ワルザザートから西へ約33km。
不毛の大地の中に日干しレンガ造りの城塞都市が忽然とそびえ立っています。
世界遺産にも登録された村「アイト・ベン・ハッドゥ」(Ait Ben Haddou)です。
ワルザザートの朝
ホテルのテラスから見た風景
ワルザザートの朝
サハラ砂漠から戻ってきた私は、ワルザザートで朝を迎えました。
この日は、ワルザザートからマラケシュへと向かう予定ですが、マラケシュに向かう前に、ワルザザート近郊にある世界遺産「アイト・ベン・ハッドゥ」に行きたいと考えていました。
宿泊したホテルの受付スタッフに「アイト・ベン・ハッドゥ」に行きたい旨を相談してみます。
すると、ホテル→バスターミナル(マラケシュ行きのバスチケット取得)→アイト・ベン・ハッドゥ→バスターミナルという行程で、400DH(4,000円)でどうだ?
と提案してきました。
若干高い気もしましたが、時間も限られているのでお願いすることにしました。
さっそく出発です!
ドライバーは、受付のスタッフがそのまま担当するようです。
彼の名前は、アリ。英語が堪能なお洒落な若者です。
まず、ワルザザートの街のバスターミナルへと向かいます。
ここで、11:00ワルザザート発マラケシュ行きのバスチケットをゲット(80DH:800円)
チケットをゲットすると、すぐに、「アイト・ベン・ハッドゥ」へと出発しました。
「アイト・ベン・ハッドゥ」を見渡せる第一のビューポイント
アリのピカピカの車は、山道をひた走っていきます。
昨日のハサンの車よりもかなりいい車で、乗り心地が良いです!
40分くらい走ったところで、アリが車を停めました。
「アイト・ベン・ハッドゥ」を見渡せる第一のビューポイントです。
第一のビューポイント
ビューポイントの様子
土産物が並んでいました。
ビューポイントからは、「アイト・ベン・ハッドゥ」の全容が見渡せました。
どことなく、イエメンのシバームの街を思い出させる景観です。
ビューポイントはツアー客が必ず立ち寄る場所のよう。
観光バスも停まっていて、土産物屋もゴザを敷いて店を出していました。
世界遺産「アイト・ベン・ハッドゥ」
「アイト・ベン・ハッドゥ」の入り口
「アイト・ベン・ハッドゥ」の入り口は、ビューポイントからはすぐ。
さっそく、車を降りて村へと向かいます。
村に向かう前に、アリに言われたのは、「10時までに戻れ」ということ。
マラケシュ行きのバスが11時発なので10時にここを出ないと間に合わないのです!
持ち時間はおよそ30分程度。
かなり急ぎ足の観光です。
世界遺産の説明看板
村のミニチュアが売られてました。
「アイト・ベン・ハッドゥ」は、隊商交易の中継地として栄えた村のひとつで、その中でも有力だったハドゥ家の集落です。
現在ではほとんどの住民が小川の対岸にある新しい村に移り住んでいるそうですが、現在でも数家族が旧村に居住しているそうです。
村には土産物屋が並びます。
村をぶらぶら散歩
日干しレンガの建物
村への入り口はひとつしかありません。
盗賊などの略奪者から守るためです。
入り口を入って進んでいくと、日干しレンガの家並みが密集して立っています。
家の多くは半分廃墟のようになっていましたが、土産物屋として営業しているところも結構あります。
「アイト・ベン・ハッドゥ」の様子
青い空に映える日干しレンガの家並み
要塞化した家の数々
村を歩き回ります。
銃眼が施された建物
村の通りは迷路のように入り組んでいて、見張り塔がいくつも建っています。
建物の1階には窓がなく、外壁には銃眼が施されています。
最上階には篭城に備えた食料庫もあります。
村の周囲は高い城壁が巡らされていて、まるで要塞のようです。
保存状態が良いです。
坂道を登り村の一番上へ
空が青いです
塔がいくつも立っています
日干しレンガの家並み
壁面に模様が施されています
壁面には銃眼があります
ワルザザートの近郊には、この「アイト・ベン・ハッドゥ」のような城塞都市がいくつもありますが、保存状態はこの村が一番良いのだとか。
そのため、映画のロケ地としてもしばしば利用されているそうです。
村の一番上から新市街を眺めます。
手前が旧市街、向こうが新市街
旧市街に林立する塔
村の一番上にたどり着きました。
見晴らしが良いです!
世界遺産のため、村には観光客の姿が多く、訪れた時は韓国人とタイ人の団体がたくさん来ていました。
村の裏手には荒涼とした大地が広がっています。
不毛の大地
しばしパノラマを堪能
村の頂上からしばし、パノラマを堪能します。
けれども、時計を見ると、もう時間がない!
もうちょっとゆっくりしたかったですが、仕方ありません。
車へと戻ることにしましょう。
急がないと!
土産物屋に掲げられていた綺麗な布
映画のロケの様子
世界遺産の表示
この「アイト・ベン・ハッドゥ」では、数多くの映画が撮影されました。
代表的な作品としては、『ソドムとゴモラ』『アラビアのロレンス』『ナイルの宝石』『ハムナプトラ2』『グラディエーター』『プリンス・オブ・ペルシャ/砂の時間』などなど。
近郊のワルザザートには、ハリウッドの撮影所もあり、映画で使われたセットを見ることもできます。
「アイト・ベン・ハッドゥ」の集落
さて、村の麓まで降りてきて、アリのいる車に戻ってきました。
10分ほどの遅れ。
アリが怒ります。
「間に合わなくなってしまうぞ!」
帰り道、アリは遅れを取り戻すべく、車を飛ばしてくれました。
道すがら、アリと話をします。
アリによると、10年くらい前まで、モロッコでは多くの若者がヨーロッパに働きに出ていたそうです。
それも正規ではなく、ボートで海峡を越えてスペインに渡り、不法に働いていたのだとのこと。
アリもそうだと言います。
けれども、近年になってモロッコの経済が良くなってきたため、ヨーロッパに渡ったモロッコの若者たちは、皆帰国したのだそうです。
現在では、モロッコにはたくさんの仕事があるとのこと。
たとえば、ワルザザートの街は、太陽光発電のモデル都市だそうで、人々が集まってきていて仕事も多くなっているのだとか。
そんなことを話しているうちに、ワルザザートのバスターミナルに到着しました。
どうやら間に合ったようです。
シュクラン(ありがとう)、アリ!
アトラス山脈を越え、マラケシュへ
11時発のバスでマラケシュへと向かいます。
モロッコを南北に分かつ「アトラス山脈」。
ワルザザートからマラケシュへと向かう道は、この「アトラス山脈」を越えていくことになります。
到着は夕方の16時頃、およそ5時間の旅です。
マラケシュ行きの途中でのランチ
羊がたくさん!
アトラス山脈を越える
アトラス越えの山道
バスは、ワルザザートを出ると、次第に山道へと入っていきました。
車窓からは、放牧している羊の群れが見えたり、日干しレンガの家並みが見えたり。
山脈の頂には雪の姿も見えました。
峠はつづら折りの山道が延々と続きます。
峠の最高地点は、ティシュカ峠の「ティズ・ティシュカ」(2,260m)。
山を越えると緑が増えてきます。
サボテンがたくさん生えていました。
峠を越えると、下のつづら折りが続き、しばらくすると、車窓に緑が増えてきます。
そのうち、風景は平坦になってきて、通り過ぎる町の規模も大きくなってきます。
マラケシュに近づくと、車の量も増えてきて少し渋滞し始めます。
そして、午後4時半頃、マラケシュに到着!
マラケシュは大都会でした。
マラケシュのホテルRoux
ホテルの部屋
ホテル前のカフェ
マラケシュの街並み
マラケシュに着くと、すぐにホテルを探しました。
街で出会った客引きに案内されて、10件ほど周ったのですが、良さげな所はどこも一杯で空きがない状況。
30分ほど探し回ったでしょうか。
ようやく1軒のホテルに空きを見つけ、チェックインをしました。
Hotel Roux(シングル、ホットシャワー、エアコン付き 400DH:4,000円)です。
荷物を置いて、ちょっと休んでから、マラケシュのメインの見どころ、「ジャマ・エル・フナ広場」へと向かいます。
旅行時期:2013年12月〜2014年1月
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