ミャンマー西部のラカイン州に主に居住してきたイスラム系の少数民族「ロヒンギャ族」。彼らはミャンマー政府から国民として認められず、無国籍の状態で長年差別や迫害を受け続けてきた人々です。
群馬県館林市は、ロヒンギャからの難民が日本で一番多く住んでいる町。『ALH Minimart and Restaurant(エー エル エイチ ミニマート アンド レストラン)』は、ロヒンギャ人が営む、日本で唯一のロヒンギャ料理のレストランです。
かねてから行ってみたいと思っていましたが、今回ようやく行く機会に恵まれました。
『ALH Minimart and Restaurant』へのアクセス・行き方
都内から『ALH Minimart and Restaurant』のある館林までのアクセスは東武線を利用。
北千住から急行に乗って約3時間で「館林駅」に着きます。
お店の最寄駅は館林の隣駅である東武小泉線の「成島駅」ですが、東武小泉線の本数が少ないため館林駅からお店へと向かうのがベターです。

館林駅西口からは、路線バス「多々良巡回線」がお店の近くまで走っています。
平日・土曜であれば1時間に1本便があり、最寄りのバス停「開拓公民館東」までは所要15分ほど。
バス停からは歩いて数分でお店に着きます。
ちなみに、「多々良巡回線」は、日曜・祝日は2時間に1本となってしまうので注意が必要。
『ALH Minimart and Restaurant』の外観と店内の雰囲気

こちらが、『ALH Minimart and Restaurant』の外観です。
敷地には2つの建物があり、入って右手の建物が食材店「ALH Minimart(エーエルエイチ ミニマート)」、左正面の建物がレストラン「ALH Restaurant(エーエルエイチ レストラン)」になっています。

WEB上の情報によると、オーナーは在日ロヒンギャ人のリーダー的存在の方で、奥様は日本の方であるとのこと。
看板を見ると、食材店とレストラン以外にも貿易商社や人材派遣業を営んでいる様子。やり手のオーナーであることが窺えます。


食材店は後で見ることにして、さっそく扉を開け、レストラン「ALH Restaurant(エーエルエイチ レストラン)」の店内へ。

こちらが、「ALH レストラン」の店内です。
店内空間は結構広く、座席は50席ほど。
訪問したのは休日のランチタイム。お客さんはひとりもおらず、スタッフの姿も見えなかったので不安になりましたが、厨房の方に声を掛けると、ロヒンギャの方らしき、ヒジャブを被った女性が現れました。

スタッフは、注文の受付と会計をし、食材店の番頭もしていた男性と、調理と料理のサーブをしてくれた女性2人。
この日、お店にはオーナー氏と日本人の奥様は居られなかった模様。

店内の壁には、メッカのカーバ神殿の写真が飾られていました。
ロヒンギャは、イスラム教徒が多数派の民族です。
さて、ここで、ロヒンギャの料理がどんなものなのか、ちょこっとご説明。
ロヒンギャ料理とは?

ロヒンギャ料理は、ミャンマー西部のラカイン州(旧アラカン地方)北部に暮らしてきたロヒンギャの人々の食文化です。地理的にはバングラデシュ・チッタゴン地方と連続しており、料理もベンガル湾沿岸のムスリム系食文化と深く結びついています。
ロヒンギャの主食は米。米食文化なのはビルマ族と同じですが、カレー(煮込み料理)は玉ねぎベースでグレイビーが濃く、唐辛子や黒胡椒を使い、牛肉を多用するなど、ベンガル・ムスリム料理に近い傾向があります。
ロヒンギャの大多数はイスラム教のため、料理はハラール。豚肉は使われません。
魚料理もよく食べられていますが、魚醤や発酵ペーストを多用するミャンマー中央部とは異なり、ベンガル的な魚カレー方向に寄っているとのこと。
さて、ロヒンギャ料理の話はこれくらいにして、そろそろメニューを見てお料理を選びましょうか〜。
『ALH レストラン』のメニュー



こちらが、「ALH レストラン」のメニューです。メニュー本は無く、黒板メニューのみ。
右の黒板がロヒンギャ料理メニュー。左がロヒンギャ料理以外のメニューです。
メニューは英語とビルマ語で書かれており、読める英語だけ見ると、「Fried Fish Curry」や「Beef Curry」「Coconut Noodle」など、わかりやすいけど個性が感じられない名前なので、逆に選びづらい感じ。
しかしながら、今回は事前にWEBでリサーチ。魚のカレーとヤギ肉(マトン)のカレーがロヒンギャらしい料理であり、美味しいという情報だったので、「Fish Curry」(1,300円)と「Mutton Curry」(1,300円)をチョイス。前菜として「Chana Dal Salad」(800円)も頼むことにしました。
ちなみに、ロヒンギャ料理以外では、南インド料理の「Dosa」があったり、ミャンマー中央部定番の「Shan Noodle」や「Tea Leaves Salad」があったり。
注文を済ませ、待っていると、10分ほどでお料理が一気に運ばれてきました。
ロヒンギャ料理(マトンカレー、フィッシュカレー、豆サラダ)を堪能

こちらが、今回いただいたロヒンギャ料理。
「Fish Curry」と「Mutton Curry」は定食スタイルになっていて、パラパラの「バスマティライス」と豆のスープ「ダール」、ジャガイモや野菜をマッシュした「ボルタ」、生野菜とミャンマーふりかけ「バラチャウン」がセットになっています。
右下のが「Mutton Curry」。その上にあるのが「Chana Dal Salad」。一番奥にあるのが「Fish Curry」です。
見るからに美味しそう。さっそく、いただきましょう〜♪

まずは、豆のスープ「ダール」
マスールダールを使ったシャバシャバ気味のダール。これがあるというだけで、ロヒンギャ料理がミャンマー中央部の料理とは明らかに違う、バングラデシュに近い料理だということがわかります。
お味は、ニンニクが結構効いていて、塩気も強め。ハーブ感もあり、これだけでご飯をもりもり食べられそうな感じ。美味しいです♪

こちらは、バングラデシュ料理でお馴染みの「ボルタ」
ジャガイモをマッシュした「アルー・ボルタ」です。
混ぜる(トウッ)メインのミャンマー中央部に対して、潰すメインのベンガル。
カレー風味で唐辛子の辛味がピリリと効いたお味は、まさにバングラデシュのボルタそのもの。
カレーのお供として、ご飯のおかずとして、どんな料理とも合う美味しい副菜です♪

箸休め的な、生野菜とバラチャウン。
「バラチャウン」は、干しエビやフライドオニオン、フライドガーリック、唐辛子などを細かく砕いたミャンマーのふりかけ。
こちらは、ミャンマー中央部の食文化を感じさせる一品。
かなり辛いので掛け過ぎは禁物ですが、ご飯にダールを掛け、バラチャウンを少し振り掛けて食べるのもなかなかイケます。

こちらは、カレーと別で頼んだスパイシーな豆のサラダ「Chana Dal Salad」
チャナ豆をメインに野菜や正体不明の具材(クリスピーで美味しい)が入ったサラダです。
料理のテクスチャはミャンマーを代表するお茶の葉サラダ「ラペットゥ」に似た和え物サラダ系でミャンマー中央部の食文化を感じさせますが、色合いが黄色でお味もカレー風味なのが、ロヒンギャ、および、ベンガル料理的。
パクチーの爽やかな香りが良いアクセント。

そして、メインのカレー。
こちらは、「Fish Curry」
ベンガルでもよく食べられている魚の炒め煮カレー「Maach Bhuna(マーチ・ブナ)」によく似たお料理です。
ミャンマー中央部の「ヒン」と違う感じで、揚げた魚を使い、油多め。グレイビーは玉ねぎ+トマトベース。正体はわかりませんが魚と一緒に青菜がたくさん入っていました。結構酸味が強い味です。
魚の名前は聞きそびれてしまいましたが、黒っぽくぬめりのある皮があり、ゼラチン質が多め。少し泥臭い風味がしました。たぶん、ナマズ系かと思われます。
魚の泥臭さがちょっと気になるものの、スキッと酸味の効いたグレイビーがことのほか美味♪

続いて、「Mutton Curry」
このマトンカレーが絶品でした!
ヤギ肉をメインに使ったカレーで、ロヒンギャでは「Khasi Gos Bhuna(カシ・ゴス・ブナ)」と呼ばれるのだそう。
油でしっかり炒めて水分を飛ばした濃厚なスパイス煮込みで、グレイビーは玉ねぎ主体の濃いめの色合い。ガッツリ効いたスパイス感と、ほど良い柔らかさのヤギ肉の旨味がたまらない味わい。
この日いただいた料理のベストです!

ロヒンギャ料理、いただいたどのお料理も本当に美味♪
そして、地理的にも食文化的にも、ミャンマーとバングラデシュの中間のような料理構成と味付けがかなり面白く、貴重な一食となりました★

食後のお飲み物は、「ミャンマーティー(ラペッイェー)」をいただきました。
ミャンマーで最もよく飲まれている飲み物がミルクティー。ラペッイェーは、コンデンスミルクがたっぷり入った甘いお味が特徴です。
スパイシーなお料理の後の甘いミルクティー。ホッとする美味しさ♪
食後の良いお口直しとなりました。
食材店『ALH Minimart(エーエルエイチ ミニマート)』

食後は、食材店「ALH Minimart(エーエルエイチ ミニマート)」を物色。
結構大きな食材店で、調味料や発酵食品、お米や豆、マトン肉や川魚、調理器具まで、ミャンマーおよび、ロヒンギャの食卓に必要なひと通りのものが揃っている様子。







ラペットゥに使う発酵茶葉や各種ピクルス。ミャンマーの万能スパイスミックス「Kalar Lay」。アカシア葉炒めやピーナッツペースト。川魚や魚の干物、マトン肉。
アンビカブランドのインドのスパイスミックスやホール or パウダースパイス。各種豆類やお米。スナック類やスイーツ。タイのソムタム作り用の石臼「クロックヒン」まで、いろいろあり。
帰りは最寄の「成島駅」から都内へ

帰りは、お店の最寄駅である東武小泉線の「成島駅」まで歩いて行きました。
駅までは徒歩20分。
道中、通り沿いにベトナム人経営の中古車販売店があったり、その向かいにベトナム食材店兼カラオケバーがあって、店内からベトナムの歌が聴こえてきたり、カラオケバーの前ではベトナム人の若い男女がバーベキューを楽しんでいたり。


東武小泉線に乗り、隣駅の館林駅へ。
東武小泉線は、館林と日本のブラジルタウンとして有名な大泉町の最寄駅「西小泉」を結ぶ路線。車内の外国人率は高めで違和感なく溶け込んでいる感じ。この地域に多くの外国人が普通に暮らしていることが窺えます。
館林からは、伊勢崎線の急行に乗って都内へと戻りました。
ミャンマー・ロヒンギャからの難民が日本で一番多く住んでいる町、群馬県館林市。
この町にある『ALH Minimart and Restaurant(エー エル エイチ ミニマート アンド レストラン)』は、ロヒンギャ人が営む、日本で唯一のロヒンギャ料理のレストランです。
いただいたお料理は、ダールスープやボルタ。スパイシーなフィッシュカレーやマトンカレーなど、ミャンマーでありながらも、バングラデシュの要素が濃厚なのが面白い!
もちろん、お味も抜群に美味♪ 都内から3時間掛けて食べに行く価値はあります。
『ALH Minimart and Restaurant』の地図・アクセス・営業時間
ミャンマー料理店











