瞬き厳禁、ラスト10分の衝撃!摩訶不思議な神降ろしエンターテイメント!!!
神降ろしの儀式を題材とした唯一無二のエンターテイメント
カルナータカ州南部の海岸地帯。独自の伝統文化が息づく「トゥルナードゥ」と呼ばれる土地。
映画「カーンターラ 神の降臨(原題:Kantara)」(2022年9月公開)は、1990年代のトゥルナードゥの村を舞台に、土地の神々と村人、地主、政府との関係や、巻き起こる紛争を描いた作品です。
この映画は、カルナータカ沿岸部の精霊信仰を真正面から描いた作品として高く評価され、低予算でありながら興収68億円を記録。史上最も高い興収を記録したカンナダ語映画となりました。
作品の核となっているのが、「ブータ・コーラ」と呼ばれる、神が演者に憑依する伝統的な神降ろしの儀式。
地元の祭礼・儀式に親しんで育ったという監督・脚本の「リシャブ・シェッティ」は、自ら主演も担当。トゥルナードゥの世界観を余すところなく表現した渾身の一作を作り上げました!
ブータ・コーラとは?
さてここで、作品の核となる「ブータ・コーラ」について、ちょこっとご説明。
「ブータ・コーラ(Bhuta Kola)」とは、トゥルナードゥに伝わる精霊(ブータ/ダイヴァ)を祀る伝統的な祭祀のこと。
ブータは、土地の守護神、英雄神、祖霊、動物神、森や海の精霊を指し、悪霊ではなく、村を守り人々を見守る守護霊として古くから信仰されています。
ブータ・コーラの儀式が行われるのは、夜中から朝に掛けて。
祭祀役の演者は、豪華な衣装を纏い、巨大な冠を被り、顔全体に化粧をし、太鼓や笛に合わせ何時間も踊り続けます。
そして、そのうち神霊が祭祀役に降臨!
祭祀役は神(ブータ)となります。
祭祀役にブータが降りると、人々は順番に、家庭問題や土地争い、農業や病気、結婚、商売について相談。
ブータは、それに対して、助言、忠告、仲裁、裁定を行います。
ブータ・コーラの祭祀は、宗教・裁判・行政を兼ねた存在でもあるのです。
トゥルナードゥでは、このようなブータが、地域ごとに数百種類以上も存在するといわれています。
ブータ・コーラとよく似た祭祀として、北ケララ(マラバール地方)の「テイヤム」があります。
どちらも「神霊が人に憑依して現れる祭祀芸能」であり、豪華な衣装や化粧をし、人々に神託を与えるのも同じ。
ブータ・コーラとテイヤムは、共にドラヴィダ系民間信仰をベースに発展した兄弟のような存在です。
テイヤムについては、↓の記事をご覧ください。



前置きが長くなりましたが、映画「カーンターラ 神の降臨」の物語についてご紹介します。
映画「カーンターラ 神の降臨」のあらすじ
約170年前、心の平安を求めて自己探求の旅に出たカルナータカ沿岸部の王は、森の中で聖なる石に出会います。その石には、イノシシの姿をした村人たちの守護神である半神「パンジュルリ」が住んでいました。
王は聖なる石を持ち帰る代わりに、村人たちに領地の大部分を譲ると申し出ます。
パンジュルリは人間の霊媒を通して、彼の仲間である獰猛な半神グリガが、約束を破った者を決して許さないだろうと警告しました。
時は過ぎて1970年、王の子孫が、パンジュルリに憑依されたブータ・コーラの演者アンナッパに土地の返還を要求。アンナッパは、土地は正当に村人のものであると主張し、この主張に異議を唱える者は神の報いを受けるだろうと警告します。
警告が自分からのものなのか、それともパンジュルリからのものなのかと問われると、アンナッパは謎めいた言葉で、もし自分がただの人間なら再び現れるだろうが、パンジュルリなら現れないだろうと示唆。そして彼は森の中の炎の輪の中に消え、その後、王の子孫は裁判所の階段で息絶えました。
20年後の1990年、森林保安官の「ムラーリ」(キショール・クマール・G)は村人たちの土地を森林保護区に転換する任務を負っていました。彼は、行方不明のアンナッパの息子でカンバラ(水牛レース)選手の「シヴァ」(リシャブ・シェッティ)から反対を受けます。シヴァは、王の子孫である村の地主、「デヴェンドラ・スットゥール」(アチュット・クマール)に支持されていました。
度重なる要請にもかかわらず、シヴァは父親の失踪によるトラウマからブータ・コーラを行うことを拒否し、その儀式を従兄弟のグルヴァに委ねていました。
ムラーリと彼のチームは指定された保護区に沿ってフェンスの建設を開始。
村人たちがフェンス建設を阻止しようとしたことから衝突が起こり、シヴァの幼馴染で恋仲でもある「リーラ」(サプタミ・ガウダ)を含む森林保安官が彼らを暴力的に鎮圧。
そんな対立の最中、ある陰謀が密かに企てられていました。
そして、事件が起こります。
果たして、村の運命はどうなるのか。半神パンジュルリと王の約束は?シヴァとリーラの恋の行末は?
続きは作品をご覧ください。
映画「カーンターラ 神の降臨」の感想

テイヤムを現地で観て、トゥルナードゥにも訪れた自分にとって、この映画はとても楽しみにしていた映画でした。
作品にはトゥルナードゥの文化や自然が余すところなく表現されています。
ド迫力の水牛レース「カンバラ」。リーラがシヴァに振る舞った魚料理「タワフライ」。太鼓や管楽器が奏でるトランシーな音楽。椰子の木の生い茂るトゥルナードゥの美しい森の風景。そして、神秘的でインパクトのあるブータ・コーラの祭祀。
ストーリー的には、若干強引な展開や、表現が雑だと感じるシーンがちらほらあったものの、そこはインド映画らしい勢いでグイグイと観客を引き込んでいきます。
神霊パンジュルリの存在感は圧倒的で、「ウォー!」という雄叫びと、目を見開き口を大きく開けたその表情は、脳裏に焼きついて離れないほど。
そして、何よりラスト10分の「リシャブ・シェッティ」の演技が兎にも角にも圧倒的!
神霊パンジュルリが降りたシヴァの表情、動き、鬼気迫るような佇まい。
これぞ、まさに憑依!
このラスト10分を体感するためだけでも、この映画を観る価値があります。
キャスト
- シヴァ:リシャブ・シェッティ
- ムラーリ(保安官):キショール・クマール・G
- デーヴェンドラ・スットゥール(地主):アチュット・クマール
- リーラ:サプタミ・ガウダ
- カマラ:マーナシ・スディール
スタッフ
- 監督:リシャブ・シェッティ
- 脚本:リシャブ・シェッティ
- 音楽:B・アジャニーシュ・ローカナート





