に世襲されていたのだそうです。秘伝が夫の家族に漏れることを恐れて、女性の参加も認められていなかったのだとか。
それにしても、この水上人形劇の操者、腰まで水に浸かって人形を操るので結構大変そうです。
「タンロン水上人形劇場」のプログラムです。
1.祭の旗上げ
2.テウさんのナレーション
3.竜の踊り:4匹の火を噴く竜の共演
4.水牛とフルートを吹く子供
5.田植え作業
6.カエル採り
7.アヒル農法と狐狩り
8.釣り
9.凱旋帰郷
10.獅子舞
11.不死鳥(鳳凰)の舞い
12.レロイ王、ホアンキエム湖の伝説
13.水遊び
14.ボートレース
15.獅子のボール遊び
16.仙女の舞い
17.(竜、獅子、鳳凰、亀)4匹の共演
上演される演目は、ベトナムの民話・伝説・神話、または、農村の生活の様子などがモチーフとなっています。
演目はそれぞれ連続性のない個別の物語になっていて、テンポは早いです(各演目は3〜5分ほど)。
演目ごとに出てくる人形も異なっていて、龍の人形が火を吹いたり、コミカルでおかしい釣りの様子や、優雅だけど可愛らしい仙女の舞など、各演目ごとに個性があって、見ていて楽しいです!
ナレーションはベトナム語なので、物語の正確な内容はわからないのですが、最後まで飽きず観衆も大拍手でした。
写真はハノイ市内の土産物屋さん。水上人形劇の人形が売られています。
この人形、素材はいちじくの木の幹で作られているそうです。また、人形の形や衣装はそれぞれの水上人形劇の劇団によって異なっているのだとのこと。
水上人形劇は、このハノイの「タンロン水上人形劇場」だけでなく、ホーチミンにも劇場があって見ることができます(ホーチミンにあるのは、ロンヴァン水上人形劇場)。
また、2014年9月13日には、日本の横浜赤レンガ倉庫のイベント広場でも上演されました!
ベトナムの水上人形劇、とても楽しいので機会があったら、ぜひ見てください。
きっと満足できると思います。
ハノイのホアンキエム湖
ハノイの街並み
ハロン湾
ホイアンの水田風景
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