インド南部、テランガーナ州の州都である「ハイデラバード(Hyderabad:హైదరాబాదు)」
インド第7位の775万の人口を擁する大都市で、長らくイスラム王朝によって統治されてきたため、南インドにありながらムスリム文化が色濃く残っているのが特徴です。
今回は、ハイデラバードの中でも最もムスリム色が濃い「ハイデラバード旧市街」と、旧市街にある街の象徴「チャール・ミナール」をはじめとした見どころをご紹介します。
ハイデラバード旧市街
ハイデラバードMAP
こちらが、「ハイデラバード」の地図です。
町の中心は、ハイデラバード駅のある「ナンパリー地区」。その北に「フセイン・サーガル湖」という大きな湖があり、その北東に隣接して双子都市の「シカンダラーバード」があります。
ナンパリー地区の南には、ムースィー川という川が流れ、その南に広がるのが「ハイデラバード旧市街」です。
ハイデラバード一番の見どころは、この旧市街。さっそく、向かってみましょう〜♪
「Uber Auto」で旧市街へ
ハイデラバードには、メトロ(地下鉄)が走っていますが、旧市街には通っていないため(建設予定)、今回はリキシャで向かいました。
宿泊していたホテル『タージ・マハル・ホテル』(ナンパリー地区の隣のアビッズ地区にある中級ホテル)から、Uberのリキシャ「Uber Auto」に乗って20分ほど(Rs69:¥124)。
ハイデラバードの旧市街に到着しました!
ハイデラバード旧市街
こちらが、「ハイデラバード旧市街」です。
ここで、ハイデラバード旧市街について、ちょこっとご説明。
ハイデラバード旧市街の概要と歴史
「ハイデラバード旧市街」が造られたのは1591年。当時この地を支配していたイスラム王国「ゴールコンダ王国(クトゥブ・シャーヒー朝)」(1518〜1687年)の王「ムハンマド・クリー・クトゥブ・シャー」によって建設されました。
ゴールコンダ王国の統治期、建築や芸術を愛した歴代の王たちによって、数え切れない宮殿や邸宅、壮麗なモスク、数多くの湖や溜池が造営されました。
それらの建造物は、後のムガル帝国遠征軍の侵攻によって、徹底的に破壊されてしまいましたが、旧市街には、町の象徴でもある「チャール・ミナール」や、ハイデラバード最大のモスク「メッカ・マスジッド」など、いくつかの建物が現在でも残っています。
ハイデラバードの次の黄金時代は「ニザーム王国」(1724〜1948年)の時代。
歴代のニザーム家当主は偉大な建設家であり、数多くの宮殿や邸宅、様々な公共施設を建設したほか、この時代に町は大いに近代化されました。
また、ニザーム王国では宮廷文化が大いに花開き、料理も発展。有名な「ハイデラバーディー・ビリヤーニー」や「ハイデラバーディー・ハリーム」も、ニザーム宮廷で生まれたと考えられています。
ハイデラバード旧市街では、イスラム教徒が65%と多数派(ハイデラバード都市圏全域では、ヒンドゥー教徒が65%で多数派)を占めており、多くの人々がウルドゥー語を話します。また、界隈にはモスクが多くあるほか、ニザーム宮廷文化の名残を感じさせるハイデラバード料理を提供する食堂がいくつもあります。
さて、ハイデラバードの説明はこのくらいにして、さっそく、旧市街で一番の見どころ、ハイデラバードのランドマークでもある「チャール・ミナール」に向かいましょう〜♪
チャール・ミナール|4本の塔を持つハイデラバードの町のシンボル
「チャール・ミナール」が見えてきました!
リキシャを降り、旧市街のメインストリート「チャール・ミナール・ロード」を歩いていくと、前方に4本の塔を持つ建物が見えてきました。
「チャール・ミナール」
こちらが、「チャール・ミナール(Charminar)」
ハイデラバードの紹介には必ず写真やイラストが使われる、ハイデラバードの町を象徴する建物です。
今まで写真やイラストなどで何度も見た「チャール・ミナール」、感動です♪
高さは56m
「チャール・ミナール」は、4つのミナレット(塔)を意味しています。
1591年に、ゴールコンダ王国の王「ムハンマド・クリー・クトゥブ・シャー」によって建設された建物で、この建物が何の目的で建てられたのかは判明していないそうですが、構造自体はモスクとマドラサとして機能するようになっています。
ちなみに、旧市街の街並みは「チャール・ミナール」を中心に設計されているのだそう。
建物はペルシャ建築の要素を取り入れたインド・イスラム建築様式。正方形の建物で、高さは56m。基盤の一辺は20m、4つのアーチは幅11m、高さ20m。4本のミナレットの高さは20m。
「チャール・ミナール」前の広場
「チャール・ミナール」前は、広場になっています。
広場にはアクセサリーや衣服を売る屋台がたくさん並び、イラーニーカフェでチャイを飲む人が多くいました。
「チャール・ミナール」は、バルコニー部分まで登ることができるようになっています。
オープン時間の9時になったので、さっそく登ってみることにしました。
「チャール・ミナール」の基壇部分の内部
上部のバルコニー部分を見たところ
入り口にある受付で、入場チケットを購入。料金はRs300(¥540)です。
上の写真は「チャール・ミナール」の基壇部分の内部の様子。
朝早いせいか、ガラガラでしたが、そのうち、パラパラとインド人観光客がやってきました。
内部の階段
「チャール・ミナール」の上に登るためには、上の写真のような螺旋階段を登っていく必要があります。段数は149段。結構狭くてすれ違うのは大変!
上部のバルコニー部分から見た内部
149段の階段を登り切りました!
イスラム建築らしい、アーチと象嵌細工の装飾が素晴らしい♪
しかしながら、見れるのはこの部分だけ。4本のミナレットの上には行くことはできないようです。
「チャール・ミナール」の上からの眺め
イスラム色の濃い、旧市街の風景
「チャール・ミナール」の上からは、ハイデラバード旧市街の街並みを一望することができます。
もっと混沌とした雰囲気なのかなと思っていましたが、それほど人の数も多くなく、静かな感じ。朝早いせいかもしれません。
「チャール・ミナール」
「チャール・ミナール」の住所・営業時間・入場料
- 住所:Charminar Rd, Char Kaman, Ghansi Bazaar, Hyderabad, Telangana 500002 インド
- 営業時間:9:00〜17:30(金曜日は、12:30〜14:00までは礼拝のため入場不可)
- 入場料:Rs300
さて、「チャール・ミナール」の上からの風景を眺めた後は、お茶をしましょう♪
「チャール・ミナール」のすぐ脇にある有名なカフェ『Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリー)』に向かいます。
Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェアンドベーカリー)
『Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリー)』
「ハイデラバード」には、19世紀末から20世紀初頭にかけて移民してきたイラン系の人々(イラーニー)が営む「イラーニー・カフェ」がいくつもあり、名物のひとつともなっています。
そんな、イラーニー・カフェの中でも最も有名なお店が『Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリー)』です。
『Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリー)』の店内
『Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリー)』の店内です。
創業は1993年と比較的新しいものの、チャール・ミナールの真ん前という立地の良さと、提供する「イラーニー・チャーエ」と「オスマン・ビスケット」の美味しさによって、今ではハイデラバードを代表する「イラーニー・カフェ」の人気店となっています。
「イラーニー・チャーエ」と「オスマン・ビスケット」20ルピー(36円)
こちらが、「イラーニー・チャーエ」と「オスマン・ビスケット」
「イラーニー・チャーエ」のミルクは水牛のミルクが使われているそうで、ミルクの味が濃厚で美味しい! スパイスは使われていないようです。
「オスマンビスケット」は、シンプルで素朴なお味ですが、塩気が効いていて、これも美味♪ 甘いイラーニー・チャーエに合います★
ハイデラバードの象徴「チャール・ミナール」を眺めながらのティータイム
ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリーのスタンド席。
目の前にチャール・ミナールを眺めながらのティータイム。
ハイデラバードに居るんだということを実感させてくれる瞬間です♪
「Nimrah Cafe And Bakery(ニムラ・カフェ・アンド・ベーカリー)」の住所・営業時間
- 住所:9F6F+CPR, Charminar Rd, Kotla Alijah, Ghansi Bazaar, Hyderabad, Telangana 500002 インド
- 営業時間:4:00~11:00
ティータイムの後は、「チャール・ミナール」から歩いてすぐのところにある「メッカ・マスジッド」へと向かいます。
メッカ・マスジッド|インド最大級の大きさのモスク
「メッカ・マスジッド」
こちらが「メッカ・マスジッド」です。
「メッカ・マスジッド」は、ハイデラバードで最大、インド国内でも最大級の大きさのモスク。一度に1,000人の信者を収容できるとのこと。
メッカ・マスジッドの入場料は無料。入り口で簡単なセキュリティチェックがあります。
内部には鳩がたくさんいました。礼拝している人はおらず、石段にぼんやり座っている人が多くいました。
礼拝堂とミナレット
ゴールコンダ王国のスルタン・ムハンマド・クトゥブ・シャーの治世下に建設が開始され、77年後の1694年に、ムガル帝国アウラングゼーブ帝が「メッカ・マスジッド」を完成させました。
建設には、約8,000人もの労働者が携わったと言われています。
「メッカ・マスジッド」の内部
「メッカ・マスジッド」の内部に入ることはできませんでしたが、この奥には、67×54mの大広間があるのだそう。
なお、2007年5月18日、この「メッカ・マスジッド」内で爆弾が爆発し、少なくとも13人が死亡、数十人が負傷する事件が起こったのだとか。
ニザーム家の歴代当主の墓
「メッカ・マスジッド」内には、この地を治めたニザーム家の歴代当主の墓が安置されていました。
アーチの連なる大理石の回廊に、歴代当主の墓が整然と並べられています。
「メッカ・マスジッド」の広場
広場に座ってしばし、のんびり
インド最大級の大きさのモスク「メッカ・マスジッド」
見どころはあまりないですが、喧騒のハイデラバードの中で、のんびりできる場所のひとつ。大勢のムスリムが集まる金曜礼拝の様子も見てみたいです。
「メッカ・マスジッド」の住所・営業時間・入場料
- 住所:9F6F+5CG, Charminar Rd, Charminar, Ghansi Bazaar, Hyderabad, Telangana 500002 インド
- 営業時間:4:00〜21:30
- 入場料:無料
さて、「メッカ・マスジッド」でのんびりした後は、ハイダラーバード王国(ニザーム王国)の宮殿「チョウマハラ宮殿」へと向かいます。
ハイデラバード旧市街のチャット屋台
ムンバイ・チャイ・カフェ
ティファンの屋台
「メッカ・マスジッド」から「チョウマハラ宮殿」へは歩いて数分。
通りには、チャットの屋台やチャイのお店が営業していました。
お客さんや歩いている人の数は多くないですが、車やリキシャなどの交通量は結構多い感じ。
チョウマハラ宮殿|豪華な謁見ホールのあるニザーム王国の宮殿
「チョウマハラ宮殿」の入り口
こちらが、「チョウマハラ宮殿」の入り口です。
「チョウマハラ宮殿」は、1724〜1948年までインドのデカン地方を支配した「ニザーム王国」の宮殿であり、権力の中枢であった場所です。
現在は、博物館として機能していますが、所有権は今でもニザーム家にあるのだそう。
入り口の門
この門から宮殿の敷地内に入ります。
入場料は、Rs400(¥720)。場内はガラガラでほぼお客さんが居ない独り占め状態でした(後からインド人の団体が数組来た)。
小部屋が続く回廊
インド・イスラム建築様式のアーチ
「チョウマハラ宮殿」は、1750年から100年にわたって建設された宮殿で、建設当初は180,000㎡の広さがあったそうですが、現在は49,000㎡のみが残っています。
敷地内には、2つの広い中庭があり、4つの宮殿があります。ちなみに、「チョウ」とは4の意味で、マハラとは宮殿の意味であるとのこと。
チョウマハラ宮殿の中心「キルワット・ムバラク」
「ニザーム王国」の権力の中枢
噴水のある中庭の先にあるこの建物が、チョウマハラ宮殿の中心「キルワット・ムバラク」です。ここが、「ニザーム王国」の権力の中枢であったところ。
「ダルバール・ホール」
天井や柱の装飾がすごい!
ベルギー産クリスタルの19個の見事なシャンデリア
「キルワット・ムバラク」一番の見どころは、1階にある「ダルバール・ホール」(謁見の間)。
大理石の床と玉座、コリント式の列柱とアーチ、ベルギー産クリスタルの19個の見事なシャンデリア。天井や壁の装飾も見事で、かなり見応えがあります♪
ニザーム家についての説明
建物内はかなり広大
2階には王族が使用した食器などを展示
食器の数々
貴重なアンティークのコレクション
2階から見下ろした「ダルバール・ホール」
ニザーム王国時代の武具も展示されています。
「ダルバール・ホール」の2階には、王族が使った家具や衣装、食器などの工芸品が展示されているほか、別の建物では、当時の武器やビンテージカーなども展示されていました。
「チョウマハラ宮殿」
ニザーム家の優雅な暮らしを窺い知ることができる「チョウマハラ宮殿」
豪華な「ダルバール・ホール」や、ペルシャとムガル様式が融合した宮殿の建物は見応えがあります。観光客も少なく、ゆったり観覧できるのでおすすめなスポットです。
「チョウマハラ宮殿」の住所・営業時間・入場料
- 住所:20-4-236, Moti Galli Rd, Khilwat, Hyderabad, Telangana 500002 インド
- 営業時間:10:00〜17:00
- 定休日:金曜日
- 入場料:Rs400
「チョウマハラ宮殿」を見学した後は、「ラード・バザール」と呼ばれる通りを東へ向かって歩いて、再び「チャール・ミナール」へと向かいます。
ラード・バザール|塔の西に広がる装飾品のバザール
朝の「ラード・バザール」
「チャール・ミナール」を起点に、東西南北4方向に伸びている通りのうち、西へと伸びている通りが「ラード・バザール(Laad Bazaar)」
この「ラード・バザール」には、バングルやサリー、結婚式関連のアイテム、イミテーションジュエリーなどを扱うお店が軒を連ねています。バングルにラード(漆)が使われるため、この名前が付いたのだそう。
路地の合間に見える「メッカ・マスジッド」
「ラード・バザール」
「ラード・バザール」、もっと賑わっているのを想像していましたが、月曜日の11時という時間帯だからなのでしょうか。界隈はシャッターが閉まっているお店が多く、人通りも少ない感じでした。
「チャール・ミナール」到着
「チャール・ミナール」到着!
ここから、北へとぶらぶら散歩。取り敢えず、地図で見つけた「アジズ・プラザ」というショッピングモールへ向かって歩き始めます。
アジズ・プラザ|ビリヤニ鍋や生活雑貨が並ぶ卸売り市場
パザー・ガッティ・ロードの八百屋さん
チャール・ミナールから北へ。パザー・ガッティ・ロードを歩き、ムースィー川を渡って、しばらく進むと、オスマニア総合病院があります。
オスマニア総合病院近くの界隈
小さな卸売り店が無数にあります。
デコレーションアイテムやギフト用品のお店
オスマニア総合病院から西に広がる界隈は、プラスチック製品、食器、バッグ、ギフト用品などを卸売りする店舗が無数に並ぶバザール。
かなり混沌とした雰囲気です。
ビリヤニ鍋を売る店が至る所に
ビリヤニ鍋がたくさん!
界隈には、巨大なビリヤニ専用鍋を売る店が数多くあり、店頭には様々な形のビリヤニ鍋がたくさん並べられていました。
さすが、ハイデラバード!
ハイデラバードはリキシャだらけ
アジズ・プラザ界隈の風景
ハイデラバードはリキシャだらけ!
バスもたくさん走っているし、近年、メトロも開通しましたが(旧市街にはまだ未開通)、小回りの利くリキシャはハイデラバードの主力の交通手段。
ただし、排ガス規制が不十分で、ガソリン式エンジンのリキシャが大半なので、大気汚染はひどいです(ちなみに、首都デリーは排ガス規制をしていてもワーストランキング断トツ1位)。
「アジズ・プラザ」の入り口
チャール・ミナールから歩いて30分ほど。「アジズ・プラザ(Aziz Plaza)」に到着しました!
Google Mapで「モール」と書かれていたので、近代的なモールを想像し、エアコンの効いたカフェでひと休みでもしようかと思っていたのですが、何だか思っていたのと全く違う雰囲気(汗)
「アジズ・プラザ」
5階建てのコの字型の建物に小さなお店がぎっしり!
中に入ってみると、5階建てのコの字型の建物に小さなお店がぎっしり!
色とりどりの看板とごちゃごちゃと陳列された店頭のディスプレイ。
混沌とした雰囲気に圧倒されます!
おもちゃ、お祭りの飾り、バッグ
全て卸売価格で購入できるとのこと
この「アジズ・プラザ」は、プラスチック製品、食器、バッグ、ギフト用品などを扱うお店が入った屋内マーケットで、売られている商品は全て卸売価格で購入できるのだとのこと。
混沌とした様子がなかなかGood!
エアコンカフェでひと休みするという目論見は外れましたが、混沌とした「アジズ・プラザ」の雰囲気はなかなかGoodでした!
チャイの屋台
プーリーを揚げています。
スイーツ屋さん
オスマニア病院近くにある「Hotel Sagar Darshini」
「アジズ・プラザ」でお茶はできなかったので、その代わりということで立ち寄ったのが、こちら。
オスマニア病院近くにある「Hotel Sagar Darshini」です。
「Hotel Sagar Darshini」は、南インド料理を提供する食堂のようですが、店頭でチャイを提供していたので、いただくことにしました。
店頭で提供していたチャイ
「チャイ」Rs10(¥18)
シンプルなチャイですが、美味しかったです。歩き疲れた体に甘さが沁み渡ります♪
店頭にいたお客のおじいさんが親切な方で、チャイの注文の仕方とか、値段とか親切に教えてくれました★
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