バルカン諸国(旧ユーゴスラビア)の旅。
5日目のこの日、朝8時発のバスに乗って、クロアチアのドゥブロヴニクからボスニア・ヘルツェゴビナの「モスタル(Mostar)」へと向かいます。
今回は、ドゥブロヴニク〜モスタルのバスの予約、陸路での国境越えについてご紹介します。
ドゥブロヴニクからバスで国境を越えモスタルへ
朝、ドゥブロヴニクの街を出発!
朝、ホテルを出て旧市街の西、ピレ門の外にあるバス停から路線バスに乗車。
ドゥブロヴニク港(グルージュ港)にあるバスターミナルへと向かいます。
ピレ門からバスターミナルまでは、路線バス(バスの番号は1A、1B、3)で10分ほど。運賃は10kn(160円)です。
ドゥブロヴニクのバスターミナルに到着
ドゥブロヴニクの路線バス。旧市街からバスターミナルまでは10kn(160円)
ドゥブロヴニクのバスターミナルの様子
ドゥブロヴニクのバスターミナルからは、ザグレブやスプリットなどのクロアチアの都市へ向かう国内バス。モンテネグロのコトルやボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォなど、隣国へと向かう国際バスが発着しています。
バスターミナル自体の規模はあまり大きくありませんでした。
バスターミナルのチケット売り場
パン屋で朝食用にパンを購入
今回、クロアチアのドゥブロヴニクからボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルへと向かうバスは、ネットで事前予約しました。
予約したのは、プリトヴィツェ往復でも利用したarrivaというバス会社。
料金は、128Kn(1,765円)です。
モスタル行きのバス
こちらが、モスタル経由サラエヴォ行きのバス。今回はモスタルまでの乗車です。
出発時間は8:00分。ドゥブロヴニクからクロアチア・ボスニア国境を越え、約4時間でモスタルへ。
バスターミナルの売店で朝食代わりのクロワッサンとミートパイを購入し(20kn:319円)、さあ出発です!
ドゥブロヴニク〜モスタルまでは約4時間の行程
アドリア海を左手に眺めながら進みます。
バスターミナルを出発すると、バスはアドリア海沿いを北西へと進んでいきます。
事前情報でアドリア海側の左側の座席がおすすめとあったので、左側の座席に着席。
もちろん、大正解で美しい紺碧の海岸線を楽しむことができました★
バスの乗客はクロアチアかボスニアの人がほとんどでしたが、欧米人ツーリストも数組乗っていました。
バスターミナルで購入したクロワッサン(20kn:319円)
アドリア海の海を眺めながら、朝食にバスターミナルで購入したパンをいただきます。
バスはアドリア海沿いの小さな街をいくつも通過しながら北西へ。
ドゥブロヴニクは、クロアチアの飛び地になっていて、バスは国境事務所に行く前に、クロアチア→ボスニア・ヘルツェゴビナ→クロアチアと両国の領土を跨いで進みました。
ちなみに、ボスニア領内で一度、トイレ休憩がありました。
アドリア海の紺碧の海
ドゥブロブニクからモスタルまでのバスの車窓から【クロアチア】
ドゥブロヴニク〜モスタルの車窓から
そして、しばらくしてバスは、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ国境のパスポートコントロールに到着。
ここで、係員に出入国のスタンプを押してもらい、晴れてボスニア・ヘルツェゴビナに入国!
乗客全員の出入国スタンプが押され、バスはモスタルへ向かって走り出します。
葡萄畑が広がっています。
バスは、アドリア海を離れ、北東へ。
山がちな風景を進んでいきます。
車窓から見える風景は、クロアチアとそんなに大きな違いは見られませんが、心なしかモスクの姿が目立つような気が。
ボスニア・ヘルツェゴビナは、キリスト教徒が大半を占めるクロアチアと違い、イスラム教徒が多数派の国です。
ボスニア・ヘルツェゴビナってどんな国?
ボスニア・ヘルツェゴビナ国旗
「ボスニア・ヘルツェゴビナ(Bosna i Hercegovina)」は、バルカン半島北西部に位置する共和制の国。
ボシュニャク人とクロアチア人が多く住む「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」とセルビア人が多数派の「スルプスカ共和国」の2つの構成国からなる連邦国家です。
首都はサラエヴォ。人口は約350万人。
住民は、約400年もの間、オスマントルコの支配下にあったためイスラム教を信仰するボシュニャク人が多く約48%。セルビア正教のセルビア人が37%。ローマ・カトリックを信仰するクロアチア人が17%となっています。
1945年にユーゴスラビア連邦が成立すると、ボスニア・ヘルツェゴビナは、その構成国のひとつとなりました。
その時代、3つの民族は共存し、民族間の婚姻も多かったそうです。
けれども、1992年にユーゴスラビアが崩壊すると、民族間の対立が激化。
ボシュニャク人、セルビア人、クロアチア人の三つ巴の内戦となったのです。
1995年に国連の調停で紛争は終結しましたが、現在でも国土はボシュニャク人とクロアチア人の住むボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とセルビア人の住むスルプスカ共和国の2つの地域に分かれており、再び民族間の対立が激化する危険性を孕んでいます。
経済規模は日本の鳥取県と同程度で、ヨーロッパの中でも経済的に貧困な国のひとつです。主産業は林業、鉱業、繊維業など。通貨は兌換マルクです。
文化面は、オスマントルコやオーストリア・ハンガリー帝国など大国の支配を受けたことや、様々な民族が居住していることから、小国ながら多様で豊かなものが育まれています。
モスタル到着!旧市街を散策する
モスタルのバスターミナルに到着!
バスは、12時前にモスタルのバスターミナルに到着しました。
鉄道駅に隣接したバスターミナルですが、人の数も少なくガランとした印象。
モスタルの旧市街までは歩いて30分ほどとのことでしたが、荷物もあるのでタクシーに乗ることに。
客引きが来ないので、停車していたタクシーに声を掛けたところ、旧市街まで€10(1,180円)で行ってくれることになりました。
けれども、この料金、後でわかったのですが、相場の10倍くらい!
見事にやられてしまいました(涙)
モスタルで宿泊したホテル「シャングリ・ラ・マンション」
こちらが、モスタルで宿泊したホテル「シャングリ ラ マンション(Shangri La Mansion)」
ホテル検索サイトからの予約で135KM(8,126円)。
「シャングリ・ラ・マンション」の部屋
こちらが、ホテルの部屋です。
部屋も広く、とても綺麗で使い勝手が良いホテルでスタッフも親切。
立地も便利で、屋上からの眺めもなかなか。コスパも良いオススメのホテルです。
ただし、クレジット決済ができないのだけがマイナスポイント。
「シャングリ ラ マンション(Shangri La Mansion)」についての詳細はこちら↓
モスタル旧市街の街並み
ホテルに荷物を置いて、さっそくモスタルの街を歩き始めます。
「モスタル(Mostar)」は、連邦の構成体のうち、ボシュニャク人とクロアチア人が多く住むボスニア・ヘルツェゴビナ連邦に所属する都市。南部にあるヘルツェゴビナ・ネレトヴァ県の県都です。
15世紀から19世紀に掛けて町はオスマン帝国に支配されたため、旧市街はトルコの風情が色濃く残されています。
町は、ネレトヴァ川を挟んで東側にボシュニャク人が、西側にクロアチア人が住んでおり、両区域を繋ぐ橋「スターリモスト」が有名。
ボスニア紛争中は、クロアチア人とボシュニャク人の対立の最前線となり、多大な被害が出た町でもあります。
現在は、ユネスコの世界遺産に登録されています。
旧市街のメインストリート「ブラツェ・フェイツァ通り」
「クユンジルク」と呼ばれる鍛冶屋や土産物屋が並ぶバザール
ネレトヴァ川と並行して東側に伸びるのが、旧市街のメインストリートである「ブラツェ・フェイツァ通り」
オスマン帝国時代の雰囲気を色濃く残す通りで、「クユンジルク」と呼ばれる鍛冶屋や土産物屋が軒を連ねています。
スターリモストへ続く道沿いの様子
モスタルは銅製品が特産品
モスタルは銅製品が特産品。
銅製で細かな細工の施されたお皿やコーヒーポット、カップなどが至る所で売られています。
スターリモストの橋の上から眺めるネレトヴァ川とモスタルの街並み
こちらが、ネレトヴァ川に架かる橋「スターリモスト」から見た川と両岸に広がるモスタルの街並みです。
東側のボシュニャク人居住区には、モスクがたくさん建っているのが見えます。
スターリモストから南側を見たところ
川の東側はムスリム人居住区
川の西側はクロアチア人居住区
スターリモストは、歩行者専用の橋なので、車両の通行はないのですが、この日は橋の上からの飛び込み大会が開催されていたため、橋の上は多くの人でごった返していました。
さて、橋を渡って西岸のクロアチア人居住地側へ。
川沿いのレストランでランチをいただこうと思いますが、まずは両替所へ。
ボスニア・ヘルツェゴビナの通貨「兌換マルク」をゲットしに行きます。
表通り沿いにあった両替所で180ユーロを兌換マルクに両替します。
€180で350KMを入手することができました。
レストラン「バビロン」でボスニア名物「チェバプチチ」をいただく!
川の西側にあるレストラン「バビロン」でランチ
ランチは、ネレトヴァ川とスターリモストが座席から見える、川の西側にあるレストラン「バビロン」に入りました。
最初は「バビロン」の隣にあるガイドブックに載っているレストランに入ろうと思っていたのですが、良い席がなかったので。
「バビロン」の店内
レストラン「バビロン」からムスリム地区を眺める
レストランから「スターリモスト」も見えます。
川沿いの良い席に座ることができました★
席からは東岸のムスリム地区の街並みと、ネレトヴァ川と川に架かるスターリモストの姿が見えます。
注文したカツレツ
ボスニア名物「チェバプチチ」
お料理はもちろん、ボスニア名物「チェバプチチ」
「チェバプチチ」は、ボスニア・ヘルツェゴビナやセルビア、クロアチア、モンテネグロなどバルカン諸国で主に食べられている、ひき肉を棒状にして焼いたお料理。
玉ねぎとピタパンが一緒に添えられるのがスタンダードで、パプリカやカイエンペッパーなどのスパイスが効いているのが特徴。
ジューシー&スパイシーで美味しいけど、たくさん食べるとちょっと飽きてくる感じ。
中欧やバルカンでも定番のカツレツも注文。こちらも普通に美味しかったです。
お値段は2品合計で、38KM(2,287円)
レストラン「バビロン」についての詳細はこちら↓
モスタルの橋「スターリモスト」からの飛び込み【ボスニアヘルツェゴヴィナ】
お食事をいただきながら「スターリモスト」を眺めていると、飛び込み大会の選手が次々と橋の上からネレトヴァ川に飛び込む様子が見えました。
「スターリモスト」の川面からの高さは24m。さらに大会用に橋の上に特設の飛び込み台が造られていて、選手たちはおそらく30mくらいの高さから飛び込んでいます。
オリンピックの飛び込み競技の高さが10mなので、その3倍です!
さて、食後は、モスタルの旧市街を散歩し、モスクやトルコ時代の家などの見どころを巡り、街の北部にある戦跡にも足を伸ばします。
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