中国西南部にある雲南省。
ベトナム、ラオス、ミャンマーと国境を接するこの地域は、緑いっぱいの豊かな土地。
雲南省には多くの少数民族が暮らしていて、雲南省だけにしかいない少数民族は15もあるそうです。
雲南省の「麗江」「大理」「元陽」の町と少数民族をご紹介します。
今回は、納西族の人々です!
納西族の女性たちは、北斗七星の飾りのある青い民族衣装を着ています。
雲南省麗江ナシ族自治県の首府「麗江」の街をぶらぶらと歩きます。
石畳の道をのんびりと歩いていると、しばしば青い服を着た女性とすれ違います。
納西族の女性です。
納西族のおばちゃんや老婆たちは、渋い藍染の民族衣装を着ています。
一方、結婚前の若い女性は赤や水色の華やかな衣装を着るらしいのですが、現在日常着として着る人はほとんどいないようです。街で見かける民族衣装の人は全て年配の女性か老婆でした。
写真は、背中に籠を背負った納西族のおばちゃんたちです。ちっちゃい子供がこちらを見ています。
石の敷き詰められた広場「四方街」で老婆と子供が日向ぼっこ。
のんびりとした昼下がり、老人と子供の時間帯です。
老婆の背中に紐がついた円板状のものがありますね。
あれは、7つあって、北斗七星を抽象化したものだそうで、早朝の星が出ている時刻から、深夜の月が出ている時刻まで働く女性の働き者ぶりを表したものであるとのこと。
納西族のおばあちゃんとお母さんと子供。子供が可愛いです!
麗江では子供を抱いたおばちゃんをよく見かけました。
「四方街」の真ん中で、なにやら老婆たちが集会を開いていました。歌も歌っていました。おじさんたちはそれを遠巻きに覗いています。
何だか、おじいちゃんよりも、おばあちゃんの方がパワーありそうな感じです!
「四方街」から続いている坂、そこを杖を突いた老人がゆっくりと登っていきます。
ナシ族の人口は約31万人。独自の言語としてナシ語、文字としてトンパ文字を持ち、宗教は自然崇拝が中心。社会構成としては、女性の地位が比較的高い母系社会の一妻多夫制です。
玉泉公園と納西族のシャーマンが生み出した表意象形文字「トンパ文字」
麗江古城から20分ほど歩くと「玉泉公園」があります。
鏡のような池には白く輝く玉龍雪山がくっきりと映っています。万年雪を頂くこの山の標高は5,596メートル、納西族にとっては神々の住まう聖なる山です。
公園の中にはトンパ博物館があります。ここには納西族の伝統文化や民芸品が展示されていて、壁にはトンパ文字の一覧表がありました。
納西族はトンパ教という自然崇拝の宗教を信仰してきました。その経典を書写するのに用いたのがトンパ文字です。
ちょっと前、日本でもお茶のペットボトルの図柄にも使われてました。
トンパ文字は千年ほど前、納西族のシャーマンが生み出した表意象形文字なのですが、もともと民衆が使うための文字ではなかったため、トンパ教が廃れてしまった現在、使用している人はほとんどいないいそうです。
麗江の町にはトンパ文字を使った表示や土産物が至る所に溢れています。
これは、古城のメインストリートにあったファーストフード店「DICOS」の壁に架かっていたトンパ文字のメニュー表示。トンパ文字は、複雑なものでも表せる言葉のようです。
トンパ文字は、民衆ではなくシャーマンたちの使う宗教的な文字でした。
けれども、現在は使用するシャーマンも少なくなり、文字は観光客向けのシンボルとなりつつあります。
誕生から1千年後、トンパ文字は宗教から離れ、町興しの材料となっている感があります。
けれども、そのおかげで初めて文字は民衆のものとなったのかもしれません。
旅行時期:2003年1月
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