午後、私は「シゲット」から西に約18キロのところにある「サプンツァ」(Săpânța)の村に行くことにしました。
バスに乗って30分ほど。私は「サプンツァ」の静かなバス停に降り立ちます。
「サプンツァ」はブルサナに負けず劣らず小さな村です。けれども、この村では観光客の姿を多く見かけます。
それもそのはず、この村には、有名な観光名所である「陽気な墓」があるからです。
のどかな村の中に、色とりどりのお墓が並びます
静かな村の様子は、その「陽気な墓」の近くに来ると一変します。
敷地の周りに数台のバスが停車しており、大勢の観光客のざわめきが聞こえてきます。
ヨーロッパの中流階級人らしき、おばちゃんやおじちゃんたちの姿です。
観光客たちは大抵、2,30分で墓の見学を切り上げ、どこかへと行ってしまうのですが、バスは結構頻繁にやって来ていました。
カラフルな絵が描かれたお墓
この「陽気な墓」ですが、観光客が引っ切り無しに来るのも頷けるほど、とても面白いお墓でした!
木でできた「陽気な墓」の墓標には、絵と文字が、青をベースとしたカラフルな色で描かれています。可愛らしい絵と文により、故人の生前の職業や人生が、「陽気に」描かれているのです。
それでは、お墓をひとつひとつ観ていきましょう〜♪
絵と文章によって表された、それぞれの人生
果物を収穫する人
青空の下、カラフルなお墓が照り映えます。この方は果物を収穫するお仕事をされていたのでしょう。
仲良しのふたり
仲良しの2人。2人は師弟関係にあったのでしょうか?
なにやら旗を振っている人
旗を振っている人。絵の下には、墓の主の人生が説明されているそうです。
ウェイター人生
「お客様、ワインをお持ちしました!」。ウェイター人生です。
羊飼い人生
吹き矢みたいな細いラッパを吹く羊飼いです。
学校の先生
先生です。彼の下で学んだ子供たちも、きっとこの村で暮らしています。
キッチンママ
眉毛の太いキッチンママ。きっとお料理が大好きだったのでしょうね。
あの世でもバックギャモン
バックギャモンをしています。きっとあの世でも、ひと勝負やっていることでしょう。
チャリダー人生
自転車に乗っている墓碑。自転車が大好きだったんでしょうね♪
縁側で佇むおばあちゃん
家の縁側でおばあちゃんが佇んでいます。どことなく寂しげな感じ。
自動車事故でお亡くなり
自動車事故で亡くなったのでしょうか? 椰子の木の繁る海岸道路で事故に遭ったみたいです。
車にぶつけられて亡くなった娘さん
こちらも交通事故で亡くなったようです。もっといい絵柄にしてあげればいいのにという気がしなくもないです。
兵士に殺された方のお墓
これはひどい。あまりに残酷な絵です。戦争で兵士に殺されたのでしょうか?
戦争で殺された方の絵
こちらも戦争で殺された方の絵です。殺した敵兵士への憎しみを忘れないためなのでしょうか?
大工や教師、牧師や道路工事夫、編物や料理をするおばちゃん、バックギャモンをしたり酒を飲み酔っ払ったりする絵は見ていて楽しいものです。
なるほど「陽気な墓」です!
けれども、車にはねられている絵や、軍人に首を切られている絵は、ちょっと理解が難しい感じ。自分の家族の墓がそんなだったら、お墓参りするのが嫌になるだろうなとという気がします。
この墓を考え出したのは、ここの村人である「イオン・スタン・パトラシュ」氏であるとのこと。
1935年から始まった「陽気な墓」の制作は、氏が亡くなった今も弟子によって引き継がれ、現在でも続いているのだそうです。
旅行時期:2003年5月
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