微笑みの国「タイ」(Thai:ประเทศไทย)
バンコクにある「ルンピニー・スタジアム」。ここで、タイの国技「ムエタイ」を見ました。
熱狂に包まれていた夜の「ルンビニー・スタジアム」。今日はチャンピオンが出場するというので盛り上がっていたのです。選手が入場してきました。いよいよです!
今回は、ムエタイです!
ルンピニー・スタジアムでムエタイを観ました。
バンコクにある「ルンピニー・スタジアム」。ここで、タイの国技「ムエタイ」を見ました。
熱狂に包まれていた夜の「ルンピニー・スタジアム」。冷房の効いていない館内はうだるような蒸し暑さです。私は一番安い3階の席で地元のおじさんたちと一緒にリングを見ていました。
「ルンピニー・スタジアム」というのは、バンコクのムエタイスタジアムの双璧のひとつ(もうひとつは「ラチャダムヌン・スタジアム」。「ルンピニー」が陸軍系で「ラチャダムヌン」が王室系だそうです。)。
今日はチャンピオンが出場するというので盛り上がっていたのです。
選手が入場してきました。いよいよです!
「ムエタイ」とは? ムエタイの歴史
ムエタイは、公認された賭博でもあるタイの国技です。
ムエタイは王国の戦争で使われていた古式ムエタイが原型であるといわれます。
1921年、時の王ラーマ4世は、第一次大戦参戦の資金捻出のためにムエタイトーナメントを開催しました。
大会は国際的なボクシングにならい、リングの上でレフェリーを置いて行われたのだそうです。
これが近代ムエタイの始まりです。この大会の成功により、ムエタイはスポーツとしての地位を確立することとなりました。
1929年には拳にグローブを嵌めることが採用され、1955年には、ボクシングに準じた体重制、ラウンド制が設置され、ほぼ現在の形の競技ルールが完成しました。
ムエタイの階級
現在のプロの階級は、ミニフライ級、ジュニアフライ級、フライ級、ジュニアバンタム級、バンタム級、ジュニアフェザー級、フェザー級、ジュニアライト級、ライト級、ジュニアウェルター級、ウェルター級、ジュニアミドル級、ミドル級の13階級。
一応、スーパーミドル級、ライトヘビー級、クルーザー級、ヘビー級、スーパーヘビー級もあるそうですが、タイ人の体格はそれほど大きくはないので「ルンビニー」や「ラチャダムヌン」では行われていないそうです。
ムエタイは立ち技の最強格闘技として世界的に高い評価を得ています。
ヨーロッパや日本のキックボクシング選手がタイに修行に行くことも多く、最近では「ルンビニー」や「ラチャダムヌン」で活躍する外国人も現れてきました。
有名なのはK1に参戦していた武田幸三選手。彼は「ラジャダムヌン」のウェルター級の王座に輝いた初めての外国人です。他にも藤原敏男選手や小笠原仁選手、ムラッド・サリ選手などが本場タイでチャンピオンになっています。
ムエタイのルール
ムエタイの試合は、3分5ラウンドで行われます。攻撃はパンチ、キックの他にヒザ、ヒジでの打撃が認められていて、キックボクシングに比べて自由度が高いのが特徴。けれども、投げ技、絞め技、寝技などは認められていません。
試合は賭博の要素が強く、賭けを成立させるため実力が同レベルの者同士の対戦が組まれることが多いのだそうです。
選手たちの年齢層は若く、この日見た選手たちは10代後半から20代前半といったところでしょうか。子供や女性の試合もあるそうです。
ムエタイは賭け事ということもあり、タイの人にとってはあまり上等なイメージを持たれてはいないようです。
この日もタイ人観客に女性はほとんどいませんでした。ムエタイは日本の競馬や競輪のような存在なのかもしれません。
試合前の儀式「ワイクルー」
試合が始まる前に、リングサイドに陣取った楽団が東洋的な音楽を奏ではじめました。
音に合わせ選手たちがゆらりゆらりと舞います。
「ワイクルー」です。
ワイクルーとは神に捧げる儀式的な踊りで、ムエタイの試合前には必ず行われるものだそうです。
なんだか相撲の取り組み前の仕切りに似ています。
この楽団の音楽は試合中も延々と演奏され、試合展開が進む度に激しさを増していきます。
ムエタイ試合観戦! ヒザを決めると「ウィー!ウィー!」と大合唱!
ゴングが鳴りました!
1ラウンドはお互い様子見といった感じ。
時折、単発のハイキックやワンツーを打ってみたりする程度で、お互いに手数があまりありませんでした。
2ラウンド辺りから3階のおじさんたちがなにやら騒ぎ始めました。
賭けの元締めと思われる男たちが幾人も、おもむろに観客席の前に立ち、指で形を作り合図をし始めます。
まるで昔の証券取引所の指サインのようです。
その合図に観客が呼応し、賭けが至る所で成立します。
観客たちが盛り上がっていくにつれ、選手たちも徐々に手数が多くなってきます。
ムエタイではパンチによる攻撃はあまりポイントが高くないらしく、蹴り技が主体となっています。
特に首に手をかけ、相手のボディーにヒザを打ち込む「首相撲」のシーンが多いです。
3ラウンド、そして、4ラウンド。選手たちの動きは切れを増し、場内の興奮は最高潮に達していました。
賭けのやりとりは更に頻繁になり、賭けた選手がパンチや蹴りを打つ度、「オーイ!オーイ!」と掛け声がかかります。
ヒザを決めると「ウィー!ウィー!」と大合唱!
うねるような雰囲気の中、怒涛の4ラウンドが終了しました!
けれども、最終の5ラウンドが始まると、なぜか観客の興奮は一気に冷めてしまいました。
もう賭けの勝敗は決したのでしょうか。掛け声にもあまり熱気が感じられません。
白けた雰囲気の中、とにかく選手たちは最終の5ラウンドを戦い抜き、結局、判定で青コーナーの選手が勝利を手にしたのでした。
旅行時期:1996年8月・11月・1998年2月〜3月・2000年3月・2003年3月・8月
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