温かみを感じさせる幾何学文様と布の風合い。西アフリカの布製品。
プリミティブな素材と柄なのに何だか洗練された印象を受けるアフリカのデザイン。とっても魅力を感じます。
マリのボゴランフィニ(泥染)
写真の布は、西アフリカの国、マリで作られたボゴランフィニという泥染です。
このボゴランフィニは、マリ南西部に住むバマナ(バンバラ)族の女性によって主に作られています。
バンバラ語で「ボゴ」は泥を、「ラン」は仕事の成果を、「フィニ」は布を意味しています。
このボゴランフィニ、お守りとしての性格があり、若い女性や漁師など危険にさらされることの多い人たちが、腰布として、または上着として身につけるものであったといいます。
もともとのボゴランフィニは、黒地に白の幾何学模様が特徴で、その図柄もいくつかのパターンがあって、それぞれに意味のあるストーリーやテーマが表されているのだとのこと。
たとえば、
「幽霊の足跡」「ピーナツの皮」「コオロギの足」「勇敢な人間の帯」「戦うワニのボス」
などのテーマがあって、それぞれが英雄賛美や家庭円満などの意味が込められています。
ボゴランフィニは、15cmほどの細幅の木綿布を繋ぎ合わせて作られています。
細幅木綿布を作るのは結構大変。
まず、土地に自生するンカラマ(シクシン科の樹木)の葉で作った染液に布を浸けます。
この染液は濃い黄色をしており、布は黄色に下染めされます。
布が乾くと、泥を付けた筆で模様を描いていきます。
泥は特製の泥で、一年以上も寝かせておいた鉄分の多い川の泥です。
模様を描いて乾燥させた後、水洗いしてから再び染液に浸します。
脱色したい部分にはピーナツなどで作った脱色剤を塗り、天日の下に放置。
最後に石鹸で洗います。
石鹸で洗うと、脱色剤を塗った部分は白くなり、泥の部分は黒くなるそうです。
↓ボゴランの作り方
現代のマリでは、ボゴランフィニを着る人は少なくなっています。
ボゴランフィニが世界的に知られるようになったのは、1970年代のことで、それ以降、ヨーロッパなどではアフリカの最もポピュラーな染織品として市場に流通するようになりました。
たぶん、写真のボゴランフィニも現地で販売するのではなく、海外向けに作られたものなのでしょうね。
このボゴランフィニ、通販で見て気に入ってしまって購入しました。
結構厚手で、重量感があります。
フリンジに付いているジャラジャラとしたビーズがいい感じ!
ブルキナファソの藍の絞り染
これは、西アフリカのブルキナファソで作られた藍の絞り染です。
藍染の起源はインドと言われています。グレコローマン期のヨーロッパでは主にインドから藍を輸入しており、それが「インディゴ」という言葉の語源になったのだそうです。
絞り染は、布の一部を縛るなどの方法で圧力をかけ染料が染み込まないようにすることで模様を作り出す模様染めの技法の一つ。
古代から世界的に行われている技法で、古いものだとインドのアジャンタ遺跡に絞り染と思われる壁画が描かれているのだそう。絞り染は現在では、タイダイ(tie-dye)の名前で世界に普及しています。
西アフリカにおいて、藍の防染技術は数世紀前から行われてきました。
技術はインドネシアからアラビア半島経由で伝わり、数世紀をかけて西アフリカの各部族に定着していったようです。
藍の絞り染技術が特に発達したのは、ナイジェリアやカメルーン。
藍染の組合が組織され、様々な部族からの注文を受けていたのだとのこと。
泥染と同じように、ナイジェリアやカメルーンの藍染も、意味のある様々な文様が描かれ、その紋様は伝承されてきました。
用途としては、腰布や物を包む布や儀式の時の幕など、いろいろなことに使われてきたようです。
写真の藍の絞り染、この絞り染もボゴランフィニと同じように、15cmほどの細幅の木綿布を繋ぎ合わせて作られています。
ブルキナファソの藍の絞り染の文様は、特に意味はありません。
ブルキナファソでは、国家的プロジェクトとして、藍染の布や民芸品などの輸出に力を入れてきました。
その結果として、ヨーロッパの人たちのニーズに合った、ヨーロッパのインテリアにマッチした柄の布が作られ、普及していったのでしょうー。
こちらの藍の絞り染も通販で購入しました。
インディゴの色合いと素朴な柄がお気に入りです。
西アフリカの染織品。
その温かみのある素材と、シンプルな幾何学文様の図柄は、エスニックな部屋にもモダンなインテリアにも結構マッチ!
なかなか使えるアイテムだと思います。
参考:すぐわかる 世界の染め・織りの見かた(東京美術)
- :kankan press ボゴランフィニ(泥染布~マリ共和国・バンバラ族)
- :kankan press アフリカの藍染め
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