中国西南部にある雲南省。
ベトナム、ラオス、ミャンマーと国境を接するこの地域は、緑いっぱいの豊かな土地。
雲南省には多くの少数民族が暮らしていて、雲南省だけにしかいない少数民族は15もあるそうです。
雲南省の「麗江」「大理」「元陽」の町と少数民族をご紹介します。
今回は、元陽の棚田です!
山一面に広がる棚田の光景がすごい!元陽の棚田の風景
中国雲南省南部にある元陽県。
海抜1400m〜2000mのこの地域では、1200年前の唐の時代から、哈尼(ハニ)族によって棚田が作られてきました。
元陽県には約12万haの棚田があり、多いところでは5000段を越える棚田もあります。
棚田は12~75度の険しい斜面に築かれており、山の麓から頂上まで斜面一面に連なる棚田を眺めることができます。
その光景は、本当に圧巻のひとことです!
省都昆明からバスで10時間かけて到着した元陽の町。
元陽は当時(2003年)、地元の人以外本当に誰もいない、中国人観光客もいない静かなところでした。
この時、私は棚田の情報を全然持っていませんでした。
そこで、ホテル(元陽県人民政府招待所)のロビーに貼ってあった棚田マップを見て、それを頼りに付近の棚田をぶらぶらと歩いて周ることにしました。
元陽の町の周りには数多くの村が点在しています。哈尼(ハニ)族の住む村々です。
私はそのうち、「竜樹埧」と「箐口」という村を訪れました。どちらも歩いて行くことができる村です。
他にも、棚田を一望できる「多依樹」「猛品」「覇達」などの展望台があります。
春先の棚田には水が張られ、その水面に空と雲を鏡のように映していました。
棚田の赤いのは苔です。
元陽の棚田は、2013年に「紅河哈尼棚田群の文化的景観」として世界遺産に登録されました。
世界最大の棚田を見るため、現在では多くの観光客が訪れるようになったそうです。
元陽近郊「箐口」の村の風景
村の子供たち
ハニ族の女性たち
元陽の町から歩いて6kmのところにある「箐口」という村です。
棚田を見ながらのんびりと1時間ほど歩くと村にたどり着きます。
本当に静かな村で物売りや客引きもおらず、のんびりと歩き回ることができました。
世界遺産に登録された今は、もう少し賑やかになっているかもしれません。
竹筒で水たばこを吸う男たち。
農閑期だからなのか、平日の昼間なのにみんな暇そうです。
日干しレンガの家
ブタの家族
外国人を見つけてびっくり
ずっと笑っていました!
子供たちが遊んでいます。
手製の帽子を被っていたり、刺繍が入ったズボンを履いていたり。
「箐口」の村、ほんと、長閑でした。
「竜樹埧」の村で、李氏と一緒に棚田の写真を撮りました!
元陽の町から山道をどんどんと下っていきます。
山道からは一面に広がる棚田の海が見えました。
嗚呼、絶景かな・・・。
峠の木陰でひと休み
そろそろ出発しましょうか。
「竜樹埧」の村に到着
山道を下る途中、村のおばちゃんたちと出会いました。
棚田の写真を撮りに来たのだと言うと、彼女たちは村の名士のところへ案内してくれました。
村の名士、李幕云
通りがかりのおばちゃん
通りがかりの青年
彼の名は李幕云。
麦藁帽を被った人の良さそうなおじさんです。
棚田の写真を撮りに来たと言うと、李氏は自分も写真を撮るのが好きなのだと言います。
ぜひ、自分の撮った写真を見せたいので家に来てくれないかと言います。
埃っぽい部屋に案内されます。
熱いお茶が出てきました。
啜る。おいしい!
李氏は、奥から古ぼけたカメラと幾枚かの写真を持ってきました。
色褪せた写真に棚田が写っています。
李氏は、「これは自分の棚田だ」と言いました。
片言の中国語と筆談で李氏とのんびり会話をしていると、元気な子供たちが入ってきました!
愛嬌のある村の悪ガキたち。見慣れない私のことを見て、面白がっています。
カメラを向けると、おどけたポーズを取ってくれました!
李氏と一緒に棚田を散歩
李氏と一緒に棚田へと向かいます。
棚田は水が張られ、赤い苔に覆われていました。
李氏は棚田を誇らしげに指差し、「これは自分の田だ」と言いました。
私はカメラを構え、棚田の写真を撮りはじめます。李氏も横で写真を撮っています。
2人であぜ道をぶらぶらと歩き回りながら棚田の写真を撮り続けます。
今は田には何もありませんが、夏になれば山中の棚田が緑のじゅうたんで覆われるのだそうです。
そして、秋、収穫の季節には黄金色の稲穂が谷を埋め尽くすのでしょう。
棚田を撮り続けていると、遠くから太鼓を打ち鳴らす音が聴こえてきます。
音のほうに目をやると、村の中を人々が列を成して歩いているのが見えました。
「葬式だ」と李氏が言います。
しずしずと歩いてゆく葬式の行列。鳥の声と風のざわめき以外何も聴こえない風景の中、ドーン、ドーンという太鼓の音が谷中に反響しています。
間の伸びた太鼓の寂しげな音を聞きながら、私と李氏は、とぼとぼと歩く行列をぼんやりと眺め続けていました。
旅行時期:2003年1月
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