インド人が多いことで有名な「西葛西」
今回の”エスニックまちある記”は、日本のリトル・インディアと呼ばれる町、江戸川区西葛西をご紹介します。
インドの雰囲気を味わうため東西線に乗って、行ってきました「西葛西」に!
在日インド人の約1割(約2,000人)ほどが居住していると言われる江戸川区。
西葛西の街を歩いていると、お店で買い物をしていたり、公園で子供とを遊ばせていたりといった普通の日常生活を送っているインド人の姿をよく見かけます。
そもそも、江戸川区は外国人率が高いことで知られており、実はインド人よりも韓国人、中国人、フィリピン人の方が人口では多いそうですが、インド人は風貌的に目立つせいか、なんだか、大勢インド人がいるように感じられてしまいます。
「リトル・インディア」西葛西の成り立ち
西葛西のインド人ですが、実はインド人がここに集まるようになったのは、実は最近のことなのだそう。1990年代までは50人程度しか居住していなかったのだとか。
転機となったのは、2000年前後。
コンピューターの2000年問題の影響で世界的にIT技術者の需要が高まり、日本でも優秀な外国人技術者の受け入れが急務となり、日本政府はインド人エンジニア向けの就労ビザ発給を緩和、その結果、多くのインド人エンジニアが来日するようになったのだとのこと。
また、インド人エンジニアの居住地として、なぜ西葛西が選ばれたのかというと、その立地と環境に理由があるようです。
IT技術者の勤務先は、金融機関や証券会社の本社が並ぶ大手町や日本橋が多いですが、東西線なら乗り換えなしで一本で行けます。
荒川を越えた西葛西は家賃も安めだし、新しい町なので古い町にあるようなしがらみもなく、入居者の国籍を問わない大規模な公団住宅が多いという、インド人にとっては願ったり叶ったりの住みやすいところだったのです!
西葛西駅北口
さて、そんなインド人の多い町、西葛西ですが、横浜の「中華街」や新大久保の「コリアン・タウン」のような、インド系のお店が密集した、いわゆる「インド人街」的な場所はありません。
インド人IT技術者は、来日して数年で帰国してしまうことが多く、永住する人が少ないため、大きなインド人コミュニティーに発展するまでにはならないのだとか。
インド一色を想像すると肩透かしを食らってしまう西葛西ですが、兎にも角にもインド人が多く生活する日本で一番インドを感じられる町「西葛西」
それでは、町の方々に散らばる、インド人ゆかりのスポットを訪ね歩いてみることにしましょう〜♪
まずは、東京メトロ東西線西葛西駅を下車して、北口からスタート!
①インドの食材と雑貨『TMVS FOODS』
インドの食材と雑貨『TMVS FOODS』
西葛西駅北口の駅前ロータリーから続く大通りを道なりに進むと、大規模な団地が並ぶ界隈が見えてきます。
この団地は、「UR都市機構(UR賃貸住宅)」が管理する団地「小島町二丁目団地」
礼金、保証人・保証料、仲介手数料なしで入れるので、インド人がたくさん入居している団地です。
この「小島町二丁目団地」の5号棟の1階がショッピングモールになっていて、その奥の一角にあるのが、インドの食材と雑貨のお店『TMVS FOODS』です。
インドのビールで真夏を楽しもう!
ずらりと並んだインドのビール
『TMVS FOODS』の店頭には、レトルトのカレーのラックや販売用のクーラーボックスが置かれていました。
クーラーボックスには、キングフィッシャー、ゴッドファーザー、タージマハルなどなど、インドのビールがズラリ!
『TMVS FOODS』の店内
『TMVS FOODS』の店内に入ってみます。
ガラスの扉を開けて中に入ると、そこはインドや中東の雑貨屋さんの雰囲気満点!
店内では、店主さんとお客さんが話すタミル語が飛び交い、お店の棚にはインドの食材やスパイスなどがズラリと陳列されています。
紅茶やスパイス、調味料など
店頭のレトルトカレー
スナックの数々
グラブジャムンの缶詰め
お得な各種スパイス
種類豊富なダル豆とアタ
インドの紅茶やスナック、レトルトカレー、各種スパイス、インディアンスイーツのグラブジャムンの缶詰め、ダル豆、アタなど。
スパイスは60種類以上もあるのだとか。
『TMVS FOODS』
西葛西在住インド人御用達。
ここに来れば、インド料理を作るのに必要な素材が何でも揃いそうです!
ちなみに、このお店のご主人、西葛西駅北口に”スパイス屋が作ったインド料理店”『アムダスラビー』をオープンしています。
インドのスナック「JABSONS」
インドによくあるベビースターっぽいスナックです。
何か買ってみようということで、購入したのがこれ。
インドのスナック「JABSONS」(230円)です!
とうもろこし、ばれいしよ、カシューナッツ、レーズンなどを各種スパイスで味付けしたベビースターっぽいスナック。
インドっぽくて、なかなか美味しいスナックでしたー。
②老舗のインド食材店『スワガット・インディアンバザール』
『スワガット・インディアンバザール』外観
『スワガット・インディアンバザール』外観
もう1店舗、インド雑貨屋さんに行ってみようということで訪れたのが、ここ『スワガット・インディアンバザール』
西葛西駅北口から線路沿いに東へ進み、2つ目の交差点を左折した右手のレンガ色のビルの1階にあります。
インド国旗が店頭に棚引いているので、遠目からでもわかります。
『スワガット・インディアンバザール』
2007年にオープンしたという、西葛西のインド雑貨店の中では老舗の『スワガット・インディアンバザール』
商品の品揃えはかなり充実しています。
先ほどの『TMVS FOODS』と同じように、商品の物色開始!
バスマティーライス
フェイシャルクリームなどのコスメ製品
インドのお菓子「ジュレビー」のセット
バスマティーライスの入っていた段ボール
レトルトカレーや缶詰など
インドのカップヌードル
フレッシュカレーリーフ販売しています(10g250円)
スパイス、ダル豆、バスマティーライス、レトルトカレー、お菓子、スナック、調味料、コスメや日用雑貨、いろいろありましたが、気になったのは、インドのカップヌードル!
これは、ぜひとも買わないと。
それと、フレッシュカレーリーフが販売しているのもポイント高いです。
10g250円と、かなりの安さ!
他のところで買うとこの2倍近くするので、破格です★
『スワガット・インディアンバザール』のスタッフ
結局、インドのカップラーメンを2つ購入することに。
お店のスタッフは、日本語が堪能な南インド系の方でした。
「これからインド料理を食べに行くつもり」と言うと、このスタッフさん、オススメのお店を紹介してくれました。
彼が紹介してくれたのは、『スパイスマジック カルカッタ 南口店』
この『スワガット・インディアンバザール』から歩いてすぐのところにあり、北インド料理と南インド料理の両方が味わえるのだとか。
『スパイスマジック カルカッタ』は北口にもあるそうですが、南口店を強力に勧められたので、南口店に行くことに。
やっぱり、南インド系のスタッフさん、南インド料理がオススメみたいです。
スタッフさんはとても親切で、ご丁寧にお店の外にまで出て、南口店への道順を教えてくれました。
インドのカップラーメン2種
ベジ・マンチョウ
マゼダール・マサラ
こちらが、購入したインドのカップラーメン2種です。
こちらは、まだ頂いていませんが、食べたらレビューしようと思います。
③南と北のインド料理が味わえる『スパイスマジック カルカッタ 南口店』
『スパイスマジック カルカッタ 南口店』
『スワガット・インディアンバザール』に紹介されたインド料理店『スパイスマジック カルカッタ 南口店』
お店は、スワガットから歩いて1分ほど。東西線の高架をくぐって反対側にありました!
「南インド御膳 SOUTH INDIAN THALI」(1,550円)
「イドゥリー・セット」(650円)
「スペシャル・タンドーリ・シズラー」(1,600円)
このお店、『スパイスマジック カルカッタ 南口店』
紹介された通り、北インド料理と南インド料理の両方がメニューにあります。
タンドールのグリル盛り合わせと、南インド料理の定食「ミールス」をいっぺんに味わえるのは高ポイント!
イドゥリーやドーサ、ワダ、ウタパムなどの南インドのティファン(軽食)もレギュラーメニューであります。
ところで、このお店『スパイスマジック カルカッタ』ですが、このお店を経営しているのは、「シャンティ紅茶」を製造販売している「ジャパンビジネスサービス有限会社」だそうです。
何でも、この会社のオーナーである「ジャグモハン・S・チャンドラニ」さんは、1978年に来日し、インドの紅茶販売を開始。
その後、西葛西にインド人が増え、彼らが食事できるお店がないと困っているのを見かねて、『スパイスマジック カルカッタ』をオープンさせたのだとか。
「ジャグモハン・S・チャンドラニ」さんは、江戸川インド人会の会長も務め、メディアにも多数登場している西葛西のインド人のリーダー的存在であるのだとのこと。
シャンティ紅茶
ちなみに、「シャンティ紅茶」の店舗「シャンティ紅茶 TEA SHOP」は、北口の信号のある交差点から西に進んだ左手にありますが、業務用販売がメインのオフィスであるため、平日の昼間しか開いていません。
④西インドのお母さんの味。印度家庭料理『レカ』
印度家庭料理『レカ』
さて、西葛西には、『スパイスマジック カルカッタ』以外にも美味しいインド料理屋さんが幾つかあります。
その筆頭が、このお店『レカ』です。
お店は、『TMVS FOODS』の向かいにある「小島町二丁目団地6号棟」の1階にあります。
『レカ』のお料理は、西インド料理。それも、レストランで出されるようなインド料理ではなく、インドの家庭でお母さんが作る家庭料理「インドのお母さんの味」なんです。
ビリヤニ付きスペシャルセット(1,200円)
「チキンビリヤニ」と人参デザートの「ガジャルハルワ」
チャパティが2枚
レカのお母さんのお料理は、辛さはあまりなく、油控え目でヘルシー。
お味は全体的に薄味です。
けれども、カレーもビリヤニも、どのお料理もしっかりとスパイスが効いていて味のバランスは抜群!
これが、西インドのお母さんが家族のために作る「家庭の味」なんですね。
毎日食べられそうなお料理です★
⑤”スパイス屋が作ったインド料理店”『アムダスラビー』
『アムダスラビー』
オススメのインド料理店をもう1店舗。
『アムダスラビー』です。
北口のロータリーから大通りを道なりに進んだすぐの右手にあります。
このお店は、南インド料理のお店。
始めにご紹介したインド雑貨店『TMVS FOODS』のご主人がオープンさせた”スパイス屋が作ったインド料理店”です。
「蟹づくしスペシャルミールス」(1,700円)
「カニのスパイシーカレー 南インドスタイル」と「カニのマサラ炒め」
「グラブジャムン」
『アムダスラビー』は、南インド料理オンリーの正真正銘の南インド料理店。
このお店のお料理は、かなりレベルが高いです。
オススメの「蟹づくしスペシャルミールス」をいただきましたが、チェッティナードゥ風のスパイスたっぷり濃厚なカレーの中に、ゴロリとカニが入った「カニのスパイシーカレー」に、真っ赤なカニのハサミや足や胴の周りに、見た目からしてスパイスたっぷりのマサラが絡み付いた「カニのマサラ炒め」が絶品!
たまらない美味しさです。
西葛西インド巡りマップ①
それぞれのお店の位置関係はこんな感じ。
中心部を外れれば、他にもインド料理屋さんがいくつかあります。
●西葛西在住のインド人が集うお祭り『東京ディワリフェスタ西葛西』
『東京ディワリフェスタ西葛西』
日本のリトル・インディア「西葛西」
西葛西でインドを探すとなると、今回ご紹介したインド料理店(西葛西・葛西合わせて16店舗ほど)や、インド雑貨・食材店(全部で4店舗ほどあるそう)くらいしかありません。
だけど、西葛西でもっと「インド」を味わえる機会があるんです。
それが、毎年10月下旬頃、インド暦の第七番目の月の初めの日に行われるお祭り『東京ディワリフェスタ西葛西』です!
『東京ディワリフェスタ西葛西』は、すでに16回も開催されている歴史あるお祭り。
場所は、西葛西駅南口から15分ほど歩いたところにある「新田6号公園」です。
「ディワリ」とは、ヒンドゥー教の女神「ラクシュミー」(吉祥天)をお祝いするお祭り。
この『東京ディワリフェスタ西葛西』は、インドのディワリ祭を通じて、地元西葛西の方々との文化交流を行う、国際秋祭りであるとのことだそうです。
インド料理店もたくさん出店
珍しいインドのローカルスナックを味わえます。
インドのスナックのお店
イドリ&ワダ&サンバル
2014年と2015年の2回、『東京ディワリフェスタ西葛西』に行きましたが、毎年大盛況!
インド料理屋台には、かなり長い行列が出来ていました。
会場には、西葛西のインド人が大集結している感じでしたが、日本人の方も結構大勢来ていて、インド料理とインドの雰囲気を味わっている様子でした。
色とりどりのサリーがたくさん
インドスナックの試食もできます
シャンティ紅茶の屋台
会場では、インド料理の屋台が数店舗、サリー布やバングル、サンダルなどを販売するファッションや雑貨のお店、インドのスナックやレトルトカレーなどを売る食材店、シャンティ紅茶の屋台もあります。
インド人も日本人も、西葛西に住んでいる方が多いようで、家族連れで屋台でインド料理を買って、インドのローカルフードのお味を楽しんでおりました。
子供たちのダンス
ステージでは、インド舞踊やインド音楽の演奏のほか、和太鼓のパフォーマンスもあったりして、日印交流の場の様相。
一番盛り上がっていたのが、インドの子供たちのダンス。
子供たちのご両親なのでしょう。
インドの親御さんたちが、一生懸命我が子の晴れ舞台を記録しようと、デジカメやスマホで撮影し続けていました★
西葛西在住のインド人が集うお祭り、『東京ディワリフェスタ西葛西』
リトル・インディア「西葛西」の雰囲気を味わいたいなら、『東京ディワリフェスタ西葛西』が開催される10月下旬がオススメです。
●南インド古典音楽鑑賞 in グローバルインディアンインターナショナルスクール(GIIS)
インド人学校「GIIS」
インド音楽コンサート「天上のリズム」
全世界に21校のキャンパスを持つインド人スクール「グローバルインディアンインターナショナルスクール」(GIIS)
その東京校が2014年4月より、ここ西葛西でオープンしています。
西葛西に暮らすミドルクラスのインド人ITエンジニアたちは教育にも熱心。
そんな彼らの子供たちが学ぶのが、このインタースクールです。
2016年4月17日、この「GIIS」で、南インド古典音楽のコンサートが行われたので見に行きました。
天上のリズム
行われたコンサートは、南インド古典音楽(カルナータカ音楽)の公演、「天上のリズム」グランドフィナーレ。
メインの奏者は、南インド音楽で使われる素焼きの壷の楽器「ガタム」の最高の奏者として世界的に知られている人物「ヴィックゥジー」こと、「ヴィックゥ・ヴィナーヤクラーム」です。
南インド古典音楽の巨匠の公演ということもあって、インド音楽好きの日本人のほか、西葛西在住のインド人のファミリーも多数聴きに来ていました。
西葛西インド巡りマップ②
いかがでしたか?日本のリトル・インディア「西葛西」のインド巡り。
「インド人街」と呼べるほどインドインドしているわけではないですが、日本の他の町に比べるとインド色はかなり濃厚。
街のそこかしこから「インド」を感じることができます。
特に、インドの雰囲気を目いっぱい味わいたいなら、『東京ディワリフェスタ西葛西』が開催される10月下旬がオススメです。
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