首都ラパスからバスで1時間ちょっと走ると、荒野の中に広大な遺跡が見えてきます。
「ティワナク遺跡」(世界遺産)です。
今回は、ボリビアにあるプレ・インカの遺跡「ティワナク遺跡」について、ご紹介します。
ラパスからバスで1時間、アルティプラーノの荒野に佇む「ティワナク遺跡」
「ティワナク遺跡」は、チチカカ湖の南東、内陸へ約17kmほど入ったところにある遺跡で、標高は3,970m。
インカの前のプレ・インカ期の遺跡で、2000年には世界遺産に登録されています。
「ティワナク文明」の起源は紀元前200年頃まで遡り、その最盛期は7世紀から11世紀にかけての間であろうと推測されています。
特に石造技術の高さが特徴的で、周辺地域、そして、後世のインカにも大きな影響を与えたと考えられています。
(写真は、半地下神殿)
現在ある遺跡は1970年代に政府によって復元されたものですが、強引な復元を行ってしまったため、遺跡本来の姿ではないのだそうです。
残念なことです。
遺跡全体の大きさは4km四方にも及ぶ広大なもの。
しかしながら、発掘はまだ全体の3割ほどしか進んでいないのだそうです。
遺跡にはピラミッド型建造物の跡「アカパナ」、遺跡の中心となる135×130mの広場「カラササーヤ」、カラササーヤの隅に置かれた巨大な一枚岩の門「太陽の門」、180もの石の顔が壁面から突き出している半地下の広場「半地下神殿」などがあります。
いずれも間違った復元により、本来の位置は正確にはわからなくなっています。
(写真は、半地下神殿の石の顔)
ここにはかつて、1万から5万人ほどの人々が暮らしていたのだと考えられています。
しかし、ここがどういう社会形態を持っていたのか、なぜ滅びたのか、どんな民族によってつくられたのかは、まだ明らかにはされていません。
写真は半地下広場の壁に並んでいる顔です。いろんな顔があります。
交易をしていたそれぞれの民族の顔でしょうか?それとも歴代の王や神官の顔でしょうか?
「太陽の門」とモノリート
カラササーヤにある「太陽の門」です。
「ティワナク遺跡」で最も有名な構造物です。
門は一枚岩で出来ていますが、割れてしまっています。
門には、創造神「ビラコチャ」を中心に48人の鳥人が描かれています。
「ビラコチャ」とは、スペイン侵入前までアンデス地方で信仰されていた最重要の神のひとり。
容姿は顎鬚を蓄えた大柄な白人の男性で、文明の創造者として人々に農業や灌漑、牧畜などを教えたとされています。
アンデス地方では立派な顎鬚を蓄えた男性というのはおりませんし、もちろん白人もいませんでした。
スペイン人が訪れた時、インカ人は彼らを見てビラコチャだと思ったのだと言われていますから、もしかしたら、遥か先史時代にここを白人が訪れていたのかもしれません。
想像力が膨らみます♪
カラササーヤに立つモノリートのひとつ「ポンセ」です。
体中に模様が彫られ、柄のあるパンツを穿いています。
おしゃれです♪
右手の指が外側にひっくり返り、涙を流しています。
その意味はわかっていません。
もうひとつのモノリート「エル・フライレ」です。
遺跡には隣接して博物館が建てられているのですが、そこには最大のモノリート「ベネット」もあります。
また、この広場にはとても面白いものがありました。
広場の一角に石壁が立っているのですが、そこに小さな穴が開いています。
その穴はラッパみたいな構造になっていて、穴に向けて小さな声で囁くと、遠くにいる人にまでその声が伝わります。
そして、逆に、穴に耳を近づけると、遠くの人の囁く声がはっきりと聴こえるのです。
古代のスピーカーでしょうか?
とても不思議でした。
旅行時期:2003年7月
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