ジョージアとはどんな国?
南コーカサス地方にある国「ジョージア」(Georgia)
「ジョージア」って、日本ではあまり馴染みのない国ですよね。
ジョージアという国について知られていることと言えば、ワイン発祥の地であるということ。そして、大相撲で小結まで登りつめた力士「黒海」の出身国であることぐらいでしょうか。
だけど、ジョージアは、実は穴場の国。
美しい町と雄大な自然が楽しめる、観光資源満載の国なのです。
今回、ジョージアに行ってきたので、その様子をレポート致します。
ジョージア(グルジア)国旗
上はジョージアの国旗。
聖ゲオルギウス十字の四隅にエルサレム十字を配した「ファイブ・クロス・フラッグ」です。
ジョージアは、国民の75%がグルジア正教を信仰しているキリスト教の国です。
右はジョージアの地図。
北にロシア、東にアゼルバイジャン、南にアルメニアとトルコ、西には黒海があるといった位置関係。
首都は「トビリシ」(Tbilisi:თბილისი)です。
国名は「グルジア」ではなく「ジョージア」へ
”馴染みのない国”「ジョージア」ですが、先日、珍しく日本のメディアで大きく取り上げられたのは、記憶に新しいところ。
国名表記の変更です。
2015年4月22日、日本政府は国名表記をロシア語名「グルジア」(Грузия)から、英語名「ジョージア」(Georgia)へと変更したのです。
この変更はジョージア政府からの要請を受けたもので、その背景には2008年のグルジア紛争による反露感情の高まりがあると言われています。
この国名表記変更を受け、巷では「グルジアワイン」の方が「ジョージアワイン」よりも聞こえがよかっただとか、「ジョージア」だとアメリカのジョージア州と間違えられてしまうなどといった声がチラホラと聞かれていますが、とにもかくにも、これからは「ジョージア」が国名なのです。
ちなみに、公用語であるグルジア語(カルトリ語)での呼び名は、「サカルトヴェロ」(საქართველო)と言うのだとのこと。
日本からジョージアへの行き方:成田からイスタンブール経由でトビリシへ。乗り継ぎ含めて17時間
トルコ航空イスタンブール行きは本日の最終便
22:00発トルコ航空TK053便に搭乗
さてさて、今回のジョージア旅。フライトはトルコ航空を利用しました。
スケジュールは下記の通り。
- 9/18(金)トルコ航空(TK053) 成田(22:00)-イスタンブール(04:10)
- 9/19(土)トルコ航空(TK384) イスタンブール(07:05)-トビリシ(10:20)
航空券はHISで購入。旅行保険と合わせて149,690円。
ちょっと高いけど、連休で、しかも行き先が「ジョージア」なので、まずまずの値段だと思います。
成田〜イスタンブール〜トビリシ(14時間)※乗り継ぎ含めると17時間
まずは、成田からイスタンブールまで11時間のフライト。
乗り継ぎが3時間あって、トビリシまではさらに3時間。
かなり遠いです。
イスタンブールまでのエコノミークラスでの11時間、結構辛かったです。
現地時間午前4時、イスタンブール、アタチュルク国際空港に到着
午前4時、TK053便は、イスタンブールのアタチュルク国際空港に到着しました。
ここで3時間の待ち時間があったので、空港内をぶらぶらと歩いて回ることにします。
綺麗なアタチュルク国際空港
だだっ広い空港です。
アタチュルク国際空港は、だだっ広い空港。
土産物屋や免税品店やカフェやレストランも結構あって、なかなか綺麗な空港です。
だけど、特別変わったものがあるわけでもないので、しばらく歩いた後、おとなしく椅子に座って出発を待つことにしました。
午前7:05分、トルコ航空TK384便でトビリシに向けて出発!
午前7:05分、トルコ航空TK384便でトビリシに向けて出発!
成田からのTK053便に比べると、かなり小さな飛行機です。
TK053便には日本人がたくさんいましたが、今回はほぼゼロ。
乗客はトルコ人とジョージア人、そして、ヨーロッパからのツーリストが中心でした。
10:20分、トビリシ国際空港に到着
10:20分、ジョージアの首都「トビリシ」に到着。
17時間かけてやっと到着。ホッとひと息〜!と、言いたいところですが、今回はここからさらに奥地へと向かいます。
とにもかくにも、イミグレで入国手続きを済ませ、両替所で米ドルからジョージア・ラリ(Gel)に両替します。
レートは1ドルが2.5ラリ。だいたい1ラリが50円くらいの感じでした。
入国後、すぐに車で出発!首都トビリシからメスティアまではおよそ7時間
ところで、今回のジョージア旅の最大の目的は、ジョージア北西部「スワネティ地方」(Svaneti:სვანეთი)にある塔の家を見ること。
なんでも、スワネティ地方の町や村には、高さ20メートルほどの塔がたくさん建っていて、なかなか不思議な景観なのだとか。
その塔の家が並ぶ光景をぜひ、見てみたい!
そう思って、ジョージアに行くことにしたのです。
メスティアまでのルート(およそ7時間)
スワネティ地方の中心地となるのは、「メスティア」(Mestia:მესტია)という町。
メスティアは、首都トビリシから約480kmほど、車だとおよそ7時間かかります。
メスティアまでは、車をチャーターして行くことにしました。
車の往復と宿泊2泊込みで640ドルとかなり高かったですが、時間も限られていたので仕方ありません。
車の手配は、現地の旅行会社「サクラトラベル」にメールで依頼。日本語ができるスタッフがいたのでやり取りもスムーズでした。
その「サクラトラベル」から派遣されるドライバーが空港に迎えに来てもらうことになっています。
しばらくすると、ドライバーが登場!
背の高い、かなり若めのお兄さん。名前は「サンドロ」であるとのこと。
挨拶もそこそこに、さあ出発です!
ドライバーのサンドロ君のベンツでメスティアに向けて出発
サンドロ君の車はベンツです。乗り心地は二重丸!
サンドロ君は、ちょっと聞き取りづらいですが、英語をそこそこ話せます。
25歳で、昨年結婚し、娘がひとりいるのだとのこと。
トビリシの街の建物
首都トビリシの風景
トビリシの街
トビリシ市内のモール
空港を出て、トビリシの町を抜けていきます。
トビリシは綺麗な町。クラ川という川に沿って街並みが広がっていて、教会やお城などの古い建物と近代的なビルが混在している感じ。
パッと見、ブダペストやパリに似た雰囲気があります。
トビリシ市内を抜けて郊外へ
車窓から見えた教会
街道沿いの売店
サンドロ君、タバコを買う
高速道路に乗って一路西へ
車はトビリシ市街を抜け郊外へ。高速道路に乗って一路西へと向かいます。
サンドロ君、かなり車を飛ばします。
南オセチアの紛争を逃れてきた難民住宅
牛が放牧されています。
車窓は、大陸らしい雄大な風景が広がっています。
広々とした牧草地と、遠くに見えるなだらかな山の稜線。
牧草地には、牛が放牧されている様子が見えました。
途中、平原の中に新し目の住宅がたくさん建っている区域がありました。
サンドロ君によると、「南オセチア」の紛争から逃れてきた難民の住宅であるとのこと。
「南オセチア」はジョージア中北部にある地域。オセット人が多く住むところで、現在は事実上の独立状態となっています。
2008年の「南オセチア紛争」の際、ジョージア政府がまず「南オセチア」に侵攻。それに対して「南オセチア」の後ろ盾であるロシアが軍を派遣し、激しい戦闘になりました。
サンドロ君によると、この高速道路もロシア軍の戦車で埋め尽くされたのだとか。
街道沿いのドライブインや市場に立ち寄り。ジョージアのお菓子「チュルチュヘラ」
モダンなデザインのドライブインでひと休み
しばらく走ったところで、綺麗なドライブインがあったので小休憩をしました。
ドライブインはかなりモダンな作りで、ダンキンドーナツやウェンディーズなどが入っています。
ロシアと対立するジョージア。西側の資本が入っていることが伺えます。
近代的なスーパーマーケット
野菜や果物売り場
新鮮な果物が並んでいます。
土産物コーナー
素朴な感じのジョージア土産
角を模ったワイングラス
ドライブインの脇には、ジョージア土産を売るお店が出ていました。
お客さんは誰もおらず、閑散としていましたが、ジョージアのお土産にどんなものがあるのかを知る、いい機会になりました。
ドライブインの周りは何にもありません。
さて、そろそろ出発です。
トイレを済ませ、出発です!
しばらくすると、高速道路が終わり、車は一般道を走り始めました。
サンドロ君は、何か見たいところ、写真を撮りたいところがあれば車を止めると言ってくれます。
すると、さっそく面白そうな市場を発見!
街道沿いにあった市場
街道沿いに並んでいた野菜や果物の屋台です。
さっそく車を止めてもらい、見て回ります。
ナッツが入った甘いお菓子「チュルチュヘラ」
ワイン発祥の地ジョージア、ぶどうがたくさん!
鮮やかなトマトがズラリ
スイカ、バナナ、リンゴ
ぶどう、スイカ、バナナ、リンゴ、洋ナシ、プラム、トマト、じゃがいも、パプリカ・・・。
果物と野菜が盛りだくさん!
ちょっと面白いと思ったのは、たくさんぶら下げられている数珠繋ぎのお菓子。
これは、「チュルチュヘラ」というジョージアの伝統お菓子で、ナッツを小麦粉を混ぜたブドウの果汁に漬け、固めたものであるとのこと。
ジョージアでは、どこへ行ってもこの「チュルチュヘラ」がズラリと吊り下げられていました。
味は、まずくはないけど、そんなに美味しくもなかったです。
ジョージアの地方都市
街道沿いの民家
市場を出発し、再び西へ。
車は、ゴリ、ハシュリ、スラミといった町をびゅんびゅんと通り過ぎていきます。
先ほど見たような果物や野菜の露店は、街道沿いに無数にありました。
露店は他にもいろいろな種類があり、町や村ごとに、パンの上に砂糖をまぶしたものを売っている露店が多い村、籠や陶器を売っている露店が多い村、ハンモックを売っている露店が多い村などがあり、その地域の特産品が走っているだけでわかります。
オープンエアの食堂でジョージア料理のランチ。「ハチャプリ」をいただく!
オープンエアのレストランでランチ
昼食はオープンエアの食堂で食べました。
杉の林の中にいくつかのオープンエアレストランがあります。
地元の人や、街道を行き来するジョージア人たちが利用する普通の食堂です。
美味しい!洋梨のレモネード
まず、飲み物として出てきたのが、洋梨のレモネード。
これ、結構美味しかったです!
甘いけどしつこさがなく、飲みやすい感じ。
パンの中にチーズが入った「ハチャプリ」
こちらは、伝統的なジョージア料理のチーズ入りのパン「ハチャプリ」(Khachapuri:ხაჭაპური)
「スルグニ」と呼ばれる塩分控えめのジョージア風モツァレラチーズがパンの中に入っています。
シンプルで美味しい!チーズあつあつです♪
ジューシーな牛肉のケバブ
ジューシーな牛肉のケバブ。
牛のミンチ肉に生たまねぎが載っていて、トマトソースをかけて食べます。
ウズベキスタンやトルコ、イランなんかにもよくある食べ物です。
焼きたてのケバブ、イケます♪
リッチなジョージア料理で満足★
オープンエアでちょっと肌寒い気もしましたが、サンドロ君と二人分で23Gel(1,150円)
満足のいくお食事でした〜♪
さあ、食べ終えたらすぐ出発!
急がないと到着が夜中になってしまいます。
街道沿いの陶器屋さん
街道沿いの森の風景
工場の煙突があったり
立派な教会が建っていたり
車をびゅんびゅんと飛ばすサンドロ君。
かなりのスピードで前の車をどんどん追い越していきます。
車窓の風景は、徐々に変化していきます。
店頭にケバブの焼き台の見える食堂が点在する峠の山道を抜け平原地帯へ。
平原地帯には所々に町があり、町には旧ソビエトっぽい無機質な建物があって、公園には巨大なモニュメントが置かれています。
工場があったり、ジョージア風の立派な教会が見えたり、街道の脇を並走する列車の姿が見えたりします。
すごいスピードで車を飛ばしていきます。
ドライバーのサンドロ君お疲れモード。ちょっと休憩
しばらくして、サンドロ君がちょっと休憩したいと言い出しました。
ずっと運転していて、かなりお疲れモードの様子。
線路のある広々とした風景の場所で車を停め、ちょっとお休み。
広々とした風景。伸びをして体をほぐします。
向こうにコーカサス山脈の山岳地帯が見えます。
目的地である「スワネティ地方」は、コーカサス(カフカス)山脈の山中にあります。
コーカサス山脈は、5,000メートル級の高峰が連なる、アジアとヨーロッパの境を成す山脈。
その山脈の連なりが前方に見えました。
山岳地帯まではもうすぐです!
山道を登って塔の林立する町「メスティア」へ。世界で一番の高さがある「イングリダム」も見る。
休憩後、車は前方に見えるコーカサス山脈に向かって突っ走ります。
葉が黄色く色づき始めたポプラの並木道を抜け、小さな町や村をいくつも通り過ぎ。
延々とジョージアの街道を走り続けたのですが、走っていて特に印象に残ったことがあります。
ジョージア、牛がやたら多い!
特に地方の町や村では、畑や牧草地だけでなく、街中や街道の道端にも、牛がたくさん歩いていたり寝そべっていたりします。
道の真ん中にも普通に寝そべっていて、車を怖がりもしていない様子。
まるで、インドみたいです!
そんな牛の姿を眺めつつ進んでいき、車は夕方の6時頃、スワネティ地方への入り口の町「ズグディディ」(Zugdidi:ზუგდიდი)に到着しました。
ここから、いよいよ山道へと入ります。
案内標識を見ると、メスティアまではあと130km!
サンドロ君、「マジですか⁉︎」って顔してました。
山道を登り始めます。
日もだいぶ、傾いてきました。
さっそく山道をぐねぐねと登り始めます。
日もかなり傾いてきました。
しばらくすると、ダムがあるところに到着。
ちょこっと立ち寄ってダムを見てみることにします。
山道の途中にあった「イングリダム」
「イングリダム」を見ながらしばしの休憩
メスティアまではあとひと息
このダムの名前は「イングリダム」(Enguri)
アーチ式のコンクリートダムとしては世界で一番の高さがあるそうで、その堤高は、272メートル。
ダム萌えのマニアの方にとっては垂涎のダムです。
1980年に完成し、総貯水容量は110億トンであるとのこと。
「イングリダム」をしばし見て、出発です!
だいぶ肌寒くなってきました。
ダムを抜けると、青緑色の美しいダムの貯水地が眼下に現れます。
その貯水地を眺めながら走っていくと、次第にトンネルが増えてきます。
いくつものトンネルを抜け、幅が狭くなり渓流へと変化していく川と並走しながら走っていくうちに、辺りはいつしか闇に包まれていきました。
メスティア到着!夜の9時くらいになっていました。
メスティアの宿にあった塔
目的地である「メスティア」に到着したのは、夜の9時頃。
トビリシの空港から出発しておよそ10時間、日本からは27時間かけての到着です。
さすがにもうクタクタです。
メスティアで宿泊する宿は、「Old House」という塔の家のある住宅を改装した民宿です。
メスティアの町を見下ろせる坂道の途中にあり、町の中心へは徒歩10分ほど。
トイレとシャワーは共同です。お部屋の鍵はないですが、家族経営の宿なので問題ありません。
とにもかくにも、お部屋に荷を置き、ホッとひと息。
ジョージア料理のディナー。ジョージアのスープ「ハルチョ」をいただく♪
宿の夕食。豪華なジョージア料理です。
本場ジョージアの白ワイン
ジョージアのスープ「ハルチョ」
宿で出た夕食です。
白ワインに「ハチャプリ」、トマト味の辛めのスープ「ハルチョ」、トマトやキュウリなどのフレッシュサラダに、チーズ、ザウアークラウトのような紫キャベツの和え物。
なかなか豪華な食卓です。
ちょっと量が多すぎて食べ切れませんでしたが、満足のいく夕食となりました。
それにしても疲れすぎてしまったので、早く寝たい気分。
部屋に戻ったら、もうバタンキューでした。
翌日は、メスティアから世界遺産の村「ウシュグリ村」へと向かいます。
旅行時期:2015年9月
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