バルト三国の旅、最後の訪問国リトアニア。
世界遺産にも登録されている首都ビリニュスの旧市街は、東ヨーロッパでは最も広い旧市街のひとつです。
といっても、歩いてでも回れてしまう距離なので、市場や教会を回りながら、ぶらぶら街歩きをしました。
●リトアニアってどんな国?
リトアニア国旗
ところで、リトアニアってどんな国?ってことで、リトアニアについてちょっとご紹介。
リトアニア(Lietuva)は、西にバルト海、北にラトビア、東にベラルーシ、南にポーランド、南西にロシアの飛び地カリーニングラード州と接する、バルト三国の中で最も南に位置する国です。
人口は約325万人で、首都はビリニュス(Vilnius)。EU、およびNATOの加盟国で、通貨はユーロが使われています。
民族は、人口の83.1% がリトアニア人であり、少数民族としてポーランド人、ロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人などがいます。
公用語はリトアニア語で、宗教は国民の約8割がローマ・カトリックを信仰しています。
リトアニアの黄金時代は、リトアニア大公国(1251年-1795年)の大公ヴィータウタス(在位1401年-1430年)の治世の時代。この時、リトアニアは、現在のベラルーシ全域、ウクライナ全域、ポーランドの一部、ロシアの一部を領土とするヨーロッパ最大の国家となったそうです。
その後、近世から近代にかけて、度重なる戦争によってリトアニアは荒廃し、18世紀末にはロシア、プロイセン、オーストリアによって分割され、国土の大半がロシア領となってしまいます。
第一次大戦時に一時独立を果たしますが、第二次大戦が始まるとナチス・ドイツの占領下に置かれ、終戦後はリトアニア・ソビエト社会主義共和国としてソ連に編入されました。
独立が回復されたのは1991年。当時のソビエト連邦は経済封鎖を行ったり、KGBがテレビ局を襲撃したりしましたが、同年にソ連も崩壊。リトアニアは旧ソビエト連邦構成共和国の中で最も早く独立を宣言した国となりました。
その後、リトアニアは、2004年にNATOやEUに加盟。2015年には通貨にユーロが導入されています。
独立後、リトアニアではソビエト支配下の産業構造を一新するため改革が行われ、海外からの投資にも助けられた結果、2000年代には年7~8%の高い経済成長率を記録しました。
産業としては、食品加工業、繊維工業、アパレル産業、木材加工業、家具工業、製紙業などが発展し、近年ではバイオテクノロジーやレーザー産業も盛んであるとのこと。
①City Hotels Rūdninkai
前日の夜、ラトビアのリガから列車でビリニュスに到着。
ビリニュスでの宿泊は、旧市街の南に位置する『City Hotels Rūdninkai (シティホテルズ ルドニンカイ)』です。
こぢんまりとしていて、お部屋も広くはありませんが、2014年にリニューアルしたということで、設備はとても綺麗で気持ちよく過ごせるホテルでした。
「City Hotels Rūdninkai (シティホテルズ ルドニンカイ)」については↓
②ハレス市場
ホテルからピーリモ(Pylimo)通りを南に行き、夜明けの門方面に行く通りの入口に、ハレス市場はあります。
ハレス市場は、1906年にオープン。110年以上続いている地元民のメインマーケットです。
この建物は、18世紀末の領主の館で、改修を繰り返してきたとのこと。
朝早い時間だったため、お客さんはほとんどいず、まだ準備中のお店もありましたが、肉や魚、野菜や果物など、たくさんの新鮮な食材が売られていました。
それほど大きくはありませんが、アットホームな雰囲気のある見やすい市場でした。
ハレス市場については↓
③夜明けの門 ④聖テレサ教会
ハレス市場から見たピーリモ(Pylimo)通りです。
ユニークな絵が描かれた建物が。。
ハレス市場の前のこの通りを東に歩いて行くと、『夜明けの門』があります。
夜明けの門
一瞬通り過ぎてしまいそうな、周りに馴染んでいる「夜明けの門」。
門の上部には、リトアニアの紋章が刻まれています。ソ連時代は、ここでしか見られなかったものだそう。
この夜明けの門は、1503年から1522年の間に建てられた城壁にあった5つの門のうち、現存する唯一の門です。
向かって右側に、城壁が続いています。
夜明けの門から、旧市街に入るところ。
右手には、内部に入る入口があり、そこから2階へ上がると、小さな礼拝所があります。
門の上が、礼拝所です。
2階に上がって、礼拝所へ入ってみました。
そこには、奇跡が起こると信じられている聖母のイコンがあり、信者たちが熱心に祈りを捧げていました。
下の道を通る人たちも、ここを通る時に、礼拝所の聖母に向かって、一礼をして祈りを捧げていました。
夜明けの門から旧市街方面へ少し歩いた右手角に、「聖テレサ教会」があります。
聖テレサ教会は、1633年から1650年にかけて建造された、初期バロックのファサードが特徴的な教会です。
レンガ造りの建物が多かった時代に、リトアニア大公国の副首相だったステーポナス・パツァスの保護と寄付を受け、花崗岩と大理石などで造られたとのことです。
⑤円形城塞
城壁の外側を通って、「円形城塞」へ向かいます。
雰囲気のある、古い建物の通りが続きます。
と、通りに何やらギターを持った金色の少年?の像が!
なるほど、クラブのようですね。この雰囲気ある通りに合います。
円形城塞が見えて来ました!
ガイドブック等にはほとんど情報がなかったのですが、朝から観光ができるので、来てみました。
朝早い時間ということもあって、人もほとんどいませんでした。
この城塞は、17世紀初めにつくられたそうです。
私たちは、周りをグルっと回っただけなのですが、後から調べてみたら、城塞や城壁の内部に入れたようです。
内部には、銃や鎧などの武具の展示があったようで。。残念。。
城塞の周りは、綺麗に整備された公園になっていて、ビリニュス旧市街を眺めることができます。朝のお散歩にはもってこいなスポットです☆
⑥グスト・ブリーニネ
朝のお散歩で、いい感じに小腹が空いてきました。
朝食に向かったのは、パンケーキのお店。
夜明けの門通りにある『グスト・ブリーニネ(Gusto Blynine)』です。
オシャレな外観で、内装も凝っているカワイイお店です。
店内は、”不思議の国のアリス” のような雰囲気で、至るところにかわいい仕掛けがあります。
パンケーキも色々あって、美味しかったし、お値段お手頃!
9時~22時まで営業しているので、朝食にもおやつにも、夕食後のスイーツとしてでもいい感じのお店です。
『グスト・ブリーニネ(Gusto Blynine)』については↓
⑦聖霊教会 ⑧聖三位一体教会
「聖霊教会」は、リトアニアにおけるロシア正教の中心的教会です。
聖霊教会の敷地に入るところの門が、ピンク色で綺麗だったのですが、写真を撮ってませんでした。。
入口の上にある3人の絵は、おそらく1347年に殉教した聖人。
教会の内部は、緑色が印象的な豪華なバロック様式の祭壇がありました。
この祭壇前には、さきほどの3人の聖人の遺体がきれいに保存されていて、祭日ごとに赤、白、黒の衣装に着替えられているそう。
夜明けの門通りの聖テレサ教会の先にあるのが、「聖三位一体教会」です。
「聖三位一体教会」は、教会と修道院として使われていた、バロック様式の東方帰一教会です。
ロシア正教の儀礼を残しながらもローマ法王に仕えるという、宗教的妥協のために始められた珍しい宗派の教会だそうです。
●聖カジミエル教会
聖三位一体教会から、夜明けの門通りをさらにあがっていくと右手にあるのが、「聖カジミエル教会」です。
「聖カジミエル教会」は、17世紀初頭に建てられたイエズス会の教会で、ここにはリトアニアの守護聖人である聖カジミエルが祀られています。
支配者が変わるたびに、宗派が変わったりと、たくさんの被害を受けていたようです。
⑨旧市庁舎
聖カジミエル教会のすぐ先にあるのが、「旧市庁舎」です。
その外観は、この後訪れるビリニュスのシンボルの「大聖堂」にそっくり。
それもそのはず、大聖堂と同じ建築家によって建てられたものだそうです。
14世紀前半に建設された当初は、ゴシック様式だったそうですが、火災や戦争でダメージを受け、後に全面的に改築され今のようなクラシック様式となったとのこと。
現在旧市庁舎では、コンサートや展覧会などがよく催されているそうです。
旧市庁舎の近くには、民芸品などのお店がいくつか出ていました。
ここでちょっと物色!
お土産の定番のマグネットや、フェルト製の小物、リネン製品、琥珀のアクセサリーなどが売られていました。
リトアニアは琥珀が有名で、街中にも琥珀のお店がたくさんあったのですが、おそらくお値段的にもお高め(多分)。
そこで、この露店でも琥珀のアクセサリーを売っていたので、こちらでハート形のネックレスを購入。4.0ユーロでした。
琥珀の質は分かりませんが、お手頃にかわいいネックレスをゲットできてラッキー☆
リトアニアで有名な”リネン”のお店の一つ『LINO NAMAI』。
すっきりとした店内には、色々なリネン製品が。
リトアニアはリネン製品がリーズナブルに手に入ると聞きましたが、意外といいお値段します。。
でも、実はお買い得だったのかしら。。分かりません(汗)
その中で、お手頃だった刺繍入りリネンの巾着を購入しました。それぞれ3.70ユーロ。
とても上品な色使いの刺繍です。
お土産もの屋さんなどが並んでいます。
建物の軒下でも、いくつか露店が出ていて、目に止まったのが、旧ソ連グッズを売るおじいさんのお店。
缶バッチやピンバッチ、メダルなど、マニアにはたまらないようなものがたくさん売られていました。
モスクワオリンピックやオリンピックのマスコット ”ミーシャ”、レーニンのものが多かったです。
小熊のミーシャ、見たことはあったけど、改めて見るととてもカワイイ♪
記念に、おじいさんからピンバッチ2つを購入。
ロシアの有名な絵本のキャラクター”チェブラーシカ” も、ちゃんと見たことがなかったのですが、すごくカワイイ♪
すっかりミーシャとチェブラーシカのファンになってしまいました(笑)
テラス席でくつろぐ人たち
レンタサイクルもありました
写真の一番奥に「ケディミナス塔」が見えます。
⑩大聖堂
ピリエス通りを北上していくと、大聖堂にぶつかります。
写真は、大聖堂を横から見た図。この広場は、カテドゥロス広場です。かなり広い広場でした。
「大聖堂」は、ビリニュスの中心に位置し、ビリニュスのシンボルになっている主教座教会です。
大聖堂の手前には、高さ53mの鐘塔があります。鐘塔の下層部分は、13世紀の城壁の一部で、ヴィリニュスで最も古い建造物の一つです。
大聖堂と共に、かなり存在感のある鐘塔です。
ビリニュス大聖堂の鐘の音
モデルさんの撮影?
大聖堂の正面の通りではイベントが催されてます
ギリシャ神殿のようなファサードの大聖堂。迫力があります。
「大聖堂」は、13世紀半ばリトアニアを統一した王が、十字軍騎士団の圧力から逃れるため、キリスト教に改宗した際に建てた教会が起源となっています。
その後、増改築が繰り返され、18世紀の大改築で現在のクラシック様式になったとのこと。
太い6本の柱と、天井の模様がキレイです。
大聖堂の内部
大聖堂の中にあった小部屋は、「聖カジミエル礼拝所」です。
何気なく入った礼拝所でしたが、ここが大聖堂の最大の見どころでした。
礼拝堂は、大理石と砂岩で造られていて、リトアニアの守護聖人となったカジミエラス王子が安置されています。
とても細かい彫刻が美しく、しばらくじーっと見入ってしまいました。
側面にある絵画のひとつには、死後120年後に棺を開けた際に遺体に変化がなかったという聖カジミエルの奇跡が描かれています。
大聖堂前の地面に、何やら文字が書かれた敷石が。
『STEBUKLAS(奇蹟)』
これは、1989年にリトアニアからエストニアまで、総距離600㎞にもなる道のりを、200万人もの人々が手を繋ぎ、バルト三国の一体感を訴え、当時支配していたソビエトに抗議した「人間の鎖」の出発点の印です。
この上で時計回りに三回回りながら願い事をすると叶うといわれているそう(諸説あり)。
この後、ケディミナス塔へ上り、ビリニュス大学や教会を回りました。
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