今や“池袋チャイナタウン”と呼ばれるほど、多くの中国食材店や中国料理店が集まるようになった東京・池袋の北口エリア。近年、この界隈に在日中国人向けの中国料理が食べられるフードコートが相次いで誕生しています。
2019年11月にはその先駆けとなった「友誼食府」がオープン。2021年6月には「食府書苑」、同9月には「沸騰小吃城」が誕生しました。
今回、その3店舗のうち、「食府書苑」に訪問。中国各地方の屋台があり、麺料理のバラエティが豊富であるのだとのこと。書店の脇に併設されているユニークなフードコートです★
書店の脇に併設された『食府書苑』
『食府書苑』は、池袋駅北口を出てすぐ左手にある7階建てのビル「大和産業ビル」の2階にあります。
この大和産業ビルは、池袋の中華フードコートの先駆けである「友誼食府」が入っているビル。「友誼食府」はビルの4階です。
1階の階段&エレベーター前には、『食府書苑』の案内看板がありました。
看板によると、『食府書苑』のフードコートに入っている店舗は6店舗のようです。
さっそく、階段を登って2階へ。
こちらが『食府書苑』の入り口。
オフィスや事務所のあるようなビルに、いきなりフードコートが現れるので、不思議な感じ。さっそく店内へ。
『食府書苑』の店内です。
写真は書籍の販売コーナー。
入口を入って右手に書店があり、左手にフードコートがあります。
書店の名前は「聞声堂中文書店」であるそう。この書店のオーナーが書店の横のスペースを使ってオープンさせたのが『食府書苑』ということのようです。
もしかしたら、同じビル内にある「友誼食府」の成功を見て、「これは儲かる!」と考えてオープンさせたのかもしれないですね。
こちらがフードコート『食府書苑』の店内の様子です。
店内は、50席ほどの簡素なテーブル席があるイートイン空間の周りを店舗がぐるりと取り囲んでいて、「友誼食府」よりも広めの空間。
2回訪問しましたが(平日の20時頃と休日の17時頃)、どちらの時もお客さんが4組ぐらいしかおらず、余裕を持って座れる感じ。
もしかしたら平日昼間がピークなのかもしれません。
『食府書苑』の店舗(6店舗)
訪問した時、営業していたお店は6店舗(↓の5店+ドリンク屋さん)。
- 凡記・・・西安料理のお店。肉夾饃(ロージャーモー:中華ハンバーガー)、ビャンビャン麺など。池袋に店舗あり。
- 食彩雲南・・・雲南伝統料理。薬膳スープや米線。四谷三丁目・湯島に店舗あり。
- 品品香・・・四川料理・湖南料理。香辣牛肉麺、牛肉串など。池袋に本店あり。
- 沙県小吃・・・福建料理。拌麺、ワンタン、蒸し餃子など。高田馬場に店舗あり。
- 宮廷香酥牛肉餅・・・牛肉餅(中華風ミートパイ)
以前は、揚州料理のお店や串揚げ・煮込み料理のお店、タピオカのお店などがあったそうですが、現在は撤退してしまった様子。お店の入れ替わりは今後もありそうです。
『食府書苑』の注文と支払い方法
さてさて、お料理の注文と支払いですが、『食府書苑』のシステムはちょっと変わっていて、下のような手順になっています。
- 各店舗で食べたいお料理を選ぶ。
- レジに行き、店員さんに食べたいお料理を伝える(レジにもメニューがあります)
- 料金を支払い、レシートをもらう。
- 店舗にレシートを渡す。
- 出来上がったらお店から呼ばれるので受け取りに行く。
少し分かりづらいですが、日本人のお客さんもそこそこ来るようで、店員さんもフォローしてくれるので問題ありません。
さてさて、『食府書苑』でいただいたお料理のご紹介です。
油の香ばしさがたまらない!「凡記」の「油溌ビャンビャン麺」
まず、1品目は、「凡記」の「油溌ビャンビャン麺(ヨウポービャンビャン麺)」。
「ビャンビャン麺」は、このお料理の名前だけに使われるという「ビャン」という漢字が58画もあるということで有名な麺料理。
中国陝西省の西安を中心に食べられている麺料理ですが、文字のユニークさで話題となり、現在では中国各地にも普及しつつあるのだとか。
↓がビャンビャン麺の「ビャン」の漢字です。
ちなみに、ビャンビャン麺のお料理そのもの自体は昔からあったそうですが、「ビャンビャン麺」という名前と、「ビャン」という漢字は比較的最近(20世紀以降?)に生まれた可能性が高いのだとか。
「ビャンビャン麺」の麺は、小麦粉に水と食塩を加えてこねて生地を作り、茹でる直前に両手で2,3cmくらいの幅に平たく伸ばして成形して作ります。
切って成形するのではないところがポイントで、長いものだと麺の長さが1mになることもあるのだとか。
↓の写真が、ビャンビャン麺の麺を両手で伸ばしているところです。
この、ビャンビャン麺を伸ばすところが、結構見応えのあるパフォーマンス!
フードコートでこのパフォーマンスを見れるというのは、かなりポイントが高いです★
こちらが、出来上がった「油溌ビャンビャン麺」
「油溌(ヨウポー)」とは、茹でた麺の上に唐辛子や刻みネギなどをかけ、それに熱したピーナッツ油をかけて香りを出す、陝西省咸陽市周辺で主流のビャンビャン麺の食べ方であるとのこと。
コシの強いビャンビャン麺の麺の美味しさもさることながら、「油溌(ヨウポー)」の油の香ばしさがたまりません!それと、唐辛子の辛味と、黒酢でしょうか?ほどよい酸味が効いていて、シンプルながら奥深い味わい。
麺の量はそこそこあるのですが、完食するまでちっとも飽きが来ない。ほんとに美味でした♪「凡記」の「油溌ビャンビャン麺」!
スパイスがガッツリ効いた「品品香」の「羊肉串」
2品目は、「品品香」の「羊肉串」
「油溌ビャンビャン麺」は野菜オンリーだったので、お肉を食べたいなということで注文。4串からの注文になります。
こちらが「羊肉串」
クミンや唐辛子などのスパイスがガッツリ効いた安定の美味しさの「羊肉串」。スパイシーだけど辛さはそれほどありません。
ちょっとお肉は硬めでしたが、お味は満足♪
「ビャンビャン麺」と「羊肉串」のお供は、定番の「青島ビール」
マイルドでさっぱり・スッキリとした味わい。スパイシーなお料理との相性も抜群です♪
こちらが、今回注文した3品(ビャンビャン麺と羊肉串、青島ビール)
初めていただいた「油溌ビャンビャン麺」は驚きの美味しさ!次は、フードコートではない「凡記」の本店でいただいてみたいなと思いました★
雲南伝統料理「食彩雲南」の滋味深い「薬膳汽鍋鶏スープ」
3品目は、「食彩雲南」の「薬膳汽鍋鶏スープ」
こちらは、別の日にお伺いしました。
ネットで「食府書苑」に訪問した方のレビューを見ると、この「薬膳汽鍋鶏スープ」を食べている人が多く、総じて「美味しい」「旨い」と評判上々だったので、ぜひ、食べてみたいと思ったのです。
「薬膳汽鍋鶏スープ」は、「食彩雲南」のイチ押しのお料理。
お店の方に、スープにプラスして「小ライス」か「肉味噌まぜ小米線」の追加を勧められたので、「肉味噌まぜ小米線」を追加してオーダー。
注文すると、お店の方に上の写真のデバイスを手渡されました。
「薬膳汽鍋鶏スープ」は調理時間が掛かるということなのかな?と思っていると、それほど時間もかからず、ほどなくして、デバイスのブザーが鳴って呼び出し!
「薬膳汽鍋鶏スープ」が出来上がったようです♪
「薬膳汽鍋鶏スープ」(肉味噌まぜ小米線追加)です。
左上から時計回りに、「薬膳汽鍋鶏スープ」「肉味噌まぜ小米線」「もやしの入ったお椀」「青山椒ソース」
リッチなビジュアルに心が踊らされます♪
「汽鍋鶏」とは、「気鍋」という専用の鍋を使って作られる中国雲南省の伝統料理。
水を一切使わず、素材から出る水分と気鍋から出る蒸気の水分のみで作られるため、スープには素材の栄養分と旨味が凝縮され、滋養・健康増進効果満点であるとのこと。
こちらが、「気鍋」です。
中央の煙突部分から出た蒸気が鍋の中の具材を蒸し、具材から水分を沁み出させるのだとか。4〜5時間くらいかけてじっくり蒸すのだそう。
スープの素材は、ぶつ切りにした丸鶏をメインに、クコの実、天麻、高麗人参、トウキ、サナギタケ、ショウガなどの漢方食材。味付けは塩のみであるとのこと。
澄み切った黄金色のスープは、ひと口啜っただけで旨味たっぷり、体に沁み渡る感じ。本当に美味しい♪いくらでも飲めちゃいます★
こちらは、薬味入りのもやし。
生のもやしの上に実山椒と青唐辛子のスライスが載っています。
こちらに、薬膳汽鍋鶏スープを掛けていただきます。
こちらは、肉味噌まぜ小米線。
こちらも、薬膳汽鍋鶏スープを掛けていただきます。
提供時にお盆の上に載せられていた「薬膳汽鍋鶏スープのおいしい召し上がり方」の案内カードです。
薬膳汽鍋鶏スープのおいしい召し上がり方
- 薬膳スープを飲みます。
- スープから鶏肉だけを取り出し、もやしの器に入れます。
- 青山椒のソースをかけてかき混ぜて、鶏肉ともやしを一緒に食べます。
- 米線を追加した場合は、薬膳スープを米線のお椀に入れ、お好みで青山椒のソースも入れてください。
誰のアイデアなのでしょうか。とてもわかりやすいです♪
STEP通りに、迷わず、美味しく「薬膳汽鍋鶏スープ」をいただくことができました★
STEP通りにいただいた「薬膳汽鍋鶏スープ」、言わずもがな、本当に体に沁み渡るような美味しさでした★
スープの旨味が沁み込んだ柔らかい鶏肉、シャキシャキとしたもやし、実山椒や青唐辛子のピリ辛さ、そして、そこにぶっ掛けた薬膳スープの濃厚かつ複雑な味わい。青山椒ソースの深みのあるお味も良いマッチング★
肉味噌まぜ小米線も美味しい♪薬膳スープとの相性も抜群です!
う〜ん、旨い!「薬膳汽鍋鶏スープ」、唸るほどの美味しさでした★
池袋北口にある第二の中華フードコート『食府書苑』
フードコートという気軽なスタイルながら、クオリティの高い、本場の中国各地の美食をいただける貴重な空間です。
特に、「凡記」の「油溌ビャンビャン麺(ヨウポービャンビャン麺)」と「食彩雲南」の「薬膳汽鍋鶏スープ」は、驚きの美味しさ!中国料理の奥深さを改めて実感させられました★
◉『食府書苑』の地図・アクセス
- 住所:東京都豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル 2F 聞聲堂
- アクセス:池袋駅西口(北)から徒歩1分
- 営業時間:10:30~22:00
- 定休日:無休
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