多民族国家「マレーシア」(Malaysia:مليسيا)
マレー人、華人、インド人を始め、たくさんの民族の文化が混じり合った面白い国です。また、かつて支配していたオランダやポルトガル、イギリスの影響も見ることができます。
マレーシアの首都「クアラルンプール」と貿易で栄えた「マラッカ」の旅。
今回は、クアラルンプールをご紹介します。
マレー人、華人、インド人。3つの民族の住むマレーシア
グラン川とゴンバック川の合流地点に建つ「マスジッド・ジャメ」
マレーシアの首都「クアラルンプール」
マレーシア語で「泥の川の合流地」という意味を持つこの町は、アジアの発展を象徴するかのような近代都市です。通称「KL」と呼ばれています。人口は約150万人です。
この町の歴史はさほど古くはありません。19世紀半ば、クラン川とゴンバック川の合流地(これが町の名の由来)で錫が見つかり、その採掘のために開発されたのがこの町の始まりです。
19世紀末にはイギリスの植民地支配下に入りました。太平洋戦争中には一時、日本の支配下となりましたが、戦後イギリス統治となり、1957年にマレーシアが独立すると、その首都と定められました。
インド人がたくさんいる界隈
マレーシアは多民族国家です。
マレー語を母語とし、イスラム教を信仰する「マレー人」。ボルネオからやってきたキリスト教や伝統宗教などを信仰する「イバン人」や「ダヤク人」「ビダヤ人」といった少数民族(これらの、元々マレーシアに居住していた人々をブミプトラ「土地の子」といい、総人口の6割を占めます)。
19世紀、イギリス植民地時代に移住してきた華人(儒教・道教を信仰、総人口の3割)。
南インドのタミル人を主とした「インド人」(ヒンドゥー教・イスラム教・シク教などを信仰し、総人口の1割を占めます)。
イギリスを始めとしたヨーロッパ人(キリスト教)やアラブ系の人々(イスラム教)。
様々な民族が暮らしているマレーシアですが、それぞれの民族間での婚姻が少なく、民族ごとに独自の社会を形成しているという点がユニークです。
マスジッド・ヌガラ(国立モスク)
「マスジッド・ヌガラ」(国立モスク)
クアラルンプールのイスラムの中心、「マスジッド・ヌガラ」(国立モスク)です。
このモスクは1965年に建てられた東南アジアでも屈指の大きさを誇るモスクで、その礼拝堂は約8000人の信者を収容することができるのだそうです。
礼拝堂の屋根は星型をしていて、その五つの頂点はイスラム教の「五行」を表しているといいます。
五行とは、信仰告白(シャハーダ)、礼拝(サラー)、喜捨(ザカート)、断食(サウム)、巡礼(ハッジ)のことです。
左手に見えるミナレットの高さは73m。
ここから一日5回、礼拝の呼びかけである「アザーン」が鳴り響きます。
礼拝堂へと向かう通路
各国のお祈りの時間
たくさんの柱が並ぶ礼拝堂
モスクへは靴を脱いで入ります。
もちろん女性はローブとスカーフを着用。男性も短パンでは入れません。
内部は大理石張りのとても豪華なつくりとなっています。
礼拝堂でお祈りしている女性
「マスジッド・ヌガラ」の場所はクアラルンプール鉄道駅から約200mほど。
LRTの駅からも見えます。
年中無休、料金もタダです。
スリ・マハ・マリアマン寺院
「スリ・マハ・マリアマン寺院」
「スリ・マハ・マリアマン寺院」は、チャイナタウンにあるマレーシア最大のヒンドゥー教寺院です。
建てられたのは1873年ですが、現在の建物は1999年に改装されたものだとか。
入り口に聳えているのは「ゴプラム」という門塔。南インドの町によくある建物です。このゴプラムには、228体もの神様が刻まれています。
1体1体全て表情や動きが違っているのだとか。
ゴプラム
寺院の内部
祈る人々
ダンシング・シヴァの像
「スリ・マハ・マリアマン寺院」の入場は無料です。ただし、靴を預けると20セントかかります。
内部では、クアラルンプール在住のインド人たちが引っ切り無しに訪れ、祈りを捧げています。
この寺院は、毎年1月から2月にかけて行われるヒンドゥー教のお祭り「タイプーサム」の出発点にもなっています。
祭りでは、ここから約10km離れた「バトゥ洞窟」まで牛車が行進をするのだそうです。
関帝廟
関帝廟
クアラルンプールのチャイナタウンにある関帝廟です。
建物は1887年に建てられた広東様式。「スリ・マハ・マリアマン寺院」の斜め前にあります。
関帝廟とは、三国志で有名な関羽を祀った廟のこと。
関羽は商売の神様であり、商売繁盛を願って華人だけでなくマレー人も参拝に訪れるのだとか。
関帝廟の入り口
うずまき線香
関帝廟の内部
黄金色の香炉
関帝廟で祈る人々
内部は、「スリ・マハ・マリアマン寺院」に比べると人が少なく静かな雰囲気。
本殿には関羽を中心に、養子であった関平、配下の武将であった周倉が祀られています。
また、宇宙の創造主である「天」を具象化した道教の最高神といわれる「玉皇上帝」や古代神話に由来する創造神「地母娘娘」なども祀られているのだそうです。
ペトロナス・ツインタワー
ペトロナス・ツインタワー
マレーシア近代化の象徴、KLCC地区にあるペトロナスツインタワーです。
高さ452mの88階建てで、2003年に台湾の台北国際金融センターに抜かれるまでは世界1位でした。
ツインタワーとしては現在でも世界1位です。
施工はタワー1が日本のハザマ、タワー2が韓国のサムスンだそうです。
ツインタワーの内部
お買い物に来たマレー人女子たち
タワーは上層階がオフィス、下層階はショッピングモールとなっています。
コンサートホールやギャラリー、伊勢丹や紀伊国屋もあります。
タワーの41階には二つのビルを繋ぐスカイブリッジがあるのですが、かなり並びます。
結局私は登ることができませんでした。
旅行時期:2005年1月
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