南米ボリビアの町「ラパス」。この町は標高3,650m、世界最高所にある首都と言われています(憲法上の首都はスクレ)。
今回は、山の手と下町が逆転した町「ラパス」についてご紹介します♪
標高3650メートル、世界最高地にある首都、ボリビアの「ラパス」
国境から4時間。遠くに白い雪を被った山、イリマニ山(6,402メートル)が見えてきました。
バスはバラックやアドベレンガ造りの質素な家が建ち並ぶ雑然とした街の中に入っていきます。
貧しい人々が住む街、「エル・アルト」です。
エル・アルトからしばらく行くと眼前に巨大なすり鉢状の街が見えてきます。
ビルや家がびっしりと隙間なく建ち並ぶ巨大なクレーター。壮大な景観。南米ボリビア最大の町「ラパス」です。
高地にあるすり鉢状のこの町は、当然のことながら底に行くほど空気が濃く、そのため金持ちは谷底に、貧乏人は丘の上の「エル・アルト」に居住しています。
ここは標高3,650メートル。「ラパス」は、山の手と下町が逆転した世界でも珍しい町なのです。
ちなみに、ボリビアの憲法上の首都は「スクレ」なのですが、ラパスには行政・立法府があり、事実上の首都となっています。
1899年の連邦革命の際、ラパスを拠点としていた自由党が、スクレを拠点としていた保守党を倒し、自由党がスクレからラパスに議会と政府を移転させたという経緯があるため、このような状態になっているのだとのこと。なお、現在も最高裁判所はスクレに存在しているそうです。
坂が多いラパスの町。
標高が高いため、歩いているだけで息が切れます。
そのため呼吸を整えながらゆっくりと歩かなければなりません。運動や肉体労働をするのはかなり大変そうです。
この町の空気の薄さに関してはこんな話を聞きました。
ボリビアのナショナルサッカーチーム。強豪ぞろいの南米にあってチームの実力は少々見劣りしてしまいます。
ブラジルやアルゼンチンといったワールドカップ常連国にことごとく連敗を繰り返しているのです。
しかし、王者ブラジルといえどもここ「ラパス」ではボリビアチームには勝てません。
その理由はもちろん空気の薄さにあります。
低地に住むブラジル人は酸素の薄い高地には慣れていません。そのため、試合中に酸素不足に陥ってへばってしまうのだそうです。
高地に慣れたボリビア人の運動量は試合中衰えず、ボリビアチームは王者顔負けの強さを見せて、ブラジルに圧勝するのだそうです。
しかし、ボリビアチームは、アウェイの低地ではブラジルに全く勝てません。
いつも圧倒的な実力差の前に完敗してしまうのです!
そんな時、ボリビア人はこんな負け惜しみを言うのだそうです。
「空気が濃すぎるから負けたのだ」と・・・。
そんな話に納得させられてしまいそうなほど、「ラパス」の人々は坂道を疲れも見せずにひょいひょいと登っていきます。
彼らの余裕綽々の姿を横目に見ながら、私は息をぜいぜいと言わせながら石畳の坂を登ったり下ったりしました。
7月15日、「ラパス」のカルナバルに遭遇
7月15日、「ラパス」のカルナバルに遭遇しました。
朝、宿の主人が「今日は祭りがある」と教えてくれたのです。
明日16日がラパス県の祝日で今日はその前夜祭ということだそうです。
南米のカルナバルを観られるなんて運がいい!
そう思って嬉しくなった私は、祭りの日の浮き立つような街の空気を感じながら夜のパレードを待ちました。
夕方、街は俄かに活気を帯びてきました。
街の中心、サン・フランシスコ寺院前の「ロス・エロエス広場」には特設ステージが造られ、付近にはいくつもの出店が建ち並び始めています。
そして、スピーカーが馬鹿でかい音を出し、ステージの司会がスピーチを町中に響かせ始める頃には、広場は人々の姿で溢れんばかりになっていました。
トークショー、そして、野外ライブが始まります。
ざわめく歓声、腹に響くようなエレキギターの重低音。いくつものバンドが次々にライブを行っていきます。
ライブをしばらく観た後、私はカテドラルや大統領官邸の並ぶムリリョ広場へと続く道「コメルシオ通り」へと向かいました。
コメルシオ通りは大勢の人でごった返していました。
どうやらパレードが行われるようです!
私もその大混雑の中、何とかその様子を観ようと人々の隙間に潜りこみます。
そして、皆とともに首を長く伸ばして待ちました。
遠くからブラスバンドのマーチが聴こえてきました。
いよいよです!
ラパスのカーニバル
しばらくするとラッパの甲高い声と鼓笛隊の軽快なリズムに合わせて人々が行進してきます。
パレードにはあらゆる種類の人間が参加していました。
軍服を着て厳めしい表情をしながら整然と進む軍隊。
警察官や消防隊、レスキュー隊も勢揃いして胸を張って行進していきます。
そして、ラパス中の企業、学校、団体が様々な衣装を着てそれに続きます。
スーツを着込んで行進する銀行員たちがいれば、ケーナやサンポーニャを演奏する民族衣装の集団もいます。
派手な服装を着て凝った踊りや演奏を見せる集団もあれば、私服でだらだらと歩いているだけの連中もいます。
オルーロのカーニバル
「ラパス」の人間であれば、その中に誰か1人は知っている顔があるのでしょう。
沿道からパレードする誰かに対して呼びかけが度々起こります。
それを見てパレードの参加者は、にっこりと笑ったり手を振って答えたりします。
パレードは延々と続きました。
楽隊のマーチも、見物人のざわめきも、すり鉢状の都会全体に響き渡り、いつまで経っても鳴り止むことがありません。
冬のラパス。いつもの寒さが嘘のように、街は熱く燃えたぎっていました。
旅行時期:2003年7月
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