マチュピチュのあるアグアス・カリエンテスの町からクスコへ戻り、丸一日高地順応のため休んだ後、私はクルス・デル・スル社のバスに乗り、ペルー南部、標高3855メートルの所にある「プーノ」へと向かいました。
クスコからプーノへは約6時間ほどの行程。
このルートには、世界第2位の高所を走る観光列車も運行されているのですが、所要が10時間もかかる上、プーノ到着が夜になるということから、私は断念することにしました。
夜着くのは心配。
旅行中、プーノで身ぐるみ剥がされたという旅行者の話を何回か聞いたことがあったからです。
チチカカ湖畔の町「プーノ」から、船で「ウロス島」と「タキーレ島」を訪れました。
バスは標高4000メートルを超える峠を越え、一路南へと進みます。
辺りは荒涼とした大地、所々にアルパカやリャマの姿がちらほらと見えました。
そのうち、バスの窓から深い蒼色をした湖の姿が見えてきます。
チチカカ湖です!
紺碧の湖と、雲ひとつない真っ青な空。
その間には赤茶色の山々が見え、山々の合間には、小さな建物が寄せ合うようにへばり付いているのが見えました。
プーノの町です。
私はプーノに到着してバスを降りると、アルマス広場に程近い宿「オスタル・ロス・ウロス」(シャワートイレ付きシングル 21ソル:731円)にチェックインしました。
(写真は、プーノのカテドラル)
チチカカ湖とは?
チチカカ湖。
名前を聞くだけでも神秘的な湖です。
ケチュア語での意味は「ピューマの石」であるとのこと。
面積は8,562 km²、琵琶湖の12倍の面積です。
最大水深は285m、水面の標高は3,812m、汽船が航行する湖としては世界最高所にあります。
チチカカ湖は、古くからアンデスに住む人々に崇められてきた神聖な湖として知られています。
インカ発祥の伝説は2つの説があります。
ひとつは、創造神ビラコチャの命を受けた8人の兄弟姉妹がクスコに住みつき、その中のひとりがインカ創始者である「マンコ・カパック」であるという説。
もうひとつは、インカ創始者「マンコ・カパック」がチチカカ湖にある「太陽の島」に降臨し、クスコへとやってきたのだという説。
チチカカ湖は後者の説の拠り所となる湖として、インカ人にとっては重要な「聖地」なのです。
チチカカ湖中には41の島々が浮かんでいます。
かつて、スペイン人が当地を征服したとき、湖周辺に住んでいたケチュア族、アイマラ族、ウル族などの先住民たちは、湖中の島々へと逃れました。
それらの島々では、現在でも古代アンデスそのままの生活スタイルを送る人々が住んでいます。
それをクルーズ船やボートで巡って見て周るというのが、プーノでの観光ハイライトのひとつとなっているのです。
(写真は、チチカカ湖)
ウロス島とタキーレ島を回るローカルボート
翌朝7時半、私は三輪のサイクルタクシーで港へと向かいました。
港の桟橋でボートの客引きと交渉をします。島巡りのツアーに参加するためです。
私が乗ることに決めたのは、ウロス島とタキーレ島を回るローカルボート(25ソル:870円)。
ツアーではなく、ただの連絡ボートに便乗するだけです。
最もリーズナブルな「ツアー」と言えるでしょう。
(写真は、プーノの三輪サイクルタクシー)
ローカルボートは、数人の外国人と民族衣装を着た大勢のインディヘナを乗せプーノの港を出港しました。
港の付近の湖面は緑色の藻に覆われていました。
まるで草原の上を進んでいくような気分。なんとも不思議な感覚です。
しばらくすると船は葦の林立する地帯に入り込みました。
黄金色の細長い葦が湖面に映っています。
船はそのくっきりとした映像をゆらゆらと揺らしながら進んでいきました。
葦で出来た浮き島「ウロス島」
そのうち湖の中に、葦で造られた住居が建ち並んでいるのが見えてきます。
葦で出来た浮き島「ウロス島」です!
ウロス島は「トトラ」と呼ばれる葦を積み重ねて出来ており、この辺りには大小40ほどの浮島が浮かんでいるのだそうです。
大きな島には学校や教会もあるとのことですが、私の降りた島は30メートル四方ほどの小さな島でした。
船が島に着くと、私はそのトトラ作りの島へ勢いよく飛び降りてみました。
そして、バシバシ!と地面を踏んでみます。
かなりしっかりしていました。普通の地面と大した変わりはありません。
島にはトトラで造られた家が並んでいます。
その前に布を敷き土産物を売る人々がいます。売られている土産もトトラ製です。
島にはボートが横付けされていました。これももちろんトトラ製です。
この舟の名は「バルサ」といいます。
バルサは、トトラの束をヒモで縛っただけの船です。
乗っかってみると、意外としっかりしていました。
このウロス島に住んでいるのは「ウル族」と呼ばれる人々。
ウル族はチチカカ湖畔において、最も古い民族だとも言われています。
残念ながら純血のウル族は既に途絶え、現在住んでいるのはケチュア族やアイマラ族との混血であるそうです。
旅行時期:2003年7月
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