古代から中世、近世の江戸時代末期に至るまで、本宮・新宮・那智の「熊野三山」は多くの信仰を集めてきました。
人々は深い山と森に覆われた紀伊の山道を歩き、険しい峠をいくつも越えて、神々の地「熊野三山」を目指したのです。
この熊野の参詣路は、現在では「熊野古道」と呼ばれ、世界遺産にも登録されています。
「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)」は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町にある「熊野三山」のうちのひとつ。
新宮からJR紀勢本線で紀伊勝浦駅へ。そこからバスに乗って「熊野那智大社」の入り口となる「大門坂」を目指しました。
熊野古道で最も美しい道と言われる「大門坂」
「大門坂駐車場前」でバスを下車。
ここから「大門坂」を登り、「熊野那智大社」、そして、「那智の滝」へ至る道は、熊野古道の中でも最も歩きやすいルートのひとつ。
距離は約2.5km、1時間ほどの時間で歩くことができます。
さっそく、入り口から「大門坂」を登り始めましょう〜!
歩き始めると、すぐに石造りの鳥居があり、その向こうに赤い欄干の「振ヶ瀬橋」があります。
ここが那智参拝の入り口です。
橋の手前には、明治時代の博物学者、生物学者、民俗学者として知られる「南方熊楠」が滞在した大阪屋旅館もあります。
「振ヶ瀬橋」を渡って少し歩くと、樹齢約800年と言われる2本の杉「夫婦杉」が現れます。
ここが、「大門坂」の登り口です。
「夫婦杉」を抜けると、一気に道は山道へと入っていきます。
江戸時代当時の熊野古道の面影を色濃く残す「大門坂」
鬱蒼とした杉の木立の中、石畳が延々と続いています。
全長約600m、高低差は約100mであるとのこと。
日本の街道で石畳敷きのところは結構珍しいです。
熊野古道が石畳敷きなのは、紀伊半島が日本でも有数の降雨量が多い地域だからなのだとのこと。
深い森と石畳の道、雰囲気抜群、絵になります。
那智山駐車場から階段を登って那智大社へ
40分ほど山道を登ると、那智山の参道口に到着します。
ここには、バスの「那智山」停留所があり、広い駐車場もあって、駐車場の前には「蓬莱閣」をはじめとしたお土産屋さんやお食事処がいくつかあります。
那智山駐車場から那智の山々を眺めます。
緑豊かな風景です。
那智山駐車場からは、階段を登っていきます。
ここが表参道です。
少しひと休みした後、階段を登り始めます。
この「表参道」の階段は473段。
さっきの「大門坂」よりも数倍きついです。
階段の途中には土産物屋が軒を連ねています。
階段の途中に郵便局があって、そこのポストは丸型の赤ポストでした。
熊野那智大社入り口の「一の鳥居」です。
ここまで来ればもうすぐ!
鳥居をくぐって、すぐ左手にある手水舎で手と口を清めて、階段を登っていきます。
「二の鳥居」が見えてきました。
最後もうひと頑張りです。
「熊野那智大社」と「青岸渡寺」(世界遺産)
ようやく「熊野那智大社」に到着しました〜!
疲れましたー。
呼吸を整えて、さっそく参拝します。
「熊野那智大社」は、標高約500mの場所に位置し、社殿は6棟からなります。
主祭神は、熊野夫須美大神(くまのふすみのかみ)
現在の場所に社殿が創建されたのは、317年の仁徳天皇の治世の頃であるとのこと。
社殿を彩る丹塗りの赤が目に鮮やか。
みなさん、参拝しています。
「熊野那智大社」の境内には、「青岸渡寺」もあります。
「青岸渡寺」は、天台宗の寺院で本尊は如意輪観世音菩薩。
4世紀にインドから渡来した裸形上人による開基とされています。
中世から近世にかけて、隣接する「熊野那智大社」とともに神仏習合の修験道場であったとのこと。
日本三名瀑のひとつ、「那智大滝」(世界遺産)
「熊野那智大社」は標高約500mの山の上にあるので、見晴らしが良いです。
境内から辺りの風景を見渡すと、向こうに三重塔と「那智の滝」が見えました。
ここから「那智の滝」まで歩いて降りていくことにします。
結構急な階段を下って行くと、「飛龍神社」が現れました。
「飛龍神社」は、熊野那智大社の別宮で、主祭神は「大己貴神」です。
本殿は存在せず、拝殿もなく、「那智の滝」自体が御神体。
直接滝を拝むこととなります。
「飛龍神社」から階段を下りていきます。
滝が流れ落ちる音が次第に大きくなってきます。
「那智の滝」に到着しましたー!
「飛龍神社」の御神体である「那智の滝」
滝の正面に鳥居があり、滝に向かって参拝します。
「那智の滝」は、落ち口の幅13m、滝壺までの落差は133m。
一段の滝としては落差が日本一です。
栃木県日光にある「華厳滝」、茨城県にある「袋田の滝」とともに日本三名瀑に数えられています。
ちなみに、落差世界一の滝は、ベネズエラのカナイマ国立公園にある「エンジェルフォール」で、落差は979mです。
轟音を上げて流れ落ちる「那智の滝」
那智には60あまりの滝がありますが、そのうちの48滝(那智四十八滝)が古来より瀧篭修行の行場として扱われていました。
「那智の滝」は、この「那智四十八滝」のうち、「一の滝」を指しているのだそうです。
毎秒1トンの水が流れ落ちると言われる「那智の滝」
その轟音はものすごいです!
「那智の滝」は、世界遺産にも登録されています。
紀州名物「めはりずし」
「那智の滝」を参拝し終えた後、表参道の入り口まで戻ってお食事をすることにしました。
那智山駐車場の辺りにいくつかある食事処のうちの一軒に入ります。
そして、注文したのがこれ。
紀州名物「めはりずし」です!
「めはりずし」とは、Wikipediaによると、
めはりずし(めはり寿司)は和歌山県と三重県にまたがる熊野地方、および奈良県吉野郡を中心とした吉野地方の郷土料理、高菜の浅漬けの葉でくるんだ弁当用のおにぎり。千貼り(せんばり)寿司、大葉寿司、高菜寿司、芭蕉葉(ばしょば)寿司と呼ぶ地域もある。弁当は熊野名産とされ、新宮市のものは特に有名であり、和歌山県の特産品として和歌山県推薦優良土産品に指定されている。元来、麦飯の握り飯を高菜で巻き込んで作っていたが、現在はもっぱら白米を用い、酢飯を使うこともある。また、奈良県の南東部に位置する下北山村では特産品の下北春まなの葉の漬物に白飯をくるんで食べる。高菜のような辛みが無いので、一味違った味である。一般的には酢醤油で食べられるが、マヨネーズと醤油で食べる事もある。
めはりずし – Wikipedia
とのこと。
高菜の浅漬けの香りが豊かなおにぎり。素朴なお味。
酢醤油につけて食べると美味しいです★
食後、バスに乗って紀伊勝浦駅へと向かいます。
紀伊勝浦駅に戻り、普通列車に乗って新宮へ。
車内は地元の女学生たちがたくさん乗っていて大賑わい!
車窓からは太平洋の海原が見えました★
新宮に到着して、ワイドビュー南紀に乗り換え。
名古屋を目指します。
名古屋からは新幹線に乗って東京へ。
熊野三山「熊野速玉大社」「熊野本宮大社」「熊野那智大社」をバスと電車で巡る2泊3日の「熊野詣」旅。
「湯ノ峰温泉」に浸かり、「熊野古道」を歩いて、「那智の滝」も鑑賞。
充実した世界遺産巡りとなりました〜★
コメント