南インド・ケララ州の北部、マラバール地方。
そのマラバールの中の、さらに北部の北マラバールでは、毎年11月から5月にかけて、地域に点在する無数の寺院で『テイヤム(Theyyam)』と呼ばれる祭礼が行われています。
第2回の今回は、燃え盛る炎の前で行われる “炎のテイヤム” 「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」についてご紹介します。
夕方、最初のテイヤム「ニーリヤール・バガバティ・テイヤム」を見た後、車で移動。
15分ほどで “炎のテイヤム” の開催場所に到着しました。
お寺の名前は不明です(帰国後、色々調べたり、ガイドさんに問い合わせたりしたもののわからず)。
「テイヤム」の準備。メイクアップの様子を見る
厨房の建物
“炎のテイヤム” が行われるこの場所、お寺というよりも、広い屋敷の敷地内に祭りの会場が設置されているような雰囲気でした。
敷地内には立派な住居が2棟あり、厨房用の建物があり、テイヤムの会場らしき祠を持った広場があります。
この後、テイヤムを見ている時、ガイドさんがテイヤムの主催者だという紳士を紹介してくれました。地元の名士のようです。
どうやらここでは、寺院ではなく、地元の名士の邸宅でテイヤムが行われているようです。
ご飯が炊かれています。
豆のカレー
ハーブらしきものが入ったライス
敷地内には厨房があり、厨房では食事の準備が行われていました。
ドライな豆のカレーと、ハーブらしきものが入ったライスが見えます。
これは、訪れた参拝客に振舞われるようです。
テイヤムが行われる会場
ここが、“炎のテイヤム” 「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」が行われる会場です。
敷地の中には祠があります。チェンダと呼ばれる太鼓を持った人も見えます。
のんびりとした雰囲気。まだ準備中のようです。
「テイヤム」のメイクアップが行われていました。
オレンジ色にペイントされた顔
祠の裏手では、テイヤムのメイクアップが行われていました。
メイクアップと言うと、同じケララ州の伝統芸能「カタカリ」を思い出します。
メイクアップの動画は↓
テイヤムの頭飾り
メイクアップしている演者の脇に、テイヤムの飾りが置かれていました。
その隣にはスマホ、奥には水色のリュックサック。そして、なぜかクルミ。
生活感が感じられますが、彼はこれから「神(テイヤム)」になるのです。
チェンダ(太鼓)を叩くドラマーもひとり、またひとりと広場にやってきました。
広場を囲む塀の上にオイルランプが灯されます。
見物客の数も次第に増えてきました。
おもむろに、ドラマーがチェンダ(太鼓)を叩き始めました。
そして、広場の真ん中に火が焚かれます。
立ち上がる炎
炎の勢いが増してきたその時!
テイヤムが登場!
広場に焚かれた炎の勢いが増してきたその時、メイクアップを終えた「テイヤム」が飛び跳ねるように広場の中央に登場!
時刻は19時過ぎ、村に到着してから約1時間。ついに、“炎のテイヤム” の始まりです!!
炎と共に踊るテイヤム「Kandanar Kelan Vellatam(カンダナール・ケラン・ベラタム)」
「Kandanar Kelan Vellatam(カンダナール・ケラン・ベラタム)」
一気に始まった「Kandanar Kelan Vellatam(カンダナール・ケラン・ベラタム)」のパフォーマンス。
下の動画をご覧ください↓
夕方見た、厳かな「ニーリヤール・バガバティ・テイヤム(Neeliyayar Bagavati Theyyam)」とは打って変わって激しくエネルギッシュな動きです!
こんなに高くジャンプしたり!
炎を手で撒き散らしたり!
叫び声を挙げたり!
エネルギッシュな動きで見ていて面白い
炎を何度も何度も撒き散らします。
ふてぶてしい顔で挑発してきます。
神(テイヤム)が憑依しトランス状態になった演者
伴奏するチェンダ(太鼓)も超絶のスティック捌き!
見ているこちらも、トランシーな気分に!
炎を空高く巻き上げる圧倒的なパフォーマンス
“炎のテイヤム” 圧巻です!
広場を出て邸宅へと向かうテイヤム
邸宅前の広場でもパフォーマンス
圧巻の“炎のテイヤム” 「Kandanar Kelan Vellatam(カンダナール・ケラン・ベラタム)」ですが、実は、これは前座に過ぎません。
ガイドさんによると、Kandanar Kelan Vellatam の「Vellatam」とは、序章という意味らしく、今し方見たテイヤムは、午前3時半から始まる本番のテイヤムの前振りなのだそう。
序章の「Vellatam」は、簡略化したメイクや衣装で行われるが、本番の「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」は、完全なメイクと衣装で行われるのだそう。
確かに、このテイヤムのメイクや衣装は、アカデミーの展示で見たテイヤムに比べ、あっさりとしていました。
現在の時刻は夜の8時過ぎ。一旦、ホテルへと戻って仮眠し、午前2時半にガイドさんとホテルのロビーで待ち合わせ、本番が始まる午前3時半に再び、この場所に訪問することになります。
会場で振る舞われていた食事をいただく
テイヤム会場からの帰り際、簡単な食事が振る舞われていたので、せっかくだからいただいていきます。
テイヤム会場で振る舞われたプレート
提供されたお料理は、スパイスで風味付けされたライスにアチャールやライタが付いた簡素なもの。
それほど旨いと言える代物ではありませんでしたが、貴重な一食となりました。
食後、車に乗ってホテルへ。
夜10時頃就寝し、4時間ほど寝て、翌深夜2時半にホテルを出発。
再び、車に乗って先ほどのテイヤム会場へ!
炎の上を走るテイヤム「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」
先ほどよりも炎がさらに大きくなっていました。
テイヤム会場に到着すると、先ほどよりも炎がさらに大きくなっていました。
どうやら、演目はもう始まっているようです。
ガイドさんが人波をかき分け、一番見やすい正面の位置に自分たちを案内してくれました。
薪をくべて炎をさらに激しく
目の前に立ち昇る炎。想像を超える熱気。苦しくなってくるほどの熱さです。
写真を撮っていると、すぐにスマホの画面に「スマホを冷やしてください」とアラートが表示されました。
炎の向こうに、準備しているテイヤムの姿が見えます。
炎へと向かってテイヤムが走ってきました!
炎の中に突入!
一気に炎の上を駆け抜けていくテイヤム
しばらくすると、炎の向こうに、巨大な頭飾りを載せた真っ赤な衣装を纏ったテイヤムが現れます。
そして、両側に並び立つ従者と共に、一気に炎へと向かって走り出しました!
灼熱の炎の上を駆け抜けていくテイヤム。
これが、“炎のテイヤム” 「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」です。
動画でもご覧ください↓
凄まじい迫力
何度も何度も炎の上を往復します。
激しい太鼓のリズム、猛烈な熱気。見ている観衆も半ばトランシー状態に
テイヤムのハイライトとも言える「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」
TravelKunar に「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」の伝説が記載されていましたので、少し長いですが、自動翻訳の上引用します。
カンダナール・ケランの起源の物語はこうです。ティーヤ カースト出身のケランという人物が、農業で生計を立てようと丘陵地帯にやって来ました。ある日、少し酔ったケランは、その場所を片付けるために灌木に火をつけました。予期せず、火は燃え広がり、ケランは周囲が火に包まれました。逃げる術はなく、ケランは最後の手段として木に登りました。悲しいことに、木には蛇がいました。ケランと蛇は燃える火の中に落ちました。ケランは蛇につられて死んでしまいました。ワヤナット クラヴァンが日課の狩りに出かけ、たまたまこの地域を通りかかったときのことでした。
カンダナール・ケランの焼けた体を見たワヤナット クラヴァンは、弓でその体に触れました。ケランはすぐに命を取り戻しました。再生したカンダナール・ケランは、ワヤナット クラヴァンと親しくなりました。こうしてカンダナール ケランも神聖なものとなり、テイヤムとして行われるようになりました。ケランは森林火災で発見されたため、カンダナール ケランと呼ばれました。カンダナール ケランのヴェラトムが行われる前は、ハンターが森に行き、獲物を持ち帰りました。獲物の 1 つが火で焼かれ、テイヤムの儀式にはこれらの肉を食べるという行為も含まれていました。
テイヤムは、そのうち従者の手を借りず、一人で炎の上を往復し始めました。
それにしても熱いです。炎から少し離れた場所で見ている我々ですら耐え難い熱気なので、炎に直に接するテイヤムが感じる熱さは相当なものと思われます。
あまりに熱いので、少し離れた場所に移動。
あまりに熱いので、少し離れた場所に移りました。
テイヤムも炎の上を走るのを止め、少し休憩。
従者たちがタオルで扇ぎながらテイヤムの熱を冷ましています。
邸宅前の広場でもパフォーマンス
しばらくすると、テイヤムは広場を出て邸宅へと向かいました。
邸宅前の広場でもパフォーマンスが行われます。
人々に囲まれたテイヤム
「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」
深夜3時半から見た “炎のテイヤム” 「Kandanar Kelan Theyyam(カンダナール・ケラン・テイヤム)」
立ち昇る猛烈な炎の熱気、激しく刻まれるチェンダ(太鼓)のビート。そして、燃え盛る炎の中を駆け抜けるド派手な衣装を纏ったテイヤム。
その圧倒的な迫力に、まさに度肝を抜かれました!
椅子に座り、小休止するテイヤムの姿を後にして、車へと戻ります。
時刻は午前4時。次の目的地は「Cheruvaakkara Viswakarma Temple」というお寺。
早朝の時間帯に登場する「Guligan theyyam」と「Bali theyyam」を見に行きます。
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