ボリビア南部にある「ポトシ」(Potosi)は、スペイン植民地時代に銀の採掘で栄えた町。標高は4,070mもあり、世界最高所の場所にある町でもあります。
うら寂れたスペイン風の街には、往時の繁栄を思わせる豪奢なカトリック教会がいくつも残されていました。
今回は、「ポトシ」について、ご紹介します♪
真っ赤な山、「セロ・リコ」。
富の山と呼ばれたこの山は、かつて世界最大の産出量を誇った銀鉱山でした。
三角形の稜線を持ったその山は、赤い瓦屋根を持ったここポトシの街並みを悠然と見下ろしています。
起伏のある街を取り囲んでいるのは、全て赤茶色をした荒涼たる岩山です。
寂れた風情でいっぱいの「ポトシ」(Potosi)の街
首都ラパスから南東に440kmのところにある町「ポトシ」。
標高は4,070mもあり、人が住む都市としては世界最高所に位置しています。
人口は約13万人、インディヘナの血を多く受け継ぐ者が多く、ケチュア語が主言語です。
町の起源は1545年にまで遡ります。
16世紀半ば、南米を侵略したスペイン人は、このセロ・リコに豊富な銀が埋蔵されていることを発見します。
そして、その噂を聞いた多くのスペイン人が一攫千金を求めてこの町にやってきました。
銀の採掘は地元のインディヘナを強制労働させて行われました。
鉱山での労働は苛酷で多くの犠牲者を出しました。一説によると800万人が犠牲になったと言われています。
高地の太陽は強烈です。
日差しは全ての建物に射るように突き刺さり、それらの姿を不自然なほど明るく見せていました。
けれども、その光の強さにもかかわらず、空気は驚くほど澄み切っており、風は凍るように冷たいのです。
音の少ない街に聞こえるのは、ダンプトラックが土砂を積むガラガラとした音やモーターの唸りを上げるような振動音ぐらい。
時折、その静寂を突き破ってカテドラルの鐘の音が町中に響き渡ります。
うら寂れた鉱山町の空気、かつての植民地時代の面影を色濃く残すその雰囲気。
そんな風情に私は魅力を感じました。
私は世界最高所4,070メートルにあるこのポトシの町に、数日間滞在することにしました。
スペイン植民地時代のコロニアル風の建物が並ぶポトシの町。
日干し煉瓦と瓦屋根の家並みは、カラフルな赤や黄色、水色に塗られています。
旧国立造幣局
旧国立造幣局
旧国立造幣局のシンボル
旧国立造幣局です。
赤い山「セロ・リコ」から採掘された銀を貨幣にするために1572年に建てられたそうです。当時、スペインで流通していた銀貨はここで造られました。
この顔は、造幣局のシンボルとのことですが、何を表しているのかは、私はわかりません。
カテドラルと教会
カテドラル
カテドラルの内部
街の中心、11月10日広場に面して建つポトシの中心となるカテドラル。
創建は1572年ですが、19世紀に現在のバロック様式に修復されたそうです。内部は大理石の柱と金の柱頭飾りのコントラストが美しいです。
サン・フランシスコ教会
サン・フランシスコ教会
サン・フランシスコ教会です。
この教会は1547年に建てられたポトシで一番古い教会だそうです。隣には修道院があります。
ここは泊まっていた宿から近かったので、部屋から鐘の音がよく聴こえてきました。
サン・ベルナルド教会
サン・ベルナルド教会
サン・マルティン教会
サン・ロレンソ教会
銀の採掘によって栄えたこの町には、植民地時代当時の繁栄を物語る教会がいくつも残ります。
眩しい陽光と身を切るような寒さの中、それらをぶらぶらと巡り歩きました。
「ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会」から見たポトシ市街
塔からの眺め
教会の中庭
「ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会」
1707年に建てられた教会です。
教会には、「ラ・コンパニーア・デ・ヘススの塔」があります。
塔には登ることができ、そこからの眺めは最高です。
塔から見たポトシの街
塔から見えた民家の中庭
子供がいました!
塔の上からは民家の中庭も見えました。
洗濯物の干された中庭では、おばちゃんたちが日向ぼっこをしています。
その時、子供たちが中庭に現れました!
子供たちは、上から見下ろしている私を目敏く見つけ、にこにこと手を振ってくれました♪
おばあちゃんと犬
強い日差しが白壁に反射して眩しい、人などほとんどいないポトシの路地裏。宿から街のメインストリートへと向かう途中には、黄色い建物の雑貨屋さんがあります。
雑貨屋の店先では、いつも、帽子を被ったおばちゃんが椅子を出して日向ぼっこをしており、その周りには、おばちゃんに顔を摺り寄せたり寝そべったりする5匹の犬の姿がありました。
私の姿を確認すると、犬たちはさっそく舌を出し尻尾を振り回しながら駆け寄ってきます。
その様子を見たおばちゃんが私に「こっちへ来い」と手招きをしました。
群がる犬たちを引き連れ店の前まで近づく私。
「ブエナス・タルデス(こんにちは)!」
私はおばちゃんの隣の石段に腰を降ろしました。
おばちゃんは白人系の人でした。赤い帽子を被りサングラスを掛けています。
おばちゃんは私にいろいろと話し掛けてきますが、何を言っているのかさっぱりわかりません。
わかりやすいと言われるスペイン語の筈なのに、単語すらもちっとも判別ができないのです。
しかもおばちゃんは何度も何度も同じことを繰り返し言ってきます。(私はフランスに旅行したことがあるのよ。みたいな話を何度もしていました)
私は澄み切った青い空の下、ほとんど理解できないおばちゃんの話を何度も聞き、何度も相槌を打つことを繰り返していました。
その間、犬たちは私の膝に顔をすり寄せ、気持ち良さそうに眠っていました。
ポトシの夜。
居酒屋やレストランの薄ぼんやりとした灯りが、メインストリートのボリバル通りの石畳をうっすらとオレンジ色に染める頃。
私はチキンのグリルがグルグルと回転しているレストランで夕食を食べました。
夜の闇に包まれたポトシは昼にも増して静かで寂しいものです。
けれども、ホテルに戻ったとしても暖房のない凍えるような部屋が待っているだけ。
私はジャンパーの襟を立て、ポケットに手を突っ込みながら、他の通りに比べると少しは賑やかなボリバル通りをうろうろと歩き続けました。
旅行時期:2003年7月
コメント