インド、カルナータカ州南部にある「ウドゥピ」
スリ・クリシュナ寺院から生まれたとされる純菜食の「ウドゥピ料理」のふるさととしても知られている町です。
しかしながら、ウドゥピという町は実際のところノンベジ王国。
ある学術調査 ref. (中学生対象)では、ウドゥピの学校児童の91.5%がノンベジタリアンと自己申告しており、カルナータカ州全体の統計 ref. でも約78.9%がノンベジタリアンという調査結果が出ています(海岸部のウドゥピでは、よりノンベジ比率が高いと思われる)。
前日、ウドゥピ一随一の魚介料理店『Thimmappa Fish Hotel』に訪問し、広大な店内で満員のお客さんが魚料理をパクつく光景に圧倒された我々。
そんな折、ネットを見ていると、ウドゥピにはインド全土で第3位の規模の漁港「Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)」があるという情報を発見!
ウドゥピ料理が菜食で有名なのに、背後に全国3位級の魚供給港がある!
これは、行ってみるしかないと思い、早起きして見に行くことにしました。
「Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)」への行き方
「Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)」は、ウドゥピの町の中心「スリ・クリシュナ寺院」から西に6.3kmの場所にあります。
リキシャを使うと20分ほど。運賃は ₹150 でした。
漁港は24時間開いていますが、今回は朝8時半頃、現地に到着しました。
ネットの情報によると、最も活気があるのは夜明け前から早朝とのこと。

こちらが、「Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)」の入り口です。
魚をモチーフにした門が漁港らしい感じ。
入り口はトラックやワンボックスなどの商用車、魚を買いに来た自家用車やバイクなどが引っ切りなしに往来しており、かなり混雑していました。
魚介の選別作業

入り口の門を抜け、まっすぐ進んでいくと、左手に建物があり、女性たちがイカの選別作業をしている場面に出くわしました。

女性が手にしているのは、たぶん「アオリイカ(KANE)」
自分たちが見ているのに気づくと、女性たちから笑い声が漏れました。


水揚げされたイカを種類・サイズ別に分け、傷みや不良がないかをチェックし、カゴごとにまとめて、競り・仲買人向けに整える。
こうした作業は、マルペ漁港のような大規模港では女性が担う重要な工程なのだそう。


魚介の選別は至る所で行われていました。
作業しているのは全員女性です。選別している魚介の種類も様々。
インド3位の漁獲高を誇る「マルぺ漁港」

魚介の選別作業を見た後、港へと向かいます。

港の方へと向かうと、オレンジ色のコンテナがたくさん積まれているのが見えました。
コンテナの中にぎっしりと詰まっている白い物は氷。
水揚げされた魚介は、鮮度を落とさないように、この氷の詰まった箱に入れられます。



「Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)」の様子。
たくさんの漁船が見えます。
マルペ漁港の年間水揚げ量は約13〜15万トン(州内の約35%)。インド全土で見ても、グジャラートのヴェラヴァル(Veraval)、同じカルナータカのマンガロールに次ぐ第3位の規模を持つ巨大漁港です。
しかも、輸出向け加工が主体の「産業港」であるヴェラヴァルなどとは違い、ウドゥピのマルペ漁港は、ウドゥピの人々の食卓を直接支える地元食文化と直結した漁港であるのが最大の特徴。
魚の水揚げ作業


港に接岸した漁船の上では、魚の水揚げ作業が行われていました。
こちらは、先ほどの選別作業とは違って男の独壇場。





マルペ漁港で水揚げされる魚介の主役はイワシとサバに代表される沿岸の大衆魚。
ほかにも、エビ、カニ、エイ、サメなど、多種多様な魚介が水揚げされます。
港の最盛期は8〜2月で、マルペ漁港が「フル稼働」状態になります。
一方、6〜7月は禁漁期。南西モンスーンのため、大型漁船・底引き網が停止となり、港は一気に静かになるのだそう。




魚の水揚げを見た後、陸側へと向かうと、大勢の人が集っている場所が見えました。
あそこが「Fish Market(魚市場)」。魚介の卸と競りが行われている現場です。
Fish Market(魚市場)での競り

地面にズラリと並べられた魚のカゴ。
大勢の女性たちが集い、所々で売買のやり取りが行われているのが見えます。
ここが、マルぺの「Fish Market(魚市場)」です。

ここは、水揚げ直後の魚が値段を付けられ、行き先を決められる現場です。
その中心的な担い手は女性。
彼女たちは、魚種を見分け、大きさ・状態を揃え、傷んだ魚を除き、カゴ単位で“商品”に仕上げます。
この工程が、そのまま価格を決めるのです。




周囲に立っている男性たちは、仲買人や卸業者、飲食店関係者など。
売られている魚を目利きし「このカゴはいくら」「このサイズは別にしてくれ」などと会話しながら、即断即決で女性たちと現場交渉していくのだそう。

ここで決まる魚の行き先は、地元家庭や魚食堂・レストラン。内陸都市(マンガロール、バンガロール)向け。干物や冷凍などの加工用などなど。
ここでの価格交渉後、数時間後には、魚はもう別の街の台所にあるくらい回転が速いのだとか。
ここは、魚が「獲れたもの」から「商品」へと変わり、同時にその日の食卓の行き先が決められる場所なのです。

ここで働く女性たちは、漁港付きの選別労働者で、その多くは漁師コミュニティの代々この仕事に関わる家庭出身の人たちです。
漁船主や卸・協同組合と非公式契約を結んでおり、日雇い/出来高制が中心。収入は1日数百ルピー〜1,000ルピー前後なのだとか。
しかしながら、彼女たちの立場は弱くはありません。
魚の良し悪しを判断し、その価格を決めるのは女性たちで、仲買人も、彼女たちの判断を尊重しているのです。
男が漁に出て魚を獲り、女性がその価値・価格を決める。
港は「男の世界」に見えて、実は女性が経済を支える場なのです。



「Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)」の門を出て、少し歩くと「Malpe(マルぺ)」の街があります。
マルペの町は、モガヴィーラ(Mogaveera)の漁師コミュニティ、ビラヴァ(Billava)のキリスト教徒、そしてイスラム教徒の居住地として知られる場所。
マルペでは、かなりの数の人々が直接的、間接的に漁業に従事しているのだそう。
街の中心の交差点に、プリペイドリキシャの乗り場があったので、ここでリキシャに乗り、ウドゥピの街へと帰りました(₹200)。
『Malpe Fishing Harbour(マルペ漁港)』の住所・営業時間・地図
- 住所:8PW2+939, Port, Kola, Malpe, Udupi, Karnataka 576108 インド
- アクセス:ウドゥピ中心部からリキシャで20分
- 時間:24時間(夜明け直後〜早朝までが一番活気がある)
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